Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

HTML5がもたらす大混乱

2010-09-05 23:59:59 | Technology

  まずは、このページを見てください。

ARCADE FIRE Chrome Experiments

 これは、ChromeのHTML5レンダリングデモに作られたもので、簡単に言えば、Google MapとGoogle Street Viewからデータをもらって、インタラクティブに動画コンテンツを作ると言うものです。

 しかしながら、このコンテンツは大きな問題を抱えています。Chrome以外のブラウザで覗きに行った場合、エラーメッセージ・・・「これはChrome用に作られているから、Chromeをダウンロードしてもう一度来てくれ」を画面に表示して終わります。つまり、HTML5というW3Cで策定されつつある標準規格を使いながら、ちっともブラウザ間での互換性が整っていないのです。

 もちろん、HTML5は標準規格とはいえど、今現在はあくまでドラフト段階。つまり、正確には「候補」に過ぎません。各ブラウザも部分的な実装を始めたに過ぎませんし、ウェブの世界でも対応はまだ少数の段階です。でも、だからといって、各ブラウザごとの記述方法と、同じ内容の記述に対する結果がてんでばらばらなのは、実にマズイ状況でしょう。

HTML5の現状は同じことをやりたいのにマークアップがブラウザごとに違う–ひどいね TechCrunch

HTML5の互換性をめぐっては、前にも問題が起きたことがある。HTML5は、規格そのものがまだ固まっていないので、ブラウザによって実装が違ってもしょうがないのか? しかしどのブラウザの上でも同じ効果を生むはずのマークアップ言語が、このように、ブラウザによって振る舞いが違ってもいいのか?

 元記事でも紹介されていますが、Microsoftが作ったHTML5のテストページがあります。これを各ブラウザでそれぞれ試してみると、同じ事をやっているはずなのに、記述どころか結果も大きく異なってしまっています。これでは、IE6がようやく寝かけたというのに、もっとひどいかんしゃく持ちが暴れ出し始めたようなものです。つまり、どのブラウザ陣営も、HTML5の策定前に先走って「前例」を創り出すことで、他社に対するアドバンテージを持とうとしている可能性があると言うこと。今回のChromeがやったことが良い例でしょう。

 このままだと、IE6の時のように独自仕様の百花繚乱になりかねません。どこがリーダーシップをとってもこの際はかまいませんから、真の意味の標準仕様策定に向けて、各社の意志を統一して欲しいものです。もっとも、こういう所がFlashやSilverlightの「つけいる隙」なのかもしれませんけどね。