Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

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LHC始動 ノーベル賞級の発見に期待

2008-09-11 19:46:17 | Science

 9月10日は新しいiPodの発表の日でしたが、人類科学史においてとんでもなく重要な研究施設がその産声を上げました。その名は「Large Hadron Collider」略してLHC、和訳すると「大型ハドロン衝突型加速器」です。その名前の通り、とんでもなく巨大な陽子どうしを正面衝突させるための設備です。

宇宙誕生の謎を探るCERNのLHCプロジェクトがいよいよ始動 ITmedia

 LHCでは、地下100メートルに敷設された周長27キロのトンネル内に巨大な電磁石を並べて設置し、高エネルギーの陽子ビームを加速して光速に近い速度で正面衝突させる。大聖堂のような高さの測定装置でこの衝突の反応を観測する。

 コンピュータが、ビッグバンの「火の玉宇宙」のこのミニバージョンが作られるたびに何が起こるかを記録し、収集された膨大なデータは世界中の約1万人の研究者が分析し、ビッグバン後の宇宙の様子の手掛かりを探る。

 陽子どうしを衝突させていったい何を調べるのかと言いますと、これがなかなか多岐にわたります。しかしながら、どれも物理学的には重要な問題ばかり。

 例を挙げると、物質に質量を与える存在である「ヒッグス粒子」の発見や、現在見つかっている粒子に対する「超対称性粒子」の観測。極小ブラックホールの発生による「余剰次元」の観測などが挙げられています。得られる発見から、「一般相対性理論」と「量子論」を統一する「大統一性理論」構築のヒントが得られる可能性があったりします。まさに世界を変えるかも知れない一大実験施設なんです。

 ところが、この実験施設に否定的な一団が。人類科学史を大きく塗り替えるかも知れないLHCにいったいどんな文句があるんでしょうか。

 彼ら曰く、「ブラックホールができたら地球が飲み込まれて人類は終わりだ」と言うことらしいです。確かに、余剰次元、つまり縦・横・高さ・時間にくわわる何かがある存在するならば、ミクロ的な領域にかかる力がより高くなり、ブラックホールができると言われています。逆に言えば、ブラックホールができるなら余剰次元があるということです。
 ただし、その時にできるブラックホールの質量は「極小」であり、ホーキング放射によって一瞬で蒸発すると考えられています。ですので、極小ブラックホールが安定して存在し続けるということは考えにくく、人類の終わりはやってきそうにありません。

 現代物理学を覆す可能性さえ秘めたLHC。現在はまだ試運転の段階であり、実際に陽子衝突が起こるのは年末あたりとみられています。さらに、そのデータを解析して何らかの成果が出るのは3~4年かかるとか・・・途中経過や断片的な情報はこれからも入ってくると思いますが、何とも結果が待ち遠しいですね。