ドコモとソフトバンクの熾烈な争奪戦といくつかの専用サービス、たいそうな話題になったApp Store。様々なニュースサイトに踊る絶賛記事・・・しかし、現実はそんなに甘くありませんでした。
世の中にはギークよりも、そうでない人の方が圧倒的に多かったんです。
【クローズアップ】どうなる スマートフォン戦線異常あり Fujisankei Bussiness i.
日本では100万台売れる-との予測もあったアイフォーンに、もはや当初の勢いはない。アップルとソフトバンクは販売実績を極秘にしているが、通信業界に詳しいUBS証券の乾牧夫シニアアナリストは「20万台前後で止まっている感がある」と推測。年内販売は控えめに35万台程度と見積もっていたが、それにも及ばない情勢という。
≪アップル“敗戦”≫という強烈な小見出しで始まるこの記事中の一説は、iPhoneの現状を的確に表しています。要するに、売れていない。話題だけが先行して大して普及していないのです。
現在、日本における携帯電話の「契約台数」は1億台程度と言われています。例え100万台売れたとしても僅か1%のシェアで、20万台ならば0.2%にとどまります。対して、P906iは4.6%、W62SHは3.4%とそのシェア差は圧倒的。半ば分かってはいましたが、マスコミやジャーナリスト、評論家の勢いとは裏腹に、いわゆる普通の携帯電話の方が単一機種でみても売れていたのです。メールアドレスが変更になる、既存のサービスが使えないなどのデメリットをiPhoneの魅力で覆すことはできず、一般の客層が寄りつかなかったことが最大の敗因でしょう。
つまり、iPhoneはあまりにも異端児だったのです。
CNETのパネルディスカッションで、こんな話題がありました。「おすすめiPhoneアプリを教えてください」
パネラーがさも当たり前のようにアプリを挙げていたが、クロサカタツヤさんは持っていないし、買わないかも知れないとして、木村誠司さんは
この質問マジか?!オレiphone持ってねーよww
CNETで書かせてもらいながら、この質問には猛烈に違和感。iphoneはまだそこまで一般的なツールでは無いはず。
と質問自体に意義を申し立てています。現実に一番近いのはこの意見ではないでしょうか。
すでに”敗戦処理”という言葉まで出ているiPhoneの実状。このままでは一般的なツールどころか、これまでのスマートフォンやPDAと同じく「ギークのオモチャ」で終わってしまいそうです。ビジネス向けには、よりそちらに特化したスマートフォン(例えばブラックベリーとか)が用意されてしますし、結局はコアなAppleとiPodファンだけの狭い市場になってしまう可能性が高くなってきました。
それどころか元記事は、さらに大きな危惧を出しています。
前評判の高かったアイフォーンは決定的な優位性を示すことができず、爆発的ヒットには結びつかなかった。この結果、スマートフォン市場は当面、ビジネス需要が中心になるとの見方が強まってきた。
要するに、個人用のスマートフォンは相変わらず低空飛行を続けると言うこと。残念ながら私も同意見です。
必死で獲得した販売権の手前、このままでは終わらない、終われないでしょう。どうするソフトバンク、そしてどうするApple。似たような構図をたどったセカンドライフの轍を踏んでしまうのか。これからの1年に要注目です。