Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

Googleブラウザ始動

2008-09-02 20:33:45 | Thinkings

 冗談抜きで寝耳に水の話でした。福田総理が辞任したのも驚きましたが、こちらの方が、私にとっては相当ショッキングなニュースです。

 一時期話題になったのは、Linuxベースの「Google OS」。よりPC体験をGoogleよりにするために、ジャーナリストが考えたのがそれだったのですが、Google的にはその選択肢は無かったようです。
 Googleが選んだのは、ブラウザ。インターネットは「ブラウザの中の閉じた世界」と言えます。ブラウザさえ同じならば、OSなんぞ何でも良い訳です。WindowsだろうがMac OSだろうがLinuxだろうが・・・。ブラウザを抑えることは、インターネットの世界での巨人であるGoogleにとって、OSよりもよほど意味のあることなのです。かつて、ハードウェアの違いをWindowsで乗り越えたMicrosoftの姿が浮かぶのは気のせいでしょうか?

 米国時間の9月1日、Googleは独自ブラウザ「Chrome」のリリースを発表。ベータ版のリリースは9月2日と、息もつかせぬ・・・報道の熱が冷めやらぬ間に製品投入という、実に話題の旬をというか、賞味期限を意識したスタートです。

Googleが独自ブラウザ「Google Chrome」を9月2日にリリース INTERNET Watch

 米Googleは、独自のオープンソースブラウザ「Google Chrome」を開発中であり、9月2日に100カ国以上でベータ版を公開すると発表した。

 記事を書くに当たり、様々なニュースサイトの情報を見て回りましたが、Chromeの特徴をまとめると以下のようになります。

1.サンドボックスで区切られた、よりクラッシュに強いタブブラウズ
2.ブラウザエンジンはWebKit
3.V8と呼ばれる強力なJava scriptエンジン
4.当面はWindows版のみ

 1番目は、IE7やFireFoxといった既存のタブブラウザのように「一つのウインドウの中でたくさんのページを開く」というスタイルではなく、むしろ、「タブの分だけブラウザを立ち上げる」という形です。故に、閲覧中の一つのタブでクラッシュが起きたとしても、別のソフトで起きたことですから閲覧中の他のページには関係ないという事。同じ”タブ”といっても、既存のタブブラウザが「表示ページを切り替える物」として使っているのに対し、Chromeは「起動しているブラウザを切り替える物」として機能していると言っていいでしょう。

 2番目として挙げたブラウザエンジンである「WebKit」は、Appleの「Safari」に使われているブラウザエンジンです。Googleが独自に手を加えていないならば、おそらくSafariとChromeで表示させた画面は同じ物になるはずです。
 おもしろいのは、Googleと提携関係にあるMozilaのFirefoxが使用している「Gecko」を使用していないところ。オープンソースではないマイクロソフトの「Trident」を使わないのは当然としても、WebKitもGeckoもオープンソースだけに、何となく釈然としないものがあります。
 Chrome開発チームはMacがお好きなんでしょうか?

 3番目は、Googleが独自開発したJava scriptエンジン。なんでも、爆速らしいです。
 Googleが提供するGmailやGoogle Mapsなどの動的なWebサービスは、すべからくJava scriptを最大限に使っています。言わば、Java scriptの高速化は、自社サービスのレスポンシビリティの向上に他ならず、Googleにおける「コアアーキテクチャ」を自社開発するというのは大変理にかなっています。

 4番目については、現在Mac OSとLinux版が用意されていると言うこと。時間が解決してくれるでしょう。

 今後の動向についてですが、Internet Exploreの圧倒的シェア、Firefoxの急激な拡大、SafariとOperaも忘れないで・・・といった情勢の中、正直「何で今さら」という感が私の中では強いです。Googleは、あくまでサービスのみの土俵で戦ってきました。周りとは共存共栄の形です。ところが、Andoloidを皮切りにプラットフォームへと進出を強めてきましたが・・・最近は広告収入も伸び悩み、Google DocsやGMailの不具合もクローズアップされる中で、なんとなく、Googleの焦りみたいなものが透けて見えるような気もしますね。