今年の2月の、あのサンフォニックスの奇蹟の日のことです。
打ち上げの席で、「川村くんさ、まだ大分先の話しだし、もし空いてたらなんだけど」と、
山本恭司さんに、あるコンサートに誘っていただいていたんです。
「いや、僕も最初に見たとき、びっくりしたんだ。本当に、凄いんだよ。だから、良かったら、是非。」
「えぇ、勿論。喜んで伺わせていただきます。」
そうお返事をして、待つこと、約三ヶ月。
・・・で、本当にね、「ビックリ」、してきましたよ。
今日、お邪魔してきたのは、とある、中学高校一貫教育の学校の、吹奏楽部の定期演奏会でした。そして、今日そこでパーカッショニストとして演奏していたのが、以前にも一度こちらでご紹介させていただいた(こちら)、恭司さんの息子さんのM君だったんです。
パーカッションと一口にいいましても、大太鼓、小太鼓、民族楽器やドラムス、シンバルなどのいわゆる打楽器だけではなく、マリンバやビブラフォンやグロッケン(判り易く言いますと、木琴や鉄琴の大きなのね)などの音程楽器、さらにはチューブラーベルズや、もー、僕は見たことも無いものまで(笑)、曲中に何度も立ち位置を移動し、楽器を持ち替え、多数の楽器を操る、大変に忙しいパートなんですね。今日、初めて知りました。まずそれだけでもビックリ。そして、そのどれもを、ピシっとした姿勢で完璧に演奏する姿に、その出音に、またビックリ。
M君は、前にブログに書いたように、初めて見たときからもう驚愕レベルでした。そして、その後、ピアノやキーボードの鍵盤楽器にも興味を持ったそうで、これまたドラム同様独学であっという間に習得(・・・どーなってるんでしょうか。コツを教えてもらいたいです(笑))、そしてなんと最近では、なんとなんと、フュージョンなどの作曲はもとより、数十分にも及ぶ交響曲のスコアを書いてしまうまでになっている、というではありませんか。
・・・Mくんは、まだ高校二年生、17歳。・・・自分の当時を省みると、いや、今を思っても(笑)、自分がちょっとやーになる、なんてね(笑)。
いえいえ、でもね、そんな素晴らしいM君の在籍しているこの吹奏楽部そのものの演奏が、これまたビックリでした。
目を瞑って聴いていると、僕には「大人」の「プロ」の演奏に聴こえてしまうくらい、各個人の演奏者も、そして全体のまとまりも、とっても完成度が高く、「これは只者のあつまりじゃないぞ」と思うのですが、目を開けると、・・・普通に制服を着た、高校生。そして、なかには中学生も混じっているのです。ビックリですよ、そのギャップが。
でも目を瞑ると、「いや、うそだ。絶対に30歳は超えているだろ」と思うような(笑)、本当に見事な演奏でした。
正直ね、何度も鳥肌がたち、何度か、・・・泣きました。
「なんなんですか、この子たちは、一体」、とのちに恭司さんに伺ったところ、
「ここは、日本のコンクールでは、もう何度も一位になってるんだよ。そして、世界でも、何度も。すごいよね。僕も、正直、本当に見事だと思う。」
と仰っていました。
あらら、もー、それはそれは(笑)。でも、それは実力の一つの証。努力の証。
でもね、本当にまだ、16,17歳くらいの子どもたちが、いや、中にはつい1~2年前まで小学生だった子たちもいるわけですが、そんな子たちがね、ウン百年という歴史を持つクラシックの楽器を手にして、数年の練習で(少なくとも、全体としては数年でしかありえないわけですからね、いくら長くても)、あんなに息の合った見事なアンサンブルを創り上げることができるんですものね。
そして、彼らは、普段は普通に学生としての本分を努めて、空いた時間に練習をして、そして、あの演奏クオリティですから。
とすると、その音楽に向かう集中力たるや、きっともの凄ーいものなんだろうな、と想像できました。そしてそれはきっと、音楽が好きで好きで仕方ない、という前向きな気持ちがあってこそのもの。勿論、吹奏楽部に入るくらいですから、嫌いなわけはないのは当たり前だとしても、それでも、・・・あそこまでの完成の域というのは、もう並大抵の努力では実現できないということくらいは、僕にもわかります。
見事な演奏の後には、なんと全員が楽器を置いての合唱。優に百数十人を超える子どもたちの、それはそれは見事なハーモニーでした。
ってか、歌まで歌えるというのに、またまたビックリ。だって、一人残らず、全員ですよ。僕たち大人のミューシャンが仕事で5~6人集まったりしてね、「じゃあコーラスできる人」なんて言っても、実際に半分もいなかったりするのがわりと普通だったりするのに、ですよ(笑)。
そして、さらにアンコールでは、楽しい振り付けやステップを交えたエンターテイメント性溢れる演奏で(絶対に真似の出来ないようなダンスもありました)、二時間半にわたったコンサートは締めくくられました。
今日はね、とっても素敵な体験をさせていただいてきました。
若いって、すごい。屈託のない、真っ直ぐなエネルギーを沢山浴びさせてもらってきました。よっさ、僕もがんばるぞー。
そして、ピュアな音楽って、やっぱり、すごい。あの純粋無垢な音たちには、正直心が洗われるような気がしました。帰ってきてピアノに向かった時には、なにか今までとはちょっと違った、なんというかこう、ちょっと新しい気持ちで、向き合うことができました。
ありがとう、Mくん、そして、吹奏楽部の皆さん。そして、誘ってくださった恭司さん、そして奥様、ありがとうございました。
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今日のコンサートは2デイズの2日目でした。
昨夜、昨日の「初日」にも聴きに行っていたという恭司さんから、
「川村くん、出来たら前のほうの席の真ん中に座るといいよ。生の音を感じられるよ。素晴らしい体験になるから、是非ね。」
というメール頂いたんです。
なので今日、会場に入り、しばし中をウロウロとして、
「よし、ここが良さそう。」
と、一つの席を見つけて座ったんです。
すばらくすると、
「あれ!?」
と声が。
見ると、真後ろの席に、恭司さんが(笑)。僕より少し早く来られてて、ちょっと席を外されていたということでした。会場は2500人も入る大きなホール。席は全席自由席でした。
「面白いねぇ、縁があるんだねぇ」と言っていただけまして。もう僕からしたら、「あの」山本恭司さんに(しつこいようですが、ポスターの中の人、ですからね(笑))、そんな言葉をかけていただけるなんてだけでも、もう椅子から腰が10cmは浮いてしまう感じなわけですが(笑)、まさか、恭司さんと席を前後して、恭司さんのご子息のコンサートを一緒に見て、
そして、
「あのラッキードラゴンって曲、最高じゃない?プログレっぽい展開も素晴らしいし、展開もカッコいいよねー、燃えるよね」
「ですよね!ほんとほんと!」
なーんてお話をさせていただける、
・・・なんて日がくるとは。
で、今日の影響でね(笑)、ちょっと吹奏楽で使われる楽器にチャレンジしてみたくなったりしてるんです。いや、別に今日の皆の仲間に入れてもらおうっていうのではなく(ハードルが高すぎーる。・・・ってか年齢的に問題外(笑))、ちょっとね、かっこいいなぁ、と(笑)。
ではー。