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【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】1-6 家常茶飯 あたり前のレベルを上げる ~ 当たり前なことを、あたり前にできる ~

2024-05-11 08:03:00 | 【心 de 経営】 経営四字熟語・名言

  【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】1-6 家常茶飯    あたり前のレベルを上げる ~ 当たり前なことを、あたり前にできる ~ 

 

 
  四字熟語というのは、漢字四文字で構成された熟語であることはよく知られています。お恥ずかしいながら、その四字熟語というのは、すべてが中国の故事に基づくものとばかり思っていましたが、実はそうではないことを発見しました。
 経営コンサルタントという仕事をしていますが、その立場や経営という視点で四字熟語を”診る”と、今までとは異なった点で示唆を得られることが多のです。「目から鱗が落ちる」という言葉がありますが、四字熟語を講演や研修の場で用いたり、自分の仕事や日常会話に活かしたりするようにしましたら、他の人が私を尊敬といいますとオーバーですが、自分を見てくれる目が変わってきたように思えたことがあります。
 四字熟語の含蓄を、またそこから得られる意味合いを噛みしめますと、示唆が多いですので、企業経営に活かせるのではないかと考えるようにもなりました。これを「目鱗経営」と勝手に造語し、命名しました。
 以前にも四字熟語をご紹介していましたが、一般的な意味合いを中心にお話しました。このシリーズでは、四字熟語を経営の視点で診て、つぶやいてみます。以前の四字熟語ブログもよろしくお願いします。

■1-6  家常茶飯    あたり前のレベルを上げる
     ~ 当たり前なことを、あたり前にできる ~


 われわれ経営コンサルタントは、企業を訪問しますと、その会社の良いところを伸ばし、至らないところがあればそれを指摘し、具体的にどのようにしたらよいのかを一緒になって考え、実施し、持続し、結果に結びつけられるように努力をします。
 企業を訪問して驚くことの一つが、挨拶ができていない企業が結構あるということです。挨拶ができていない企業で、成長している企業があればそれは一時的に何らかの要素で良い状態があると考えた方が良いでしょう。
「家常茶飯(かじょうさはん)」という四字熟語があります。「家」すなわち「家庭」において日常の「茶飯」すなわち飲食のことですので、「ごく普通」とか「あたり前」のことを指し、「日常茶飯(にちじょうさはん)」と同じような意味で用いられます。挨拶をすると言うことは、社会人にとってはあたり前、すなわち「家常茶飯」なことです。
 永年、経営コンサルタントという仕事をしてきまして感ずることですが、「あたり前」と言われるようなことがなされていない企業が多いことです。たとえば「3S」ということがしばしば言われます。「整理整頓(せいりせいとん)」という四字熟語がありますが、3Sとは、「整理」、「整頓」、「清掃」という三つのキーワードをローマ字表記し、その頭文字をとって命名されました。
 玄関を入る前から雑然とした感じを受ける企業は、受付での応対も不快な思いまでではないにしろ、何となく違和感を覚えることがあります。応接室に行くまでの間も、玄関ホールや廊下に物がおいてあり、それもキチンと整理されて積み上げられているのであれば、「出荷を待つために、一時的に置いてある」という感じがします。ところが、方向がバラバラであったり、埃を被っていたりしているのでは、それがその企業の実態を表していると考えられても仕方がないでしょう。
 応接室に入りますと、カレンダーが先月のままであったり、時計が傾いていたり、ごみ箱にはごみが一杯入っていたりして、ソファーに座るのも拭いてから座りたいような状態では、来客を気持ちよく迎える姿勢とはほど遠いと言えます。名刺交換をするときに出される名刺も、角が折れていたり、ひどいときには汚れや、何かのメモが書かれていたりするものさえあります。
 このように整理・整頓・清掃という3Sに加えた「整理、整頓、清掃、清潔、躾」のことを5Sとも言います。そのいずれも、ある程度できていてあたり前、それがキチンとできている会社を拝見しますと「素晴らしい会社」という評価を高める昨今は、かつての日本と比べると寂しいことなのです。
 挨拶ができるだけで企業が良くなるわけではないですが、社員の挨拶がキチンと励行されているかいないかという観点でもその企業の業績が推測できます。なぜなら、企業が体質改善や変革を行っていると自然と挨拶もできるようになるのです。5Sを実施している企業は、5番目のSとして「躾け」という項目があることはご存知でしょう。挨拶はこの項目に属するのかもしれませんが、人間として当然できて当たり前と言えます。
 企業というのは当たり前のことが当たり前にできない宿命のようなものがあるようです。当たり前に何でもができるようになるには、自社の当たり前が何であるのかを社員全てが知っている必要があります。そうでなければ当たり前のことが当たり前にできるようにはなりません。
 別項にあります、挨拶をすることの「理非曲直」を頭で理解するだけではなく、体と心で実践できる企業に返信することは、健全企業への第一歩のひとつと言っても良いのかもしれません。
 このように、あたり前のことができていない企業ですから、ざるで水をすくうがごとく、利益もこぼれ出ているところが多いのです。そのような企業が多いですので、私ども経営コンサルタントは、まず、当該企業の「あたり前作り」から始めることがあります。あたり前の基本が経営理念ですが、それがなかったり、あっても絵に描いた餅であったりする企業が多いですので、経営理念の構築・再構築をします。その経営理念を達成するための経営戦略を練り、長期経営計画を立案し、その実施のための短期経営計画に戦術をまとめ、それがキチンとできるように、その企業の行動規範を明確にする、などということを行います。これらが、その企業に「あたり前」になるようにして、毎年、そのあたり前を成長させて行くのです。すなわち「あたり前」というのは、その企業に独自の質や内容に進化して行く者と考え、経営コンサルタントというのは「あたり前」を成長させる支援をして行く専門職とも言えます。
「順風満帆(じゅんぷうまんぱん)」の時には、経営者は意外と厳しいときのことを忘れがちです。「順風」とは「追い風」、すなわち自分が進む方向に吹く風のことで「満帆」は、「風をすべて受けて膨らむ帆」のことです。すなわち、「追い風を帆に受けて、船が快調に進む」ということから「万事順調に進み前進する」ことを指します。
 上述のような企業では、必ずしも「順風満帆」とは言えませんので、手前味噌になりますが、ちょっとしたアドバイスや支援するだけで、業績がV字回復できるのです。すなわち「あたり前」のレベルがこのような企業は低いですので、そのレベルを上げるだけで、直ぐに良くなるのです。経営コンサルタントとして、手前味噌のことを記述してきた感もありますが、「自社の常識」が「社会の非常識」であることに気づいていない企業では、独善的に判断して、生兵法でやろうとして失敗することが多いだけに、私たち経営コンサルタントの存在意義があるように考えて、日夜企業の支援をしています。
 コンサルティングの結果、「不況」でも自社の経営があたり前にできるようになります。そうしますと、その企業では「不況が普況」、すなわち「あたり前」になります。やがては一般的な経済環境が厳しくても、自分の会社は「富況」という状態になって行くのです。「あたり前づくり」を「布教」するのがわれわれ経営コンサルタントの使命でもあります。
 親爺ギャグと馬鹿にしないで、「あたり前」に取り組んで、発展企業になるようにして下さるようお願いします。
 
 
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