経営コンサルタントへの道

コンサルタントのためのコンサルタントが、半世紀にわたる経験に基づき、経営やコンサルティングに関し毎日複数のブログを発信

■■【名言格言】安部能成「自なくして他なく、他なくして自なし」

2023-07-11 12:03:00 | 【心 de 経営】 経営四字熟語・名言

■■【名言格言】安部能成「自なくして他なく、他なくして自なし」

 

 【名言格言から経営ノウハウを感じ取る】は「経営四字熟語」とともに益々人気上昇中です。名言格言や四字熟語を学びながら、経営のヒントを併せて得ることができるという切り口が好評の理由です。話材にも使えて、益々面白くなります。

 

 

 

■ 自なくして他なく、他なくして自なし 

 

 安部能成(18831966)は、対象・昭和期の教育者であり、哲学者でもあります。彼の「学生に対する一般的助言」の一節です。

 

 学生が相手ですので、どのような人生を歩んだら良いのかを考えさせるという意図で、社会人としてのあり方を説いているのでしょう。学生時代も人との関わり合いは難しい面がありますが、基本的には似た年代であり、学生であるという基本部分で共通しているところが多いと言えます。

 

 しかし、社会というのは、年齢幅が学生時代に比べると格段と広がり、経験も異なり、当然のことながら価値観も違うわけです。そのような中で、他者の存在の重要性を説いている一説です。

 

 今日、学生に限らず多くの人が自分という狭い中での思考が多すぎるような気がします。道を歩いているときに、ぶつかりそうになる直前まで何もしない人が多く、ぶつかりそうになって初めて回避行動を起こすのです。回避行動すらしない人も結構います。

 

 狭い路地から自転車で急に飛び出してくる人の多いこと、それも若者だけではありません。狭い路地には人がいなくても、広い道に出たら人がいる可能性は高いわけです。ところが、自分の世界だけでの思考ですから、他人がそこにいるという思考がないのです。

 

 電車の優先席で、ケイタイに夢中になっていて、目の前にお年寄りが立っても、自分が席を譲らなければならないという意識はありません。「私の妻は身障者なので、席を譲っていただけませんか?」というと席を立ってくれる人がいると言うことは、優先席が何たるかをわかっているからでしょう。

 

 妻が病院に行くのがちょうど通勤時間帯にぶつかってしまいました。混雑する電車に乗るのが怖いようですが、優先席に座れば大丈夫と言い聞かせて電車に乗りました。席を譲って欲しいと声をかけましたが、だれも席を譲ってはくれませんでした。それどころか、通勤時間帯になんで身障者が電車に乗るのだと言わんばかりの雰囲気が漂った気がしました。(被害者妄想かも知れません)

 

 他人を思いやる気持ちが、今日では薄れているように思えます。

 

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■■【名言格言】武者小路実篤「笑はれるのを恐れる」

2023-07-04 12:03:00 | 【心 de 経営】 経営四字熟語・名言

■【名言格言】武者小路実篤「笑はれるのを恐れる」

 

 【名言格言から経営ノウハウを感じ取る】は「経営四字熟語」とともに益々人気上昇中です。名言格言や四字熟語を学びながら、経営のヒントを併せて得ることができるという切り口が好評の理由です。話材にも使えて、益々面白くなります。

 

   

■「笑はれるのを恐れるよりは心にないことを云ふのを恐れなければいけない」

 

 武者小路実篤(18851976)の「幸福者」の一節です。

 

 武者小路実篤は、Wikipediaでは下記のように紹介されています。

 

 日本の小説家。姓の武者小路は「むしゃのこうじ」と読むが、実篤自身は「むしゃこうじ」と名乗っていた。一般には「むしゃのこうじ」で普及しており、本人も誤りだと糺すことはなかったという。

 仲間からは「武者」という愛称で呼ばれた。位階は従三位。文化勲章受章。授与された称号には名誉都民などがある。日本芸術院会員。

 

 我々はしばしば外聞を気にして見栄を張り、時には大風呂敷を広げることがあります。そのようなことを言ってしまった後で、反省をしたり、良い気分でなかったりします。

 

 人間というのは、自分自身を偽ると決してよい気分ではいられません。世の中には、そうでない人もいるかも知れませんが、通常では自分自身を偽って平気でいることはできないのではないでしょうか。

 

 お恥ずかしながら、「幸福者」を読んでいないので真偽の程はわかりませんが、実篤は、自分を偽って針小棒大に言うのではなく、自分の気持ちを素直に表現することがよいと言いたいのではないでしょうか。

 

 自分自身に嘘をついたり、偽ったりし続けることは、他の人に気づかれないかも知れませんが、自分自身を騙し続けることはできませんね。むしろ嫌な気分が残ります。それがわかっていながらやってしまいがちです。

 

 一方で、マーケティングというのは、現実にある物やサービスをいかに効率よく販売するようにするかを考えることです。物は見る角度により異なって見えることを利用して、欠点を長所として紹介することもできます。

 

 グーグルが日本でサービスを提供するようになってから、「経営コンサルタント」をキーワードで検索すると私のサイトがトップまたはその直下あたりにリスティングされます。

 

 以前は、それを人に言うことをあまりしませんでした。自分の自慢話をするように思えたからです。しかし最近は、周りの人のアドバイスを受けて、逆に積極的にこのことを紹介するようにしています。その効果かどうかはわかりませんが、結構色々な人から声をかけられたり、メールをいただいたりするようになりました。

 

 一方で、それが為に「自己顕示欲が強く、嫌なやつ」と思われている面もあるのではないでしょうか。

 

 ものごとの両面性を認識し、何ごともほどほどにするのがよいのではないかと、自分にも言い聞かせているこの頃です。

 

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■【名言格言】山本常朝「礼儀を乱さず」 ~ わたくしの生き方

2023-06-27 12:03:00 | 【心 de 経営】 経営四字熟語・名言

■【名言格言】山本常朝「礼儀を乱さず」 ~ わたくしの生き方

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■ 礼儀を乱さず、へり下りて、我が為には悪しくとも、人の為によき様にすれば、いつも初会のようにて、仲悪しくなることなし

 

 山本常朝(16591719)の言葉で、「葉隠」(はがくれ)に記述されています。

 

 Wikipediaによると下記のように説明されています。

 

 「葉隠」(はがくれ)は、江戸時代中期(1716年ごろ)に出された肥前国鍋島藩藩士、山本常朝の武士としての心得について見解を「武士道」という用語で説明した言葉を田代陣基が筆録した記録である。全11巻。葉可久礼とも書く。

 

 常朝と言うと「武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり」が有名で、そちらで常朝をご存知の方が多いと思いますが、私は掲題のことを自分の生き方の一つとしています。

 

 礼儀と謙虚さを忘れなければ、どのような人とも、初対面の時のように何のわだかまりもなく接することができると人間関係を円滑にする手立てを説いていると考えています。

 

 人間は、誰しもよい面、優れた面を持っていると信じています。その点においては自分より優れていることが多く、それをもとに相手に尊敬の念を忘れないように、誠意を持って接するようにしています。

 

 これに関連して、今ひとつ私が心がけていることが相手に対する「思いやり」です。

 

 相手に誤解を受けて、人間関係がこじれても、その態度を貫くと、多くの場合氷解してきます。もちろん、うまくいかないことも多いのですが、100人の人のうち100人とうまくやろうと欲張らないようにしないと、自分が悔回の念に押しつぶされてしまうのではないかと思います。

 

 経営コンサルタントにしろ、経営者・管理職にしろ、人との交わりなしには仕事を続けることはできません。自分なりの人との交わり方を意識することは大切なのではないでしょうか。

 

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■■ 【名言格言】松平定信「友はその所長を友とすべし」

2023-06-20 12:03:00 | 【心 de 経営】 経営四字熟語・名言

■■ 【名言格言】松平定信「友はその所長を友とすべし」

 【名言格言から経営ノウハウを感じ取る】は「経営四字熟語」とともに益々人気上昇中です。名言格言や四字熟語を学びながら、経営のヒントを併せて得ることができるという切り口が好評の理由です。話材にも使えて、益々面白くなります。

■ 友はその所長を友とすべし 友達の作り方

 

 江戸後期の老中である松平定信(17581829)は、「花月草紙」の中で「友はその所長を友とすべし」と記述しています。

 

 「所長」とは、研究所など、「所」と称するところの長を指すことは我々のなじみ深いところです。ところが、広辞苑には、その項の次に「得意とするところ。長所」という意味が記載されています。

 

 このことから、「友達を選ぶときには“所長”すなわち“長所”を見て判断すべきである」と定信は言いたいのでしょう。

 

 当ブログでも、私も同様なことを何度か記述してきているのでお気づきの方も多いと思いますが、花月草紙を読んでいないので、定信の真意はわからないながらも何か通ずるものがあるように思えます。一方で、何となくニュアンスに違いがあるようにも思えます。

 

 定信は相手のよい点を認め、それを基に友となりたくてアプローチをすると相互に得るところがあってお互いによい影響を与え合え、お互いが成長してゆくということを言いたいように思えます。

 

 私は、相手の長所を見ると自然と相手がどのような人かを感じ取れるようになり、親しみを感じると相手もそれを鋭敏に感じ取ってくれ、人間関係が自ずとできていくと考えています。

 

 ほとんど同じようなことですので、気にする必要はないと自分に言い聞かせながら、類似する発想をもっていることが何となく嬉しく感じました。

 

 話は「花月草紙」に戻りますが、百科事典マイペディアによると下記のように解説されています。

 

 松平定信の随筆。成立は1812年以後。6巻6冊156章。雅文。著者が老中辞職後,政治,経済,学問,自然現象,日常生活などについて記したもの。高い見識,深い学殖がみられる。

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■【心 de 経営】 経営四字熟語019 ■ 愚者一得 (ぐしゃいっとく) 他者が愚か者に見えるとき・・・

2021-03-21 12:03:00 | 【心 de 経営】 経営四字熟語・名言

■【心 de 経営】 経営四字熟語019 ■ 愚者一得 (ぐしゃいっとく) 他者が愚か者に見えるとき・・・

本

■ 示唆の多い経営四字熟語

 四字熟語には、いろいろな示唆がありますので、経営やコンサルティングを学ぶという視点で連載をします。

 四字熟語というのは、漢字4文字で構成された熟語で、中国の故事などに基づくだけではなく、幅広い内容を持っています。
 読み方を変えますと、別なものが見えてきます。それを経営コンサルタント歴40年余の目で見ますと、経営やコンサルティングに直結する示唆の多いことに気がつきました。 単に、四字熟語の意味を知るだけではなく、経営士・コンサルタントの視点から感じ取ったことをご紹介します。

■ 愚者一得 (ぐしゃいっとく) 他者が愚か者に見えるとき・・・

「褌」は、「ふんどし」のことで「下帯」とも言います。「緊」は緊張というような熟語のい中で登場しますが、「差し迫る」「引き締める」という意味です。従って「緊褌」というのは「褌を引き締める」ということです。

「一番」は「ここ一番」などという言い方があるように、ここではそのものずばりです。すなわち「緊褌一番」は「気持ちを引き締めて、何かに挑戦する」というような時に使われます。

「ここ一番」というと「CoCo壱番」を連想する人も多いのではないでしょうか。CoCo壱番屋は、本社が愛知県にある株式会社壱番屋が運営する日本のカレー専門店チェーンの最大手です。しかし、ハウス食品の関連会社であることは意外と知られていません。

 フランチャイズ展開をしていますが、日本各地だけではなく海外展開にも積極的です。中国での成功例がテレビでも放映されたことをご記憶の方もいるでしょう。

 もちろん店名の「CoCo壱番」というのは「カレーならココ一番や!」から来ていることは容易に推測できます。

 その成功要因は、何でしょうか?

 カレーの辛さは、人により好みがちがいます。カレーの量やご飯の量も選択でき、トッピングも選べるため、カレーという単品でありながら30種類以上の定番メニューがあり、期間限定で特別メニューが提供されることもあります。

 カレーを連想させる、見つけやすい看板と店舗立地、入りやすい店舗レイアウトなども上記の特徴を側面支援しています。

 身近なお店にも、ちょっとした工夫を見つけることができ、それをヒントにしている人も多いのではないでしょうか。

 

■ バックナンバー

 これまでの経営四字熟語のバックナンバーをブログで見られるようにしました。

  https://blog.goo.ne.jp/keieishi-kyokai/c/519a7840abf5dcf643227ecff6b01cef

 


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■【心 de 経営】 経営四字熟語018 緊褌一番 (きんこんいちばん) カレーのCoCo壱番屋

2021-03-14 12:03:00 | 【心 de 経営】 経営四字熟語・名言

■【心 de 経営】 経営四字熟語018 緊褌一番 (きんこんいちばん) カレーのCoCo壱番屋

本

■ 示唆の多い経営四字熟語

 四字熟語には、いろいろな示唆がありますので、経営やコンサルティングを学ぶという視点で連載をします。

 四字熟語というのは、漢字4文字で構成された熟語で、中国の故事などに基づくだけではなく、幅広い内容を持っています。
 読み方を変えますと、別なものが見えてきます。それを経営コンサルタント歴40年余の目で見ますと、経営やコンサルティングに直結する示唆の多いことに気がつきました。 単に、四字熟語の意味を知るだけではなく、経営士・コンサルタントの視点から感じ取ったことをご紹介します。

■ 緊褌一番 (きんこんいちばん) カレーのCoCo壱番屋

「褌」は、「ふんどし」のことで「下帯」とも言います。「緊」は緊張というような熟語のい中で登場しますが、「差し迫る」「引き締める」という意味です。従って「緊褌」というのは「褌を引き締める」ということです。

「一番」は「ここ一番」などという言い方があるように、ここではそのものずばりです。すなわち「緊褌一番」は「気持ちを引き締めて、何かに挑戦する」というような時に使われます。

「ここ一番」というと「CoCo壱番」を連想する人も多いのではないでしょうか。CoCo壱番屋は、本社が愛知県にある株式会社壱番屋が運営する日本のカレー専門店チェーンの最大手です。しかし、ハウス食品の関連会社であることは意外と知られていません。

 フランチャイズ展開をしていますが、日本各地だけではなく海外展開にも積極的です。中国での成功例がテレビでも放映されたことをご記憶の方もいるでしょう。

 もちろん店名の「CoCo壱番」というのは「カレーならココ一番や!」から来ていることは容易に推測できます。

 その成功要因は、何でしょうか?

 カレーの辛さは、人により好みがちがいます。カレーの量やご飯の量も選択でき、トッピングも選べるため、カレーという単品でありながら30種類以上の定番メニューがあり、期間限定で特別メニューが提供されることもあります。

 カレーを連想させる、見つけやすい看板と店舗立地、入りやすい店舗レイアウトなども上記の特徴を側面支援しています。

 身近なお店にも、ちょっとした工夫を見つけることができ、それをヒントにしている人も多いのではないでしょうか。

 

■ バックナンバー

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■【心 de 経営】 経営四字熟語017  機略縦横 経営理論は有効か?

2021-03-07 12:03:00 | 【心 de 経営】 経営四字熟語・名言

■【心 de 経営】 経営四字熟語017  機略縦横(きりゃくじゅうおう) 経営理論は有効か?

本

■ 示唆の多い経営四字熟語

 四字熟語には、いろいろな示唆がありますので、経営やコンサルティングを学ぶという視点で連載をします。

 四字熟語というのは、漢字4文字で構成された熟語で、中国の故事などに基づくだけではなく、幅広い内容を持っています。
 読み方を変えますと、別なものが見えてきます。それを経営コンサルタント歴40年余の目で見ますと、経営やコンサルティングに直結する示唆の多いことに気がつきました。 単に、四字熟語の意味を知るだけではなく、経営士・コンサルタントの視点から感じ取ったことをご紹介します。

■  機略縦横(きりゃくじゅうおう) 経営理論は有効か?

「機略」は「臨機応変の計略、策略」という意味です。「縦横」は「たてとよこ」ということから、「自由自在」とか「勝手気まま」という意味にも使えます。これらのことから「状況に応じて、臨機応変に、自在に適切な策略を巡らすこと」を意味します。

 関連語として臨機応変とか合従連衡という言葉もあり、すでにご紹介していますので、そちらを参照してください。また、「機知縦横」という言葉もあります。「機知」「機智」は「その時その場合に応じて働く才知。人の意表に出る鋭い知恵。ウイット(広辞苑)」という意味で「機知に富む」というような使われ方をします。

 広辞苑によるとさらに関連する言葉として下記が紹介されていますので、参考にしてください。

  じゅうおう‐か【縦横家】
  じゅうおう‐ひ【縦横比】
  じゅうおう‐むぐう【縦横無隅】
  じゅうおう‐むげ【縦横無礙】
  じゅうおう‐むじん【縦横無尽】
  たてよこ‐ざた【縦横沙汰】

 経営には、いろいろな理論がありますが、完全な理論で、それを実行すれば完全な経営ができ、企業が成長するという「王道」はないといっても良いでしょう。

 情報が氾濫している今日、セミナーなどの参加して聞きかじりの状態で、いろいろな経営理論を試してみる企業がいます。しかし、中途半端な取り組みに終わってしまうために、「どの経営理論もダメだ」と諦めてしまっている経営者も多いと思います。

 私は、どのような理論でも、徹底して実行すれば何らかの成果が上がると信じています。やはり研究者が、研究を重ねた結果の理論だと考えます。その理論が間違えているのではなく、利用する経営者・管理職側が、徹底的に使いこなすことを充分にやりもしないで、「ダメだ」と決めつけることが、うまくいかない原因なのではないでしょうか。

 今ひとつは、自社の現況にあった方法を選んでいるかどうかについても見直す必要があります。

 既製服はなかなか自社の状況に合わないのです。自社の状況にカスタマイズして利用することも一つの方法です。ただし、カスタマイズを自分の都合の良いように解釈して行っては、生兵法はけがのもとになることを忘れないでください。

 

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■【心 de 経営】 経営四字熟語016 ■ 矯角殺牛 全体最適を目指す

2021-02-28 12:03:00 | 【心 de 経営】 経営四字熟語・名言

■【心 de 経営】 経営四字熟語016 ■ 矯角殺牛 全体最適を目指す

本

■ 示唆の多い経営四字熟語

 四字熟語には、いろいろな示唆がありますので、経営やコンサルティングを学ぶという視点で連載をします。

 四字熟語というのは、漢字4文字で構成された熟語で、中国の故事などに基づくだけではなく、幅広い内容を持っています。
 読み方を変えますと、別なものが見えてきます。それを経営コンサルタント歴40年余の目で見ますと、経営やコンサルティングに直結する示唆の多いことに気がつきました。 単に、四字熟語の意味を知るだけではなく、経営士・コンサルタントの視点から感じ取ったことをご紹介します。

 

■ 矯角殺牛(きょうかくさつぎゅう) 全体最適を目指す

 玄中記に、牛の角の形がわずかばかりゆがんでいることが気になり、それを矯正しようとしたら牛が死んでしまったという故事が掲載されています。

 すなわち矯角殺牛というのは大勢にあまり関係しないような、わずかな欠点を正すために努力をしても、その結果、全体を損なってしまっては何もならないという意味です。

 これは、経営においてもいえます。

 われわれ経営コンサルタントは、企業に行って、いろいろな局面で気になることが多々あります。しかし、その企業にとって何が重要なのかという視点で見ないと矯角殺牛になることがあります。

 すなわち、われわれ経営コンサルタントは、「全体最適」ということを常に意識し、どこから手をつけなければならないのかを的確に判断しませんと、せっかくの努力がマイナスの効果に繋がってしまうことがあります。

 私が経営コンサルタントになりたての頃の話です。ある精密機械製造業の顧問先で、収益が良くないので何とかして欲しいという社長の意向に引きずられ、そこに重点を置いたコンサルティングをしました。

 その結果として、売上高は増加傾向になりましたが、利益率は一向に上がりません。その原因は、管理体制にありました。売上高が伸びたために、どの部門も忙しくなり、社員の負荷が増加してしまいました。

 管理不充分なことから、貴重の利益が水漏れしていたのです。

 お恥ずかしながら、経験の浅い私には、全体最適なコンサルティングではなかったことにすぐに気がつけなかったのです。売上が拡大することにより、かえって社員に迷惑をかけてしまうことになってしまいました。

 経営コンサルタントが、矯角殺牛、すなわち部分最適を全体最適と勘違いするような判断をしてはならないことを、自分の失敗を通じて学びました。

 

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■【心 de 経営】 経営四字熟語015 起死回生  手遅れになる前に企業の健康診断■ 

2021-01-03 12:03:00 | 【心 de 経営】 経営四字熟語・名言

■【心 de 経営】 経営四字熟語015 起死回生  手遅れになる前に企業の健康診断■ 

本

■ 示唆の多い経営四字熟語

 四字熟語には、いろいろな示唆がありますので、経営やコンサルティングを学ぶという視点で連載をします。

 四字熟語というのは、漢字4文字で構成された熟語で、中国の故事などに基づくだけではなく、幅広い内容を持っています。
 読み方を変えますと、別なものが見えてきます。それを経営コンサルタント歴40年余の目で見ますと、経営やコンサルティングに直結する示唆の多いことに気がつきました。 単に、四字熟語の意味を知るだけではなく、経営士・コンサルタントの視点から感じ取ったことをご紹介します。

 

■  起死回生 (きしかいせい)   手遅れになる前に企業の健康診断


 起死回生は、回生起死とも起死再生ともいい、いまにも死にそうな人を生き返らせることです。

  私たち、経営士・コンサルタントは、平素はあまり見向きもされないことが多いのですが、いざ、手形が落ちない、とか、大手企業からの契約を打ち切られそうだ、といった、切迫した事態に陥ったときに、駆け込み寺として利用されることがしばしばあります。

  しかし、手遅れのことが多いのです。

  病人でも企業でも、重大な局面に陥ってしまうと手の打ちようがないことがあります。人間ですと、早期診断、早期発見、早期治療ということの重要性が認識されて来ていますが、企業が健康診断を受けたり、コンサルティング依頼をしたりすることはほとんどありません。

  経営が安定しているときに、企業が健康診断を受けることをお薦めします。企業がうまくいっているからといって安心していますと、人間ドックにはいったときにガンが発見されるように、企業が病にかかっていることがしばしばあります。

  「手形が落ちない。絶体絶命!!」という状況になる前に手を打っていますと、大過なくその状況を回避することができることがしばしばあります。そのために、手前味噌になりますが、企業も「かかりつけ医」すなわち経営士・コンサルタントを顧問として持つべきなのです。

  また、われわれが人間ドックに入るように、年に1~2回は最低でも健康診断を受けましょう。企業の健康診断の方法はいろいろありますが、その代表的なのが「ビジネスドック」です。ビジネスドックは、プロの経営士・コンサルタントから受けるのが普通ですが、その手法を習得すると自分達だけでも実施することができます。

  企業の健康診断だけではなく、経営戦略を見直したり、問題解決をしたり、経営理念を再構築したりと、用途は広く、効果が大きいのが特徴です。幹部研修や管理職研修を受講すれば、その手法を社内で利用できるようになり、目的に応じてビジネスドックを実施できます。

  企業経営者・管理職とお話しているとしばしば「うちは顧問税理士がいるから経営士・コンサルタントのお世話にならなくても大丈夫です」ということを聞きます。税理士の先生の中には有能な先生もいますので、そのような顧問の先生がいる企業では経営士・コンサルタントは不要かも知れません。

  しかし、一口に経営士・コンサルタントといっても、専門分野がいろいろとあります。脳の病気の時に、内科の先生に手術をしてもらうよりは、脳外科の先生の手術を選ぶでしょう。士業も同じで、「餅は餅屋」なのです。

  「経営士・コンサルタントの顧問料は高い」と思い込んでいる人が多いですが、「投資対効果」を考えますと決して顧問料は高くはありません。「家庭医」「かかりつけ医」を持つように気軽に経営士・コンサルタントをビジネスブレインの一人として受け入れましょう。

 「起死回生」
 倒産しかけている、絶望的な絶体絶命の状態から立ち直ることは、奇跡に近いことを知っておくべきではないでしょうか。
 

 

 

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■【心 de 経営】 経営四字熟語014 ■ 韓信匍匐 仲間内の恥は将来のため 014

2020-09-13 12:03:00 | 【心 de 経営】 経営四字熟語・名言

■【心 de 経営】 経営四字熟語014 ■ 韓信匍匐 仲間内の恥は将来のため 014

 

本

■ 示唆の多い経営四字熟語

 四字熟語には、いろいろな示唆がありますので、経営やコンサルティングを学ぶという視点で連載をします。

 四字熟語というのは、漢字4文字で構成された熟語で、中国の故事などに基づくだけではなく、幅広い内容を持っています。
 読み方を変えますと、別なものが見えてきます。それを経営コンサルタント歴40年余の目で見ますと、経営やコンサルティングに直結する示唆の多いことに気がつきました。 単に、四字熟語の意味を知るだけではなく、経営士・コンサルタントの視点から感じ取ったことをご紹介します。

 

■ 韓信匍匐(かんしんほふく) 仲間内の恥は将来のため 014


 史記に、漢の名将として名高い韓信の話が掲載されています。若い頃に街中で無頼漢に絡まれ、股の下をくぐったことがあります。

 侮辱に良く耐えた韓信は、後に漢の劉邦に仕え、数々の戦いに勝利して、劉邦を助けた人です。このように大出世をした韓信の故事にちなんで韓信匍匐(かんしんほふく)という言葉が生まれました。

 このことから、韓信匍匐というのは「大きな目的を持つ人は、ひとときの恥を忍んで耐える」という教えです。「一時の恥を惜しむことは一生の恥である」と子供の頃に教えられました。

 ちなみに「匍匐膝行(ほふくしっこう)」という言葉があります。

 韓信匍匐とは全然意味が異なりますが、むかし中国では、「貴人の前で、腹ばうようにして膝で進退する(広辞苑)」という動作があります。それが、後に日本にも入ってきました。戦争用語に「匍匐前進」という言葉がありますが、同じ「匍匐」という言葉から来ていることは想像できます。

 特定非営利活動法人・日本経営士協会に「知修塾」という研修会があります。そこでは、知識の修得と共に、経営士・コンサルタントに不可欠な表現力養成をあわせて行っています。

 経験の浅い経営士・コンサルタントが、自分の研究をプレゼンテーション・ソフトを使って発表します。内容だけではなく講師としての話方やストーリー作りなどの善し悪しを出席者がコメントしあいます。

 仲間内の恥は、経営士・コンサルタントとしての飛躍の肥料となるユニークな研修です。

 

 

■ バックナンバー

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■【心 de 経営】 経営四字熟語013 ■ 換骨奪胎(かんこつだったい) 「まねぶ」の心を活かす

2020-09-06 12:03:00 | 【心 de 経営】 経営四字熟語・名言

■【心 de 経営】 経営四字熟語013 ■ 換骨奪胎(かんこつだったい) 「まねぶ」の心を活かす

 

本

■ 示唆の多い経営四字熟語

 四字熟語には、いろいろな示唆がありますので、経営やコンサルティングを学ぶという視点で連載をします。

 四字熟語というのは、漢字4文字で構成された熟語で、中国の故事などに基づくだけではなく、幅広い内容を持っています。
 読み方を変えますと、別なものが見えてきます。それを経営コンサルタント歴40年余の目で見ますと、経営やコンサルティングに直結する示唆の多いことに気がつきました。 単に、四字熟語の意味を知るだけではなく、経営士・コンサルタントの視点から感じ取ったことをご紹介します。

 

■  換骨奪胎(かんこつだったい) 「まねぶ」の心を活かす 013


 「換骨奪胎」は、すぐれた詩文に書かれている内容や意図を正確に理解し、そこに見られる表現を取り入れたり、発想手法をそこから学び取ったりして、自分自身の言葉で、自分自身の作品として表現することを意味します。

 「換骨」は凡骨(平凡な骨)を取り去って、仙骨(優れた骨)に取り替えることです。「奪胎」は胎盤を奪い生まれ変わらせることです。このことから、上述の意味に用いられます。

 経営コンサルタント業に、はじめから優れている人は例外的でしょう。初めのうちは、先輩コンサルタントの言動に注意を払い、それを自分自身の言葉や動作として表現してみるうちに、いつの間にか自分のオリジナルなものに昇華できるようになります。

 「まねぶ」という言葉がありますが、「まねる+まなぶ」という言葉からの合成語です。だれがこのようなすばらしい表現をしたのか知りませんが、経営コンサルタントに取っては、まさに換骨奪胎に繋がります。

 まねるだけでは、いつまでもモノマネに過ぎませんが、それを自分の言葉に置き換えて、学びの姿勢で、重考(繰り返し思考する)するうちに、自分のものに昇華されてきます。やがて、オリジナルなこととは次元の異なる内容に変容することが多いです。

 一方で「パクリ」という言葉があります。表現されたものには、著作権がつきものです。他人の作品に少し手を加えただけで、あたかも自分が作り上げたような顔をするのはプロコンサルタントとしては大いに恥ずべきことです。

 その様なことをやっていたら、クライアント・顧問先にもいずれ感じ取られ、結局経営コンサルタントとしてやって行くことはできなくなるでしょう。

 

 

■ バックナンバー

 これまでの経営四字熟語のバックナンバーをブログで見られるようにしました。

  https://blog.goo.ne.jp/keieishi-kyokai/c/519a7840abf5dcf643227ecff6b01cef


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◆【経営四字熟語】202 重考高盛 一見ムダも活かし方がある 繰り返し思考して、よりよい判断に繋げる 

2020-09-02 12:03:00 | 【心 de 経営】 経営四字熟語・名言

◆【経営四字熟語】202 重考高盛 一見ムダも活かし方がある 繰り返し思考して、よりよい判断に繋げる 

 四字熟語というのは、漢字4文字で構成された熟語で、中国の故事などに基づくことが多々あります。
 ところが、それだけではないのです。
 四字熟語を「経営」という視点で見ますと、一般的な四字熟語とは異なる見え方をしてきます。
 それをネタにしてあなたが他の人に話すと、尊敬の眼差しで見られるでしょう。
 永年の経営コンサルタント歴の目で見ますと、経営に直結する示唆の多いことに気がつきました。
 独断と偏見で、それを皆様にご紹介したいと思います。
◆ 経営四字熟語 第2シリーズ
 
 四字熟語の中には、物事の発想や思考に関する熟語もあります。「理科系の人は理屈っぽい」とか「あの人に理屈でまくし立てられますと、太刀打ちできない」などという言葉をしばしば耳にします。
 たしかにビジネスの世界では、上手に説明ができなかったり、自分が主張していることが相手に正確に伝わらなかったりすることが多く、自分の非力さを痛感することが多いです。
 四字熟語の中に、思考に関して示唆ある熟語が想定以上に多くあります。その中には、相手の言っていることを正確に理解できるようになるための示唆を与えてくれるものがあります。どの様に発想したら、相手に自分の思いをわかっていただけるのかを感じ取らせてくれる四字熟語もあります。思考力のハウツー本としてではなく、四字熟語の中に、思考力を高めるヒントを見つけていただきたいと思います。
 
■ 重考高盛 一見ムダも活かし方がある 202

 

     ~ 繰り返し思考して、よりよい判断に繋げる ~

 

 私たちが何かをしようとしますと、何らかの情報を結合したり、重点順位をつけたり、選択したりをして、判断を行います。しかし、人間の判断というのは、その時の体調や気分などにも大きく左右されがちです。

 判断がぶれないようにするためには、論理的に事実を整理し、それを基にウェイトをかけて判断をするなど論理思考の手法を利用することが多いでしょう。そして沈思黙考して、自分の考えをまとめたり、目先だけの状況に左右された判断をしたりするのではなく、深謀遠慮を忘れてはなりません。

 ある会社で、取締役部長が常務取締役を捕まえて自分の提案をぶつけました。その常務取締役は「いいよ」と部長の提案を受け入れました。その会社における決裁ルートは、役員からの提案は、常務会に提出され、ケースによっては役員会に回されることがありますが、多くはそのまま常務会にて審議され、最終的に社長決裁となります。

 たまたま常務会メンバーの専務取締役が退任したこともあり、常務会は社長と常務取締役の2名で構成されています。部長は、常務取締役の了解を取れていることから、この案件を社長に直接に回しました。社長は、直接部長から提案書が届きましたので、なぜ常務会からの提案ではないないのか部長に状況説明を求めました。

 状況を把握した上で、例え常務取締役の了解を取れていても、決裁ルール通りの手順を踏むように、理由を添えて指示をしました。常務会が招集され、本件の審議をしているうちに、部長の提案内容に変更の必要性が出てきました。常務会では、一部変更で決定となりましたが、社長は念のため、部長から状況を再度確認した後で沈思黙考し、その結果、やはり部長案の原案の方が良いという結論に達しました。ふたたび、常務会を開催して、審議した結果、部長原案に決まり、最終的には、社長決裁も原案通りとなりました。

 一つのテーマでも、時間をおいてから異なった状況下で思考を繰り返していますと、同じ人間であっても考え方や判断方法が異なることがあります。上述の決裁方法では、時間がかかり、スピードの経営の時代にそぐわないという欠点はあります。一方、同じ内容のことを繰り返して検討することにより、異なった結論が出ることがあることを重視する必要もあります。重考をしている内に、ひらめきも出てくるでしょう。名案というのは、必ずしも「一朝一夕(いっちょういっせき)」には生まれません。「一朝」は「一日」、「一夕」は「一夜」という意味で、「一朝一夕」は「一日や一晩という短い時間や期間」を指します。

 いろいろな発想に繋がる可能性があることが「重考」のメリットです。時間がかかるという欠点はありますが、重要案件というのは、重考することにより、判断の正確性を高めることに繋げることも必要です。また、このように、同じテーマで考えを繰り返すうちに、その周辺情報も増え、異なった判断も蓄積され、四職や情報という経験だけではなく、判断方法の裾野も広がり、その結果、自分達の実力を高める、すなわち「重考高盛」が実現されるのです。換言しますと「重考高盛」とは、同じテーマを繰り返し思考することにより、思考法や判断力を高めることに繋がり、時間はかかるという欠点はありますものの、よりよい判断に繋げることができるということです。

 このように一見ムダと思える努力が、陰で別の効果を発揮していることがあります。その好例としてしばしば採り上げられるのが、自動車のステアリングの”あそび”です。蛇足ですが、ステアリングは、自動車の方向操作に使われることから、ハンドリング(操作)、すなわちハンドルという言葉が年長者を中心に使われています。ステアリングに”あそび”と言われる空回りの部分があるために、自動車をスムーズに走らせることができます。ステアリング効果を最小の力で出すためには、”あそび”がない方が良いのです。

 企業の中には、現有商品とは直接関係ない分野の研究をしているところがたくさんあります。例えばフィルムメーカーが、手持ち技術の応用として可能な化粧品の研究をしてきたことから、従来とは異なる化粧品という市場に商品投入をすることができたということは、よく知られています。一件ムダに見える研究が、電子技術の発展で急に市場が縮小した商品の穴埋め効果を発揮し、企業としての存続を強めることができることもあるのです。

 中小企業では、人的ゆとりが少ないために、最小限の人数で仕事をしているために、各社員に”あそび”がありません。そのために、研究開発部門を持てるような中小企業であっても、研究員を会社に貼り付けて、仕事をさせています。技術革新の早い昨今では、技術者が持っている技術も陳腐化してしまいます。それを補うために、各地で開催されています展示会で、情報収集しましたり、他社の商品を目の当たりにしたりする機会がありません。”あそび”を理解できる経営者であれば、技術者にその様な機会を与えられると思います。

 ムダをムダとして終わりにさせない企業が、生き残り、勝ち残れるのではないでしょうか。

 「重考高盛」と逆のことを表現しているのが「一刀両断(いっとうりょうだん)」です。「一刀」すなわち一太刀で、「両断」真っ二つに切るということで、「一刀両断」とは、ものごとをためらわず、ばっさりと切って、ずばりと処置するという意味です。ときには、グズグズと「優柔不断」にためらっていないで、思い切って決断することも重要です。

 「刀」に関連した四字熟語に「三尺秋水(さんじゃくしゅうすい)」があります。「三尺」は九十センチ程になりますか、刀の標準的な長さと言われています。「秋水」は、秋の早朝などにおけます冷たく澄んだ水のことですが、そのような秋の水のように冴え渡る刀が醸し出す光沢のある冷たさから、刀の切れ味を暗示するときに用いられます。時代劇が好きな方は、暁の決闘シーンなどを想像するのではないでしょうか。

 「優柔不断(ゆうじゅうふだん)」は、「優柔」が「ぐずぐずしている」様子を表し、「不断」は、「他に関連することと断ち切ることができない」ということから「ぐずぐずして、自分の意志を決めかねる」ことを指します。「意志薄弱(いしはくじゃく)」にも繋がります。「意志が弱くて決断したり、頑張る気持ちが弱い」ことということから、「一旦決心したことを、持続できなかったり、他人の意見に惑わされやすかったりする」という意味で用いられます。

 「首鼠両端(しゅそりょうたん)」も同じような意味です。「首鼠」は、「ネズミが穴から首を恐る恐る出して周囲の様子をうかがう」ということから、「グズグズと判断に迷い、選択肢の中から自分の意志でなかなか選べない」という決断力のないことをいいます。

 それに対して「勇猛果敢(ゆうもうかかん)」な人もいます。「勇気や決断力があり、他の人が尻込みするようなことにも思い切って取り組む」という意味です。

 

  四字熟語は、経営に大きな示唆を与えてくれます。
 経営コンサルタントの視点で、思いつくまま、感じるままに、皆様のご参考になればと時間を作っては追記して参ります。
 

 
 <続く
 
 

【経営コンサルタントの育成と資格付与】
 

since 1951 特定非営利活動法人・日本経営士協会

 
 日本経営士協会は、戦後復興期に当時の通産省や産業界の勧奨を受け、日本公認会計士協会と母体を同じくする、日本で最初にできた経営コンサルタント団体です。
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■【心 de 経営】 経営四字熟語012 ■ 画竜点睛(がりょうてんせい) 気配り、思いやり、心づかい

2020-08-30 18:03:00 | 【心 de 経営】 経営四字熟語・名言

■【心 de 経営】 経営四字熟語012 ■ 画竜点睛(がりょうてんせい) 気配り、思いやり、心づかい

本

■ 示唆の多い経営四字熟語

 四字熟語には、いろいろな示唆がありますので、経営やコンサルティングを学ぶという視点で連載をします。

 四字熟語というのは、漢字4文字で構成された熟語で、中国の故事などに基づくだけではなく、幅広い内容を持っています。
 読み方を変えますと、別なものが見えてきます。それを経営コンサルタント歴40年余の目で見ますと、経営やコンサルティングに直結する示唆の多いことに気がつきました。 単に、四字熟語の意味を知るだけではなく、経営士・コンサルタントの視点から感じ取ったことをご紹介します。

 

■ 画竜点睛(がりょうてんせい) 気配り、思いやり、心づかい


 臥竜は、「がりょう」とだけではなく「がりゅう」とも読みます。間違えやすいのは「睛(せい)」というを「晴(はれ)」としてしまうことです。「睛」という字のへんだけではなく、作りも青ではなく、作りの下の部分が月ではないのです。

 「睛」とは瞳のことで、中国のある高僧が寺の壁に竜の絵を描いて、最後に残されたのが瞳でした。

 選挙にはつきものの、縁起物のだるまも、目を入れたものとそうでないもの、目の入れ方により印象が大変異なります。その高僧は、心を込めて瞳を入れたところ、竜が天に向かって飛んでいったというのです。

 すなわち、画竜点睛とは、ものごとの最も重要な部分であり、大切なところのことです。これをなす事が、ものごとを完成させることであり、最後の仕上げをすることに繋がるのです。

 先年、私の弟のような従弟が早逝してしまいました。通夜や葬儀の準備に追われている中で、香典の準備を始めました。

 不祝儀袋の表書きというのは多くの人が苦手としますが、この袋には試し書き用紙というのが入っていました。試し書き用紙のセンターが切り取られた状態で、そこに名前を書くとまっすぐに書けるようになっています。左側にはマス目がありますので、それをスケールにすると字の大きさも決めやすくなっています。

 不祝儀袋といっても、御霊前とか御仏前など、いろいろな用途に使えるように短冊状な用紙を入れ替えるだけで用途別に変更することができるものがります。そのままですと短冊が斜めにずれてしまいますが、短冊の裏のフィルムを取りますと、糊がついていて、それで固定することができます。

 お金を入れて水引に袋を差し込みますと、水引のひもがぷらぷらしがちです。水引の裏にやはりフィルムがあり、糊がついていました。それで水引を固定できるのです。

 これぞ、あっぱれ「日本人の心遣い!!!」

 ところが、貼り付けたはずの短冊がずり落ちてしまいました。糊が弱すぎるのです。

 画竜点睛を欠くとは、この様なことを指すのでしょうね。

 

■ バックナンバー

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■【心 de 経営】 経営四字熟語011 ■ 瓜田李下 (かでんりか) ネオンのホテル街を相合い傘で 

2020-08-23 12:03:00 | 【心 de 経営】 経営四字熟語・名言

■【心 de 経営】 経営四字熟語011 ■ 瓜田李下 (かでんりか)   ネオンのホテル街を相合い傘で 

本

■ 示唆の多い経営四字熟語

 四字熟語には、いろいろな示唆がありますので、経営やコンサルティングを学ぶという視点で連載をします。

 四字熟語というのは、漢字4文字で構成された熟語で、中国の故事などに基づくだけではなく、幅広い内容を持っています。
 読み方を変えますと、別なものが見えてきます。それを経営コンサルタント歴40年余の目で見ますと、経営やコンサルティングに直結する示唆の多いことに気がつきました。 単に、四字熟語の意味を知るだけではなく、経営士・コンサルタントの視点から感じ取ったことをご紹介します。

■ 瓜田李下 (かでんりか)   ネオンのホテル街を相合い傘で 

 

 「瓜田(かでん)」の「瓜」は、畑になる瓜(うり)のことで、瓜畑で靴をはき直したり、靴紐を締め直したりしますと、あたかも瓜盗みをしているように見えるから止めた方が良いですよという戒めです。このことから「瓜田之靴(かでんのくつ)」という四字熟語もあります。

 「李下(りか)」の「李」は、スモモのことです。すなわち、スモモの木の下で冠を直すことは、スモモを盗んでいるようにも見えてしまいかねませんので止めた方が良いと教えてくれています。このことから「李下之冠(りかのかんむり)」という四字熟語があります。

 これらのことから「瓜田李下(かでんりか)」は、「人に疑われるような、紛らわしい行為はしないほうがよい」という戒めです。「瓜田に履(くつ)を納(い)れず、李下に冠を正さず」とも言います。

 経営者・管理職も経営士・コンサルタントも、部下やクライアント・顧問先から信頼されないと業務をスムーズに行うことが難しい立場です。

 小学校時代の担任が入院をしましたので、親しくしていたクラスメート数人で最寄り駅に集合することになりました。ところが、ドタキャンで私と女性一人の二人だけで見舞いに行く羽目になりました。

 彼女が以前にその病院に行ったことがあるといいますので、彼女の案内で歩き始めました。人通りが少ない道となったところで雨が降り出してきました。ところが私は傘を持っていませんで、少々降りが強いこともあり、彼女が見かねて傘に入るように勧めてくれました。

 昨今であればコンビニもあり、少し戻って買いに行けますが、傘を売っていそうな場所でもなく、躊躇をし、私は雨宿りをするから先に行くように促しました。女性は強いいますか、度胸が据わっているというのでしょうか、強引に私の手を引いて傘の下に引っ張り込みました。

 ところが彼女が道を間違えて、歓楽街に隣接するホテルのある地域に迷い込んでしまっていたのです。彼女は顔色一つ変えず、「確かこちらだと思ったのだけれど」とひとりごとを言いながら歩くのです。第三者が見ればどう見てもホテルを物色しているようにしか見えなかったのではないでしょうか。

 ドキドキするほど、純情であった頃の話です。

 

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■【心 de 経営】 経営四字熟語010 ■ 合従連衡(がっしょうれんこう) 経営の高度化に立ち向かう

2020-08-16 12:03:00 | 【心 de 経営】 経営四字熟語・名言

■【心 de 経営】 経営四字熟語010 ■ 合従連衡(がっしょうれんこう) 経営の高度化に立ち向かう

本

■ 示唆の多い経営四字熟語

 四字熟語には、いろいろな示唆がありますので、経営やコンサルティングを学ぶという視点で連載をします。

 四字熟語というのは、漢字4文字で構成された熟語で、中国の故事などに基づくだけではなく、幅広い内容を持っています。
 読み方を変えますと、別なものが見えてきます。それを経営コンサルタント歴40年余の目で見ますと、経営やコンサルティングに直結する示唆の多いことに気がつきました。 単に、四字熟語の意味を知るだけではなく、経営士・コンサルタントの視点から感じ取ったことをご紹介します。

■ 合従連衡(がっしょうれんこう) 経営の高度化に立ち向かう

 「従」という字は「縦」、「衡」は「横」という意味で、各々が「南北」と「東西」を表します。合従連衡というのは、南北に合流し、東西に連携を図ることの意です。このことから強敵に立ち向かうための戦略を指します。

 類語に「合従連横」という言葉がありますが、ほぼ同意と考えて良いようです。

 今日「野党が合従連衡」などと表現しますが、「巧みな謀を巡らした外交政策」という意味でしばしば使われています。もともとは、史記に掲載されている中国の戦国時代の戦略から来ています。

 南北に6カ国が連合したのですが、それを「合従」と呼びました。ところがその合従が破綻すると東西に6カ国が連合し、それを「連衡の策」と呼んだことからあわせて「合従連衡」となりました。

 今日、経営環境は非常に厳しさを増しています。そのために経営も高度化を余儀なくされてきたことから、一人の経営コンサルタントでは全ての問題に立ち向かうことが難しくなってきました。

 かつては、一人の経営コンサルタントで全てのコンサルティングをできるようになってはじめて一人前と言われました。ところがこのような間口の広いコンサルティングでは、企業が抱える問題を本格的な解決することが困難なのです。

 日本経営士協会では「共業・共用・共育」という言葉を掲げています。経営コンサルタント同士が切磋琢磨し(共育)、ノウハウを蓄積してそれを相互で利用し合い(共用)、さらにそれを利用してともにコンサルティング業務に取り組む(共業)というユニークな発想でいます。

 そのために同協会は「士業の異業種交流会」とも呼ばれます。同協会に相談をかけると最適なコンサルタント(チーム)を紹介してもらえます。一つの声かけで、複数の専門コンサルタントが難問解決に取り組んでくれます。「ワンストップ・コンサルティング」を提供をする日本最初の経営コンサルタント団体なのです。

 特定非営利活動法人・日本経営士協会 ←クリック

 

プロコンサルタントとして、活躍している人は、自分の専門性が高く、他の人が追いつけない何かを持っています。その様な人は、関連分野の裾野も広いのが一般的です。

 そして、次第に、専門分野が複数になり、クライアントにとってメリットあるコンサルティングができるようになってきます。クライアントがメリットを感じるようになりますと、別の警官を紹介してくれたりして、経営士・コンサルタントとしての地盤が強固になってくるのです。

 

 

■ バックナンバー

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