■【若狹の生意気言ってすみません!】6 この半年間の日経朝刊の記事で気になったWORD&文章を切り抜き


■ 筆者挨拶
特定非営利活動法人「日本経営士協会」首都圏支部の経営士 若狹晃司です。
当ブログに、私の経営士として日常考えたこと、感じていることをラフなスタイルで掲載させて頂きます。「生意気なヤツ!」と言われるのを覚悟で出来る限り本音のお話をしていますので、よろしくお願いします。
■【若狹の生意気言ってすみません!】 No.6
~~~この半年間の日経朝刊の記事で気になったWORD&文章を切り抜き~~~
ここ半年少しの間、日経新聞朝刊の記事から気になったWORDや文章を切り抜いてみました。それの感想も入れてみました。(記事を入れ込んでおり文体や表現している主体にバラ付きがあり多少読みづらい点があります。)
①値上げ、価値創出・賃上げで-行き過ぎた効率化は問題―――2024年12月21日
企業の進路 味の素の藤江社長のインタビュー記事です。
- 値上げと賃上げの両方を進める。
- 日本は海外に比べ価格と価値のバランスが取れていない。
- 商品に高付加価値の【松】を入れ込む。
- お客様も気づいていないインサイト(隠れた本音)まで追求し具現化する。
- 戦略実行には密な対話が欠かせず企業文化が実行を左右する。
・・・インサイトという言葉が増えているのに驚きました。戦略実行は企業文化が大きく影響すると言及されており、企業文化がいかに重要かが、ほぼ真実のこととして認識されるようになったと感じました。日経新聞社のインタビューの質問で「消費者が求める価値は多様化しています。」と尋ねていますが、未だに消費者が求めるものが多様化しているとか、五十年も前と同じ言葉を使っています。多様化しているというより、いつの時代も消費者のニーズや求める価値は多様です。ほかに質問の仕方があるのでは?と思いました。
②東芝の記事―――2024年12月21日全事業部門黒字
- データ関連ビジネスで稼げる体制をつくるには時間がかかる。
- エネルギーやインフラの新設や機器更新などで安定的に稼ぐ戦略を優先する。
- 個々の事業の収益性は高まったが、事業間の相乗効果は見えていない。
- 既存の本社組織も経営改革を担当しJIP出身の取締役が加わる特命組織も設置。
- 誰が意思決定しているのかわかりづらい。
・・・結局、取締役会やTOPマネジメントの「質」の問題が本当に改善されているのか疑問です。また、過去においては土光敏夫氏が社長に就任して数々の施策をリーダーシップを以って実行したにも関わらずどうにもできなかった事実もありました。本当にTOPマネジメントの「質」だけなのだろうか。土光氏に問題があったとは自分は思えません。むしろこの会社は企業文化も含め、変えていかなければいけない「何か」があるのだろうと思いました。
③「失敗の本質」野中氏の遺産―――2025年2月1日
- 「人的資本という言葉には違和感がある」とも話されていた。
- 人間とは「未来志向で意味をつくる動的主体であり、他者との関係性のなかで人になる。つまり、資本を生み出す存在が人間なのだ」という指摘が印象的だった。
- 日本企業の失われた30年の元凶は何か?――中略――日本の低迷は「雇用、設備、債務の3つの過剰」が原因とされてきたが、野中氏は「プランニング(計画)、アナリシス(分析)、コンプライアンス(法令順守)の3つの過剰こそが原因」と強調した。
- さらにPDCAだ。現在では「PDCa」になってしまった、と批判した。
- Pの計画とCの評価ばかりが偏重され、dの実行とaの改善に手が回らない、ということだった。要は、形から入り、魂を入れない日本企業の根本的体質への警鐘だ。
- 「米テック企業と比べ、知の体系に差がある。われわれはなぜ存在するのか。存在目的を果たすのにどんな知の体系が必要なのかをイノベーティブな米企業の経営者は深く考え、構想できている。」と語っていた。
④快走、ナデラ流高速経営―――2025年4月2日
- 直轄部隊と対話/縦割り廃止 「大企業病」から脱却
- 「シニア・リーダーシップ・チーム(SLT)」と呼ばれる直轄チーム16人
- 「なぜこれがうまくいっているのか」「その技術はなんなんだ」―SLTの会議は典型的な大企業の会議とは一線を画し、幹部でも部下を引き連れて説明することはできない。
- ナデラ氏は取締役会とは別にこうした機動的な運営を重視してきた。
- ナデラ氏が特に重視するのは「ラーン・イット・オール(学び続ける)」と呼ばれる考え方だ。幹部たちは「ノウ・イット・オール(何でも知っている)」という万能さではなく、新しい知識を吸収し続けて成長への種を探る。
- 自前主義を廃止 ウインドウズ時代の「自前主義」から脱却を図るナデラ氏はより素早いスタートアップの技術を積極的に採用した。
- 事業部を廃止し、ファンクションと呼ぶ横串の組織の再編をした。
- チャットGPTの技術は主力となるIT(情報技術)インフラとなる「アジュール」を通じて企業に提供しビジネスソフトの「マイクロソフト365」や検索サービスの「Bing(ビング)」などAI支援「コンパイロット」として全面展開した。
- 全社展開が円滑にいったのも縦割り組織解体の組織再編を進めてきたことが大きい。
- 「マイクロソフトは50周年を振り返って過去の成功にとらわれるよりも、51年目にどれだけ不可欠な存在になれるかが問われている」と語った。
・・・昔の本で「IBM巨象も踊る」を思い出しました。パナソニックや東芝もソニーや日立に続いて欲しいと思います。また、マイクロソフトといえど「会社の寿命は30年」ということかと感慨深かったです(‘95年Windows95で一世を風靡し、世界のマイクロソフトになって30年が今年という意味です)。
⑤作業服「綿100%」常識破る 今治造船、新素材で防護・通気を両立―2025年4月2日
- 今治造船が求める防護性と快適性の両方を高いレベルで満たす「万能生地」は存在しなかった。
- 探しても見つからないなら作るしかない。プロジェクトメンバーは作業服メーカーと一緒に、難燃性と通気性をバランス良く備えるオリジナルの生地を開発することを決めた。
- 開発当初、黒川氏(人事総務本部)が費用などについて檜垣社長に相談したことがあった。「コストじゃないよ」と一言。「人への投資」を掲げる檜垣社長は金を惜しむことはなかった。
- メーカーが自社で使う作業服をゼロから新しく作るのは珍しい。
- 新しい作業服は日本産業規格(JIS)を取得した。この作業服を使わせてほしいとほかの船舶メーカーから問い合わせあったという。黒川氏が許可を取りに行くと檜垣社長は「造船業界、地域全体が盛り上がらないといけない」と快諾した。
- 造船業界は自動化が進む製造業の中でも人手に頼る部分が多い。そんな中、今治造船は働く環境の改善に力を入れている。
・・・人的資本経営が流行りの言葉ですが、教育研修やトレーニングにお金を掛けているとは思います。しかし、制服一つとってもここまで社員に安全で機能性の高い良いものをと考えるのが本当の意味での「人的資本経営」ではないかと思います。勿論簡単に真似ができるものではないです。考え方や発想・思想は大いに学びたいと思います。
このほかにもいろいろあります。特に2025年5月19日の日経朝刊に「問われる富の分配」という記事が面白かったです。要点はこうです。「コーポレートガバナンスコード(企業統治指針)の適用開始から本年6月で10年となりますが、何がこの間起きたかと言うと、株主重視の経営がすすみ株主還元が急激に伸びた一方、賃金や設備投資の伸びは限られる。―中略― 中長期の成長につながるような富の分配をどう実現するかも問われている。」と書かれていました(私がかなり端折っています)。
早稲田大学スズキ研究室が提供した図が挿し込まれており、2014年度を1とした場合、2023年度には売上が1.1倍となっているが、設備投資は約1.3倍、従業員や役員は約1.1倍強であるのにもかかわらず、株主還元はなんと、約2.4倍となっています。株主還元が他と比べて極端に大きいことがわかります。
ここから、いつも以上の「生意気」モードです。 株主資本主義は西欧の資本主義の核となる基本原理ですが、この原理原則によって、この10年で日本企業の自己資本を充実させ配当を充実させたと思います。株主資本主義の究極の目標は、「株主価値の最大化」です。上場企業なら株主価値の最大化は多少なりともわかるのですが、これを日本企業社会全般に広げるというのはいかがなものかと。
「株主価値の最大化」というテーゼを、ファミリービジネス(同族企業事業)という観点でも同じだと主張できるのでしょうか。どこぞの大学のファミリービジネス関係の準教授が「ファミリービジネスの目標は、家族財産価値の最大化」とか言っていました。ゾっとしました。むしろ、そもそも経営や現場・現物・現実を理解していないなと。あの故野中氏の「二項動態経営」という本の第1行目の文はこう書かれていました。
経営者とは何か、と聞かれたら迷わず「生き方(a way of life)」だと答えるだろう。
故野中氏の言葉、これこそが経営・経営学の本質だと同意致します。あの稲盛さんも「生き方」という本を出され、松下幸之助氏の著書の多くに経営(者)哲学を説いています。従業員やその会社を取り巻く地域社会や様々な点・面に感謝の思いはまずベースとして必要ですし、さらには社長という経営者として、多数の人に影響のある一人の人間としてどう考え行動するのか、という点も経営を語る上では必須です。勿論財産を残し、次の世代に継続することは大切です。でも、それは自分の一族ファーストでしかないと思います。
あの世に財産を持っていくことはできませんし、金財産があれば幸せとも限りません。この世に生まれこの世で生きていく上で、一緒に人生を歩んでいく自分・家族・地域・国家・世界、をどう認識し、自分の人生をどうしたいのか、という根本の哲学が、欧米流の経営思想を信奉する日本では疎かになっていると感じています。左記の哲学的な思想は、ファミリーが経営するビジネスにも影響します。どんな組織であれ、事業であれ、理念(経営理念)というものがAI時代だからこそ、益々、極めて重要になっていると私は考えます。
パーパス経営で言うところの、ミッション(MISSION)、ビジョン(VISION)、バリュー(VALUE)という言葉も思想もとても重要で大切だと私も同意します。しかし、最新の欧米流の思想にいち早く取り入れることで必要十分と言えるのでしょうか。新しい言葉、経営流行語をコンサルはやたらと使いたがります。横文字礼賛も良いのですがその実行は極めて難しいことです。コンサルも質を問われるのではないでしょうか。
かなり、しつこくなりました。この辺で第6回を終了致します。















