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【経営コンサルタントのお勧め図書】人生100年時代の生き方『LIFE SHIFT 2「100年時代の行動戦略」』

2022-05-25 10:42:29 | 経営コンサルタントの本棚

 


  【経営コンサルタントのお勧め図書】人生100年時代の生き方『LIFE SHIFT 2「100年時代の行動戦略」』




 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。
 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。


 今回は、「人生100年時代の生き方」について、酒井先生にやさしく紹介していただきました。
本
■    今日のおすすめ


 


     『LIFE SHIFT 2「100年時代の行動戦略」』
       アンドリュー・スコット、リンダ・グラットン著 


       池村千秋訳 東洋経済新聞社

本

■    テクノロジーの進化と長寿化を「恩恵」にしよう(はじめに)



 紹介本の共著者リンダ・グラットン(ロンドン・ビジネス・スクール経営学教授;人材論・組織論の世界的権威)は2011年に、14年先の2025年に想定される働き方を示す『「ワーク・シフト」-孤独と貧困から自由になる働き方(2025)』を出版しました。「ワーク・シフト」の中でグラットン教授は、『働き方に影響する「5つの要因」(①テクノロジーの進化、②グローバル化、③人口構成の変化と長寿化、④女性活躍など社会の変化、⑤エネルギー/環境問題の深刻化)』と『働き方に影響する「32の現象」(①世界の50億人がインターネットで結ばれる、②地球上のいたるところで“クラウド”を利用できるようになる、③“人工知能アシスタント”が普及する、④持続可能性を重んじる文化が形成されはじめる、⑤デジタルネイティブY、Z世代の活躍と長寿化など)』から生じる『働き方を変える「3つのシフト」(①ゼネラリストから“連続スペシャリスト”へ、②孤独な競争から“協力で成し遂げるイノベーション”へ、③お金の為ではなく“情熱を持って働く働き方”へ)』を提言しています。



 グラットン教授は「ワーク・シフト」に続き、2016年には『「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)①」-100年時代の人生戦略』、2021年には『「ライフ・シフト②」-100年時代の行動戦略』をアンドリュー・スコット(ロンドン・ビジネス・スクール経済学教授)との共著で出版しました。



 「ワーク・シフト」で示した時代の変化を、「ライフ・シフト①」では「人生戦略(新しい人生とその課題)」として示し、「ライフ・シフト②」では「行動戦略(新しい課題への対応策)」として示します。二つの戦略を個人・社会が「新しい社会的開拓者」として新しい社会的発明を実現し、テクノロジーの進化と長寿化を「警告・警戒」ではなく「恩恵」にすべきと訴えます。



 さて、グラットン教授の、一つの研究が有ります。それは、「日本で、2007年に生まれた子供については、107歳まで生きる確率が50%」です。この研究を踏まえ、2017年9月に内閣府の「人生100年時代構想会議」が発足し(現在は活動停止中)、グラットン教授は有識者議員に就きました。



 50%が107歳まで生きる今年の高校1年生(2007年生まれ)の世代が明るい「人生100年時代」の「恩恵」を得ることが出来る社会の実現に向けて、『誰が、どの様な社会的開拓・発明をすべきかの「行動戦略」』について次項で考えてみましょう。
本
■    明るい「人生100年時代」を創る



【紹介本が想定する「人生100年時代」とは】



 紹介本が想定する「人生100年時代」は、「人生80年時代」からの脱却です。平均寿命が20年延びるだけでなく、医療は予防医療が重視され健康寿命が延び、生産年齢世代の人口減少による人手不足は、AIなどのテクノロジーの発展と高齢者の就業参加により解消され、高齢世代が生産年齢世代の負担になる負のイメージが解消されます。退職年齢・年金給付開始年齢は75歳へと徐々に変っていき、これにより「支えられる世代(65⇒75)/支える世代(64⇒74)」は2065年2.4と2017年の2.1とほぼ同じになります。(2018年9月経済産業省「人生100年時代に対応した生涯現役社会の実現」より。下記URL参照。)


 


 https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/2050_keizai/pdf/001_04_00.pdf



 一方、働き方は現在の3ステージ型(教育、一つの仕事-40年-、引退)からマルチステージ型(教育、幾つかの仕事-60年-、引退)に変わります。



 この様にして、『人類の並外れた発明の能力を生かし、個人は新しい人生の在り方を切開き、社会は社会規範と慣行と制度を根本から作り変える「人生100年時代」』を、個人・社会の行動戦略の実践により創出できると紹介本は示します。



【「人生100年時代」への行動戦略①―人生の再設計】



 テクノロジーの発展と長寿化から必然的に到来するマルチステージ型の人生は、生活水準を確保することに加え、変化・変身しても変わらない有意義なアイデンティティ(私は何者かの答え)を持ち、人生の花を開花させることが大切とします。
 特に、「物語―人生のストーリーを紡ぐ―」、「探索―生涯を通じた学習と新たなステージへの変身・挑戦―」、「関係―家族・仲間・コミュニティーとの深い絆を育む―」の3つの行動戦略を実現し、人間としての可能性を開花させることが大切とします。(「物語」「探索」「関係」については紹介本をお読みください。)



【「人生100年時代」への行動戦略②―企業の対応】



 「人生100年時代」は、テクノロジーの進化に伴う業務プロセスの変化により、ビジネスモデルや仕事の内容の増減など、仕事の在り方と企業環境が根本から変わります。人材の流動性の高まり、マルチステージ型の働き方などが進行します。



 加えて、長寿化の進展により、生涯現役観など人々の仕事観が大きく変容していきます。



 この様な変化に対応するための企業の行動戦略として、紹介本は、入社年齢の多様化、年功序列などの年齢差別の撤廃、年齢に縛られないリスキリング(学び直し)の機会の提供、終身雇用の見直し・新たな退職の形などの就業慣行・制度の改革、柔軟な働き方を構築できる子育て・介護者の支援の改革、などを推奨します。



【「人生100年時代」への行動戦略③―政府の対応】



 紹介本は、政府がとるべき行動戦略を次のように定義しています。「政府は発想を変えて、マルチステージの人生と100年ライフの時代に即した政策を実行する必要がある。既存の規制・制度を見直し、好ましい結果を最大限拡大しなくてはならない」と。上記、経済産業省「人生100年時代に対応した生涯現役社会の実現」の通り、政府は着々と新しい時代への対応を推進していると期待したいです。
本
■  「少子高齢化」の呼称は止めて、「人生100年時代」と言おう(むすび)



 紹介本は、負のイメージの「少子高齢化社会」を国民一人一人が、自身、企業、政治を社会的開拓・発明・意識変革により革新することで、明るい「人生100年時代」の「恩恵」を得ることが出来る道筋を示しています。



 最早「少子高齢化社会」を恐れず、「人生100年時代の社会」への明るい希望をもって前進しましょう。

本

【酒井 闊プロフィール】
 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。
 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。
  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm
  http://sakai-gm.jp/

【 注 】
 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

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【経営コンサルタントのお勧め図書】 貴重な知見「ビジネスDD(デューデリジェンス)」

2022-04-26 12:03:00 | 経営コンサルタントの本棚

 

  【経営コンサルタントのお勧め図書】 貴重な知見「ビジネスDD(デューデリジェンス)」



 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。
 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

 今回は、「ビジネスDD」すなわち「ビジネスデューデリジェンス」について、M&A(merger and acquisition)の視点で、実務的な入門書を、酒井先生にやさしく紹介していただきました。
本
■    今日のおすすめ

     「スモールM&Aのビジネスデューデリジェンス実務入門」
                                  (寺嶋 直史、斎藤 由紀夫著 中央経済社)
本
■    実践・体験で得られた「ビジネスDD」を経営改善・革新に活かそう(はじめに)

 紹介本は、共著者自身の中小企業のM&Aアドバイザーとしての実践・経験を基に書かれた貴重な知見書です。著者は、広く経営者・経営関係者、経営コンサルタント・アドバイザーに向けて、状況把握・課題設定・課題解決を通して企業価値を高める、「ビジネスDD」を明らかにしています。
 本書の私流の読み方を発見しました。「ビジネスDD」の全体像が10章『「ビジネスDD」の全体構成』に記述されています。「Ⅰ会社概要」は10章に、「Ⅱ外部環境分析」は9章に、「Ⅲ経営分析」は6章~8章に、「Ⅳ内部環境分析;1.経営・組織活動、2.営業・販売活動、3.製造活動」は11章~13章に、「Ⅴ総合評価」は15章に記述されています。14章は「小売店・飲食店・サービス業の『ビジネスDD』」の別枠章。最終章の16章は、6章~15章(除く14章)の結果を踏まえた「事業計画書+PMI(買収後の経営改善・革新計画)」について記述されています。Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ・16章の順番で読んでいくと体系的に頭に入ります。
 さて、本書の知見を経営にどのように生かしたら良いのでしょう。それは、「ビジネスDD+PMI」の手法を、‟まねび”(真似を通じた学び)を通して、自社版「経営自己診断(調査・分析)⇒課題抽出⇒経営改善・革新計画・行動計画⇒PDCAによる実行・管理」として創出することです。
 本書の‟まねび”から創出した、自社の経営改善・革新計画(以下「経営計画」と略称)を、実行・振返り・改善行動により経営改善・革新の成果を上げることができます。
 次項では具体的な“まねび”と、さらには一歩一歩レベルを上げる“守破離”について記します。

■    本書を‟まねび”、‟守破離”へと飛躍し、経営改善・革新を実現しよう

【本書を‟まねび”、その上で、自社の経営計画を策定する】

 まず、「経営改善・革新プロジェクト・チーム」を立ち上げます。上述のⅠ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ・16章「事業計画+経営計画」に沿って、担当委員とリーダーを次のように決めます。「Ⅰ会社概要」は総務部員、「Ⅱ外部環境分析」は調査部員、「Ⅲ経営分析」は経理部員、「Ⅳ内部環境分析」の1.経営・組織活動は経営企画部員、2.営業・販売活動は営業企画部員、3.製造活動は製造管理部員、「Ⅴ総合評価」と「事業計画+経営計画」はリーダーが担当します。こうして6名の担当委員とリーダーが決まりました。リーダーは兼社内コンサルタントを務めます。
 早速‟まねび”をスタートします。“まねび”のゴールは、本書のⅠ~Ⅴと「事業計画+経営計画」を自社版経営計画として創出し、経営会議において発表し、同時に「経営改善・革新会議」をスタートさせることです。
 担当委員とリーダーが創出する経営計画の作成に於いて大切なことは、チーム・メンバー&リーダー間のコミュニュケーションと共助です。
 具体的な作成ですが、「Ⅲ経営分析」は本書の購入者がダウンロード出来る『「経営分析」シートのフォーマットExcel』を活用します。このフォーマットに自社の財務計数を入力することで、本書の「Ⅲ経営分析」の図表が自動的にアウトプットされます。加えて財務評価指標については、同業の平均値との比較が可能になります。
 「Ⅲ経営分析」の図表を除くと、‟まねび”により創出する「図表」の要作成数は42個です。経理部員を除く5名の担当委員とリーダーで割ると、一人当たり平均7個を作れば完成です。自社版「図表」に伴うコメント・課題・対応策も同時に作成します。
 これで‟まねび”による、「経営計画」の創出は完了しました。創出した「経営計画」の一貫性と精度を高めるため、リーダーがファシリテートをし、チーム全員で一つ一つの「図表&コメント・課題・対応策」をチェックし、一貫性と精度を確認、修正します。
 更に「経営計画」を具現化・行動化する全社と部門・現場のKPI(重要業績評価指標)を作ります。これで「経営改善・革新会議」に提出する段取りは完了です。
 この様にして、毎月1回の「経営改善・革新会議」がスタートします。回数を重ねるごとにプロジェクトの内容を一歩一歩レベルアップすると共に、「経営計画」を行動に移しPDCAによる実行・管理を進めます。

【次のステップは‟守破離”の実施】

 スタート当初は、‟まねび”により創出された経営改善・革新のスキームをベースとした活動です。大切な次のステップは、このスキームに独自のアイデアを積み重ね、更新・革新していくことです。つまりスキームの守破離を実現することです。守破離の‟守”は‟まねび”で確立されました。次は‟破離”です。次に‟破離”の例を示します。

【‟破離”の例➀―中小機構「経営自己診断システム」の活用―】

 ‟まねび”で作成した「経営計画」の会計数値を「診断システム」に入力しましょう。
 入力の結果は、自社27経営指標と同業種の中央値と上位30%値が線グラフに表示される「個別指標分析結果」、27指標を5総合指標に纏めレーダーチャートが表示される「総合分析結果」、デフォルト企業の経営10指標と自社指標とが棒グラフと安全性得点で表示される「倒産リスク分析」として活用できます。
 これらの分析から新たな気づきが有ります。(中小機構「経営自己診断システム」は下記URL)
https://k-sindan.smrj.go.jp/viewpoint

【‟破離”の例②―企業価値を向上する「ROIC経営」の導入―】

 「Ⅲ経営分析」の課題を的確・効率的に実現するのが『企業価値を向上する「ROIC経営」』です。ROIC逆ツリー展開により現場におけるKPIの設定とPDCAの実行によりROICを高める手法です。(詳細は「経営士ブログ」下記URL参照。)
https://ameblo.jp/keieishi17/entry-12698434783.html?frm=theme

■    ‟まねび”と‟守破離”の先には明るい未来が(むすび)

 ‟まねび”と‟守破離”による経営計画の実践と経営の改善・革新には熱意と根気が必要です。しかしその先に明るい未来が開けることを覚えましょう。希望を持って前に進みましょう。

【酒井 闊プロフィール】
 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。
 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。
   https://www.jmca.or.jp/member_meibo/2091/
  http://sakai-gm.jp/index.html

【 注 】
 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

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【経営コンサルタントのお勧め図書】 偉大な企業を創るための地図  『ビジョナリー・カンパニー「ZERO」』

2022-03-22 12:03:00 | 経営コンサルタントの本棚

  【経営コンサルタントのお勧め図書】 偉大な企業を創るための地図  『ビジョナリー・カンパニー「ZERO」』

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

メモ

■       今日のおすすめ

  『ビジョナリー・カンパニー「ZERO」』
       (ジム・コリンズ、ビル・ラジアー著 土方奈美訳 日経BP)

メモ 

■ 書名「ZERO」の持つ意味は『起点・原点』(はじめに)

 著者コリンズは、永続性のある偉大な企業を目指す起業家や中小企業のリーダーのためにロードマップを示すことを目的に、恩師ビル・ラジーと共著で1992年「Beyond Entrepreneurship(ビヨンド・アントレプレナーシップ)」を発刊します。その後、偉大な企業を動かす要因について探求し、ビジョナリー・カンパニー・シリーズとして、『ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則(1995年)』『ビジョナリー・カンパニー② 飛躍の法則(2001年)』『ビジョナリー・カンパニー③ 衰退の5段階(2010年)』『ビジョナリー・カンパニー④ 自分の意志で偉大になる(2012)年』を発刊します。

 ‟ビジョナリー”の辞書的意味は‟先見性や未来志向”ですが、「ビジョナリー・カンパニー・シリーズ」では‟永続する偉大な企業”と定義しています。‟永続する偉大な企業”は、「➀時代を超える生存の原則」では‟数十年にわたって存続する企業18社”、「②飛躍の法則」では‟良い企業から偉大な企業への飛躍を遂げた企業11社”、「③衰退の5段階」では‟偉大さを獲得した後、衰退した企業11社”、「④自分の意志で偉大になる」では‟不確実性の中で並外れた(10倍以上)成果を出した「10X型企業」7社”です。‟永続する偉大な企業”と同じ機会・状況にありながら「成果を上げられなかった企業」を‟比較対象企業”として選別し、「偉大な企業と比較対象企業の違いは何か」を、「“一対(いっつい)”比較法」により歴史的・実証的・体系的に、問い続けました。(注1の「スライド18~22」参照)

 著者コリンズは、「シリーズ①②③④」では異なった視点から‟永続する偉大な企業”とは何かの問いをして来ました。1周を終えて、新たに積み重なった資料とスタート時点のオリジナル版とを統合・整合し、起業家と中小企業のリーダーの「偉大な企業を生み出す」お手伝いをすべく、「ビヨンド・アントレプレナーシップ」のバージョンアップ版として、ビジョナリー・カンパニー・シリーズの『起点・原点』とする意図をもって、「ビジョナリー・カンパニー『ZERO』」の発刊に踏み切ったのです。

 更に『ZERO』の素晴らしいところは、オリジナル版の文章はグレー・ページ、新たに書き加えた部分はホワイト・ページになっており(ページ数もほぼ倍)、オリジナル版と、新たに加えた「(ドッラーカーの思想を引き継ぐ)永続するマネジメント思想」が明確に判ることです。

 ジム・コリンズは、「➀時代を超える生存の原則」を機にドラッカーと対面の関係を持ち、恩師として仰ぎ、「経営学の父」であるピーター・ドラッカーの思想を引継ぐと共に実証性により強化し、ドラッカーと共に「経営学の『起点・原点』」となったのです。(ジム・コリンズH/P〈下記URL〉「ピーター・ドラッカーから学んだ10の教訓」を参照下さい。)

https://www.jimcollins.com/article_topics/articles/Ten-Lessons-I-Learned-from-Peter-Drucker.html#articletop

メモ

■「ZERO」で新たに加えられた“章”‟新たな視点“の注目点

【偉大な企業を創るための「地図」】

 「シリーズ①、②、③、④」で異なった視点から論じてきたテーマを纏め、枠組みとして組み立てたのが、『偉大な企業を創るための「地図」』です。起業家が新たな企業を立ち上げるとき、既存の企業が苦境に立ち再起するとき、現在の会社を偉大な企業に育てたいと思っておられる経営者に貴重なヒントを与えてくれると思います。是非「ZERO」と「シリーズ①、②、③、④」をお読み下さい。(注1参照)

【ビジョンの構成要素】

 多くの企業になじみの深い「ミッション・ビジョン・バリュー」を「ビジョン」1本にし、「ビジョン」を「コアバリュー」「パーパス」「BHAG( Big Hairy Audacious Goals‟社運を賭けた大胆な目標”)」の3つにします。「コアバリュー」を“(時代を超える)会社の指針となる原則、会社を導く哲学”、「パーパス」を‟(100年間に亘って会社の指針となる)組織が存在する根本的な理由”とします。オリジナル版では「ミッション(明確なゴールと具体的期限のある目標)」と表現していたものを、“シリーズ①時代を超える生存の原則”から「BHAG(社運を賭けた大胆な目標)」に取換えます。「BHAG」に取換えたのは、‟人の心を揺さぶり、意欲を掻き立て、容易に理解できる、聞き手が神髄を理解し夢中になってくれる「(理想的な時間軸を10~25年とする)社運を賭けた大胆な目標」”を良しとしたのです。

 どうですか。「ミッション・ビジョン・バリュー」に変えて、迫力があって有効性が高い「コリンズ式ビジョン」を使ってみませんか。(注2参照)

 

【業務手順書を作るなら「SMaCレシピ」で】

 10X型企業のサウスウエスト航空を偉大な企業にしたのは「SMaCレシピ」です。私たちが業務手順書を作るときには、通り一遍ではなく、「SMaCレシピ」を参考にするとより有効性を高くすることができます。

 「針鼠の概念」により「BHAG」を作り、10X型スピリットにより「一貫性」「実証的創造力」「変化に対応するパラノイア」を満たす業務手順書「SMaC(Specific<具体的である>Methodical<整然としている>and<そして>Consistent<一貫している>)レシピ」を作り、「弾み車」効果を引き出し「BHAG」を達成します。

 詳しくは、「ZERO」と「シリーズ④自分の意志で偉大になる」をお読み下さい。(注3参照)

  • 簡単な説明資料『「偉大な企業を創るための地図」から学ぶ.pdf』をご覧ください。
  • 簡単な説明資料『コリンズ式「ビジョン・戦略・戦術」.pdf』をご覧ください。
  • 簡単な説明資料『ビジョナリー・カンパニー・シリーズの実例から学ぶ
    サウスウエスト航空の「SMaCレシピ」.pdf』をご覧ください。

メモ

■ ビジョナリー・カンパニー・シリーズは企業経営の教科書(むすび)

 シリーズは企業経営の教科書と思います。大著ですが是非お読みください。ただし、シリーズは①から④までと「ZERO」の全5冊でページ数は約2000頁です。2000頁全てを読むのが大変な方は「ZERO」を索引として、詳細は、シリーズ①~④で確認するのも賢い選択です。

 

メモ

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

https://www.jmca.or.jp/member_meibo/2091/

http://sakai-gm.jp/index.html

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

メモ

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【経営コンサルタントのお勧め図書】 偉大な企業を創るための地図  『ビジョナリー・カンパニー「ZERO」』

2022-03-22 12:03:00 | 経営コンサルタントの本棚

 

    【経営コンサルタントのお勧め図書】 偉大な企業を創るための地図  『ビジョナリー・カンパニー「ZERO」』

 

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

メモ

■       今日のおすすめ

  『ビジョナリー・カンパニー「ZERO」』
       (ジム・コリンズ、ビル・ラジアー著 土方奈美訳 日経BP)

メモ 

■ 書名「ZERO」の持つ意味は『起点・原点』(はじめに)

 

 著者コリンズは、永続性のある偉大な企業を目指す起業家や中小企業のリーダーのためにロードマップを示すことを目的に、恩師ビル・ラジーと共著で1992年「Beyond Entrepreneurship(ビヨンド・アントレプレナーシップ)」を発刊します。その後、偉大な企業を動かす要因について探求し、ビジョナリー・カンパニー・シリーズとして、『ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則(1995年)』『ビジョナリー・カンパニー② 飛躍の法則(2001年)』『ビジョナリー・カンパニー③ 衰退の5段階(2010年)』『ビジョナリー・カンパニー④ 自分の意志で偉大になる(2012)年』を発刊します。

 

 ‟ビジョナリー”の辞書的意味は‟先見性や未来志向”ですが、「ビジョナリー・カンパニー・シリーズ」では‟永続する偉大な企業”と定義しています。‟永続する偉大な企業”は、「➀時代を超える生存の原則」では‟数十年にわたって存続する企業18社”、「②飛躍の法則」では‟良い企業から偉大な企業への飛躍を遂げた企業11社”、「③衰退の5段階」では‟偉大さを獲得した後、衰退した企業11社”、「④自分の意志で偉大になる」では‟不確実性の中で並外れた(10倍以上)成果を出した「10X型企業」7社”です。‟永続する偉大な企業”と同じ機会・状況にありながら「成果を上げられなかった企業」を‟比較対象企業”として選別し、「偉大な企業と比較対象企業の違いは何か」を、「“一対(いっつい)”比較法」により歴史的・実証的・体系的に、問い続けました。(注1の「スライド18~22」参照)

 

 著者コリンズは、「シリーズ①②③④」では異なった視点から‟永続する偉大な企業”とは何かの問いをして来ました。1周を終えて、新たに積み重なった資料とスタート時点のオリジナル版とを統合・整合し、起業家と中小企業のリーダーの「偉大な企業を生み出す」お手伝いをすべく、「ビヨンド・アントレプレナーシップ」のバージョンアップ版として、ビジョナリー・カンパニー・シリーズの『起点・原点』とする意図をもって、「ビジョナリー・カンパニー『ZERO』」の発刊に踏み切ったのです。

 

 更に『ZERO』の素晴らしいところは、オリジナル版の文章はグレー・ページ、新たに書き加えた部分はホワイト・ページになっており(ページ数もほぼ倍)、オリジナル版と、新たに加えた「(ドッラーカーの思想を引き継ぐ)永続するマネジメント思想」が明確に判ることです。

 

 ジム・コリンズは、「➀時代を超える生存の原則」を機にドラッカーと対面の関係を持ち、恩師として仰ぎ、「経営学の父」であるピーター・ドラッカーの思想を引継ぐと共に実証性により強化し、ドラッカーと共に「経営学の『起点・原点』」となったのです。(ジム・コリンズH/P〈下記URL〉「ピーター・ドラッカーから学んだ10の教訓」を参照下さい。)

 

  https://www.jimcollins.com/article_topics/articles/Ten-Lessons-I-Learned-from-Peter-Drucker.html#articletop

メモ

■「ZERO」で新たに加えられた“章”‟新たな視点“の注目点

 

【偉大な企業を創るための「地図」】

 

 「シリーズ①、②、③、④」で異なった視点から論じてきたテーマを纏め、枠組みとして組み立てたのが、『偉大な企業を創るための「地図」』です。起業家が新たな企業を立ち上げるとき、既存の企業が苦境に立ち再起するとき、現在の会社を偉大な企業に育てたいと思っておられる経営者に貴重なヒントを与えてくれると思います。是非「ZERO」と「シリーズ①、②、③、④」をお読み下さい。(注1参照)

 

【ビジョンの構成要素】

 多くの企業になじみの深い「ミッション・ビジョン・バリュー」を「ビジョン」1本にし、「ビジョン」を「コアバリュー」「パーパス」「BHAG( Big Hairy Audacious Goals‟社運を賭けた大胆な目標”)」の3つにします。「コアバリュー」を“(時代を超える)会社の指針となる原則、会社を導く哲学”、「パーパス」を‟(100年間に亘って会社の指針となる)組織が存在する根本的な理由”とします。オリジナル版では「ミッション(明確なゴールと具体的期限のある目標)」と表現していたものを、“シリーズ①時代を超える生存の原則”から「BHAG(社運を賭けた大胆な目標)」に取換えます。「BHAG」に取換えたのは、‟人の心を揺さぶり、意欲を掻き立て、容易に理解できる、聞き手が神髄を理解し夢中になってくれる「(理想的な時間軸を10~25年とする)社運を賭けた大胆な目標」”を良しとしたのです。

 

 どうですか。「ミッション・ビジョン・バリュー」に変えて、迫力があって有効性が高い「コリンズ式ビジョン」を使ってみませんか。(注2参照)

 

【業務手順書を作るなら「SMaCレシピ」で】

 

 10X型企業のサウスウエスト航空を偉大な企業にしたのは「SMaCレシピ」です。私たちが業務手順書を作るときには、通り一遍ではなく、「SMaCレシピ」を参考にするとより有効性を高くすることができます。

 

 「針鼠の概念」により「BHAG」を作り、10X型スピリットにより「一貫性」「実証的創造力」「変化に対応するパラノイア」を満たす業務手順書「SMaC(Specific<具体的である>Methodical<整然としている>and<そして>Consistent<一貫している>)レシピ」を作り、「弾み車」効果を引き出し「BHAG」を達成します。

 

 詳しくは、「ZERO」と「シリーズ④自分の意志で偉大になる」をお読み下さい。(注3参照)

 

(注1) 簡単な説明資料『「偉大な企業を創るための地図」から学ぶ.pdf』をご覧ください。

   

(注2) 簡単な説明資料『コリンズ式「ビジョン・戦略・戦術」.pdf』をご覧ください。

   

(注3) 簡単な説明資料『ビジョナリー・カンパニー・シリーズの実例から学ぶ
     サウスウエスト航空の「SMaCレシピ」.pdf』をご覧ください。

   

メモ

■ ビジョナリー・カンパニー・シリーズは企業経営の教科書(むすび)

 

 シリーズは企業経営の教科書と思います。大著ですが是非お読みください。ただし、シリーズは①から④までと「ZERO」の全5冊でページ数は約2000頁です。2000頁全てを読むのが大変な方は「ZERO」を索引として、詳細は、シリーズ①~④で確認するのも賢い選択です。

 

メモ

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

https://www.jmca.or.jp/member_meibo/2091/

http://sakai-gm.jp/index.html

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

メモ

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◆【話材】 昨日2/2のつぶやき 有名なコンサルタントと有能なコンサルタントとは違います

2022-02-25 07:28:37 | 経営コンサルタントの本棚

◆【話材】 昨日2/2のつぶやき 有名なコンサルタントと有能なコンサルタントとは違います

 

経営コンサルタントとして感じたことを毎日複数のつぶやきをブログでお届けしています。

もし、お見落としがありましたり、昨日のブログで再度読みたいつぶやきがあるというときに便利なページです。

本日の【今日は何の日】も、つぶやき済です。

   https://blog.goo.ne.jp/keieishi17/e/99dcfefa8a4fb77e3de2bc85a8adaf3a

晴れb35

■ 昨日は、下記のリストのようなことをつぶやきました。

konsarutanto   ◇ 昨日のつぶやき ◇  

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■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 世界と日本の経済大予測2022-23

2022-02-22 12:03:00 | 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 世界と日本の経済大予測2022-23

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

メモ

■       今日のおすすめ

  『「世界と日本経済大予測2022-23」Economic risk to business and investment

                             (渡邉哲也著 PHP研究所)

メモ

■       ネット時代の経済評論家が著す「驚異の的中率9割」の予測(はじめに)

 著者は、鋭くストレートな発言、幅広い視点などからYouTube“文化人放送局”の「渡邉哲也show」等で人気を博するネット時代の経済評論家です。著者は、ネット以外でも、テレビ・ラジオでの出演、世界経済・日本経済・中国経済に関する多数の著作などで活躍中です。リーマン・ショックや2016年のトランプ大統領当選などを的中させた実績もあります。

 ところで、NHK放送文化研究所の国民生活時間調査2020(2021.5.25発表、2020.10調査)によれば、30才未満の世代では、インターネット利用時間がテレビ利用時間を上回ります。TwitterやYouTube等のSNSが社会の主要なメディア・インフラになる時代の到来もそう遠くはないかもしれません。

 そんな時代の到来を予兆するかのように、ネット時代の経済評論家が著した経済大予測の紹介本がAmazonでベストセラー1位(国際経済カテゴリー)になっています。

 紹介本は2022-23年に予測される50のリスクについて短く論評しています。著者の経済大予測シリーズは2020年、2021年に続く3作目です。2020年では48リスク、2021年では57リスクを論じましたが、2021年本は「脅威の的中率9割」として話題になっています。

 紹介本が論じる2022-23年に予測される50のリスクの中で特に注目したリスクを次項でご紹介します。

メモ

■  注目のリスクを見てみよう(紹介本の記述を要約引用)

 

【巨大ダム三峡ダムが台風の流れを変えた-中国近隣の海水温を上昇させた-】

 中国は、ダム湖の長さが約600kmの三峡ダムを100万人の住民を立ち退かせて2009年完成させ2012年水力発電を開始した。その結果、中国黄海・東シナ海に流れ込む水の量が減ったことで、温暖化を招き日本の気候にも大きな影響を与えていると言われている。

 九州の西側海域は、海水温が26度以上に上昇した黄海・東シナ海に面しており、その結果水蒸気を生み出しそれがエネルギーとなって前線を刺激し、今まで大雨が降らなかった九州山地西側に大雨被害がもたらしている。

 また、フィリピンで生まれた台風は黒潮に乗って日本列島に沿って北上するのがかつてのパターンであったが、今は中国大陸に向かうタイプのものが出てきた。

 自然環境の破壊が温暖化を招き、それにより九州山地西側の大雨被害や三峡ダム下流域・重慶などの水害、さらには三峡ダムの決壊リスクを生み出しており、温暖化の原因を二酸化炭素だけに求めるのは間違っている。

 

【アメリカ大統領中間選挙】

 2022年11月8日(火)、米国の中間選挙が行われる。上院の3分の1と下院の全議席が入れ替わる。「上院は法律、下院は予算において優越」というのがアメリカの議会構造であるから、重要なのは上院の行方だ。上院にはフィリバスター制度といって、少数党が定員100の内41を取れば法案の通過を止めることが出来る制度がある。上院の60議席を取ってはじめて政権与党が絶対安定多数を確保できることになる。

 下院で過半数を維持できるか、上院で60議席を確保できるかが、バイデン政権の残り2年の最大の焦点となる。

 民主党にとっては、中間派の人たちがどう動くか、極左の勢力がこれ以上拡大するかが鍵になる。カマラ・ハリスのような極左勢力が必要以上に拡大すると、アンチを生み出して排除に向かうのがこれまでのアメリカの歴史である。そこをトランプ陣営に付け込まれる可能性は十分にある。

 

【次期台湾総統】

 米中対立激化で揺れる台湾だが、香港の現状を見た台湾人が中国を選ぶはずがなく、蔡英文総統も日米との強固な関係の維持に尽力し、大きな成果を得ている。国際社会の台湾支持の流れもさらに増えていく。

 注目すべきは2024年の総統選挙である。ポスト蔡英文を選ぶ戦いとなる。現時点での最有力候補は、蔡英文と共に内科医としてSARSの抑え込みに尽力した実績を持つ、頼清徳・民進党副総裁である。

 2020年の総統選で民進党・蔡英文が史上最高の817万票(得票率57.1%)の圧勝を飾り、現在でも高い支持率を誇るため、この勢いを借りて頼清徳が勝つ可能性は十分ある。

 

【韓国大統領選挙と在韓米軍撤退の可能性】

 韓国は朝鮮戦争で戦った相手であり、現在休戦中の中国と「外交と安全保障の2プラス2」を展開している。2021年には6年ぶりに開催する方向で中国王毅外相と合意した(未だ開催はされていない)。中国と準軍事同盟が結ばれる可能性を含んでいる。

 Quadプラスにも、NATOプラスにも韓国は参加しておらず、西側との唯一のパイプであるアメリカとの軍事同盟も、中国と手を結ぶのであれば不要になる。

 米中さらに北朝鮮にまでいい顔をして、日本にだけ敵意を剥き出しにする、‟7方美人”外交を繰り返すばかり。韓国のふらつきぶりはどこまで続くのだろう。2022年3月の大統領選挙後も、韓国外交の不透明リスクは続く。

 

【ミヤンマー軍事政権】

 ミヤンマーは2021年2月に軍事政権が成立。軍政権は「民主化に戻す」と言っているが、簡単には信じられない。1962年に軍事クーデターが発生し、2011年迄およそ半世紀軍事政権が続いたという過去がある。

 中国と軍事政権との繋がりは深く、中国がミヤンマーの地政学上の重要性を認識していることに注意をしておく必要がある。

 思い起こすのは、大東亜戦争当時の「援将ルート」である。 当時日本軍に押されて奥地に立て籠もっていた中国・国民党・蒋介石軍を英国などの連合軍がミヤンマー・ルートで武器や物資を供給して支えたのである。中国にとっては戦勝をもたらした縁起の良いルートであり、ミヤンマーを押さえることで、QUADが包囲しようとしている第一列島戦を通ることなく、海へ抜けられるルートを確保できる。軍事政権が早々引っ込んでしまえば、そのルートは断たれる。

 そう考えると、ミヤンマーの軍事政権の行方は米中対立の帰趨に大きく影響するパワーがある。

メモ

■       予測されるリスクを回避する対策を(むすび)

 

 紹介本が予測する50のリスク、その的中率はともかく、リスク回避のために最適な対応策による備えをしませんか。

 紹介本の予測する50のリスクの内、トップの中国に係るリスクは16と32%を占めます。次は日本の15(30%)、アメリカの5(10%)と続きます。やはり注目すべきは日・米・中のリスクですね。

メモ

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

https://www.jmca.or.jp/member_meibo/2091/

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【 注 】

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メモ

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■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 日経大予測 2022年「日本の論点」

2022-01-27 09:44:29 | 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 日経大予測 2022年「日本の論点」

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

本

■  今日のおすすめ

 

   『日経大予測「2022これからの日本の論点」』

     (編著:日本経済新聞社 発行:日本経済新聞出版)

 

本

■         2022年の初めにP・E・S・Tの論点を整理しておこう(はじめに)

 

 私は、年初にPESTに関る本を読む事にしています(P:政治、E:経済、S:社会、T:技術)。それは予測される論点を整理し、企業経営における変化への対応力を高める必要に答えるためです。

 紹介本「2022これからの日本の論点」は、日経の代表的コメンテーター、編集委員らベテラン専門記者22名が「日本経済はこれからどうなる」「日本企業はこれからどうなる」「世界はこれからどうなる」の3分野22論点を展開します。

 紹介本を読んでの感想は、2022年は、コロナ後の世界、脱炭素の行方、米中分断など多くの問題を抱える、先が見えないVUCA(注1)の時代と言えましょう。その中で注目した視点を次項で見てみたいと思います。

 (注1)「V・U・C・A」とは、「Volatile;変動、Uncertain;不確実、Complex;

複雑、Ambiguous;曖昧」を表します。

本

■    2022年の注目情報はこれ

 

【ルールを世界に売り込もう】

 3分野22論点の中で、いま、日本・日本企業にとって最も重要な論点は「ルールを世界に売り込もう」ではないでしょうか。

 この論点の冒頭で書かれている、三つの要約提言にポイントが集約されています。

 「新しいルールが企業間競争の土俵を根底から変える」「技術的に甲乙つけがたくても、物語の発信力によって左右される」「倫理や人権を国際標準に取込む動きも。ルール形成の場に乗り込め」の三つです。

 自動車産業の例で見てみましょう。欧州は「カーボン・フット・プリント(注2)」や「カーボンニュートラル」等の概念を打ち出し、新しいルールを確立し日本の自動車メーカーの優位を脅かし、「ディーゼル・スキャンダル」で一気にEVに舵を切ったVWなどの欧州自動車メーカーの優位を確立する戦略として打ち出したのです。

 論点は、日本の自動車メーカーはこれからの競争に打ち勝つためには、『日本発の技術と共にルールを確立し、世界を動かすストーリー・テリング(物語を発信する)力をつけ実現すること』、『「日本の製品は、環境だけではなく倫理や人権問題を先取りし、世界を変えようとしている」といったイメージを形成し競争力をつけること』が必要条件と説きます。

 EVは、原発停止(ドイツなど)や高コストの再生エネなど電源次第では必ずしも環境対策には繋がらないこと、環境ビジネス関係者がトクをし、コストを負担する自動車ユーザーが損をすること、雇用問題に悪影響を及ぼし且つ低所得者が車を購入できないという社会問題を含んでいること、蓄電池の原料についての人権問題の存在、等々多くの問題を抱えています。かかるEVの問題を考慮すると、日本のPHV車が優位となる可能性は十分あります。トヨタ自動車、マツダ、スバル、川崎重工業、ヤマハモーターなど5社の日本の自動車メーカーが共同開発する水素燃料車も期待ができます。

 そこで、PHV車にしても、水素燃料車にしても日本の技術の優位性をルールとして確立し、世界に売り込んでいく事が重要です。同時に外交的に発信していく政治力も重要です。マスコミも社会的存在を目指すのであれば、発信力を高めるべきです。

 

(注2) 「カーボン・フット・プリント」とは、直訳すると「炭素の足跡」。商品やサービスの原材料の調達から生産、流通を経て最後に廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算したものです。

 

【コロナ後「勝ち組企業」の条件は「SATORI」】

 論点は企業の勝ち残りの条件として『お上頼みをやめる』、『「アニマルスピリッツ」を取り戻す』、『株式市場から帰結する「SATORI(悟り)」』の三つを掲げます。

 『お上頼みをやめる』の例として、2008年のリーマンショックから自力で復活した日立製作所と2015年に発覚した不正会計問題で損失隠ぺいが露呈し、経産省頼みから投資家の信頼を失いトップの退任に至り、更には分社化に至り改革・復活の機会を逃した東芝の例を挙げています。

 『「アニマルスピリッツ」を取り戻す』の例として「破壊的な経営環境の変化(ディスラプション)」に対する企業幹部の‟乗り切る自信”についてのアンケートを紹介します。「自信あり」との回答率は中国50%、米国48%、日本24%と主要9カ国で日本は最低となっていると指摘します。「PBR(株価純資産倍率)1倍割れ銘柄」の比率が45%と米国の3.8倍など様々な日本企業の低迷ぶりを示し、日本企業に対し「脅威」を「チャンス」として取り組むよう警告しています。

 『株式市場から帰結する「SATORI(悟り)」』とは、日本の株式市場における、2019年末と2021年6月の時価総額のランキングを比較し、大きく伸びた企業の要因を「SATORI」に纏め示しています。

 

 <コロナ禍で浮かび上がった勝ち組の条件「SATORI」>

  Society(社会);ESGの概念をビジネスモデル化。

  Agility(俊敏);失敗をすぐ認め次の手を打つ、朝令暮改ならぬ「朝礼朝改」。

  Technology(技術);特定のドメインでの独占的地位を築く技術の事業化。

  Overseas(海外);人口減少による日本市場を見据え、海外市場展開の実現。

  Resilience(復元);コロナ等の逆風を跳ね返し成長した、復元・反発力。

  Integration(融合);多くのM&AをPMIによる融合で成功させ、大きく成長。

   (PMI:M&A後の統合プロセス。ポスト・マージャ―・インテグレーション)

本

■         2022年の企業経営は先手必勝(むすび)

 

 2022年、VUCAの時代だからこそ来たる明日を予測し、来たる明日の課題を設定し、「分析(現状把握・分析)⇒検証(仮説立案・検証)⇒意思決定(アクションプラン策定)」の道筋で経営プラン2022を作成・実行しませんか。

 そして論点にありましたAgilityとResilienceで勝ち組企業になりましょう。

 

本

【酒井 闊 先生 プロフィール】

 

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  https://www.jmca.or.jp/member_meibo/2091/

  http://sakai-gm.jp/index.html

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

 

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■■【経営コンサルタントのお勧め図書】FACTから「真実」を知ろう

2021-12-10 13:44:23 | 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】FACTから「真実」を知ろう

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

 

【 注 】

 本号は、11月第4火曜日に発信する予定のものでした。

 お届けが遅れまして大変ご迷惑をおかけして申し訳ございません。

 陳謝と共に、平素のご愛読への感謝の意を申し上げます。

 

本

■  今日のおすすめ

 『噓と感情論で封殺された「5つの日本の真実」』(高橋 洋一著 徳間書店)

 

本

■  FACTを正しく見極め、正しい判断を(はじめに)

 

 著者は、数量政策学者らしく統計やグラフ等を基に公正・中立的な立場から政治、社会、経済を論ずる経済学者です。財務官僚を経て現在は嘉悦大学ビジネス創造学部教授を勤め、財政政策、金融政策を得意とします。

 著者は、2021年5月の「さざ波」事件で内閣官房参与を辞任しました。この事件は五輪中止論が高まる中、著者が自身のTwitterに、日本が世界の主要国の中で感染者が極めて低いことを示す「世界の感染者数のグラフ(ジョンズ・ポプキンス大学データ)」を添付して、『日本はこの程度の「さざ波」。これで五輪中止とかいうと「笑笑」』と投稿したことに端を発します。「さざ波」は、元厚労省医療技官木村氏が1年前から著者と共演する「正義のミカタ」(朝日放送テレビ~テレビ朝日ANN系の大阪キー局~で毎土曜9:30より放映)で使っていた言葉を引用したものでした。

 しかし、朝日新聞系の論座などの一部マスコミは、このTwitterは『必死の五輪反対論を「せせら笑う態度」』と批判し『これで内閣官房参与とかいうと「笑笑」』などと揶揄しました。立憲民主や共産党は菅内閣の任命責任と結びつけ、著者の国会招致を要求しました。

 これに対し著者はTwitterに「日本の状況を客観的的に分析し正確に伝えるのが本意で、それを妨げる用語は使用しないようにします」と謝罪し、政権批判と結びつくや、内閣官房参与を辞任したのです。

 著者は紹介本を出版するに至った思いを次のように表現しています。『この事態を通して、マスコミや立憲・共産は(状況の一部を「切り取り」)、「表現がけしからん」の一点張り。それでは真に私たち国民にとって重要なことが掻き消されてしまう。本書でFACTを正しく見極めて頂きたい』と。

 著者は紹介本で、5章60項目の『掻き消されている「真実」』を紹介しています。次項ではその中から「知っておきたい『掻き消されている「真実」』を見てみましょう。

 

本本

■  知っておきたい『掻き消されている「真実」』(紹介本の記述を要約引用)

 

【賃金の伸びが低すぎる。メディアや日銀が理解していない「ヤバイ現実」】

 OECDの実質賃金データでは、日本は1990年22ヵ国中12位、2019年は21位。1990年当時のOECD加盟国で、この30年間の名目賃金の伸びを見てみると、ほとんどの国で2倍以上となっているのに、日本の伸びはほぼゼロで、伸び率は最低だ。

 名目賃金は一人当たり名目GDPと同じ概念なので、名目賃金が低いのは、名目GDPの伸びが低いからということになる。日本の名目GDPが1990年からほとんど伸びておらず、世界でもっとも低い伸びだ。名目経済の成果の反映である賃金が伸びないのは、当然ともいえる。

 名目GDPともっとも相関が高いのがマネー伸び率だ。各国のデータでみても相関係数は0.7~0.8程度もある。「90年代以降の30年間」と、「90年より前の30年間」を比較すると、名目GDPの伸び率とマネーの伸び率は一貫して相関があることがわかる。具体的にいうと、「90年より前の30年間」では、日本のマネーの伸び率は、データが入手できる113カ国中46位と平均的な位置にある。一方「90年代以降の30年間」では、日本のマネーの伸び率は148カ国中、なんと最下位である。結果、名目GDPの伸び率も最下位だ。

 マネーの伸び率は、日銀が金融政策でマネタリーベースを増やすことでコントロールできるのだ。リーマンショックで先進国の中で唯一金融緩和をしなかった日銀(白川総裁時代)の罪は重い。デフレのA級戦犯は中央銀行なのだ。

 最近の日銀はかつてのような失敗はなくなったが、それでも筆者の基準からみれば、まだいまいちだ。ETF、REIT、国債買い入れなど金融緩和政策の出口の話は、デフレ脱却の目標を達成してから言うべき話だ。日銀の政策検証で必要なことは、過去30年間の日銀の間違いを総括することだ。

 

【民主主義指数からみる中所得国インドと中国の将来】

  イギリスの「エコノミスト」の調査機関エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(Economist Intelligence Unit)が2年おきに発表している、各国・地域の政治の民主主義の水準を測る指数「民主主義指数」と世界銀行の「一人当たりGDP(2000年~2019年平均値)」のデータに基づき、中国とインドの先行きを予測する。

 ここで面白いのは、民主主義指数と一人当たりGDP1万ドルの壁「中所得国の罠」とが相関していることである。民主主義指数が6程度以下の国は、一人当たりGDPは1万ドルに達していない。世界で、民主主義指数が6程度以下で1万ドルを超えている例外国は産油国とシンガポールだけである。

 民主主義指数から、インドと中国の先行きを見てみる。インドは現段階では一人当たりGDPは3000ドル程度だが、民主主義指数が6.61の民主主義国なので、一人当たりGDPは今の3倍以上に上昇するなど今後の経済発展が期待できる。ここにクアッドにインドを加える意味がある。

 一方、中国の民主主義指数は2.27なので、6には程遠く今の一人当たり1万ドル程度のGDPを維持できる確率はかなり低い。となると、中国はこれから経済停滞に陥る可能性が出てくる。そうすると、国を維持するために国外紛争を作り国民の目を外に向けようとし、核心的利益(ウィグル、南シナ海、香港、台湾、尖閣)の達成に走るだろう。核心的利益で未だ達成できていないのは、台湾と尖閣だ。

 

本

■  FACTに基づく「真実」を知るには(むすび)

 

 「真実」を知ることは簡単ではありませんね。敢えて言うならば、提供された情報が、データやFACTで裏付けられているか確認することでしょうか。

 企業経営の視点からは、PEST(政治、経済、社会、技術)に関し、メタ(必ずしも表に現れない事態の原因となっている「真の事実」)を含む正しい情報をスピーディーに収集し、分析、仮説・検証、課題の見極め、課題解決の実行をしていくことではないでしょうか。

 

本

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

https://www.jmca.or.jp/member_meibo/2091/

http://sakai-gm.jp/index.html

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 脱炭素の「真実」を知る

2021-10-26 16:00:00 | 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 脱炭素の「真実」を知る

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

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■  今日のおすすめ

『「脱炭素」は噓だらけ』(杉山 大志著 産経新聞出版)

  (著者はIPCCの第6 次評価報告書の第三作業部会報告書第16章統括執筆責任者)

!!

■  IPCCの現役統括執筆責任者が身を賭して語る『脱炭素の「真実」』(はじめに)

 著者はIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)などの国連機関や、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)などの日本政府審議会のメンバーを務める科学者です。

 IPCCは1988年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)により設立された組織で、現在の参加国は195か国、事務局はスイス・ジュネーブにあります。各国の政府から推薦された科学者が参加し、地球温暖化に関する科学的・技術的・社会経済的な評価を行い、報告書にまとめています。

 著者はIPCC第4、5、6次評価報告書の総括執筆責任者を務めています。第5次報告書は、2015年の「パリ協定」の採択に繋がりました。第6次報告書(第一作業部会報告書のみ)は、2021年10月末から始まる第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)のベースとなります。著者が関与する第6次報告書(第三作業部会報告書)は2022年3月公表予定です。

 ところで、IPCCの気候変動に対する立ち位置について、著者とスタンスを同じくする、温暖化懐疑論者の渡辺正東大名誉教授は次のように指摘します。『IPCCの設立趣意書から読み取れるIPCCのホンネは「温暖化脅威論」「温暖化懐疑論」のいずれが真実か否かは吟味せず「温暖化脅威論」を‟自明な事実”とみて、その‟リスク度”を評価する組織である』と。(藤井厳喜&渡辺正対談『「地球温暖化とカネ」環境利権が生まれたメカニズム〈ダイレクト出版〉』より)

 しかし、この様なスタンスのIPCCの中であっても、著者は「IPCC はそもそも政策提言をしてはならないと規定されている」の原則に基づき、責任者として中立的・ファクトベースの情報発信をしています。

 紹介本に於いても、自身の覚悟を次の言葉で表しています。「個人的な名誉とか私利私欲の点でいえば『COゼロ』に水を差すことは愚かである。おとなしく同調しておけば、良い身分の御用学者として安穏として暮らすことが出来る。しかし私はそうしない。何故なら『2050年COゼロ』などという極端な政策は、科学的にも、技術的にも、経済的にも、人道的にも間違っていると思うからだ」と。

 この著者の、自身の利得を無視し、覚悟を以って、科学的・歴史的根拠を以って、発信する生き様に深く感銘を受けました。また、「脱炭素」について、「真実は何か」との視点で向き合う機会を与えてくれたのが紹介本です。「真実は何か」について次項で見てみたいと思います。

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■  「脱炭素」の「真実は何か」―温暖化と脱炭素を科学的知見から検証―

【問題だらけの「地球温暖化という『物語』」は修正されるべき】

 著者は、IPCCの最初の報告書(1990)に基づき作られた「問題だらけの『物語』」は以来繰り返し語られ今に至っており、その主な内容は以下の通りと言います。

①   地球地球温暖化は起きている。

②   温暖化は危険である。

③   温暖化は人間のCO2によるものである。

④   待ったなしの大幅排出削減が必要である。

 著者は、最初のIPCC報告書からの過去30年間の科学的知見に基づき、「問題だらけの『物語』」は「新しい正しい『物語』」として、次のように修正されるべきとします。(取消線は科学的知見により修正されるべき箇所。科学的知見については、紹介本や「地球温暖化のファクトシート第2版」〈杉山大志資料 下記URL〉を参照ください。)https://cigs.canon/uploads/2021/02/20201119_sugiyama_report2.pdf

①   地球温暖化は起きているゆっくりとしか起きていない。

②   温暖化は危険である過去、温暖化による被害はほとんど生じなかった。

③   温暖化は人間のCO2によるものであるの理由の一部はCO2によるものであるが、その程度も温暖化の本当の理由も分かっていない。

④   待ったなしの大幅排出削減が必要である。今後についても、さしたる危険は迫っていない。待ったなしを前提とした大変な費用をかける対策は大きな間違いである。温暖化対策としては、技術開発を軸として、排出削減は安価な範囲に留めることが適切だ。

 RITE(地球環境技術研究機構;経産省系研究機関)の資料によれば、研究中の「CO2ゼロ」の技術が「仮に」利用可能になった場合、温室効果ガス(CO2と連動)を100%削減するには2050年で54~90兆円のコストがかかる。このコストは国家予算103兆円に匹敵する。この様な巨額を使うことは正当化できない(コストを掛けない他国との競争力の観点から)。

 「新しい正しい『物語』」についての著者の次のコメントに注目です。

 「科学者は時には、あのガリレオの様に、一身を賭して権威・権力と対決しなければならない。それが、人類の繁栄をもたらす」と。

 「近代科学の父」ガリレオは、1610年頃、木星の衛星の発見を契機に「星界の報告」を発刊、コペルニクスの地動説に言及します。「ケプラーの法則」で有名なケプラーも「星界の報告者との対話」を発刊し、ガリレオを擁護します。

 この状況を懸念した時の権力者ローマ教皇庁は、ガリレオに終身刑を言い渡し、軟禁します。ガリレオはその後自宅軟禁状態になり、両目の視力を失いますが、弟子たちの口頭筆記支援を得て執筆をつづけ死ぬまで地動説の情報発信を続けたのです。

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■  「脱炭素」について正しい判断と行動を!(むすび)

 「温暖化」「脱炭素」に関しては、ファクトによる検証を基に、正しい判断をし、行動することが日本の強靭化のため、繁栄のために必要ではないでしょうか。

 企業価値経営の観点から取り組むESGに於いても、「脱炭素」についての正しい認識を持って推進すべきではないでしょうか。適切なコスト、適切なスピード、適切な方法で推進することが大切です。

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【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

https://www.jmca.or.jp/member_meibo/2091/

http://sakai-gm.jp/index.html

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 「企業価値経営」を始めよう

2021-09-28 12:03:00 | 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 「企業価値経営」を始めよう

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

本

■  今日のおすすめ

  「企業価値経営」(伊藤 邦雄著 日本経済新聞出版)

 

本

■  「企業価値経営」とは(はじめに)

 

 著者は、いわゆる「伊藤レポート」を通じ、日本の経済産業政策、証券市場政策に変革をもたらしました。

 2013 年 7 月に経済産業省の「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ま しい関係構築~」プロジェクトがスタートし、 2014年8月に最終報告として「伊藤レポート」 が公表されました。

 「伊藤レポート」では、◎企業と投資家の「協創」による持続的価値創造を、◎株主資本コストを上回るROEをそして資本効率革命を、等の6つ基本メッセージを発信しています。企業が「投資家との対話」を通じて「持続的成長」に向けた資金を獲得し、「企業価値」を高めていくための課題を分析し、提言をしています。

 「伊藤レポート」は、2014年2月の金融庁の「スチュアードシップ・コード」、2015年5月の法務省の「コーポレート・ガバナンス・内部統制の強化及び親子会社に関する規律の整備等を目的とする会社法改正」、2015年6月の日本証券取引所の「コーポレートガバナンス・コード」に繋がっていくのです。そして、落伍者日本の資本生産性(ROE)を、過去の平均5.2%から海外投資家の期待する資本コスト(期待収益率)の平均値7.2%を勘案し、8%以上に目標値を設定し、企業と投資家のエンゲージメントを促進し、資本効率を高める、世界市場の仲間入りを目指した道筋を創ったのです。

 更には、2016年8月に経産省に「持続的成長 に向けた長期投資(ESG・無形資産投資)研究会」が設立され、企業と投資家等の長期投資を巡る現状と課題・方策について検討が行われ、2017年10月に最終報告として「伊藤レポート2.0」が公表されました。

 「伊藤レポート2.0」では『価値協創(協調による価値創造)ガイダンス』を示し、持続的成長に繋がる中長期の企業価値向上に向けた経営ガイダンスとしました。さらに、2020年8月に、「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」において、対話の実質化を進めるために、社会のサステナビリティと企業のサステナビティを同期化し、長期の時間軸の中で社会課題を経営に取り込むことで企業の稼ぐ力を強化していく「サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)」を提唱しました。「SX」の課題や考え方は『伊藤レポート3.0』として公表される予定です。

 著者は、これらの「伊藤レポート」シリーズをベースに、経営者向けに「(DXを除く)企業経営の最新分野」を「事例研究による体験価値」を通じて届けたいとして紹介本を公刊しました。

 紹介本では、企業価値が客観的価格としての株式時価総額にどのように反映されるかを理論的・実証的に検証しながら、あるべき企業価値経営論を展開しています。この企業価値経営論の中から、未上場企業にも参考となる「注目する企業価値経営」を次項でご紹介します。

 

本

■  私が注目した、未上場企業にも参考となる「企業価値経営」

 

【株式市場から実証される企業価値】

 紹介本は、株式市場は推定企業価値と市場参加者予測要因の2つにより価格形成がされるとしています。市場が効率的との前提に立てば、株価は中長期的には将来キャッシュ・フローをベースとする理論的企業価値に収斂していくとします。

 更に、株価に反映する企業価値と会計情報の関係を次式により説明します。(次式が導かれるプロセスは、紹介本をご覧ください。ここでは結論のみを記述します。)                                   

企業価値(株価)=NOPAT(1-g/ROIC)/ (r-g)

  NOPAT=利息控除前税引後営業利益 r=資本コスト率  g=NOPAT成長率

  ROIC=投下資本利益率=利益/投下資本 

    利益=税引き後営業利益

    投下資本=株主資本+有利子負

 

 紹介本は、株価がROIC及びNOPAT成長率を変数とする企業価値と連動していることを、米・欧州・日本のS&P500指数によって実証しています。このことから、企業価値経営論の中から、未上場企業でも有益な「ROIC経営」を紹介します。

             

【未上場企業でも役に立つ「ROIC経営」―経済産業省のオムロン社事例より―】

 ROIC経営のメリットは二つあります。(紹介本が引用する経済産業省資料「オムロンにおける長期の視点の経営」―下記URL―をご覧ください。)https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sansei/jizokuteki_kachi/pdf/002_05_00.pdf

 一つは、ROIC逆ツリー(左右逆さま、現場重視の帰納型ツリー)です。

 ROICは次のようにROSと投下資本回転率に分解できます。税前ROIC=営業利益/投下資本=営業利益/売上高(ROS)×売上高/投下資本(投下資本回転率)。

 ROICを分解した「ROS」「投下資本回転率」といった指標を、現場レベルの業務に直接関係するKPIに分解していくことで、現場の活動がROIC向上に直接つながります。一般的に使われているKPIと違い、的確・効率的に、企業価値向上に結びついていくのがROIC逆ツリーの特徴です。

 二つ目は、限られた資源を最適に配分するための戦略を策定するツールです。ROICと売上高成長率の2軸によるポートフォリオマネジメントを主に、伝統的なPPM(市場成長率と市場占有率の2軸によるポートフォリオ)を補助的に活用します。これによる事業単位の交叉比率(市場成長率☓市場占有率☓ROIC☓売上高成長率)の比較で、企業価値の要素を取り入れた新規参入、成長加速、構造改革、事業撤退などの経営判断を適切迅速に行い、全社の価値向上をドライブすることが出来ます。

 以上二つのメリットを増大させるのが「ROIC翻訳式」です。「翻訳式」は、財務に苦手の現場が言語でROICをより深く理解し、各人が自分ごととして捉え、自律的に活動が展開できるように進化させていくツールです。自律的活動から出てくる現場の貴重な意見を吸収し、活動を企業価値向上に直結させることが出来ます。

 

本

■  未上場企業も「企業価値経営」を実践しよう(むすび)

 

 紹介本は企業価値を高める経営論を展開しています。それらの経営論は、一見して上場企業向け経営論に見えますが、前項で紹介したものをはじめ未上場企業にとっても有益な経営論が展開されています。

 特に、将来IPOを目指す企業やM&Aを活用した事業構造改革を考えている企業にとっては有益です。

 

【関連資料】

http://www.glomaconj.com/joho/blog/sakaisensei20210928omron.pdf

今月の経営コンサルタントの本棚に関連した資料を

上記URLからも閲覧することができます。

 

 

本

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■■【経営コンサルタントのお勧め図書】会計と経営の双方向性 『ビジネススクールで身に付ける「会計×戦略思考」』

2021-08-24 12:03:00 | 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】会計と経営の双方向性 『ビジネススクールで身に付ける「会計×戦略思考」』

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

本

■  今日のおすすめ

 『ビジネススクールで身に付ける「会計×戦略思考」』

      (大津 広一著 日本経済新聞出版)

本

■  『「会計」がわからなければ真の経営者になれない』とは(はじめに)

 著者は「会計がわからなければ真の経営者になれない」(稲盛和夫の実学―経営と会計)を引用し、紹介本著作の目的を「会計の数値と企業活動の往復をスムーズに行うための手法を解き明かすこと」と明確に示している。

 紹介本では、「会計の数値と企業活動の往復」のアプローチを、‟ビジネススクールで”と表題にあるように、インタラクティブに分かり易く解き明かしています。その一環としてIFARS決算書の分析の着眼点を事例と併せ示しており、興味深い内容です。IFARSの記述の背景には、企業数では上場企業全体の6%の226社にも拘らず、時価総額ベースでは4割を占める企業がIFARSを適用しており、更にはIFARSへの移行が積極的である事象があります。

 紹介本は、読者が普遍的な経営分析の基礎となる会計知識を身に付いていることを前提に、上記著作目的(「会計数値と企業活動の往復」)に至る道筋として次の3つの会計思考プロセスの大切さを強調します。1つ目は、数値を見て「なぜそうした数値なのか?」という「会計のWhy?」の追求。2つ目は、「So What?(そこから何が言えるのか?)」つまり、数値から見えた事象から経営の意味合いを導き出すこと。3つ目は、「How?」の問いかけで、最後は具体的なアクションプランの構築と問題解決に至ること。

 一方、他の会計本では見られない紹介本の特徴は、会計数値を読み解く「会計力」と「経営戦略・業界特性・事業環境等の企業活動を理解し考察する力」を「論理的思考」により結びつける「戦略思考」についての考察を示している点です。更には「論理的思考」にビジネス&マーケティング・フレームワークを使い「会計」と「経営」の関係性を示し「会計⇔経営・戦略思考」のあるべき形を提示している点です。

 それでは、「会計」と「経営」を結ぶ「戦略思考」について次項で見てみましょう。

本

■  「会計」と「経営」を結ぶ“戦略思考”

 

【ポーターの「ファイブフォース」から「経営の外部環境」と「会計」を考える】

 紹介本は2012年10月に新日本製鉄と住友金属が新日鉄住金として合併した事例を材料として考察します。「ファイブフォース(五つの力)」それぞれに於ける競争環境・脅威が会計数値上にどの様に現れているかを検証し、両社が合併に至った筋道を辿り、背景にある経営戦略を読み解きます。

 私達はこの事例から何を学ぶべきでしょう。まず、自社の経営環境を「5つの力」の視点から検証し、経営の実態と会計数値の相互関係性を確認します(「会計のWhy?」+「So What?」)。その上で「5つの力」の中の脅威が高いと考える「力」をどう克服し、次なる成長に結びつけるかのアクションプランの構築と問題解決に向けた会計数値による計画を立てます(「How?」)。このアクションプランと会計数値計画(両者合わせた事業計画)をPDCAサイクルで回し課題達成に向けて行動します。

 この様に論理思考性の高い「5つの力」フレームワークに基づく経営・会計戦略に基づく企業活動を継続することで持続的成長を生み出すことが可能になります。。

 

【ポーターの「バリューチェーン」から「経営内部環境」と「会計」を考える】

 経営の価値を創造する活動プロセスの連鎖をバリューチェーンと呼びます。紹介本では、ポーターが提唱する支援活動プロセスと主活動プロセスを、会計上のPLに影響があり経営戦略上も重要な、研究開発、製造、プロモーション・販売、販売チャネルの4プロセスに集約します。

 その上で、4つのプロセスそれぞれに於ける、戦略に応じた会計上の原価や販売管理費への影響を考察します。

 更に、4プロセスのそれぞれに関するSW分析(強み・弱みの分析)やVRIO分析(経済的価値<Value>、希少性<Rarity>、模範可能性<Inimitability>、組織<Organization>の分析)による競争優位の源泉の探索を前提とし、その上で策定した戦略を会計数値による計画に反映し、結果を会計上のPLで検証し、戦略の見直しと再挑戦を行い、戦略のゴールを目指すサイクル思考を提唱します。

【コトラーの「マーケッティング」戦略のゴールは「会計上の『利益』」】

 紹介本は、コトラーなどが提唱するマーケティング・プロセス「R-STP-MM-I-C」をフレームワークとして使い、事業をSTP戦略・MM(マーケティング・ミックス)戦略から考察し会計上への反映を確認します。その上で,新たな事業計画を立案したうえで、実施(Implementation)、チェック・管理(Control)、見直し・リサーチ(Research)、次なる戦略の策定(R-STP-MM)へと進み、並行して戦略の進展状況をPLで検証し、戦略のゴールである「会計上の『利益』」の増強に向けたサイクルを回す戦略思考を提案します。

本

■  何のための会計か(むすび)

 「会計データ」「経営・戦略状況」それぞれを単独で読み解く力も大切ですが、「会計データ」と「経営・戦略状況」を双方向に往復しながら深読みすることも大切です。

 双方向に往復しながら深読みすることで、「会計データ」から読み取る情報がより実践的、戦略的になります。また「経営・戦略状況」をより緻密に把握することが出来、ベンチマーキング等が可能になります。

 紹介本が提案する「会計の数値と企業活動の往復をスムーズに行うための手法」を参考に「会計×戦略思考」を取り入れませんか。

本

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  https://www.jmca.or.jp/member_meibo/2091/

  http://sakai-gm.jp/index.html

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■■【経営コンサルタントのお勧め図書】「木を見て森も」見る 企業の成長戦略が10時間でわかる本

2021-07-29 14:28:00 | 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】「木を見て森も」見る 企業の成長戦略が10時間でわかる本 1705

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

今日のおすすめ

 『企業の成長戦略が10時間でわかる本』(木嶋 豊著 あさ出版)

知識は知っているだけではなく、実戦で使える知見まで高めよう。(はじめに)

 紹介本は、経営書には珍しく「企業の誕生(起業)から成人(IPO)まで」の各ステップに於ける経営戦略を、知名度の高い「フレームワーク」を用いながら、知識に偏ることなく、図表を用いながら実戦的且つポイントをついて簡潔に説明しています。

 経営者やコンサルタントを目指す人にとっては、自身の実戦力を高める材料を提供してくれるでしょう。また、ベテラン経営者やベテランコンサルタントにとっては、自身のマネジメントを振り返る材料を提供してくれるでしょう。

 各々の皆さんが、「さらに詳しく」と考えられる部分は、さらに深く探求できるよう、各時間(「1時間が一章」で「10時間立て」となっている)の終わりのページに参考となる専門書が紹介されています。

 さらにこの紹介本の優れている点は、知名度の高い「フレームワーク」を実戦的に焼き直し、例示している点で、マネジメントに応用する時に参考にできる点です。それは、著者の豊富・多様な経験と実戦力によると思います。それでは、紹介本の中から、これは注目に値すると思われるいくつかを次項でご紹介します。

経営戦略の知見を活かせる領域を広めよう

【「バランス・スコア・カード」に拘らない、CSF、KGI、KPIの使い方】

 最近「KPIマネジメント」を使っている企業が多く見られます。本紹介本でも、KPI(Key Performance Indicator:業績指標)を使った部門オペレーション管理を行う例が紹介されています。そこでは、KPIを束ねる指標としてKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)を、KGIを束ねる指標としてCSF(Critical Success Factor:重要成功要因)を使っています。「バランス・スコア・カード」で一般的に使われる、KGI(戦略目標)⇒CSF(重要成功要因)⇒KPI(業績評価指標)とは一致していません。この様に既存のフレームワークを、実戦に合せ、応用的に使うやり方は、もちろん著者の経験に基づくものと思いますが、「目から鱗」のような新鮮さを感じました。

【資金調達を可能にする事業計画】

 事業計画の作成については多くの著書がありますが、本紹介本の説明は7ページにわたる図表で説明されており(「収支計画」「売上原価・経費計画」も含む)、目的はベンチャーキャピタル等からの資金調達のためのものですが、一冊の専門書以上に、実戦的に書かれています。

 特に、表題(参考になる表題名の例)、内容(どのような分析手法を使って作成するかも書かれている)、注意点(痒いところに届くような適切・簡明な要点が書かれている)、更にはページ数の目途まで書かれており、事業計画作成については極めて実戦的で、実務でも応用・活用できるものです。毎年の経営計画(予算管理)策定にも、応用したいですね。最初の年度は少し労力を要しますが、次年度からは軌道に乗り、経営改善の効果が明確になってくるでしょう。

【その他の「注目点」】

 上記以外にも、IPOについては、事前準備の段階から、費用も含め、体制作りなど、簡明に書かれており、一読に値します。IPOをしなくても、成人(IPO)企業と同等の信用を得るために、IPOの事前準備項目の何を取り入れたらよいか(コーポレートガバナンス、CSRなど)も理解できます。

 その他、「5S」、「ファイブフォース・分析」、「ブルーオーシャン戦略」、「キャズムとイノベーション理論」等についての実戦的図解や動態的図解は参考になります。詳しくは紹介本をお読みください。

経営については何時も「木と共に森」を見よう(むすび)

 紹介本は、経営戦略全般について、簡明且つ網羅的に書かれた著書と思います。経営者の皆さんにとって、コンサルタントにとって、自らの強みの分野についての、新たな視点を得るとともに、経営全般についても、「ここは注力しなければ」と視野を広げて見直す機会を与えてくれるのではないでしょうか。

 著書の表題は「・・・が10時間でわかる本」とありますが、このブログ・メルマガの読者の皆様の力をもってすれば、3~5時間で読了できます。楽しく読めて、実戦で使える本です。

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

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 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

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■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 「顧客消滅」時代のマーケティング コロナで初めて判ったこと

2021-07-27 12:03:00 | 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 「顧客消滅」時代のマーケティング コロナで初めて判ったこと 

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

本

■  今日のおすすめ

      『「顧客消滅」時代のマーケティング

―ファンから始まる「売れる仕組み」の作り方―』

                    (小阪 裕司著 PHPビジネス新書)

 

本

■  コロナショックは来るべき未来に備えるチャンス(はじめに)

 著者は、自身が運営する「ワクワク系マーケティング実践会」「オラクルひと・しくみ研究所(オラクルは“神託”の意)」を通じ、“人間が人間であることを生かし、企業を活かす”を理念とする“ワクワク系マーケティング”の実践を促進する活動をしています。(以下では“ワクワク系マーケティング”を“WWM”と呼称。)

 紹介本は、「WWM実践会」所属の会員企業が“WWM”の実践によりコロナショックでも売り上げを伸ばす成果を実現出来ている事を示すと共に、“WWM”の実践知化・仕組み化を深化しています

 それでは、コロナショックでも売り上げを伸ばした成功事例、コロナショックで発見した「売れる仕組み・実践知」を次項で見てみましょう。

 

本

■  コロナショックの成功体験からコロナ後を考える

 

【‟WWM”でコロナショックでの成功した事例】

 

―コロナショック下の2020年4月に「前年比+150%」を達成した高級レストラン―

 名古屋にあるコース料理専門の完全予約制レストランB店。Face Book等を通じ日頃から顧客と交流していました。2020年4月コロナショックで先々まで埋まっていた予約が一気に白紙になり、店主は「お客様は外食出来ないことにフラストレーションを溜めている筈」との思いに至りました。

 店を閉めているいる期間にじっくりと時間をかけて開発したのが「3000円の海苔弁当」と「8000円の高級弁当」でした。直ちにFace Book等を通じ「究極の弁当を作ります」と宣言。すると顧客から大量の応援メッセージが寄せられました。更に顧客との交流の中で、常連の書家の直筆を弁当の包み紙に書いてもらいました。

 こうして発売を始めると、爆発的な注文が入ったのです。終わってみれば4月の売り上げは「前年比+150%」になっていました。

 

―コロナショック下でコロナショック前と同じ好調を続けているハンバーグ店―

 愛知県蒲郡市ハンバーグレストランTは、3年間で1万人の「T大使」というファンクラブ会員を集めました。人口8万人の市で、1店舗しかないハンバーグレストランが集めた会員の凄さが判ります。会員を集める4年前、980円で前菜ビュフェやピザ、ドリンクバーをつけて夜遅くまで営業をしていました。お客さんはあまり来なかったそうです。

 ファンクラブ会員制にしてからは、ほぼ同じ商品を2000円~3000円で提供しています。品数も営業時間も減らしました。にも拘らず、4年前と比べ売り上げも利益も大きく伸びました。加えてコロナショックでも、ショック前と比べ全く影響なく商売が出来ています。ハンバーグ店の店主Mさんは、『4年前は「疲れ果て愉しくなかった」、でも今は「仕事が愉しくて仕方がない」』と言っています。店主Mさんは何をしたのでしょう。

 レストランTでは、「T大使」だけが使うことの出来る‟器や塩”が有ったり、「T検定」の制度を作り「ハンバーグ系の資格認定制度」に合格した人の名前を店内掲示したリ、顧客の調理法の提案を採用し人気の新しい商品を生み出したり、「T大使」だけの営業日を設け「ハンバーグイベント」を実施し大人気を得る等、「一見客」を「顧客」に育てる地道な行動を繰り返し、メニューを「共創」し、「心が豊かになる」「行きたくなる」‟場作り・時作り”をし、ファンを‟ファンダム(熱心なファンの集まり)”に創り上げていったのです。

 

【コロナで判った「売れる仕組み・実践知」とコトラー「マーケッティング4.0」との親和性】

 

 それでは紹介本が挙げている「売れる仕組み・実践知」を見てみましょう。その前に、面白い発見をご紹介します。それは、WWMの仕組み・実践知とコトラーの「マーケティング4.0」理論の親和性です。

WWMの究極の目標の“ワクワク”に対し、コトラーの「マーケティング4.0」の究極の目標はファン化で、そのための重要なことは“Wow !”であるとしている事です。“Wow!(言葉に出来ないほどの喜び)”と“ワクワク”の親和性に驚きました。

 両者の親和性から出発して更に追求して気付いたのは、「売れる仕組み・実践知」がコトラーの主張する究極の目標に至るマーケティング・ミックスの仕組みにぴったりとはまることです。

 つまり、従来の「4P(Product・Price・Place・Promotion)」に替わる「マーケティング4.0」時代の『4C』の仕組にぴったり当てはまるのです。『4C』の仕組みとは次の『4つのC』です。

 それでは、「売れる仕組み・実践知☆印」を『4つのC』に当てはめてみましたので、次の表記をご覧ください。

 

「製品・サービスは、顧客が製品開発に参加する『co-creation(共創)』で

『顧客との「共創」』が持続性を高める。「自分たちの提供価値」はモノではなくその先にある『‟愉しい”‟美しい”‟アートな”「価値」』であることの確認と行動。売れ続けるには「ブーム型」ではなく「ワクワク型」で。

 

「価格は、市場の需要や顧客のニーズなどにより変動する『currency(通貨)』

価格は「コストプラス」ではなく、提供価値から逆算し提供価値をいかに上げるか

を考える「バリュープラスアプローチ」で。

 

「流通チャネルは、顧客と接続性の高い『communal activation(共同活性化)』

繋がりのある「顧客リスト」を生かす。フローではなく「ストックの顧客」に支えられている。ストックの顧客から深化した「ファンダム」は活性化のエネルギー。「リアル」「オンライン」等々全てのチャネルの連携した活用を。☆「価値創造型サプライチェーン」の構築を。

 

「プロモーションは、企業と顧客が能動的に商業的価値を獲得することが

期待される『conversation(カンバゼーション)』

「心が豊かになる」「来たくなる」“時間作り”“場作り”‟雰囲気作り”を。もてなしの工夫で「気持ちの共有」を。「ラストワンマイル」を大切に。「感性で繋がる」が市場を育てる。

本

■  コロナショックは人口減少時代の先駆け(むすび)

 

 コロナショックで発見した‟ワクワク” “Wow !”マーケティングの仕組みは、これからの未来型の市場、人口減少時代の市場に於いても有効と確信できます。

 コロナショックに於ける経験を前向きに受け止め、更なる深化を図って行きましょう。

 

本

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  https://www.jmca.or.jp/member_meibo/2091/

  http://sakai-gm.jp/index.html

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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■■【経営コンサルタントのお勧め図書】マッキンゼーの「47原則」良きリーダーになるノウハウ 1611

2021-07-21 12:03:00 | 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】マッキンゼーの「47原則」良きリーダーになるノウハウ 1611

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

 『47原則-THE McKINSEY EDGE-』(服部 周作 著 プレジデント社)

■      良きコンサルタント、良きリーダーになるには(はじめに)

 紹介本は、著者がマッキンゼーに勤務した時の経験から、良きコンサルタント・良きリーダーになる為のノウハウは何かを、日々の活動の中で実施した有益なノウハウを、現場でメモをし、後で別のノートに整理したものの中からベスト47原則を選び、著書にしたものです。

 内容的には、普遍的と思われるものと、マッキンゼーに特有のものとに分かれると思います。47原則の中から普遍的と思われるベストスリー・原則を次項でご紹介します。皆さまのベストスリーと私の選んだベストスリーは違うかもしれませんね。皆さまが選ぶベストスリーはどれですか。

■      「47原則」の中から、私の選んだベストスリーはこれ!

【感謝の気持ちを言葉と態度で表す】

 47原則の27番目は、「メンバーはリソースではなく〝頼りになる個人〞と考える」という表題になっています。そのために次の4点が大切と述べています。①「レバレッジする(活かす)という意識を持つ:②辛い仕事を率先してやる:③メンバーに、「自分しかできない」ことをしてもらっているという気持ちを持たせる:④感謝の気持ちを言葉と態度で示す:

 著者のケースは、組織の中で、チームを組んだ時のケースとして書いています。リーダーとしての謙虚な態度、判っていても実際に出来ていますか。

 この原則は、コンサルタントがクライアントのファシリテーターとしてその機能を有効に果たすときにも、使える原則ですね。

【自分から話すより、聞き役に徹する】

 47原則の中の19番目がこの原則です。この原則は、皆さん〝その通り〞と思われるでしょう。しかし良い結果を出そうとすると、それなりの意図を持って臨まないと理屈だけで終わってしまいます。著者は優れた聞き手になるコツとして、次の3点を挙げています。①話題をコロコロ変えないこと。相手の話に心から興味を示し、掘り下げて!:②自分の無知を素直に認めること。知らないことがあれば、ためらわず認めよう。:③興味深いポイントを瞬間的にとらえ、簡潔な言葉でフォローアップしよう。

 どうですか3つのこと出来ていますか。これが出来るには、相手のことについて事前にしっかりと調査・研究をしておくことが大切でしょうね。

【ノーの代わりにイエスを使う】

 これは20番目の原則です。これも皆さん〝その通り〞と思われることですね。私は、 先輩から、〝クライアントの提灯持ちになるな〞と教わってきました。〝イエスを使おう〞ということと、〝提灯持ちになる〞ということとは全く違います。明らかにクライアントが間違ったことを言ったとき、〝なるほど〞と相ずちを打った後、何と言ったらよいのでしょう。著者は、「提案型の質問」をしなさいと言います。

 「提案型の質問」をし、いい流れを作れると思います。しかし、このいい流れを作るには、相手のことについての事前の調査・研究が大切なことは、皆さんもイエスと言って下さるでしょう。

■      「47原則」の教えること(むすび)

 「47原則」も参考になりますが、トータルとして著者から何を学ぶべきでしょう。それは著者も言っています。「自分の知識には限界がある」ことを認識し、「その限界を広げるため学び続ける」ことが必要と。更に「学んで思考し、思考して学ぶこのサイクルの繰り返しに楽しくなろう」と言います。加えて、そのサイクルを「書いたもので残そう」と言っています。

 エンドレスですね。でもこれが楽しくならないと、良いコンサルタント、良いリーダーにはなれないですね。そうです、楽しみながら仕事ができるなんて、なんと幸せな事でしょう。でもこれは苦しみに挑戦し、乗り越えていく中で得られるものです。頑張りましょう。

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 異文化注入と企業改革

2021-07-14 12:03:00 | 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 異文化注入と企業改革

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

 『日産驚異の会議―改革の10年が産み落としたノウハウ―』

(著者:漆原次郎 東洋経済新報社)

      外国人がトップになるということの意味(はじめに)

 1990年代日産自動車は、先行きに目処が立たない経営危機に陥っていました。そのような時、1999年3月に世間から驚きと興味を以って受け止められたニュースがありました。それはカルロス・ゴーンの日産自動車の最高責任者に就任するというニュースでした。それから10年以上を経た日産自動車は、グローバル販売台数420万台、連結営業利益率8%、実質有利子負債ゼロ実現、品質分野におけるリーダーとなる等の目標を掲げ、総じて目標どおりの結果をあげることができました。その後リーマンショックの影響を受け一時的に業績が下がりましたが、2015年度はグローバル販売台数550万台をはじめ、過去最高の業績(連結)を達成するとの決算予想です。

 これだけの結果を出せた背景に何があったのでしょう。大企業のみならず中小企業にとっても学ぶべき点があるはずと思い、本紹介本を採り上げました。

 結果を見事に出したカルロス・ゴーンは、成功のポイントをこのように語っています。「1999年当時の日産と、今の日産は異なります。現在の日産は、より柔軟で、クロスファンクショナルな会社です。今後も成功していくために求められる資質です」と。

 「柔軟」とは何か。本書からは、「適切な意思決定のできる(「意思決定の質」)、競合他社よりも迅速な意思決定ができる(「意思決定のスピード」)、以上の二つの意思決定を生み出す時間、手数、費用が適切である(「意思決定の労力」)という3つの意思決定の要素を実現する仕組みがあり、その仕組みが、固定化することなく発展・成長し続ける組織の細胞として機能している状態」と読み取れます。

 「クロスファンクショナル」とは何か。本書からは、「部分最適ではなく全体最適を常に求める仕組みになっていることである」と読み取れます。それは、「国内・海外、部門、グループ各社間、組織の上下など、グループの全てに亘り全体最適を浸透させ、仕組みとして機能させ続けていく強い覚悟」と読み取れます。

 また、カルロス・ゴーンは、更に次のように語っています。「もちろん、日産の場合も、日本の企業としての文化を持ち、日本で積み重ねてきた社史があり、管理職のほとんどは日本人です。それは現実です。しかし、これからのことを考えれば、そういったアイデンティティを保ったうえで、世界に扉を開き、常にグローバルな視点で最適な選択をしていける企業になっていかねばなりません」と。

 この発言も深い意味を持っています。それは、国籍や地域や文化、さらに性別や年齢や学歴や価値観といった様々な背景を持つ個々の人材が、意見を出し合いぶつかり合う中で創造的なアイデアを出していくことを目指しています。そのためにも仕組みが必要です。英語を共通言語にしただけでは、コミュニュケーションが深まりません。共通言語を超えたものをお互いに理解する必要があります。それは文化であったり、教養や価値観であったりします。

 これらのニーズに答えた仕組みの代表的なものが「日産の会議」でした。詳細なノウハウは本書を読んでいただきたいと思います。「日産の会議」の特徴的なことをいくつか次の項で書かせて頂きます。

      日産を変えた「日産の会議」とは

【クロスファンクショナルチームと「日産の会議」】

 クロスファンクショナルチームは「部門を横断したメンバーからなる9つのチーム」で成り立っています。9つは「事業の発展」「財務コスト」「研究開発」などです。このチームの特徴は「財務コスト」チームに、製造から一人、研究開発から一人といった具合に、部門横断的に組成されている事です。クロスファンクショナルチームはグループ全体のあらゆる問題を抽出し、これらの提案を実行に移し、日産リバイバル・プランとして機能させ結果に繋げて行ったのです。

 ここで大切な事は、「クロスファンクショナルチーム」が日産リバイバル・プランを実行に移した後に、実行後の荒削りの状態を整備し、取組まれていない問題点を見つけて解決をする役割を担ったのが「日産の会議」でした。「クロスファンクショナルチーム」と「日産の会議」は、車の両輪でした。

【「日産の会議」は「V-FAST」と「DECIDEチーム」の二つがある】

 「V-FAST」チームは、素早く解決策を出すべき問題・課題テーマについて、事前準備はしておきますが、その日に始まり、その日に結論を出します。「DECIDEチーム」は、大きな問題に対し1~3ケ月をかけて結論を出すチームです。日常業務を行いながら、その間に会議を入れていきますので、二つのチームとも、メンバーのスケジュール調整を事前にしっかりと決めておきます。

 その日に結論を出す為、また異なる文化や価値観を持ったメンバーの共通部分を創る為には、使うツール、議事次第、議事録の取り方(すべてデジカメで撮影し、議事録は作らない)などについての“標準化”が図られています。

【「日産の会議」のメンバー】

 メンバー構成は、解決する課題に応じた部門横断型のメンバーです。メンバーは、リーダー(課題達成責任者)、エキスパート又はファシリテーター(課題解決支援者)、パイロット(課題設定・解決方策立案責任者)、クルー(各部門の現場スタッフ)から構成されます。会議のポイントになるリーダー、エキスパート、ファシリテーター、パイロットについては実践を伴った真剣な研修がなされます。

【「日産の会議」には意思決定者は会議に出席しない】

 リーダー(意志決定者)は、「日産の会議」が始まった後30分後に来て、テーマについての質問をうけ、テーマの方向性を確実にして退席します。終了の1時間前再度登場し、40分で、決められた解決策・課題の採否を決定します。残りの20分はリーダーが退席し、残ったメンバーで会議の評価をし、次の会議に向けた改善提案をして解散です。メンバーの自由で創造的な意見が出やすいようさまざまな工夫がなされています。

      「日産の会議」から中小企業が学ぶもの(むすび)

「クロスファンクショナルチーム」・「日産の会議」から学ぶべきものが少なくとも二つあると思います。

 一つは、企業文化の検証、見直し、改革ではないでしょうか。「クロスファンクショナルチーム」・「日産の会議」は部門縦割り文化・部分最適文化を部門横断文化・全体最適文化に、年功序列文化を適所適材文化に変えました。この様に過去の悪いしがらみと決別し創造的・革命的変革が生み出す結果をイメージ(仮説・検証)し、実行に移すことが大切ではないでしょうか。

 二つ目は、あらゆる現場の自由で創造的な意見が公の会議の場で採り上げられる、意思決定の仕組みではないでしょうか。「クロスファンクショナルチーム」と両輪をなす「日産の会議」の果たした役割に注目したいと思います。荒削りな戦略を、実行性のある現場の戦術・実戦計画に練り直し、良い結果に繋げたことに大きな意味があると思います。

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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