■【日本庭園を知って楽しむ】5-09 自然風景式庭園 敷石 しきいし
若い頃からひとり旅が好きで、経営コンサルタントとして独立してからは、仕事の合間に旅をしたのか、旅行の合間に仕事をしたのかわかりませんが、カメラをぶら下げて【カシャリ! ひとり旅】をしてきました。
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旅のテーマは寺社や庭園めぐりです。
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日本には「日本庭園」と呼ばれる庭園だけではなく、「イングリッシュガーデン」など、海外の庭園形式をした庭園も多数あります。寺社を訪れたときに、想定していなかったところに、庭園を発見することがあります。
下手の横好きで、【カシャリ! ひとり旅】を続けていますが、その一環で訪れた庭園を順次紹介してまいりたいと思います。
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■■5 庭園を見る視点・要素 自然風景式庭園
庭園を鑑賞するにあたり、庭園を構成するものが、どの様な意味合いを持つのかを知っているのと、そうでないのとでは、鑑賞の度合いが大きく異なります。
ここでは、自然風景式庭園を構成するものについて、その鑑賞のための基本的な知識を持っておきたいと考えます。
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■5-09 敷石 しきいし
前項で紹介しました「苑路」ですが、そこに施された「敷石」について補足しておきます。
敷石は、露地を歩くために考案された、石材を用いた路の舗装のことで、苑路に変化をもたらせます。苑路で敷石と言いますと、単体で点々と置かれる「飛び石」を連想するでしょう。それに対して複数の石を集合させ、連結して、面を構成するのが「敷石」です。蛇足になりますが、飛び石の列の中間などに人が一人通れるほどの幅で短いスパンで作られた敷石のユニットを「延段(のべだん)」と呼びます。
加工した石を用いる切石敷、自然石をそのまま用いる玉石敷、加工石と自然石を交えた寄石敷があります。
切石敷には、四角い切石を用いるものに市松敷、短冊敷、煉瓦敷(れんがじき)、四半敷など、その組み合わせ方によって変化をつけられます。変形の切石を用いたものに亀甲敷、氷紋敷があります。玉石敷は霰敷(あられじき)ともいい、石が大きなものは大霰零(おおあられこぼし)、小さいものは小霰零(こあられこぼし)といいます。
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切石だけで構成されたものを「真」の敷石と呼んでいます。
日本庭園の世界には「真・行・草」という芸術概念があります。これは書道から派生したもので、書道の「真書(楷書)・行書・草書」を、他の芸術に置き換えたものです。日本の伝統的芸道すべてに影響を与えています。茶道・華道・俳句・建築などに加えて、武道の領域にさえ影響を与えているといわれています。
「真」=基本中の基本で、最も格式が高い
書道でいう「楷書」に相当する
「行」=基本を少しだけ自分流に崩した段階
書道でいう「行書」に相当する
「草」=基本を完全に自分流に崩して
独自の芸術領域に到達した段階
書道でいう「草書」に相当する
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『真行草』というのは、基本を身につけ、それをベースにして修行を重ねて次の芸道ステージに進化させ、最終的に自己確立して自分だけの芸道として、独自の表現法を構築するということと考えます。
つまり、常に輝き続けるためには、精進し、前に進み続けて行かないと退化し、色あせてしまうということでしょう。
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日本庭園における敷石の「真・行・草」とは、どの様なものなのでしょうか。上述の「真行草」に基づいて、みてみましょう。
「真」は、敷石の基本として、切石だけを用いる技法です。最も格式が高い基本のスタイルです。逆に画一的なイメージを感じます。
「行」は、基本を少しだけ自分流に崩した形ですので、作庭者の個性を加味して、切石だけではなく、自然石を混ぜた敷石造りです。「真」に比べて、ややくだけた感じになりますが、作庭者の個性が滲み出てきた敷石と言えます。
「草」は、作庭の道に長く携わり、独自の芸術領域に達した人が、その個性を活かして、自然石だけを用いて作庭します。その作品は、独自、オリジナリティある敷石といえます。
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①「真」の敷石の例
長方形の切石をずらして並べた「布敷(ぬのじき)」と呼ばれる形式をした敷石です。整然として規律があり、また清浄な雰囲気を持っています。
面白みには欠ける感じがしますが、格調の高さを感じられます。
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②「行」の敷石の例
真の敷石の基本である長四角の切石に、自然石を取り混ぜて組み合わせた、デザイン性ある敷石です。自然石の個性ある形や色を活かし、見た目にも美しく見えます。
規律と独自性が並存する「行」の敷石は、一般の人からの人気が高いそうです。海外のガーデナー達の間でも人気が高いのです。
起立性の中に、ある程度の自由度を持つところに、私達は感じるものがあるのでしょう。
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③「草」の敷石の例
敷石の概念に固執せず、自然石を思うがままに配する敷石造です。
食べ物のあられか、天から落ちてくるあられか解りませんが、角の取れた小石を敷き詰めた、桂離宮の御幸道の敷石は見事です。
そこを歩いてみますと、表面に平らな面を向けているのか、とても滑らかで歩きやすいです。
「草」は、何の縛りもなく、作庭者の創造性をフルに発揮して、形として昇華して作庭されます。長年の経験から生じる、発想力と表現力が結実してこそできる境地に入らないと作品にならないのではないでしょうか。
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(【Wikipedia】、宮元健次氏、重森完途氏・コトバンクを参照して作成)
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■ 日本を代表する庭園
都道府県別
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ユーチューブで視る 【カシャリ!庭園めぐりの旅】
写真集は、下記URLよりご覧いただくことができます。
静止画: http://www.glomaconj.com/butsuzou/meisho/indexmeisho.htm
映像: http://www.glomaconj.com/butsuzou/meisho/indexmovie.htm
【 注 】 映像集と庭園めぐりは、重複した映像が含まれています
若い頃からひとり旅が好きで、経営コンサルタントとして独立してからは、仕事の合間に旅をしたのか、旅行の合間に仕事をしたのかわかりませんが、カメラをぶら下げて【カシャリ! ひとり旅】をしてきました。
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旅のテーマは寺社や庭園めぐりです。
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日本には「日本庭園」と呼ばれる庭園だけではなく、「イングリッシュガーデン」など、海外の庭園形式をした庭園も多数あります。寺社を訪れたときに、想定していなかったところに、庭園を発見することがあります。
下手の横好きで、【カシャリ! ひとり旅】を続けていますが、その一環で訪れた庭園を順次紹介してまいりたいと思います。
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■■5 庭園を見る視点・要素 自然風景式庭園
庭園を鑑賞するにあたり、庭園を構成するものが、どの様な意味合いを持つのかを知っているのと、そうでないのとでは、鑑賞の度合いが大きく異なります。
ここでは、自然風景式庭園を構成するものについて、その鑑賞のための基本的な知識を持っておきたいと考えます。
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■5-07 荒磯(ありそ)と州浜(すはま)
日本庭園では自然の景を写すことが重要なテーマで、既述の通り、池泉は海の風景を理想として、それを模しています。作庭記には、池を海のようにするには、まず荒磯のように石を立てるべきであると記述されています。
浄土式庭園を見ますと毛越寺の大泉池に海辺の景色が写されているのがよく知られています。書院造系庭園としては、桂離宮庭園の松琴亭前に荒磯に似せた石組みが見られます。
荒磯と共に、海に見立てるためには「州浜(すはま、洲浜とも表記する)」をはずせません。日本各地の海や海岸線を模した池泉がつくられました。その際に、砂浜を表すために用いた手法が洲浜です。玉石をなだらかに敷き詰め、潮が引いて現れた浜を模しています。毛越寺の州浜は、荒磯と共によく知られています。
「桂離宮」では、州浜の岬がつくられ、先端に「岬灯籠」が立てられています。「仙洞御所(せんとうごしょ)」でも、繊細ながらも、伸びやかな州浜が見られます。
桂離宮 荒磯・洲浜 2000
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(【Wikipedia】、宮元健次氏、重森完途氏・コトバンクを参照して作成)
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