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【日本庭園を知って楽しむ】3-06 初心者のための知っておくべき分類 - 回遊式庭園

2024-09-22 17:03:00 | 【カシャリ!一人旅】 日本庭園を知る

 

  【日本庭園を知って楽しむ】3-06 初心者のための知っておくべき分類 - 回遊式庭園  

  若い頃からひとり旅が好きで、経営コンサルタントとして独立してからは、仕事の合間に旅をしたのか、旅行の合間に仕事をしたのかわかりませんが、カメラをぶら下げて【カシャリ! ひとり旅】をしてきました。

 旅のテーマは寺社や庭園めぐりです。

 *

 日本には「日本庭園」と呼ばれる庭園だけではなく、「イングリッシュガーデン」など、海外の庭園形式をした庭園も多数あります。寺社を訪れたときに、想定していなかったところに、庭園を発見することがあります。

 下手の横好きで、【カシャリ! ひとり旅】を続けていますが、その一環で訪れた庭園を順次紹介してまいりたいと思います。

 *

■■3 日本庭園の分類
 日本庭園は、一律ではなくいくつかに分類することができます。しかし、その分類法は、どのような視点で見るかによって分類方法が異なります。
 ここではいくつかの視点に分けて分類をします。

3-06 初心者のための知っておくべき分類 - 回遊式庭園

 回遊式庭園(かいゆうしきていえん、廻遊式庭園とも表記する)は、日本庭園の形式のひとつで、建物内から眺めるだけでなく,広大な庭の中を巡りながら、空間の展開を、回遊しながら鑑賞する庭園のことです。
 回遊式庭園は「寝殿造庭園」や「浄土式庭園」、「枯山水庭園」、「書院式庭園」などに分類される日本庭園にも見られ、これらの集大成ともいえます。
 園内を回遊する形式の庭園は日本以外にも存在しますが、回遊式庭園という語は主に日本庭園のみを指して用いられます。
 日本では建物内で履物を脱ぐ習慣から,中世の枯山水の庭園のように建物内から庭を眺めることを主眼とする庭も多く造られました。平安時代に入ると、貴族の庭は,寝殿の南に池をもち,回遊式庭園の要素を備えるようになりました。しかし,本格的な廻遊式庭園が出現したのは、江戸時代の大名庭園においてであると言っても良いでしょう。
 回遊式庭園は、室町時代における禅宗寺院や江戸時代においては大名により多く造営された形式です。

 最も一般的な形式は、池泉回遊式庭園(ちせんかいゆうしきていえん)と呼ばれるものです。大きな池を中心に配し、その周囲に園路を巡らしています。築山(つきやま:人工的に造った山)、池中に設けた小島、そこ結ぶ橋、白砂・名石など、せせらぎや滝などの伝統的な日本庭園の要素を持つことが一般的です。また、それらで各地の景勝などを再現することも多いです。このとき、原寸で再現することは不可能ですので、池や石などで風景を「縮景(しゅくけい:自然の風景を縮小して庭園内に作られたもの)」して表現することが多いです。
 園路の所々には、散策中の休憩所として、また、庭園を眺望する展望所として、茶亭、東屋(四阿)なども設けられます。庭園内を回遊する際、次々と景観が変化していくため、客人を楽しませることができるように造園されています。
 例えば、滝や水の流れを望めるエリアがあったり、四季の移り変わりを楽しむことができる植栽が植えられている場所があったりと、そのおもてなし方法はさまざまです。庭園を進んでいくと、予想もしなかった風景が現れ、異なる景色が次々と見えてくるため、飽きることなく回遊することができます。

 日本庭園には、回遊式庭園が多く、桂離宮がその代表的な存在と考えます。まだ、訪れたことがない方は、是非、桂離宮を訪れてみてはいかがでしょうか。ちなみに桂離宮邸園は、書院造廻遊式庭園に分類されることが多いです。
 それ以外の代表的な庭園を、【Wikipedia】をもとに、以下にご紹介しておきます。

代表的な回遊式庭園
      小石川後楽園(東京都文京区) - 特別史跡・特別名勝
      六義園(東京都文京区) - 特別名勝
      浜離宮恩賜庭園(東京都中央区) - 特別史跡・特別名勝
      兼六園(石川県金沢市) - 特別名勝
      一乗谷朝倉氏庭園(福井県福井市) - 特別史跡・特別名勝
      玄宮園(滋賀県彦根市) - 特別史跡・名勝
      桂離宮庭園(京都府京都市西京区) - 宮内庁管理
      鹿苑寺庭園(京都府京都市北区) - 特別史跡・特別名勝・世界遺産
      慈照寺庭園(京都府京都市左京区) - 特別史跡・特別名勝・世界遺産
      天龍寺庭園(京都府京都市右京区) - 史跡・特別名勝・世界遺産
      西芳寺庭園(京都府京都市西京区) - 史跡・特別名勝・世界遺産
      二条城二之丸庭園(京都府京都市中京区) - 史跡・特別名勝・世界遺産
      醍醐寺三宝院庭園(京都府京都市伏見区) - 特別史跡・特別名勝
      足立美術館庭園(島根県安来市)
      後楽園(岡山県岡山市北区) - 特別名勝
      栗林公園(香川県高松市) - 特別名勝
      識名園(沖縄県那覇市) - 特別名勝・世界遺産


(【Wikipedia】、重森完途氏・コトバンクを参照して作成)

■ 日本を代表する庭園        
      都道府県別    

 

 

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【 注 】 映像集と庭園めぐりは、重複した映像が含まれています


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【日本庭園を知って楽しむ】3-05 初心者のための知っておくべき分類 - 池泉庭園

2024-09-19 17:03:00 | 【カシャリ!一人旅】 日本庭園を知る

 

  【日本庭園を知って楽しむ】3-05 初心者のための知っておくべき分類 - 池泉庭園   

  若い頃からひとり旅が好きで、経営コンサルタントとして独立してからは、仕事の合間に旅をしたのか、旅行の合間に仕事をしたのかわかりませんが、カメラをぶら下げて【カシャリ! ひとり旅】をしてきました。

 旅のテーマは寺社や庭園めぐりです。

 *

 日本には「日本庭園」と呼ばれる庭園だけではなく、「イングリッシュガーデン」など、海外の庭園形式をした庭園も多数あります。寺社を訪れたときに、想定していなかったところに、庭園を発見することがあります。

 下手の横好きで、【カシャリ! ひとり旅】を続けていますが、その一環で訪れた庭園を順次紹介してまいりたいと思います。

 *

■■3 日本庭園の分類
 日本庭園は、一律ではなくいくつかに分類することができます。しかし、その分類法は、どのような視点で見るかによって分類方法が異なります。
 ここではいくつかの視点に分けて分類をします。

3-05 初心者のための知っておくべき分類 - 池泉庭園

 池泉庭園(ちせんていえん)は、池や泉を供えた庭園で、加えて水に関する風景物のある庭をさします。
 中国に起源を持つ池庭の雅称として、「林泉(りんせん)」も用いられますが、これは『懐風藻』に、この表現を見ることができます。飛鳥時代には、すでに日本でも用いていたようです。江戸時代には庭園の雅語として比較的よく用いられ、『都林泉名勝図会』(1799)の所載庭園から池庭に限らず枯山水も含め一般に庭園を表す用語でした。
 池泉庭園の主な目的は、特定の種または水生植物の多様性を収容、展示または伝播することです。庭園では、主に植物に焦点を当てています。観賞魚も付帯することがあり、この場合には、養魚池としての役割もあります。
 水の庭園の歴史は古く、古代ペルシャ式庭園も知られています。中国では、304年ごろの水上庭園で、ホウレンソウの栽培がなされていたという記録もあります。
 近代的な水ポンプが導入される以前は、水は園内だけの循環ではなく、川や湧水が水庭を迂回し、そこから農地や自然の水路に流れていることもありました。

 池泉庭園は、しばしば「池泉鑑賞式庭園」とか、「池泉廻遊式庭園」というように、他の分類と合わさった形で見ることができます。
 ヨーロッパなどでは、噴水と組み合わせることもあります。日本庭園では、滝がしばしば用いられます。

(【Wikipedia】、重森完途氏・コトバンクを参照して作成)

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【日本庭園を知って楽しむ】 3-4 初心者のための日本庭園分類法

2024-09-15 17:03:00 | 【カシャリ!一人旅】 日本庭園を知る

 

  【日本庭園を知って楽しむ】 3-4 初心者のための日本庭園分類法  

  若い頃からひとり旅が好きで、経営コンサルタントとして独立してからは、仕事の合間に旅をしたのか、旅行の合間に仕事をしたのかわかりませんが、カメラをぶら下げて【カシャリ! ひとり旅】をしてきました。

 旅のテーマは寺社や庭園めぐりです。

 *

 日本には「日本庭園」と呼ばれる庭園だけではなく、「イングリッシュガーデン」など、海外の庭園形式をした庭園も多数あります。寺社を訪れたときに、想定していなかったところに、庭園を発見することがあります。

 下手の横好きで、【カシャリ! ひとり旅】を続けていますが、その一環で訪れた庭園を順次紹介してまいりたいと思います。

 *

■■3 日本庭園の分類
 日本庭園は、一律ではなくいくつかに分類することができます。しかし、その分類法は、どのような視点で見るかによって分類方法が異なります。
 ここではいくつかの視点に分けて分類をします。

■ 3-04 初心者のための日本庭園分類法
 形式・分類を知るのは庭園鑑賞の最初の一歩といえます。
 次のレベルにアップグレードするには、庭園が持つ、性格、コンセプトごとに、その特質と言いますか、特徴的な技法を見つける知識や技を身に付けることです。

 日本庭園の分類について、既述の通り、3つの分類法に私なりの分類法を加えて説明しました。
 一つの庭園に対して、「観賞式」で「蓬莱式」の「枯山水庭園」といろんな言葉で説明されていますが、分類法が複数あることを押さえておくと、理解しやすいようです。

 形式・分類を知るというのは日本庭園鑑賞入門の第一歩です。
 次のレベルにアップグレードするには、庭園が持つ、性格、コンセプトごとに、その特質と言いますか、特徴的な技法を見つける知識や技を身に付けることと考えます。
 各々の庭園に特徴的な技法がどのように活かされているかを感じとることです。
 石組、地割、植栽といった庭園の要素の中にいろいろな手法があります。また、時代ごとに表現方法にも違いがありますので、訪れる度に何か新たな発見があることも興味深いところでもあり、庭園の奥深さともいえます。
 苔や花が有名な庭園だからといってそれだけ見て帰るのはもったいないです。

 私のような庭園初心者にとりましては、専門家による分類ではなんとなくしっくりこないような気がします。
 いますこし、ざっくりとした切り口がないものかと模索しています。現状では、現代作庭家のひとり、宮元健次氏の三分類が私にはありがたく感じられます。宮元氏の分類と重複する部分もありますが、私なりの庭園のみかたをご紹介します。
  ◇自然風景式庭園
  ◇枯山水庭園
  ◇露地庭園
 宮元氏による上記の分類にそれらの要素を複合的に組み合わせた作庭法として、大名庭園を私は追加して、ここで考察して参りたいと思います。また、大名庭園の追加と共に、自然風景式庭園をさらに次のように細分化して見て行きたいと考えています。
    ◇浄土式庭園
    ◇寝殿造系庭園
    ◇書院造系庭園
 また、枯山水庭園も安土桃山時代を境として、次の二つに分類して行きます。
    ◇山辺式枯山水庭園
    ◇平庭式枯山水庭園

 これらの分類と重複してしまいますが、次の形式の庭園名もしばしば耳にすると思います。
    ◇池泉庭園
    ◇廻遊式庭園
    ◇大名庭園

 初心者向け分類として紹介しましたが、これらは分類の視点が混在していますので、既述の通り重複したものとなってしまっていますことを、ご承知おきください。


(【Wikipedia】、重森完途氏・コトバンクを参照して作成)

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【日本庭園を知って楽しむ】 3-3  日本庭園の分類~どのように鑑賞するか

2024-09-12 17:02:00 | 【カシャリ!一人旅】 日本庭園を知る

 

  【日本庭園を知って楽しむ】 3-3  日本庭園の分類~どのように鑑賞するか  

  若い頃からひとり旅が好きで、経営コンサルタントとして独立してからは、仕事の合間に旅をしたのか、旅行の合間に仕事をしたのかわかりませんが、カメラをぶら下げて【カシャリ! ひとり旅】をしてきました。

 旅のテーマは寺社や庭園めぐりです。

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 日本には「日本庭園」と呼ばれる庭園だけではなく、「イングリッシュガーデン」など、海外の庭園形式をした庭園も多数あります。寺社を訪れたときに、想定していなかったところに、庭園を発見することがあります。

 下手の横好きで、【カシャリ! ひとり旅】を続けていますが、その一環で訪れた庭園を順次紹介してまいりたいと思います。

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■■3 日本庭園の分類
 日本庭園は、一律ではなくいくつかに分類することができます。しかし、その分類法は、どのような視点で見るかによって分類方法が異なります。
 ここではいくつかの視点に分けて分類をします。

■ 3-03 日本庭園の分類~どのように鑑賞するか
 「どのように鑑賞するか」による分類 としては、下記のような4種の分類についてお話します。鑑賞法による分類はこの3つとするのが通常ですが、ここでは露地庭園を吹きしています。
 多くの庭園は廻遊式庭園か観賞式庭園のどちらかに分類されます。これはどのように鑑賞するかによる分類です。この分類に関連して廻遊式・観賞式の2つと、さらに2つの用語を紹介します。

□ 観賞式庭園
□ 廻遊式庭園
□ 舟遊式庭園
□ 露地庭園

◆ 観賞式庭園
「観賞式庭園」というのは方丈や書院などの建物の中から鑑賞するタイプの庭園です。代表的な庭園として「頼久寺庭園」がしばしば挙げられます。
 建物の中から鑑賞というのにもいくつかあって、特定の一点から鑑賞する庭園は定視式、座ってみる庭園は座観式といったりします。
 観賞式庭園の一つに多賀大社奥書院庭園(滋賀県多賀町)が挙げられます。奥書院から観る庭園として造られています。たいていの観賞式庭園は観る建物と同じ高さを基準に造るものですが、この庭園は少し低い所に造られていて、見下ろして鑑賞するのが珍しい点です。

◆ 廻遊式庭園
 「廻遊式庭園」というのは、庭園内を歩きまわって様々な位置から観る庭園です。
 【 注 】 廻遊式庭園につきましては、別項を参照してください。

◆ 舟遊式庭園
 廻遊式庭園と同様にいろんなところから観る庭園ですが、歩かずに池に浮かべた舟から観る庭園は「舟遊式庭園」といいます。
 舟遊式庭園は平安時代まで貴族の邸宅などで造られていましたが、中世以後はほとんど造られてなく数も少ないです。舟遊式庭園の古い遺構として、京都の「大沢池」が有名です。

◆ 露地庭園
 「露地庭園」は、この分類に入れず3分類とすることが多いですが、ここに加えておきます。
 茶室まわりの庭園のことで、茶庭ともいいます。茶室へのアプローチの中で観る庭園です。

(【Wikipedia】、重森完途氏・コトバンクを参照して作成)

■ 日本を代表する庭園        
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【日本庭園を知って楽しむ】 3-2 日本庭園の分類~何を用いて表現しているか

2024-09-08 17:03:00 | 【カシャリ!一人旅】 日本庭園を知る


  【日本庭園を知って楽しむ】 3-2 日本庭園の分類~何を用いて表現しているか  

  若い頃からひとり旅が好きで、経営コンサルタントとして独立してからは、仕事の合間に旅をしたのか、旅行の合間に仕事をしたのかわかりませんが、カメラをぶら下げて【カシャリ! ひとり旅】をしてきました。

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 日本には「日本庭園」と呼ばれる庭園だけではなく、「イングリッシュガーデン」など、海外の庭園形式をした庭園も多数あります。寺社を訪れたときに、想定していなかったところに、庭園を発見することがあります。

 下手の横好きで、【カシャリ! ひとり旅】を続けていますが、その一環で訪れた庭園を順次紹介してまいりたいと思います。

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■■3 日本庭園の分類
 日本庭園は、一律ではなくいくつかに分類することができます。しかし、その分類法は、どのような視点で見るかによって分類方法が異なります。
 ここではいくつかの視点に分けて分類をします。

■ 3-02 日本庭園の分類~何を用いて表現しているか
 「何で表現しているか」による分類 (枯山水庭園/池泉庭園/築山林泉庭園 etc.)

 「枯山水庭園」という言葉はよく耳にすると思います。水を使わずに砂や石で水を表現するのが枯山水ですが、このように何を用いて表現されているかというのも日本庭園では重要です。
 この分類では、3つの分類用語を紹介します。

 □ 枯山水庭園
 □ 池泉庭園
 □ 築山林泉庭園

◆枯山水庭園
 もともとは水のないところに石を据えることを「枯山水(かれせんずい)」といっていたのですが、後に水を使わない庭園を指す言葉として「枯山水(かれさんすい)」が使われるようになりました。
 代表的な庭園として、「粉河寺庭園」(和歌山県紀の川市)があります。ちなみに、この庭園は、本堂前の段差に、通常は石垣を築きますが、ここでは、それを豪快な石組にした少々変わった庭園です。

◆池泉庭園
 枯山水と対照的なのが、水を使う庭園です。流水を使ったり、池に水を溜めたりと水の使い方にもいくつかあります。
 最も多いのが池に水をはる形式で、この形式の庭園を「池泉庭園」といいます。

◆築山林泉庭園
 江戸時代の大名庭園は、多くが大きな池を中心にした庭園です。大名庭園は、広い意味での「池泉庭園」に入るのですが、池の他に茶室・林・田園などいろんなものを有機的につなげたりすることが多く、このような庭園を「築山林泉庭園」と呼びます。これは、「築山泉水庭園」とも言われます。

(【Wikipedia】、重森完途氏・コトバンクを参照して作成)

■ 日本を代表する庭園        
      都道府県別    

 

 

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【日本庭園を知って楽しむ】 3-1 日本庭園の分類~何を表現しているかという視点

2024-09-04 17:03:00 | 【カシャリ!一人旅】 日本庭園を知る


  【日本庭園を知って楽しむ】 3-1 日本庭園の分類~何を表現しているかという視点  

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 日本には「日本庭園」と呼ばれる庭園だけではなく、「イングリッシュガーデン」など、海外の庭園形式をした庭園も多数あります。寺社を訪れたときに、想定していなかったところに、庭園を発見することがあります。

 下手の横好きで、【カシャリ! ひとり旅】を続けていますが、その一環で訪れた庭園を順次紹介してまいりたいと思います。

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■■3 日本庭園の分類
 日本庭園は、一律ではなくいくつかに分類することができます。しかし、その分類法は、どのような視点で見るかによって分類方法が異なります。
 ここではいくつかの視点に分けて分類をします。

■ 3-1 日本庭園の分類~何を表現しているかという視点
 「何を表現しているか」という視点で見てみましょう。
 「日本庭園は芸術作品である」というのが、重森完途氏のことばです。日本庭園をいる時には、まずは「何を表現しているのか」が重要です。庭園が全体として何を表しているかの分類として、重森完途氏は、以下の3つの用語で分類しています。
 □ 浄土式庭園
 □ 蓬莱式庭園
 □ 縮景式庭園

◆ 浄土式庭園
 浄土式庭園は、極楽浄土を表現した庭園で、阿弥陀仏信仰によって極楽浄土への往生を願う浄土思想に基づいています。
 池と阿弥陀堂をセットにして、大海を越えて浄土に至るという情景を表現した庭園です。平安後期から鎌倉時代にかけてよく造られています。有名な平泉の毛越寺庭園が、その代表的な庭園としてしばしば採り上げられます。
 毛越寺庭園の他には「白水阿弥陀堂境域庭園」(福島県いわき市)、「称名寺庭園」(神奈川県横浜市)、「浄瑠璃寺庭園」(京都府木津川市)、「平等院庭園」(京都府宇治市)などがあります。

◆蓬莱式庭園
 蓬莱式庭園は、蓬莱神仙思想に基づいた庭園で、中国の影響を非常に強く受けています。
 蓬莱神仙思想というのは、不老不死を願う道教的な思想です。不老不死の仙人が住む蓬莱山(蓬莱島)や、長寿の象徴である鶴や亀をモチーフにした島(鶴島、亀島)で構成されるのが蓬莱式庭園の特徴です。
 蓬莱山、鶴島、亀島を表す石組はいろいろな庭園に採り入れられますが、それらが主役となった庭園を「蓬莱式庭園」や「蓬莱形式の庭園」などといいます。
 代表的な庭園として、「頼久寺庭園」(岡山県高梁市)、「金地院庭園」(京都府京都市)、「安養院庭園」(兵庫県神戸市)などが挙げられます。

◆縮景式庭園
 浄土式庭園や蓬莱式庭園は想像上の景色を再現した庭園ですが、実在する景色を再現した庭園が縮景式庭園です。すなわち、前二者が宗教色を強く持ち、抽象性が高いのに対し、縮景式庭園は、写実性を持った具象性が高い庭園といえます。
 もともと縮景というのは、荒磯や州浜の景観などの自然景観の一般的なイメージを庭園内に縮小して再現する手法でしたが、桃山時代以降は実在する景勝地を模する手法として、いろいろな庭園で使われてきました。
 縮景で表現される対象としては、松島、天橋立、富士山、西湖(中国浙江省杭州市)などがあります。縮景の手法自体はいろんな庭園で使われていますが、主として縮景で構成される庭園を縮景式庭園といいます。
 縮景式庭園はあまり多くないですが、代表的なものとして「縮景園」(広島県広島市)、「松濤園」(福岡県柳川市)などがあります。

 3つの代表的な分類用語で紹介しましたが、全ての庭園がこのどれかに分類されるわけではありません。総合的な庭園もありますし、禅の思想に基づいた庭園のように、特に決まった言葉のない形式もあったりします。
(【Wikipedia】、重森完途氏・コトバンクを参照して作成)
        
■ 日本を代表する庭園        
      都道府県別    

 

 

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【日本庭園を知って楽しむ】 2-1 「庭園」という言葉の変遷 時代により異なるのですね

2024-09-01 17:03:00 | 【カシャリ!一人旅】 日本庭園を知る

 

  【日本庭園を知って楽しむ】 2-1 「庭園」という言葉の変遷 時代により異なるのですね

 

 

 若い頃からひとり旅が好きで、経営コンサルタントとして独立してからは、仕事の合間に旅をしたのか、旅行の合間に仕事をしたのかわかりませんが、カメラをぶら下げて【カシャリ! ひとり旅】をしてきました。

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 日本には「日本庭園」と呼ばれる庭園だけではなく、「イングリッシュガーデン」など、海外の庭園形式をした庭園も多数あります。寺社を訪れたときに、想定していなかったところに、庭園を発見することがあります。

 下手の横好きで、【カシャリ! ひとり旅】を続けていますが、その一環で訪れた庭園を順次紹介してまいりたいと思います。

■■2 日本庭園の歴史

 何ごとも、歴史や生い立ちを知りますと、そのものの本質のようなものが見えてくることが多いです。
 庭園も、変化の歴史を知ることにより、知識に幅が出ることもあり、奥深さを見出すことがあります。
 「面白みがない」という思いの方もいらっしゃると思いますが、上述のような理由で、私自身のために記述しておきます。

■ 2-1 「庭園」という言葉の変遷

 日本庭園というのは、自然と深いかかわりをもって、自然や四季の移ろいとともにつくられ、今日まで生き続けてきています。
 周囲を海に取り囲まれている日本の庭園は、その広大な海や湖沼を表現するために池泉を設けているところが多いです。中世のころには庭園のことを「園池(えんち)」というようになりました。『日本書紀』では「園」「苑(えん)」「囿(ゆう)」などが用いられています。
 庭園にあたることばに「前栽(せんざい/せんさい)」という言葉があります。「前栽」は奈良時代から鎌倉時代ころまで用いられていましたが、いったん途絶えてしまいました。
 江戸期に「林泉」という言葉が、「前栽」という用い方で、でてきます。
 このほか庭園を意味することばとしてわが国で用いられてきたものには、「坪」「池庭(ちてい)」「泉石(せんせき)」「山水(さんすい)」「仮山(かざん)」「枯山水(かれさんすい)」「石壺(いしつぼ)」「蓬壺(よもぎがつぼ)」「泉水(せんすい)」「水閣(すいかく)」「水石(すいせき)」「御庭(おにわ)」「御園(おその)」などがあります。(コトバンクをもとに作成)

        
■ 日本を代表する庭園        
      都道府県別    

 

 

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  ■ カシャリ! ひとり旅




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【日本庭園を知って楽しむ】 2-2 古代における庭園 古代でも庭園を愛でたのでしょうか

2024-08-25 17:03:00 | 【カシャリ!一人旅】 日本庭園を知る

 

  【日本庭園を知って楽しむ】 2-2 古代における庭園 古代でも庭園を愛でたのでしょうか

 

  若い頃からひとり旅が好きで、経営コンサルタントとして独立してからは、仕事の合間に旅をしたのか、旅行の合間に仕事をしたのかわかりませんが、カメラをぶら下げて【カシャリ! ひとり旅】をしてきました。

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 日本には「日本庭園」と呼ばれる庭園だけではなく、「イングリッシュガーデン」など、海外の庭園形式をした庭園も多数あります。寺社を訪れたときに、想定していなかったところに、庭園を発見することがあります。

 下手の横好きで、【カシャリ! ひとり旅】を続けていますが、その一環で訪れた庭園を順次紹介してまいりたいと思います。

■■2 日本庭園の歴史

 何ごとも、歴史や生い立ちを知りますと、そのものの本質のようなものが見えてくることが多いです。
 庭園も、変化の歴史を知ることにより、知識に幅が出ることもあり、奥深さを見出すことがあります。
 「面白みがない」という思いの方もいらっしゃると思いますが、上述のような理由で、私自身のために記述しておきます。

■ 2-2 古代における庭園
 古代における庭園は、個人や公共の景観のなかにおける、芸術や自然を通じた景観に配慮した美の表現、文明生活における趣向や様式の展示、個人的あるいは文化的哲学の表現、そして時には個人の社会的地位や愛国心の顕示として見なされていと、私達の想像以上の状況だったようです。
 庭園の歴史は、紀元前1万年ごろに始まり、最初の庭園の具体的な詳細は不明ですが、歴史家らは最初の囲いが動物や略奪者を排除するための、一種の障壁であったようです。
 庭園の造成と設計は、造園術の先駆けであり、西アジアで芽吹いた後には西へ向かい、ギリシャ、スペイン、ドイツ、フランス、イギリスへと広がりました。
 日本の古代の庭園は神祀り・遊宴の場にその起源が求められるように、いわば外部性と触れあう場・交通の場としての構造を持っていましたが、古代日本が東アジアにおける小帝国を志向する過程で、政治的・文化的装置としての機能を果たすことになってきたようです。

 古代の人々は、大自然は神仏が作ったものとしています。それに対して、庭は、神仏に捧げるものという位置づけです。
 『万葉集』に、「庭なかの 阿須波(あすは)の神に 小柴(こしば)さし 吾(あれ)は いははむかへりくまでに」(第4350歌)などと、「庭」という言葉がしばしば出てきます。「庭」は、家の前の開けた所で、神を祀(まつ)る場所、斎庭(ゆにわ)(忌庭)とよばれています。隅に梅や橘が植えられていることが多かったのです。
 現在のような意味での庭は「シマ」とよばれ、この「シマ」は、離れた地であり、別世界を意味しました。この場合、島を取り巻く池は海の象徴で、池と島が日本の庭の原型なのです。
 古代、神々は天空から地上の高い所に降臨すると信じられていました。その際に、大きな枝ぶりのよい木とか大きな石に神が来臨すると考えられたのです。日本の庭園が、みごとな石組みを特色のひとつとするのは、このことに由来するのです。(出典:コトバンク[重森完途])

*      
■ 日本を代表する庭園        
      都道府県別 

 

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【日本庭園を知って楽しむ】 2-3 弥生・飛鳥時代の庭園 記録はなくても推測できる

2024-08-18 17:03:00 | 【カシャリ!一人旅】 日本庭園を知る


  【日本庭園を知って楽しむ】 2-3 弥生・飛鳥時代の庭園 記録はなくても推測できる


 若い頃からひとり旅が好きで、経営コンサルタントとして独立してからは、仕事の合間に旅をしたのか、旅行の合間に仕事をしたのかわかりませんが、カメラをぶら下げて【カシャリ! ひとり旅】をしてきました。

 旅のテーマは寺社や庭園めぐりです。

 日本には「日本庭園」と呼ばれる庭園だけではなく、「イングリッシュガーデン」など、海外の庭園形式をした庭園も多数あります。寺社を訪れたときに、想定していなかったところに、庭園を発見することがあります。

 下手の横好きで、【カシャリ! ひとり旅】を続けていますが、その一環で訪れた庭園を順次紹介してまいりたいと思います。

■■2 日本庭園の歴史

 何ごとも、歴史や生い立ちを知りますと、そのものの本質のようなものが見えてくることが多いです。
 庭園も、変化の歴史を知ることにより、知識に幅が出ることもあり、奥深さを見出すことがあります。
 「面白みがない」という思いの方もいらっしゃると思いますが、上述のような理由で、私自身のために記述しておきます。
■ 2-3 弥生・飛鳥時代の庭園
 弥生・飛鳥時代の庭園についても、具体的な記録が残っていません。しかし、当時の日本の庭園は、神祀り・遊宴の場にその起源が求められるように、いわば外部性と触れあう場、交通の場としての構造を持っていました。古代日本が東アジアにおける小帝国を志向する過程で、政治的・文化的装置としての機能を果たすことになってゆきます。

 以下、重森完途氏の論文を要約しました。

 弥生後期から飛鳥(あすか)時代にかけて現れるのが神池(しんち)・神島(しんとう)です。これも祖霊崇拝や土地の守護神の祭祀と深いかかわりがあり、広い池に島々が点在する形態は庭園のようにみえます。
 それ故、海と島は神として崇(あが)められ、海や島を再現して神を祀ったのです。
 現存する神池・神島は、後世の庭園・池泉の中島(なかじま)に相当する神島の数、配置、形態などにより、次の四系統に分類できます。
 神池・神島よりやや時代が下って、古代の宮居における池と島のあり方を示したものに、池心(いけごころ)と瑞籬(みずがき)があります。『日本書紀』巻四の孝昭(こうしょう)天皇元年秋7月の条に池心宮の記述があり、同書巻五の崇神(すじん)天皇3年の条には瑞籬宮の記があります。池心宮とは、池泉の中央に中島を置いた形態で、池の中心点の島にある宮居という意味です。
 現存する出雲系の神池・神島は、いずれも池心や瑞籬のような構えをみせていて、出雲系の神島に祀られている神々は磐座や磐境である事実も注目すべきといえます。

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【日本庭園を知って楽しむ】 2-4 奈良時代の庭園 都市計画の一環で大規模庭園

2024-08-11 17:03:00 | 【カシャリ!一人旅】 日本庭園を知る

 

  【日本庭園を知って楽しむ】 2-4 奈良時代の庭園 都市計画の一環で大規模庭園

 

  若い頃からひとり旅が好きで、経営コンサルタントとして独立してからは、仕事の合間に旅をしたのか、旅行の合間に仕事をしたのかわかりませんが、カメラをぶら下げて【カシャリ! ひとり旅】をしてきました。
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 旅のテーマは寺社や庭園めぐりです。

 日本には「日本庭園」と呼ばれる庭園だけではなく、「イングリッシュガーデン」など、海外の庭園形式をした庭園も多数あります。寺社を訪れたときに、想定していなかったところに、庭園を発見することがあります。
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 下手の横好きで、【カシャリ! ひとり旅】を続けていますが、その一環で訪れた庭園を順次紹介してまいりたいと思います。

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■■2 日本庭園の歴史

 何ごとも、歴史や生い立ちを知りますと、そのものの本質のようなものが見えてくることが多いです。
 庭園も、変化の歴史を知ることにより、知識に幅が出ることもあり、奥深さを見出すことがあります。
 「面白みがない」という思いの方もいらっしゃると思いますが、上述のような理由で、私自身のために記述しておきます。

■ 2-4 奈良時代の庭園
 奈良時代には、都の計画に合わせて大規模な庭園が造られました。自然の形をした池を造り、そこに注ぐ水の流れを川や滝として再現しています。また、石をありのままの形で用いるようになりました。私たちのイメージする「日本庭園」らしさが誕生するのは、この時代からになるといえます。

 以下、重森完途氏の論文をもとにまとめてみました。

 『日本書紀』によれば、推古(すいこ)天皇(在位593~628)のとき蘇我馬子(そがのうまこ)が飛鳥川のほとりに臣下として初めて池泉をつくり島をつくったと記述されていますこのことは当時話題となり、人々は彼を嶋大臣(しまのおとど)とよんだと記されていることからも話題の大きさを推測できます。それはまた、「庭園」に対する関心の高まりともいえます。
 同じ「推古紀」に、庭造りの路子工(みちこのたくみ)が渡来し須弥山(しゅみせん)をつくったという既述もあるそうです。
 法隆寺五重塔の内部に須弥山をかたどったものがあります。『続日本紀(しょくにほんぎ)』に、宮殿の南西に新しく池亭をつくり曲水の宴を催したとも記述があります。
 園城寺(おんじょうじ)園池、薬師寺竜宮池庭を始め、奈良時代になると多くの園池がつくられましたが、残念ながら現存していません。『万葉集』にも当時の数々の池庭が歌われています。
これらの園池は、神池・神島から発展して、庭園としての形をみせ始めたと推察されます。しかし、反面、広大なわりには粗放なものだったと推察されます。庭園としての景観を重視して設計整備された、優美で本格的な庭園が出現してくるのは平安時代に入ってからのようです。

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【日本庭園を知って楽しむ】 2-5 平安時代の庭園 今日の日本庭園の原点

2024-08-05 17:03:00 | 【カシャリ!一人旅】 日本庭園を知る


  【日本庭園を知って楽しむ】 2-5 平安時代の庭園 今日の日本庭園の原点   


 若い頃からひとり旅が好きで、経営コンサルタントとして独立してからは、仕事の合間に旅をしたのか、旅行の合間に仕事をしたのかわかりませんが、カメラをぶら下げて【カシャリ! ひとり旅】をしてきました。

 旅のテーマは寺社や庭園めぐりです。

 日本には「日本庭園」と呼ばれる庭園だけではなく、「イングリッシュガーデン」など、海外の庭園形式をした庭園も多数あります。寺社を訪れたときに、想定していなかったところに、庭園を発見することがあります。

 下手の横好きで、【カシャリ! ひとり旅】を続けていますが、その一環で訪れた庭園を順次紹介してまいりたいと思います。

■■2 日本庭園の歴史

 何ごとも、歴史や生い立ちを知りますと、そのものの本質のようなものが見えてくることが多いです。
 庭園も、変化の歴史を知ることにより、知識に幅が出ることもあり、奥深さを見出すことがあります。
 「面白みがない」という思いの方もいらっしゃると思いますが、上述のような理由で、私自身のために記述しておきます。

■ 2-5 平安時代の庭園 今日の日本庭園の原点
 既述の通り、日本庭園が庭園らしくなるのは平安時代に入ってからのようです。
 平安時代の日本庭園は、浄土式庭園と呼ばれる形式が主流でした。この庭園形式は、仏教の浄土思想に影響を受け、極楽浄土の世界を再現しようとしたものです。主に寺院建築物の前に園池が広がるという形をとっていました。
 浄土式庭園は、自然風景式庭園に分類され、寝殿造り形庭園、書院造り庭園とともに、日本庭園の三大形式の一つとする学者も多いようです。
 浄土式庭園は、庭園の中心に園池を設け、その周囲に石組みや橋、中島などを配置し、極楽浄土を表現しています。また、庭園の周囲には、樹木や草花を植え、四季折々の自然の美しさを表現するようになりました。(重森完途氏・コトバンクを参照して作成)


 重森完途氏による平安時代の庭園概況文を要約しますと、以下のようになります。


 景観を主体に庭をつくり、舟遊びの面を強調し、さらに滝を落とし、流れとしての遣り水(やりみず)を整備して、優美な眺めをみせた庭園ができあがるのは平安期に入ってからです。
 平安期の庭園は、作庭家が各地の名所や風情ある場所を参考にしながら、作家独自の心象風景をわかりやすく、具象的に表現したものが多かったようです。すなわち寝殿造り庭園では、全体の意匠、つまり地割りは同じようにみえても、洲浜や洲崎の形、築山や野筋の規模・形、あるいは滝の規模、水の落とし方、池泉護岸の石組みの形、三尊石組みの規模、植栽の配置、島の大きさと数、干潟線(汀(みぎわ))の意匠など、さまざまに変化させて作庭したのです。
 これら大和絵に描かれた日本の四季絵、名所絵、あるいは月々の行事を描いた月次(つきなみ)絵が作庭の参考にされ、新しい庭園の意匠として採用されるようになりました。
 今日では、平安期にできた池泉の多くは荒廃してしまい、現存しているのは少ないです。現存するものに、京都の大沢池庭、渉成(しょうせい)園、平等院鳳凰(ほうおう)堂池庭、勧修寺(かじゅうじ)池庭、積翠園(しゃくすいえん)池庭、岩手県の毛越寺(もうつうじ)池庭、静岡県の摩訶耶寺(まかやじ)池庭などがあり、いずれも舟遊式の池庭です。

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【日本庭園を知って楽しむ】 2-6 鎌倉時代の庭園 浄土式庭園が主流

2024-07-29 17:03:00 | 【カシャリ!一人旅】 日本庭園を知る


  【日本庭園を知って楽しむ】 2-6 鎌倉時代の庭園 浄土式庭園が主流


 若い頃からひとり旅が好きで、経営コンサルタントとして独立してからは、仕事の合間に旅をしたのか、旅行の合間に仕事をしたのかわかりませんが、カメラをぶら下げて【カシャリ! ひとり旅】をしてきました。

 旅のテーマは寺社や庭園めぐりです。
 日本には「日本庭園」と呼ばれる庭園だけではなく、「イングリッシュガーデン」など、海外の庭園形式をした庭園も多数あります。寺社を訪れたときに、想定していなかったところに、庭園を発見することがあります。

 下手の横好きで、【カシャリ! ひとり旅】を続けていますが、その一環で訪れた庭園を順次紹介してまいりたいと思います。
■■2 日本庭園の歴史
 何ごとも、歴史や生い立ちを知りますと、そのものの本質のようなものが見えてくることが多いです。
 庭園も、変化の歴史を知ることにより、知識に幅が出ることもあり、奥深さを見出すことがあります。
 「面白みがない」という思いの方もいらっしゃると思いますが、上述のような理由で、私自身のために記述しておきます。

■ 2-6 鎌倉時代の庭園 浄土式庭園が主流
 鎌倉時代の日本庭園は、いくつかの特徴を持っているといえます。
 浄土式庭園が主流で、寺院の前に極楽浄土を表現する園池や石組みを配置する形式が挙げられます。
 禅宗の影響を受け、中国から渡来した僧侶や石立僧と呼ばれる作庭の専門家が活躍した時代といえます。
 蘭渓道隆や夢窓疎石などの名僧が作庭した庭園が多く、龍門瀑や枯山水などの新しい様式が登場しました。京都・天竜寺や信州・光前寺(長野県駒ヶ根市)の滝石組がその例です。
 作庭記という日本最古の作庭書が書かれ、庭づくりの思想と技術が体系化された時代です。(重森完途氏・コトバンクを参照して作成)

 重森完途氏による平安時代の庭園概況文を要約しますと、以下のようになります。

 初期には舟遊式のものが作庭されていましたが、やがて舟遊びと回遊を兼ねた形式(西芳(さいほう)寺、鹿苑(ろくおん)寺)から回遊のみの庭園(南禅院)へと移行してゆきます。池泉の形にも、二つの池を結んだ一種の瓢(ふくべ)形の池泉(西芳寺、知恩院)が現れました。
 平安期から鎌倉期の庭園は、平面の地割りをとくに重視し、幾何学的・有機的に整然とした地割りをしていますが、これを高所から俯瞰(ふかん)することによって、さらに平面的美観に俯瞰的に見た立体構成による美観を加えるようになってきました。鹿苑寺・金閣のように、楼閣を設け、2階・3階からの俯瞰的観賞を重視しました。
 建築では書院造りが現れ、それに対応して回遊式庭園が多くつくられるようになりました。石組みも平安期の優美さが消え、時代相を反映して豪健さが好まれるようになります。
 新しい庭園に対する意欲もみられ、作庭家阿波阿闍梨静空(あわあじゃりせいくう)の弟子静玄は、鎌倉の二階堂に高さ3メートル余もある石組みを立て、建久(けんきゅう)3年(1192)8月24日、源頼朝(よりとも)も見物に出かけたことが『吾妻鏡(あづまかがみ)』に記されているほどです。
 平安期に造園の参考とされた大和絵の影響に加えて、中国から来朝した禅僧蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)らの意匠が加わり、竜門の滝の様式が生まれました。京都・天竜寺や信州・光前寺(長野県駒ヶ根市)の滝石組がその例です。(重森完途氏・コトバンクを参照して作成)

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【日本庭園を知って楽しむ】 2-7 室町時代の庭園 禅宗の影響が強い

2024-07-21 12:03:00 | 【カシャリ!一人旅】 日本庭園を知る

 

  【日本庭園を知って楽しむ】 2-7 室町時代の庭園 禅宗の影響が強い   

  

  若い頃からひとり旅が好きで、経営コンサルタントとして独立してからは、仕事の合間に旅をしたのか、旅行の合間に仕事をしたのかわかりませんが、カメラをぶら下げて【カシャリ! ひとり旅】をしてきました。

 旅のテーマは寺社や庭園めぐりです。

  日本には「日本庭園」と呼ばれる庭園だけではなく、「イングリッシュガーデン」など、海外の庭園形式をした庭園も多数あります。寺社を訪れたときに、想定していなかったところに、庭園を発見することがあります。

 下手の横好きで、【カシャリ! ひとり旅】を続けていますが、その一環で訪れた庭園を順次紹介してまいりたいと思います。

■■2 日本庭園の歴史

 何ごとも、歴史や生い立ちを知りますと、そのものの本質のようなものが見えてくることが多いです。
 庭園も、変化の歴史を知ることにより、知識に幅が出ることもあり、奥深さを見出すことがあります。
 「面白みがない」という思いの方もいらっしゃると思いますが、上述のような理由で、私自身のために記述しておきます。

■ 2-7 室町時代の庭園 禅宗の影響が強い
 室町時代の日本庭園は、禅宗の思想との結びつきが非常に強くプライベートな性格を持ちます。
 12世紀の末,宋より禅宗が伝えられ、同時に禅宗寺院の様式や庭園も入って来ました。 13世紀の初めには、建立された庭園が公家の別荘のように使われるようになりました。大きな池を中心に多くの御堂と住宅が配置された形式で、14世紀の末には、将軍足利義満が、金閣寺を建立し、北山殿と呼ばれたことは知られています。
 庭園は、禅の修行の場としても用いられることがありますので、山奥に位置する禅寺に造られたり、お寺の境内の中でも奥まった場所に作られたりすることが多いです。

 宋から入って来た禅宗・禅様式庭園は、日本的に昇華され,定着するようになりました。この中心人物が、夢窓国師(夢窓疎石)です。夢窓国師は、自然を愛好し、行くさきざきに名園をつくってきました。
 例えば、苔寺として知られる西芳寺の庭は、禅宗の世界観で構成された傑作であるといわれています。この庭園が以後の庭園に与えた影響は測り知れないほどです。
 一般的には、日本庭園の構成として、水を中心とした造りを中心にすることが多いです。その上に、土地の起伏を生かして築山を築くことも多いです。それに加えて、自然石としての庭石や草木を配し、四季折々に観賞できる景色を造型するのが一般的でした。
 また、池や流れを渡る通路には太鼓橋、飛び石、まれに八ツ橋などが使われています。庭園内には灯籠、東屋(あずまや)、茶室なども配置されるました。
 それに対して室町時代は、枯山水の庭園が多いです。岩や砂利などを配置することによって、そこにはない水の流れなどを想像させます。このように象徴性をもつ庭園スタイルがこの時代に考案されたのです。
 室町幕府八代将軍足利義政が、箱庭を作るのが趣味であったというのは有名な話ですが、その影響です。(重森完途氏・コトバンクを参照して作成)

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【日本庭園を知って楽しむ】 2-8 安土桃山時代の庭園 築山・自然石に草木を配する

2024-07-15 12:03:00 | 【カシャリ!一人旅】 日本庭園を知る


  【日本庭園を知って楽しむ】 2-8 安土桃山時代の庭園 築山・自然石に草木を配する   


 若い頃からひとり旅が好きで、経営コンサルタントとして独立してからは、仕事の合間に旅をしたのか、旅行の合間に仕事をしたのかわかりませんが、カメラをぶら下げて【カシャリ! ひとり旅】をしてきました。

 旅のテーマは寺社や庭園めぐりです。

 日本には「日本庭園」と呼ばれる庭園だけではなく、「イングリッシュガーデン」など、海外の庭園形式をした庭園も多数あります。寺社を訪れたときに、想定していなかったところに、庭園を発見することがあります。

 下手の横好きで、【カシャリ! ひとり旅】を続けていますが、その一環で訪れた庭園を順次紹介してまいりたいと思います。

■■2 日本庭園の歴史
 何ごとも、歴史や生い立ちを知りますと、そのものの本質のようなものが見えてくることが多いです。
 庭園も、変化の歴史を知ることにより、知識に幅が出ることもあり、奥深さを見出すことがあります。
 「面白みがない」という思いの方もいらっしゃると思いますが、上述のような理由で、私自身のために記述しておきます。

■ 2-8 安土桃山時代の庭園 築山・自然石に草木を配する
 15世紀の後半には、茶庭が発生します。京都や大阪・堺の町衆の間から「下々のたのしみ」として、茶の湯が流行してきました。茶を飲み茶器を鑑賞しあうことで、主客の融合をはかりました。千利休の晩年にいたって、草庵風の茶は完成されましたが、田園的・山間的情趣を表現の主題とし、茶室は農家の藁屋を、茶庭は山寺への道の趣を表そうとしたのです。植木は、山にある常緑樹を用い、剪定など、人の手の入ることは最もいましめられました。里にある木も植えず、人工を避け、できるだけ自然に、山の趣を出そうとしたのです。
 茶庭の骨組みをつくっているのは、飛び石と手水鉢(ちようずばち)です。のちには、石灯籠が夜の茶会の照明として据えられるようになります。茶庭に使われる手水鉢や灯籠は、新しくつくるよりは既存のものが好まれたのは、できるかぎり「自然」という考え方に基づいています。廃絶や改修で不要になった橋脚や墓石などが用いられました。長いあいだ風雨にさらされていると風化して苔が生え、そのわびた姿が好まれたのです。
 茶庭はまた露(路)地ともいわれ、茶室への「みち」を意味しています。露地は茶室への道のことで、飛び石をつたって歩くようにできています。あくまでも歩くための庭であって、見る要素は少なかったといえます。
 町衆の人々にはぐくまれた茶の湯が、利休の弟子の古田織部や小堀遠州のような武将の手に移るころには、かなり内容が変化してきます。
 露地は,広い大名屋敷内につくられた関係もあって広くなりました。大きな露地は途中に垣根を一つ二つつくって変化をつくり、見る要素が強くなってきました。平庭に近かった露地に、築山を設け、流れや池までもつくり、また石灯籠が重要な見どころとなってきたのです。

 安土桃山時代の日本庭園は、室町時代の庭園に比べて、より豪華で華麗な様相を呈していました。
 戦国武将や大名が庭園文化をリードし、城郭庭園が盛んに造られた時代です。その影響から石組みなどは、質実剛健さと華麗さを併せ持っています。
 多くの武将や大名が築城技術に通じていただけではなくは土木・建築・造園の知識を備えていました。また、それらに通じたブレーンを持つこともありました。
 安土桃山時代の庭園は、水を重視し、土地の起伏を生かす築山を築き、自然石としての庭石や草木を配し、四季折々に観賞できる景色を造型するのが一般的でした。
 池には、太鼓橋、飛び石、八ツ橋など、庭園内には灯籠、東屋(あずまや)、茶室なども配置されることが多かったのです。
 織田信長が足利義昭のためにつくった二条旧庭園(現存せず)や、朝倉義景の越前一乗谷館址の諸庭が代表的です。粉河寺(和歌山)、名古屋城二の丸・三の丸、松尾神社(滋賀)、徳島の阿波国分寺、千秋閣などもあります。(重森完途氏・コトバンクを参照して作成)

 寝殿造り風な庭園の伝統や書院庭の石組みの流れと変化して来た茶庭が融合してきました。この変化に立った人物が小堀遠州であり、庭園としては桂離宮の庭園です。
 織部や遠州の茶は,利休の茶にくらべると作意が強いといわれます。利休が作意をも自然らしさの中に含みこもうとしたのに対し、織部は作意を表面に押し出したのです。織部は飛び石や畳石を打つとき、大ぶりなもの、しかも自然にあまり見られない、「異風なもの」といえるようなものを探し求めたのです。それまでは、飛び石には小さい丸石を使っていました。それを、切石の、しかも大きいものを好んで使いました。なかでも織部が考案したと伝えられる織部灯籠は、織部の作風を強く感じさせます。
 遠州は織部の作風を受け継ぎ、発展させました。織部の作意が主として陶器の方に向けられたのに対し、遠州は建築と造園に集中しました。遠州の著しい特徴は、庭園に直線を導入したことです。桂離宮の輿寄(みこしよせ)の「真の飛び石」が遠州好みを代表する一つとして伝えられています。種々な形の切石を組み合わせた大きな畳石と、正方形の切石を配置した空間構成は、それまでには見られないものです。直線に使った長い畳石は、桂離宮内の諸所に見られます。特に松琴亭前の反りのない石橋(切石)は、圧巻と多くの人が感じます。

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【日本庭園を知って楽しむ】 2-9 江戸時代の庭園 作庭の小型化、定型化が進む

2024-07-08 12:03:00 | 【カシャリ!一人旅】 日本庭園を知る

 

  【日本庭園を知って楽しむ】 2-9 江戸時代の庭園 作庭の小型化、定型化が進む

 

  若い頃からひとり旅が好きで、経営コンサルタントとして独立してからは、仕事の合間に旅をしたのか、旅行の合間に仕事をしたのかわかりませんが、カメラをぶら下げて【カシャリ! ひとり旅】をしてきました。

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 日本には「日本庭園」と呼ばれる庭園だけではなく、「イングリッシュガーデン」など、海外の庭園形式をした庭園も多数あります。寺社を訪れたときに、想定していなかったところに、庭園を発見することがあります。

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■■2 日本庭園の歴史

 何ごとも、歴史や生い立ちを知りますと、そのものの本質のようなものが見えてくることが多いです。
 庭園も、変化の歴史を知ることにより、知識に幅が出ることもあり、奥深さを見出すことがあります。
 「面白みがない」という思いの方もいらっしゃると思いますが、上述のような理由で、私自身のために記述しておきます。

■ 2-9 江戸時代の庭園 作庭の小型化、定型化が進む
 寛永以後、江戸時代全般を通じて、大きな変革はみられず、舟遊びや回遊を兼ねた池泉に茶亭や露地も付設され、これまでの作庭の集大成的表現に終始した時代といえます。
 17世紀の初め、徳川政権による、諸大名を統制するための参勤交代制度は、大名たちが江戸と領国の両方に庭園をもつ邸宅を構えました。池のまわりを回遊して観賞する池泉回遊式庭園が「大名庭園」と呼ばれ、造園されました。庭園内の景観として、作庭者の好む名勝地をモティーフとしたものを配することも多くなりました。
 17世紀中期に町人文化が栄えるようになりました。華やかな風潮が支配し、庭園も広い芝生をとった明るいものになってきます。中世のように池泉にも石組みを多く使わず、石を使うときも、捨て石といって要所に1個だけを捨てたかのように配することが行われました。まるみのある石が好んで使われたのはこのころです。
 正保(しょうほう)から万治年間(1644~1661)はまだ寛永期の影響がみられます。しかし、それ以後は次第に力強さを失ってきます。それまでの広く、大きく、丸い池泉は、細長くなり、この傾向は貞享(1684~1688)ごろまで続きます。
 元禄(1688~1704)のころ、池はふたたび円となり、中央に鶴島か亀島、あるいは蓬莱島のみを置き、その中島と対面して滝石組を設けるようになりました。
 享保年間(1716~1736)には、江戸中期の意匠がかなり判然としてきて、池泉は小さく、滝の三尊石組みも横に並んだ形となりました。上から見ると三角形の両辺が広がった姿で、素材の石そのものも小ぶりのものとなってきました。
 家屋から見た池泉の対岸の中央部を突出させ、出島を大きく見せるという新しい風潮もこのころ生まれました。また、山裾(やますそ)の下部を利用して池泉をつくることも行われるようになりました。植栽は正真木と称して、築山の上か中島など庭園の中心となるべき位置に、松柏のいずれかの樹木を植えました。末梢的な技巧に走り過ぎてしまい、意欲的な作品は少ないといえます。
 18世紀初期、柳沢吉保がつくった江戸の六義園(りくぎえん)は、和歌趣味にあふれた、明るい庭として有名です。岡山の茶屋屋敷の庭といわれた、現在の岡山後楽園も芝生を主とした庭です。
 江戸中期から末期にかけて、草花の園芸書や作庭の手引書や案内書が数多く出版されます。一般人も庭をつくることが許され、豪農豪商が競って庭をつくったことにも原因があります。江戸ではある地域一帯に植木屋が軒を並べて花園を開放し、向島百花園のように、江戸市民の名所もできています。一方で、作庭手引書が流布し、作庭意匠が定型化し、創作的な庭が出にくくなってきたことも否めません。
 江戸で作庭を手がけた庭師たちは諸大名に従って各国に散り、そこでやはり定型化した庭園をつくりました。そのため、地方では江戸中期以降、傑出した庭園が少なくなったといえます。

 天下泰平の時代でしたから、全国に分布した諸大名によって広大な大名庭園がつくられました。またそれら大名の庇護(ひご)のもとで寺院庭園もつくられました。有名なものに、東京の小石川後楽園、旧芝離宮、伝法院・六義(りくぎ)園、旧浜離宮、香川の栗林園、岡山の後楽園と衆楽(しゅうらく)園、熊本の水前寺成趣(じょうじゅ)園、その他が代表的です。
 枯山水では、京都の大徳寺方丈・酬恩庵方丈、金地院(こんちいん)、その他があります。池庭では京都の智積(ちしゃく)院、清水成就院その他があります。
 江戸時代に活躍した作庭家には、小堀遠州、片桐石州、正阿弥、玄丹、本阿弥光悦らがいます。また青森を中心として大石武学(ぶがく)が武学流を広め、九州地方では石龍が夢想流を、出雲地方では沢玄丹が玄丹流を、伊予地方では吉良桜きょうが桑原流を流行させました。
(重森完途氏・コトバンクを参照して作成)

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静止画: http://www.glomaconj.com/butsuzou/meisho/indexmeisho.htm
映像:  http://www.glomaconj.com/butsuzou/meisho/indexmovie.htm 

【 注 】 映像集と庭園めぐりは、重複した映像が含まれています


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