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【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】1-8  糟糠之妻 男は外に出ると七人の敵がいる 貧しさに負けず支えてくれている妻

2024-05-25 12:03:00 | 【心 de 経営】 経営四字熟語・名言

  【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】1-8  糟糠之妻    男は外に出ると七人の敵がいる ~ 貧しさに負けず支えてくれている妻 ~ 

 

 
  四字熟語というのは、漢字四文字で構成された熟語であることはよく知られています。お恥ずかしいながら、その四字熟語というのは、すべてが中国の故事に基づくものとばかり思っていましたが、実はそうではないことを発見しました。
 経営コンサルタントという仕事をしていますが、その立場や経営という視点で四字熟語を”診る”と、今までとは異なった点で示唆を得られることが多のです。「目から鱗が落ちる」という言葉がありますが、四字熟語を講演や研修の場で用いたり、自分の仕事や日常会話に活かしたりするようにしましたら、他の人が私を尊敬といいますとオーバーですが、自分を見てくれる目が変わってきたように思えたことがあります。
 四字熟語の含蓄を、またそこから得られる意味合いを噛みしめますと、示唆が多いですので、企業経営に活かせるのではないかと考えるようにもなりました。これを「目鱗経営」と勝手に造語し、命名しました。
 以前にも四字熟語をご紹介していましたが、一般的な意味合いを中心にお話しました。このシリーズでは、四字熟語を経営の視点で診て、つぶやいてみます。以前の四字熟語ブログもよろしくお願いします。

■1-8  糟糠之妻    男は外に出ると七人の敵がいる
~ 貧しさに負けず支えてくれている妻 ~


 子供の頃、親から「男児、外に出ると七人の敵がいる」と教えられてきました。敵と言いましても「不倶戴天(ふぐたいてん)」の敵もいれば、自分自身の心の中に潜む敵もいます。「倶(とも)には、天を戴(いただ)かず」と訓読します。「不倶」の「倶」は「供」、すなわち「一緒にいない」、「戴天」は「天を戴く」ですから「一緒に天を仰ぐことはない」ということで「父親の敵のように、同じ天の下には一緒にはいられないほど恨みや憎しみが深い人」という意味です。
 ビジネスパーソンだけではなく、とりわけ独立起業した経営コンサルタントというのは、外に出たら、家庭のことを心配しなくても仕事に没頭できる状態でないと成功は難しいと考えます。一人で仕事をしている場合には、奥さんの心からの応援だけではなく、実際に電話番などの裏方の仕事支援がないと仕事を続けていけないでしょう。
 逆に、家庭不和がありますと、コンサルティング業務の足を引っ張ることになります。夫婦げんかをしたままクライアント・顧問先のもとに行きますと、自分は自制しているつもりでも、それが雰囲気として出てしまいかねません。
 七人の敵と戦うためには、常に「糟糠之妻(そうこうのつま)」という四字熟語を忘れてはならないと思います。「糟糠之妻(そうこうのつま)」における「糟糠」の「糟」は、酒糟のことです。酒糟とは、清酒の醸造過程において、米と麹でできたもろみを絞りますと、液体が酒のもととなり、固体として残ったものです。酒糟は奈良漬けや西京漬けなどに使われたり、蒸溜すると米焼酎にもなったりします。
「糠」は、音読みでは「りょう」「ろう」訓読みで「ぬか」、すなわち米糠のことを指します。「糠」は、玄米を精白するときにできます。脂肪質やタンパク質に富むことから食用油を作ることもできます。漬け物に用いたり、肥料や家畜の飼料になったりもします。
 糟糠之妻というのは、酒糟や米糠を手に入れることすら難しい粗食生活をに耐え、一緒に苦労を重ねてきた妻という意味です。
 後漢書によると後漢の光武帝が自分の姉を家臣の宋弘に嫁がせようとしたときに、宋弘が辞退しました。その時に「糟糠之妻は堂より下げさず」という言葉を使ったそうです。苦労をともに重ねた妻とは、成功して私財が豊かになってからも離縁はできないことから拒否を暗に伝えたようです。(四字熟語辞典)
 夫婦を表す四字熟語として「異体同心(いたいどうしん)」、躰は別々であっても、心がひとつであるという意味で、関係が深い間柄を表しますが、特に夫婦仲の良いことを表すときに用います。「連理之枝(れんりのえ)」という四字熟語も同じような意味で用いられます。二つに分かれた枝は、一本の幹で結ばれ、お互いに離れられない様子をさします。「れんりのえだ」という人も近年は多いようです。 
 この四字熟語と共に、同じ意味で例として挙げられるのが「比翼連理(ひよくれんり)」です。「比翼」は、雌雄それぞれ目と翼が一つずつで、常に一体となって飛ぶという想像上の比翼という鳥のことをさします。
「琴瑟相和(きんしつそうわ)」、訓読みすると「琴瑟(きんしつ)、相和(あいわ)す 」となります。「瑟(しつ)」は、中国雅楽の代表的弦鳴楽器の一つで、琴も瑟も両方の楽器が音がよくあうということから、上記と同じように夫婦仲が睦まじいことを表します。
 夫婦仲の良いことを表す四字熟語は多く、類語に「鴛鴦之契(えんおうのちぎり)」というのもあります。「鴛鴦」は、おしどりのことで、「鴛」はオス、「鴦」はメスのおしどりを言います。「永久に連れ添う約束」という意味ですが、これが転じて「夫婦仲のむつまじさ」を表します。
 私の知人で、博学多才で、何でもこなしてしまう人がいます。その人は、商社に勤務し、人に頼まれると「ノー」と言えない人でもあり、周囲の人から頼りにされています。器用貧乏と言いますか、そのくせ、実力に添うような出世からは縁遠い日々でした。「器用貧乏(きようびんぼう)」とは、「なまじ器用であるために、いろいろなことに手を出すが、中途半端な結果でおわることが多く大成しない」ことです。
 その人が、清水の舞台から飛び降りる決心をして、まだできたばかりの新しい制度として脚光を浴びた法科大学院に進学することになりました。しかし、残念なことに二度のチャンスを活かせず、手元に残った退職金も先細りとなってしまいました。
 ある印刷関連企業で、ホームページ制作をアルバイトでやっていましたが、それが契機で独立してホームページ制作の会社として再出発することになりました。初めはなかなか仕事にありつけず、生活にも困る状態でしたが、商工会議所にいる友人の紹介で、ホームページ制作講座の講師などをしているうちに次第にお客様が増えてきました。
 パートで働いていた奥さんが、夜なべとして経理など雑用をしていましたが、ご本人は、お客様との打合せなどで外出が多く、せっかく受注してきたホームページ制作の時間もとれず、徹夜に近い日が続いているうちに過労で倒れてしまいました。
 その間も、お客様からはひっきりなしの電話やメールで、奥さんが対応をするようになりました。お客様からの要望で簡単なホームページの手直しを奥さんがやっているうちに、次第に奥さんがページ制作まで深く入り込むようになり、ご本人は営業回りに専念することができるようになって仕事は順調にいくようになりました。糟糠之妻の好例として、私の事例紹介にもしばしば出てくるお二人です。
 糟糠之妻という言葉は、われわれ経営コンサルタントにも示唆を与えてくれています。経営コンサルタントとして独立起業するときに、最も重要なことの一つとして「家族の理解」を挙げたいと思います。とりわけ、「ベターハーフ」と英語で言うように人生のパートナーである奥さんの心の支援は最大の見方と言えます。時には、経理業務を手伝い、時には電話番として活躍してくれますと、独立起業時代の一人の力が数倍にもなるように思えました。
 逆に、家庭不和がありますと、コンサルティング業務の足を引っ張ることになります。夫婦げんかをしたままクライアント・顧問先のもとに行きますと、自分は自制しているつもりでも、それが雰囲気として出てしまいかねません。
 後顧の憂いがないということは、経営コンサルタントとして充分に力を発揮できることに繋がります。逆に、家庭不和がありますと、コンサルティング業務の足を引っ張ることになります。夫婦げんかをしたままクライアント・顧問先のもとに行きますと、自分は自制しているつもりでも、それが雰囲気として出てしまいかねません。
 ビジネスパーソンなら顧客、経営コンサルタントならクライアント・顧問先からの厚い信頼がないと仕事ができません。それには別項の「君子三楽(くんしさんらく)」の「仰いで天に愧じず、俯して人に乍じざるは二の楽しみなり」という言葉を心に留め、人の道をはずれる行為を慎み、自分自身にも恥じない言動を取るべきと考えます。このことは「言うは易く行うは難し」ですが、その積み重ねの中に、「金剛不壊(こんごうふえ)」な意志強固さを育むことができると信じています。「金剛」は仏教後で「堅固」という意味の梵語を漢訳したものです。(四字熟語辞典)このことから、「金剛不壊」は、「非常に堅固で壊れない」という意味で、それが転じて「堅い志を持って変えない」ことを指します。
 私が経営コンサルタント団体のトップを御引き受けするきっかけの一つが、孟子の君子三楽の三番目です。「日本の経営コンサルタント業界の更なる発展の一助になれば」という気持ちで「天下の英才を得て之を教育するは三の楽しみなり」という言葉を噛みしめています。しかし、この三番目に「三楽」を実行するには、二番目に来ます仰いで天に愧じず、俯して人に乍じざるは二の楽しみなり」ができていなければ、すなわち、人格的に敬意を払われるものを持たなければ誰も付いてこないと思います。
 それ以前から、経営コンサルタントの育成について努力をしてきましたが、これが私のライフワークとなる契機でもありました。生涯現役として、若手育成ということを続けていければ幸いです。
 一般企業でも、例えば営業パーソンが顧客でプレゼンテーションをしているときでも、そのことが気になってしまったり、そのために思考が途切れたりしてしまうかもしれません。
 サラリーマン家庭の主婦や、これから経営コンサルタントとして、士業として独立起業される人の奥様に是非お贈りしたい言葉の一つが「糟糠之妻」という言葉です。


 
 
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