【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】2-03 沈思黙考 論理的な思考も誤用に注意 腰を据えてじっくりと考える
四字熟語というのは、漢字四文字で構成された熟語であることはよく知られています。お恥ずかしいながら、その四字熟語というのは、すべてが中国の故事に基づくものとばかり思っていましたが、実はそうではないことを発見しました。
経営コンサルタントという仕事をしていますが、その立場や経営という視点で四字熟語を”診る”と、今までとは異なった点で示唆を得られることが多のです。「目から鱗が落ちる」という言葉がありますが、四字熟語を講演や研修の場で用いたり、自分の仕事や日常会話に活かしたりするようにしましたら、他の人が私を尊敬といいますとオーバーですが、自分を見てくれる目が変わってきたように思えたことがあります。
四字熟語の含蓄を、またそこから得られる意味合いを噛みしめますと、示唆が多いですので、企業経営に活かせるのではないかと考えるようにもなりました。これを「目鱗経営」と勝手に造語し、命名しました。
以前にも四字熟語をご紹介していましたが、一般的な意味合いを中心にお話しました。このシリーズでは、四字熟語を経営の視点で診て、つぶやいてみます。以前の四字熟語ブログもよろしくお願いします。
■ 第2章 思考力を高めてビジネス全快
四字熟語の中には、物事の発想や思考に関する熟語もあります。「理科系の人は理屈っぽい」とか「あの人に理屈でまくし立てられますと、太刀打ちできない」などという言葉をしばしば耳にします。
たしかにビジネスの世界では、上手に説明ができなかったり、自分が主張していることが相手に正確に伝わらなかったりすることが多く、自分の非力さを痛感することが多いです。
四字熟語の中に、思考に関して示唆ある熟語が想定以上に多くあります。その中には、相手の言っていることを正確に理解できるようになるための示唆を与えてくれるものがあります。どの様に発想したら、相手に自分の思いをわかっていただけるのかを感じ取らせてくれる四字熟語もあります。思考力のハウツー本としてではなく、四字熟語の中に、思考力を高めるヒントを見つけていただきたいと思います。
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四字熟語の中には、物事の発想や思考に関する熟語もあります。「理科系の人は理屈っぽい」とか「あの人に理屈でまくし立てられますと、太刀打ちできない」などという言葉をしばしば耳にします。
たしかにビジネスの世界では、上手に説明ができなかったり、自分が主張していることが相手に正確に伝わらなかったりすることが多く、自分の非力さを痛感することが多いです。
四字熟語の中に、思考に関して示唆ある熟語が想定以上に多くあります。その中には、相手の言っていることを正確に理解できるようになるための示唆を与えてくれるものがあります。どの様に発想したら、相手に自分の思いをわかっていただけるのかを感じ取らせてくれる四字熟語もあります。思考力のハウツー本としてではなく、四字熟語の中に、思考力を高めるヒントを見つけていただきたいと思います。
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■2-0 3 沈思黙考 論理的な思考も誤用に注意
~ 腰を据えてじっくりと考える ~
沈思黙考(ちんしもっこう)というのは「沈黙して、深く静かに考える」ことをいいます。黙って、腰を据えてじっくり考えることで、「沈思凝相(ちんしぎょうそう)」ともいいます。
「凝相」の「凝」という字は、音読みで「こる」です。「散り散りにある同質のものが一つに寄り固まる。ひと所に集まり寄る。凝結する。(広辞苑第六版)」という意味があります。「あの人は、趣味に凝っている」などという表現にありますように、「傾注する」とか「熱中する」という別の意味があり、沈思凝相では、この後者の意味になります。すなわち「熟考」して、行動を起こすことを言っています。
蛇足になりますが、「凝っては、思案に余る」という言葉もあります。物事に熱中し過ぎますと、かえって判断に迷うことがあるという戒めで、沈思凝相も度を過ぎ、見方を誤ると物事が旨くいかないと言う警鐘です。
では、「沈思黙考」「沈思凝相」を実行するにはどうしたらよいのでしょうか。
ある数字に三分の二という分数を掛け算するときに、「ある数字を三で割って、二をかける」という方法は、誰しも思い浮かべられます。しかしある数字が三の倍数ではないとき、例えば「10」という数字にしましょう。その時に十を三で割って、二を掛け算した場合と、十に二をかけてから三で割った場合とでは同じ結果になるでしょうか。
小数点以下第二位までで計算し、三位目の数字を四捨五入したとします。前者は「6.66」となります。それに対して後者は「6.67」という値になります。自然科学では、「答はひとつ」ということが常識になっていますが、そこに一定の条件を付けることにより、その常識が覆されます。
沈思黙考を行う方法はいろいろあります。上述のように「常識に固執しない」ことが重要です。ここで求められる思考法のひとつが、論理的思考です。論理的思考といいましても、いろいろな手法がありますが、その一つがロジカル・シンキングです。ロジカル・シンキングは、論理思考法と言うよりは、論理思考法を養うトレーニング手法と考えたほうが取りかかりやすいです。
先ほどの分数をかける事例を基に、算数の応用問題を考えてみましょう。「リンゴが10個あり、そこにいる三分の二の子供に分け与えるとします。一人、いくつのリンゴがもらえるでしょう」という問題が出されたとします。現実には、例え算数の問題であっても、このような問題は出されないでしょう。なぜなら、残りの三分の一の子供にはリンゴが与えられず、不公平であり、教育現場でこのような題材を算数の問題として出すことは不適切だからです。
しかし、ビジネスの世界ではこのような矛盾は起こりえます。もし、この問題が「リンゴが10個あり、その三分の二を五人のの子供に分け与えるとします。一人、いくつのリンゴがもらえるでしょう」という問題であったら如何でしょうか。
その時に、三で先に割るか、二を掛け算するか、という問題に直面します。算数の計算では、後者の二を掛け算する方法が誤差が少なく、正解に近いことがわかっていますが、この問題の場合にはどうでしょうか。
十個のリンゴを先に三分の一ずつに切っておいて、全体の中から三分の一を取り除いて、残りを五人に分配していけば、五人とも同じ量のリンゴをもらうことができます。算術的に思考するのと、知恵を働かせて現実的に判断して行動するのとではことなります。算術的に判断するのが「論理的」であるように始めは考えますが、ビジネスの世界で論理的に考えますと、後者の方法がベターであると判断する人が多いのではないでしょうか。
では、実際に沈思黙考するには、どのようにしたら良いのでしょうか。
沈思黙考状態に入る前や後に、「ぼんやりする」ということを実行すると良いようです。NHKの番組で紹介されたのですが、これを励行しているある営業課長が、毎日ボヤッとする時間を五分から十分くらい取るようにしただけで、仕事の効率が上がったそうです。それまで、デスクワークとして、問合せ案件を精査し、それを部下に割り振りする作業が、一日三件しか処理できなかったのが、数か月後には九件まで処理できるようになったという事例が紹介されました。
「ぼやぼやするな」などと怒鳴られた経験のある人は多いと思います。一般的には「ぼんやりする」状態は好ましいとは見られず、怠けているように見えます。ところが上述のような効果が現実としてあるわけです。
「ぼんやりする」効果的な方法として、綿を小さくちぎって、両耳に軽く入れるのだそうです。遮音のためではなく、外耳内の体温を高めることが目的で耳に詰め物をするので、小さい綿を軽く詰めるだけで充分なのだそうです。目を軽くつむって、何も考えないようにするだけで、禅宗の修行僧が座禅を組むに近いような状態になるようです。
実際にやってみますと、なかなか座禅を組むような状態にはなれませんが、心持ち呼吸を長目にするように意識をします。すると次第に他のことを考えなくなります。これを繰り返している内に、長めの呼吸法のことも意識をしなくてもできるようになってきます。
大脳生理学的に見ますと、このボヤッとした状態を行うことにより、脳が休まるのではないのです。大脳の中で記憶を整理する部分と、価値判断をする部分が相互刺激をしあって、活発に活動を始めるのだそうです。その結果、それまで体験を通じて見たり、聞いたりした情報が大脳内で整理され、整理され名知識や情報を重点化し、重要度の高いと判断した順序に並べ替えてくれる作業をしてくれます。
全そうでなくても、座禅に近い効果があるのですから、「沈思黙考」を自分の生活の中に取り入れる価値はありそうです。
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~ 腰を据えてじっくりと考える ~
沈思黙考(ちんしもっこう)というのは「沈黙して、深く静かに考える」ことをいいます。黙って、腰を据えてじっくり考えることで、「沈思凝相(ちんしぎょうそう)」ともいいます。
「凝相」の「凝」という字は、音読みで「こる」です。「散り散りにある同質のものが一つに寄り固まる。ひと所に集まり寄る。凝結する。(広辞苑第六版)」という意味があります。「あの人は、趣味に凝っている」などという表現にありますように、「傾注する」とか「熱中する」という別の意味があり、沈思凝相では、この後者の意味になります。すなわち「熟考」して、行動を起こすことを言っています。
蛇足になりますが、「凝っては、思案に余る」という言葉もあります。物事に熱中し過ぎますと、かえって判断に迷うことがあるという戒めで、沈思凝相も度を過ぎ、見方を誤ると物事が旨くいかないと言う警鐘です。
では、「沈思黙考」「沈思凝相」を実行するにはどうしたらよいのでしょうか。
ある数字に三分の二という分数を掛け算するときに、「ある数字を三で割って、二をかける」という方法は、誰しも思い浮かべられます。しかしある数字が三の倍数ではないとき、例えば「10」という数字にしましょう。その時に十を三で割って、二を掛け算した場合と、十に二をかけてから三で割った場合とでは同じ結果になるでしょうか。
小数点以下第二位までで計算し、三位目の数字を四捨五入したとします。前者は「6.66」となります。それに対して後者は「6.67」という値になります。自然科学では、「答はひとつ」ということが常識になっていますが、そこに一定の条件を付けることにより、その常識が覆されます。
沈思黙考を行う方法はいろいろあります。上述のように「常識に固執しない」ことが重要です。ここで求められる思考法のひとつが、論理的思考です。論理的思考といいましても、いろいろな手法がありますが、その一つがロジカル・シンキングです。ロジカル・シンキングは、論理思考法と言うよりは、論理思考法を養うトレーニング手法と考えたほうが取りかかりやすいです。
先ほどの分数をかける事例を基に、算数の応用問題を考えてみましょう。「リンゴが10個あり、そこにいる三分の二の子供に分け与えるとします。一人、いくつのリンゴがもらえるでしょう」という問題が出されたとします。現実には、例え算数の問題であっても、このような問題は出されないでしょう。なぜなら、残りの三分の一の子供にはリンゴが与えられず、不公平であり、教育現場でこのような題材を算数の問題として出すことは不適切だからです。
しかし、ビジネスの世界ではこのような矛盾は起こりえます。もし、この問題が「リンゴが10個あり、その三分の二を五人のの子供に分け与えるとします。一人、いくつのリンゴがもらえるでしょう」という問題であったら如何でしょうか。
その時に、三で先に割るか、二を掛け算するか、という問題に直面します。算数の計算では、後者の二を掛け算する方法が誤差が少なく、正解に近いことがわかっていますが、この問題の場合にはどうでしょうか。
十個のリンゴを先に三分の一ずつに切っておいて、全体の中から三分の一を取り除いて、残りを五人に分配していけば、五人とも同じ量のリンゴをもらうことができます。算術的に思考するのと、知恵を働かせて現実的に判断して行動するのとではことなります。算術的に判断するのが「論理的」であるように始めは考えますが、ビジネスの世界で論理的に考えますと、後者の方法がベターであると判断する人が多いのではないでしょうか。
では、実際に沈思黙考するには、どのようにしたら良いのでしょうか。
沈思黙考状態に入る前や後に、「ぼんやりする」ということを実行すると良いようです。NHKの番組で紹介されたのですが、これを励行しているある営業課長が、毎日ボヤッとする時間を五分から十分くらい取るようにしただけで、仕事の効率が上がったそうです。それまで、デスクワークとして、問合せ案件を精査し、それを部下に割り振りする作業が、一日三件しか処理できなかったのが、数か月後には九件まで処理できるようになったという事例が紹介されました。
「ぼやぼやするな」などと怒鳴られた経験のある人は多いと思います。一般的には「ぼんやりする」状態は好ましいとは見られず、怠けているように見えます。ところが上述のような効果が現実としてあるわけです。
「ぼんやりする」効果的な方法として、綿を小さくちぎって、両耳に軽く入れるのだそうです。遮音のためではなく、外耳内の体温を高めることが目的で耳に詰め物をするので、小さい綿を軽く詰めるだけで充分なのだそうです。目を軽くつむって、何も考えないようにするだけで、禅宗の修行僧が座禅を組むに近いような状態になるようです。
実際にやってみますと、なかなか座禅を組むような状態にはなれませんが、心持ち呼吸を長目にするように意識をします。すると次第に他のことを考えなくなります。これを繰り返している内に、長めの呼吸法のことも意識をしなくてもできるようになってきます。
大脳生理学的に見ますと、このボヤッとした状態を行うことにより、脳が休まるのではないのです。大脳の中で記憶を整理する部分と、価値判断をする部分が相互刺激をしあって、活発に活動を始めるのだそうです。その結果、それまで体験を通じて見たり、聞いたりした情報が大脳内で整理され、整理され名知識や情報を重点化し、重要度の高いと判断した順序に並べ替えてくれる作業をしてくれます。
全そうでなくても、座禅に近い効果があるのですから、「沈思黙考」を自分の生活の中に取り入れる価値はありそうです。
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