21日は、誰かが4時ごろに起き出して、そういえば頂上の日の出が4時40分ごろと思われたのだが、もう多分間に合わないね、と言いながら窓を開けたら、結構雲が厚くて、これでは登っても日の出は拝めないわね、と山小屋から見ればよいか、と話した。
男性が小屋の方に伺ったら、裏手というかテント場の先の丸山と言うところから見られる、と聞いて来たので、私は顔も洗わないまま厚着をして、個室の小屋の出入り口の柵を越えて、直接テント場の方に出た。
丸山の山頂まで行かないうちに、日出はすでに雲の合間から見えたらしいが、少し上の方の隙間から日の光がさしていた。
丸山の方からは、槍ヶ岳もくっきり見えて、その手前の方の剣岳と共にきれいだった。
雲に放射状の光が見える。
剣岳方面
せっかくだから、丸山の頂上まで歩いたが、道々も高山植物がたくさん見られて、特にテント場の横の斜面のハクサンイチゲとミヤマキンポウゲのお花畑が見事だった。頂上付近にはコケモモも見られた。
ミヤマヤハズハハコのかわいい花
こけもも
槍の穂先の方から日が当たり始め、だんだんに右手の山々が輝きだした。
イワベンケイ ミヤマウイキョウの葉
残念ながら剣岳までは、なかなか照らず、私たちは食事もあるので小屋に戻った。思ったよりは冷え込んでいなくて、ダウンに雨具でも暑いくらいだった。
美味しい朝食のあと(私は控えめに食べたのだが)、身支度を整えて、いざ下山。私は、小屋で売っていた栄養ドリンクも飲んで、体力保持。
仲間の一人が白馬の本を買ったら、コーヒー券がついていたからと、早朝から営業していた小屋の下のレストランでコーヒーを飲まれたので、そこの若い女性に集合写真をお願いした。
私たちが頂上から富士山が見えなかったと話したら、そこから見えていますよと、教えてくださった。
八ケ岳の右手に確かに富士山がくっきりと浮かび上がっていた。なんという幸運だろう。
階段状の登山道を下るうちに富士山は見えなくなったが、道々の高山植物に見とれながら、せっせと下って行った。
タイツリオウギの群落
往路に見逃した高山植物もあり、別の角度から見るとまた味わいがあった。
これは何の花?ミヤマセンブリ?
イブキジャコウソウ
昨日は見逃したクロユリ(大分咲き終わりだが)頂上付近にはこれから咲きそうなつぼみがあった)
ハクサンフウロの群落
シロウマオウギ(タイツリオウギなどより小ぶりで華奢で白い)
ミソガワソウ
避難小屋
ゼンマイの仲間?
ベニバナイチゴ(行きと同じ構図?)
ホザキナナカマドの花
岩場に出て葱平の水場でまた水を汲み、さらに岩場を下ってそろそろ小雪渓をトラバースするとき、仲間の一人が、アイゼンなしで大丈夫、と言って渡りだしたが、擦れ違いの人がいなくなったあたりで、なんと斜面の真ん中でアイゼンをつけ出したのには驚いた。万一バランスを崩したら、急斜面を転がり落ちるようなところなのだ。私たちはハラハラしながら、見ているしかなかった。
本当に山は面倒がらずに早めに準備をしないとね。
その後、またしばらく岩場を下りて行ったのだが、アイゼンをつける人外す人がたまっている上部で、仲間の方がバランスを崩して転倒し、2回転して止まった。大きな岩があったが、幸い丸い感じの岩で、多分ザックが当たったのか、その方は大きな外傷もなかったようで助かった。帽子が飛んだが、サングラスは飛ばなかった。しかし窪みがもしなかったら、そこで止まらず、下の岩だらけの沢とその先の雪渓のクレバスにでも落ちたら大変だった。
まあ、奇跡的に無事で歩いて下りられたので、良かったが、私たちにしてはちょっとハードコースで、疲れ果てていたために、ちょっとした不注意や思考力の鈍りなどが、事故の元だなと、改めて感じさせてくれた出来事だった。
実は私も滑りやすい岩で、2回ほどすってんころりんと転びかけたが、お尻が痛くなるほどでもなく、無事だった。履いている靴がもう3年たって、底が少し滑りやすくなっているようだ。底がはがれる危険も増えてきているようだから、買い替えないといけないかもしれない。
それで、考え事をしないように、足元に最大限の注意を払いながら、その後は下山していた。
その方の動揺が収まるのを待って、アイゼンをつけ、大雪渓を下り始めた。
登りに比べたらはるかに早く下りられたが、時折登りの方とすれ違うために横によって待つ。
登ってくる人の中に親子連れで幼児に登らせている人がいて、大丈夫なのかしら?と思ったら、子供の方が歩きたがるのだとのこと。ちゃんと背負子もあったので、まあ、大丈夫なのだろう。高山病って、子供はどうなのかしらね?でも幼稚園児が富士山に登ることもあるのだから、心配ないのかな?
しかし、不安定な雪渓とその横のグズグズの登山道あたりはちょっと背負子でも気がかりだったが、まさに老婆心と言うやつだろう。
あと、軽アイゼンもつけずにトレイルラン用のような靴でストックも持たずに登る方がいらした。年季の入った金属製の水筒をお持ちだったからベテランなのだろうが、滑って大変そうだったが、大丈夫だったかしら?
登りはかんかん照りだったが、今日は少し雲があって涼しく、体力の消耗は防げたので助かった。
白馬尻小屋にやっと出て、一休み。私は小屋で買った非常食用のブレーンパンを食べて一休み。
小屋の下の方に谷川からの小川が流れていて、アイゼンを洗うこともできて良かった。
携帯がつながったので、バス会社の緊急連絡先に電話して、バスの乗車場所を八方温泉に変えていただいた。ただバスの運転手さんに伝わるかどうかは分からないから、最大15分待ってから出発になるかもしれないと言われる。(前もって東京の事務所に連絡したら、日にちがないから緊急連絡先に電話するようにとのことだったのだ。)
ゆっくりしていたらもう11時10分と言うので慌てた。猿倉からの路線バスは12時20分だったからだ。
まあ、登り1時間だから下りは50分くらいかなと、のんびり写真など取りながら歩いていたら、なんとあっという間に12時10分と言うので、慌ててダッシュ。やっと小屋の屋根が見え、バスが待機しているのが見えた。駆け足で最後の急な登山道を下りて、数分前にバス停に。
オニシモツケ
ヒヨドリバナ
シロバナホタルブクロ
昨日より色鮮やかなエゾアジサイ
ギボウシ
バスの乗車券を買おうと値段を聞いたら900円。あれっ!タクシーなら八方まで3000円とある。バスの係員の方には大変申し訳なかったのだが、バス停から私たちが割引券のある温泉まではちょっとあるらしかったので、急遽タクシーにさせていただいた。
タクシーでその温泉のことを聞いたら、タクシー会社でも割引券を用意してあって、それは八方バスターミナルのそばの八方第一の郷温泉だったので、そこを利用することにした。
温泉の入り口には荷物置き場のプレハブがあって、ザックがいくつも置かれていた。私たちも貴重品以外のものは置いて、温泉に。
割引券を見せたら、400円の券を買うように言われて買い求め、提出して中へ。日差しは暑かったが風は気持ちが良い。
温泉は小規模で内湯とミニプールのような露天風呂があった。とにかく汗だくの2日間の汗を流して、さっぱりすることができた。出てみると休憩室もあって、風が良く通り、涼しく、八方尾根のスキー場が見渡せ、その左右にアルプスの山々が残雪を残して、くっきり。素晴らしい眺望だった。
お腹の具合が悪いと言いながら、うっかりコーヒー牛乳を飲んでしまった。
その後、温泉の人に聞いた歩いて5分もかからない所にあったお蕎麦屋さんに行って、ざるそばを頂いた。ゆでたてのお蕎麦は腰があり、美味しかった。まあ、お腹の為には私は茹ですぎくらいが良かったのだが。
食べていると、店の人がのれんをしまいだした。後から若い人が8人で食べたいと言っていたが、お蕎麦が終わってしまったから無理だと言っていた。女性だけでやっている店のようで、そば打ち体験もできるようだった。
それからバスの乗り場のあたりで時間待ちした。
登山ツアーバスは、普通のバスターミナルの裏手の資料館のようなところの前に時間通りに着いたので、私たちの変更のことが伝わったようで安心した。バス乗り場を間違えた人もいて、しばらく待ってから動きだし、五竜のバス乗り場でも数人が乗車して、一路新宿に。
団子坂の燕の大群
渋滞があったが、無事に9時過ぎには新宿に着いた。
皆さまお疲れ様でした。私はすでに筋肉痛が起こり始めていた。
ところで、雪渓では、地元で借りたらしい4本爪の軽アイゼンをつけている人が多かったが、かなり歩くのが大変そうに見えた。私たちは歩きにくいのを以前の低山の雪山歩きで経験して、6本爪以上の軽アイゼンを持参した。重いのだが、歩きやすさは抜群だと思った。