勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

アポロ11 完全版 / Apollo 11

2019年07月27日 | 洋画(アメリカ系)
人類が初めて月面着陸した1969年7月20日から50年。アメリカ公文書記録管理局とNASAで新たに見つかった未公開映像や音声を下に構成した“超リアル”ドキュメンタリー映画。

ドキュメンタリーなので、事実そのままに映画は進みます。それに、アポロ11号の成功はみんな知っているので、特に驚きはありません。むしろ、周囲の興奮をよそに、宇宙飛行士や管制官たちは、淡々とプロフェッショナルに徹してミッションの成功に邁進する辺りは、感銘を受けます。

でも逆に、淡々と進み過ぎて、うっかりすると意識を失いそうになります(苦笑)

例の、有名なセリフ“That's one small step for a man, one giant leap for mankind.”を聞くことが出来ます。

50年も前の出来事ですが、やっぱり感動しますね。

タイトル アポロ11 完全版 / 原題 Apollo 11

日本公開年 2019年
製作年/製作国 2019年/アメリカ
監督 トッド・ダグラス・ミラー
出演 ニール・アームストロング、バズ・オルドリン、マイケル・コリンズ、ユージーン・F・‘ジーン’クランツ、チャールズ・M・デューク・ジュニア

さらば愛しきアウトロー / The Old Man & the Gun

2019年07月14日 | 洋画(アメリカ系)
実在の強盗犯フォレスト・タッカーを描いた作品。

主演のロバート・レッドフォードも、御年82歳。この作品で、俳優業引退です。そう言う感慨を持ってみると、なんとも深く感じるのは気のせいでしょうか?

時代は、1980年代なので、“まだ”牧歌的な雰囲気もアメリカには残っていたんでしょうかね?いま、アメリカで武装強盗何てしまった事には、あっという間に、SWATが駆けつけてきて、あっという間に銃撃戦になりそうな気もしますが、タッカーは、穏やかに、言葉だけで銀行強盗を成し遂げて、且つ、銃撃戦にもならずに、正面入り口から堂々と逃走を図っているところが、中々興味深いです。

それと、この作品で描かれた時点に至るまで、16回も脱獄している訳ですから、凶悪犯でもあるのだと思うんですが、それでも、あまり警察と激しいやり取りにはならないんですよねぇ。まぁ、その時点でのタッカーの年齢もあるんでしょうけどね。

一応、コメディ?終盤になるまで、あまりコメディっぽい描写はありませんが、終盤になって、いくつか連続して“ネタ”が投入されます。もっとも、老人が、言葉だけで銀行強盗を行うと言う事自体が、ある意味、コメディとも言えなくも無いですけどね。

ロバート・レッドフォード最終作品と言う事もあってか、劇場ロビーには、過去のロバート・レッドフォードのポスターが掲示されていました。

『候補者ビル・マッケイ(1972年)』


『追憶(1973年)』


『ブルベイカー(1980年)』


そしてこちらは、この作品の立てパネル


タイトル さらば愛しきアウトロー / 原題 The Old Man & the Gun

日本公開年 2019年
製作年/製作国 2018年/アメリカ
監督 デビッド・ロウリー
原作 デビッド・グラン
出演 ロバート・レッドフォード(フォレスト・タッカー)、ケイシー・アフレック(ジョン・ハント刑事)、ダニー・グローバー(テディ・グリーン/タッカーの仲間)、チカ・サンプター(モーリーン)、トム・ウェイツ(ウォラー/タッカーの仲間)、シシー・スペイセク(ジュエル)、イザイア・ウィットロック・Jr.(ジーン・デントラー刑事)、ジョン・デビッド・ワシントン(ケリー中尉)、キース・キャラダイン(カルダー大尉)

パピヨン / Papillon

2019年06月23日 | 洋画(アメリカ系)
1973年製作の「パピヨン」のリメイク。実話に基づいている。

刑務所脱走ものの映画と言えば、1963年の『大脱走』、1979年の『アルカトラスからの脱出』、1996年の『ザ・ロック』、2013年の『大脱出』など、数多ありますが、この作品も、それらに勝るとも劣りません。あ、最初の『大脱走』は、“刑務所”ではなくて、捕虜収容所からの脱走ですね。

刑務所脱走と言うと、やっぱり、執念、我慢なんですね。この作品でも、何があっても我慢して、捉えられても何度でもトライすると言う、執念深いともいうべき行動が、脱走に繋がっています。

それにしても、この様な人権を無視した刑罰が『自由・平等・博愛』を国の標語とするフランスで行われていたとは驚きです。しかも、19世紀の話なら分かりますが、20世紀の話。年で言うと80年ほど前の話になるので、「意外に昔」と感じますが、第二次大戦直前の頃と言うとどうでしょう?意外に“最近”の出来事に感じませんか?インターネットの巨大百科事典サイトに寄れば、悪魔島の監獄施設が廃止されたのは、何と!!1953年。そんなころまで有ったんですね。それが一番この映画で印象に残った所です。

タイトル パピヨン / 原題 Papillon

日本公開年 2019年
製作年/製作国 2017年/アメリカ・セルビア・モンテネグロ・マルタ
監督 マイケル・ノアー
原作 アンリ・シャリエール『パピヨン』
出演 チャーリー・ハナム(パピヨン(アンリ・シャリエール))、ラミ・マレック(ルイ・ドガ)、イブ・ヒューソン(ネネット)、ローラン・モラー(セリエ)、トミー・フラナガン(刺青の男)、ヨリック・バン・バーヘニンゲン(刑務所長)

スノー・ロワイヤル / Cold Pursuit

2019年06月22日 | 洋画(アメリカ系)
息子を殺され復讐を誓う父親が犯罪組織の抗争に巻き込まれていく姿を描いた作品。リーアム・ニーソンが、またまたキレます。元々は、ノルウェーの映画作品。

リーアム・ニーソンも歳を取ったのかなぁ。これまでの映画作品で見られたような、キレのあるアクションではなく、どちらかと言うと静のアクションシーンになっています。それでも、“普通の”除雪作業員にしては、アッサリとギャングをぶちのめしたりはしていますけどね(苦笑)

いとも簡単に、どんどん人が死んでいきます。そういう意味では凄惨な映画なのですが、なんか、途中で「くすり」と笑うようなシーンもあります。アイロニーですね。

リーアム・ニーソンを見るための作品です。ネイティブ・アメリカンが出てくる意味とか、いろいろあるんだと思うんですが、そう言うストーリーはあまり深く描かれていません。事件発生に色めき立つ警察とは、広めると面白くなりそうな要素はたくさんあるんですけどね。

タイトル スノー・ロワイヤル / 原題 Cold Pursuit

日本公開年 2019年
製作年/製作国 2019年/アメリカ
監督 ハンス・ペテル・モランド
出演 リーアム・ニーソン(ネルズ・コックスマン)、ローラ・ダーン(グレイス・コックスマン/ネルズの妻)、トム・ベイトマン(トレバー・“バイキング”・カルコート/麻薬王「)、エミー・ロッサム(キム・ダッシュ/キーホー警察巡査)、ジュリア・ジョーンズ(アヤ/ヴァイキングの元妻)、ウィリアム・フォーサイス(ブロック)、トム・ジャクソン(ホワイトブル/ネイティブのギャングの頭目)、ドメニク・ランバルドッツィ(マスタング/ヴァイキングの手下)、ジョン・ドーマン(ジョン・“ジップ”・ジプスキー)、ウィリアム・フォーサイス(ブロック・“ウィングマン”・コックスマン/ネルズの兄)

バリー・シール アメリカをはめた男 / American Made

2019年06月15日 | 洋画(アメリカ系)
2017年公開の作品です。公開当時、劇場に見に行こうと思っていたんですが、都合が合わず未見だった作品。Amazonプライム・ビデオであったので見ました。

トムは、芸達者ですよねぇ。ミッション・インポッシブルの様なアクションから、こんなある意味クズの役まで。でもジャンル的には、この作品もアクションか。

実話だとは、驚きです。当然、色々と誇張はされているでしょうが、普通の民間機パイロットが、情報機関にスカウトされてスパイの真似事をしているうちに、いつの間にか麻薬カルテルにもスカウトされて、スパイと運び屋のダブルワークを始めるとは。ダブルワークは、いま流行りですが、30年も先んじていたんですねバリーは。

そもそも犯罪行為なので、こういう言い方が適切かどうかわからないのですが、“好事魔多し”。ダブルワークを当局に見つかり、検挙されるのですが、なぜか釈放。その代わりに情報屋にされてしまうと言うのは、なんかドラマあるあるですが、これは現実の話。うーん、なんだかなぁ。

マンガみたいな話が、実話であったと言う事に驚かされました。

タイトル バリー・シール アメリカをはめた男 / 原題 American Made

日本公開年 2017年
製作年/製作国 2017年/アメリカ
監督 ダグ・リーマン
出演 トム・クルーズ(バリー・シール)、ドーナル・グリーソン(“シェイファー”/バリーのハンドラー)、サラ・ライト(ルーシー/バリーの妻)、アレハンドロ・エッダ(ホルヘ・オチョア/麻薬カルテル幹部)、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(JB/ルーシーの弟)、マウリシオ・メヒア(パブロ・エスコバル/麻薬カルテルの頭目)

ハンターキラー 潜航せよ / Hunter Killer

2019年04月13日 | 洋画(アメリカ系)
ロシアで起きたクーデター。戦争を回避するため、ハンターキラーには、究極のミッションが命令される。

潜水艦モノは外れがないと言われますが、この作品もその例に漏れません。なんで、潜水艦モノが外れないかと考えてみたんですが、周囲の状況がわからないと言う究極のサスペンスなんですよね、潜水艦って。だからかなぁと言うのが、ひとまずの結論です。

物語のリズムが良いですね。次々と、話が進んでいって、中々気持ちが良いです。

物語の結末は、まぁ、若干都合がよすぎると思わないことも無いですが、あそこまで絶体絶命の状態に追い込まれたら、ああいう解決法しか無いのかな。

統合参謀本部議長が、やたらと好戦的なのは、どうなんでしょうね?実際には、もう少し、リアリスティックにクールに状況を判断して、軽々に戦闘に入るような事を選ばないような気もしますが?

タイトル ハンターキラー 潜航せよ / 原題 Hunter Killer

日本公開年 2019年
製作年/製作国 2018年/イギリス
監督 ドノバン・マーシュ
出演 ジェラルド・バトラー(ジョー・グラス/ハンターキラー艦長)、ゲイリー・オールドマン(チャールズ・ドネガン/統合参謀本部議長)、コモン(ジョン・フィスク/海軍少将)、リンダ・カーデリニ(ジェーン・ノーキスト/NSA係官)、トビー・スティーブンス(ビル・ビーマン/特殊部隊隊長)、ミカエル・ニクビスト(アンドロポフ/ロシア海軍潜水艦艦長)

バイス / Vice

2019年04月07日 | 洋画(アメリカ系)
アメリカ合衆国史上最強の副大統領とも言われた、ジョージ・W・ブッシュ政権の副大統領ディック・チェイニーを描いた作品。

描かれているのは事実らしいのですが、ディック・チェイニーがあまりにも秘密主義であるために、わからないこともあると言う様なクレジットが最初に流れます。

確かに、彼は“史上最強の副大統領”とも言われていますが、これを見ると、むしろ【影の大統領】と言った方が正しい様な気がしますね。まぁ、正大統領であったジョージ・W・ブッシュの方は、その現役当時から“大丈夫?”と思わざるを得ませんでしたが・・・。

ラムズフェルドとの師弟関係は、知りませんでした。ただ、最終的には、チェイニーが副大統領で、ラムズフェルドが一閣僚の国防長官だったので、上下関係は逆転してしまっていましたが。それが故に、ラムズフェルドに引導を渡したのも、チェイニーであったんですね。まぁ、ブッシュには無理な仕事か。

しかし、ブッシュの陰に隠れて、やりたい放題ですね。いまの不安定な世界情勢に陥ったのは、このブッシュ政権時代であったのは間違いないのですが、その中でも、このチェイニーの罪が重いですね。最悪です。

それと、ディック・チェイニーは、いわばパペット使いだったわけですが、そのパペット使いを操ったのが、妻であったリン・チェイニーだったんですね。と言う事は、リンが、一番悪い奴だったのかも?

タイトルは“Vice”なのですが、副大統領のViceと、悪徳のviceの両方の意味なんでしょうね。って言うか、殆ど悪徳の方の意味しかない気が・・・・

タイトル バイス / 原題 Vice

日本公開年 2019年
製作年/製作国 2018年/アメリカ
監督 アダム・マッケイ
出演 クリスチャン・ベール(ディック・チェイニー/第46代アメリカ合衆国副大統領)、エイミー・アダムス(リン・チェイニー/ディック・チェイニーの妻)、スティーブ・カレル(ドナルド・ラムズフェルド/国防長官)、サム・ロックウェル(ジョージ・W・ブッシュ/第43代アメリカ合衆国大統領)、タイラー・ペリー(コリン・パウエル/国務長官)、アリソン・ピル(メアリー・チェイニー/チェイニー家次女)、リリー・レーブ(リズ・チェイニー/チェイニー家長女)、リサ・ゲイ・ハミルトン(コンドリーザ・ライス/国家安全保障問題担当大統領補佐官)、ジェシー・プレモンス(カート)、ジャスティン・カーク(アーヴィン・ルイス・“スクーター”リビー/副大統領首席補佐官兼大統領補佐官)、エディ・マーサン(ポール・ウォルフォウィッツ/国防副長官)、ビル・キャンプ(ジェラルド・フォード/第38代アメリカ合衆国大統領)、ドン・マクマナス(デイビッド・アディントン/副大統領首席補佐官)

運び屋 / The Mule

2019年03月10日 | 洋画(アメリカ系)
御年88歳のクリント・イーストウッドが、自身の監督作で銀幕復帰。レオ・シャープと言う87歳の老人が、ひとりで大量のコカインを運んでいたという実際の報道記事に着想を得た作品。

クリント・イーストウッドも年を取りましたねぇ。ですが、まだまだその演技は健在。家庭を顧みなかった、“古い男”を見事に演じています。この映画のモデルとなったレオ・シャープは87歳であったわけですが、それを演じたクリント・イーストウッドも88歳。殆ど再現ドラマ?

冷徹な麻薬カルテルを相手にしてしまっていた訳ですが、なぜだか、そのハンドラー達を味方に?付けている感じですね。恐れを知らないその態度と、そもそも、高齢のおじいさんだったので、流石にカルテルの人間たちも、気を許してしまったのかもしれません。

気を許したと言えば、DEA捜査官もそうなのでしょうか?アールが、逮捕前にベイツ捜査官と接触するシーンがあるのですが、そこでも、人生の大先輩としてベイツに人生のアドバイスを行っています。

「こんな高齢者が運び屋であるはずがない」と言う思い込みが、結果的に、アールの運び屋家業を成功に?導いたのでしょうか。でも、こう言う風に、普通に車であっちこっち行く普通の人が、麻薬の運び屋をやるんですね。なんか、怖いな。

タイトル 運び屋 / 原題 The Mule

日本公開年 2019年
製作年/製作国 2018年/アメリカ
監督 クリント・イーストウッド
出演 クリント・イーストウッド(アール・ストーン)、ブラッドリー・クーパー(コリン・ベイツDEA捜査官)、ローレンス・フィッシュバーン(DEA主任特別捜査官)、マイケル・ペーニャ(トレビノDEA捜査官)、ダイアン・ウィースト(メアリー/アールの妻)、アンディ・ガルシア(ラトン/カルテルの頭目)、イグナシオ・セリッチオ(フリオ)、アリソン・イーストウッド(アイリス/アールの娘)、タイッサ・ファーミガ(ジニー/アールの孫)、ユージン・コルデロ(ルイス・ロカ/カルテルの内通者)、ローレン・ディーン(ブラウンDEA捜査官)、グラント・ロバーツ(DEA捜査官)、ピート・バリス(DEA地方担当官)、ロバート・ラサード(エミリオ)、ソウル・ウエソ(アンドレス)、リー・コック(突撃銃の男)、ノエル・G(ボールド・ロブ)、クリフトン・コリンズ・Jr.(グスタボ)、ダニエル・モンカダ(エドアル)、ポール・リンカーン・アラヨ(サル)

グリーンブック / Green Book

2019年03月03日 | 洋画(アメリカ系)
実話に基づく作品。

2019年第91回アカデミー賞において『作品賞』、『助演男優賞(マハーシャラ・アリ)』、『脚本賞』を受賞。同じく2019年第76回ゴールデングローブ賞では、『作品賞(ミュージカル・コメディ部門)』、『助演男優賞(マハーシャラ・アリ)』、『脚本賞』を受賞。

ジム・クロウ法がまだ存在した時代。黒人ピアニストのドナルド・シャーリーと、彼のドライバー兼用心棒を務めたイタリア系アメリカ人トニー・リップが、アメリカ南部に演奏旅行に出かけたエピソードを描いた作品。

アカデミー賞で作品賞を受賞した訳ですが、アカデミーの作品賞と言えば、小難しい作品な事が多いですが、この作品はそうでもありません。確かに、描いているのは才能に恵まれているにも関わらず差別を受ける黒人と言う、アメリカの嘗ての負の歴史です、ですが、時にはコミカルに、時にはシリアスに、粗野な男と才能に恵まれた男が、旅を通して友情を培っていく様が描かれています。実際、時には劇場内で、クスっと笑いが起きるシーンが、何度かありました。

ちなみに、作品では、二人の旅は8週間と言う事になっていますが、実際には1年半ほど一緒に回っていたようです。最終的に仲良くなって良かったですが、打ち解けなかったら、地獄ですね(苦笑)

いや、中々面白い作品でした。

タイトル グリーンブック / 原題 Green Book

日本公開年 2019年
製作年/製作国 2018年/アメリカ
監督 ピーター・ファレリー
出演 ビゴ・モーテンセン(トニー・“リップ”・バレロンガ)、マハーシャラ・アリ(ドクター・ドナルド・シャーリー)、リンダ・カーデリニ(ドロレス/トニーの妻)、ディミテル・D・マリノフ(オレグ/シャーリーの楽団の一員)、マイク・ハットン(ジョージ)

ファースト・マン / First Man

2019年02月11日 | 洋画(アメリカ系)
アポロ11号で、人類で初めて月面に降り立ったニール・アームストロングの半生を描いた作品。

『アポロ13』では、ジム・ラベルと言う宇宙飛行士にも焦点を当てつつ、アポロ13号そのものを描いた作品だったわけですが、この作品は、ニール・アームストロングその人を描いています。そういう意味では、宇宙開発計画については、ジェミニ計画からアポロ計画に至る過程が描かれていますが、あくまでもアームストロング中心。それら計画に従事していた時、アームストロングが何を考えていて、何を感じていたのかと言う事が描かれています。

彼は、比較的おとなしい人物であったため、最初に月面に降り立つ人間に選ばれたとも言われています。その辺りは、上手く描かれているのですが、その人物像は、彼がエンジニア体質であったと言う事もあるのかもしれません。

それと、この作品で初めて知ったのは、彼が第二子を亡くしていたと言う事。それも、彼が一層大人しくなり、いろいろと考えてしまう人物であることに拍車をかけたのかもしれません。

一つ興味深かったのは、「NASA(アメリカ)は、宇宙開発に際して死者が出ることに十分対処できるノウハウと、体制を持っている」と言う話を聞いたことがあります。アームストロングたちが、月面着陸に失敗し、地球に帰還できなくなることを想定した追悼文も準備されていたというのは有名な話です。ですが、興味深かったのは、そっちの話ではなく、エド他のアポロ1号のメンバーが事故で殉職してしまった事に関連するエピソード。エドの妻パットが呆然としているシーンをみると、全然、死者が出ることに対するノウハウも体制も、実は無かったんだなと思わざるを得ません。まぁ、その後、整えられていったと言う事なのかもしれませんが。

素人でも名前を知っている様な宇宙飛行士が、いっぱい出てきます。そう言う意味でも面白いです。ですが、宇宙開発計画を描いた作品で、ここまで一人の人物に焦点を当てた作品は、少ないと思います。なかなか深い映画でした。

タイトル ファースト・マン / 原題 First Man

日本公開年 2019年
製作年/製作国 2018年/アメリカ
監督 デイミアン・チャゼル
出演 ライアン・ゴズリング(ニール・アームストロング)、クレア・フォイ(ジャネット・アームストロング/ニールの妻)、ジェイソン・クラーク(エド・ホワイト/アポロ1号宇宙飛行士)、カイル・チャンドラー(ディーク・スレイトン/マーキュリー・セブンの一人)、コリー・ストール(バズ・オルドリン/アポロ11号月着陸船パイロット)、キアラン・ハインズ(ボブ・ギルルース/NASA管理職)、パトリック・フュジット(エリオット・シー)、ルーカス・ハース(マイク・コリンズ/アポロ11号司令船パイロット)、イーサン・エンブリー(ピート・コンラッド)、シェー・ウィガム(ガス・グリソム/アポロ1号宇宙飛行士)、パブロ・シュレイバー(ジム・ラベル)、クリストファー・アボット(デビッド・スコット)、スカイラー・バイブル(リチャード・F・ゴードン・Jr.)、コリー・マイケル・スミス(ロジャー・チャフィー/アポロ1号宇宙飛行士)、オリビア・ハミルトン(パット・ホワイト/エドの妻)、クリス・スワンバーグ(マリリン・シー/エリオットの妻)