勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

アイガー北壁 / Nordwand

2010年03月27日 | 洋画(その他)
事実に基づく映画です。

1936年夏。ドイツは既にナチス施政下で、ベルリンオリンピック直前の時期。ドイツの優位性を示すため、ナチスはドイツ人によるアイガー北壁の初登頂を望んでいた。これは、それに際して発生した、登山家達の悲劇。ドイツ=オーストリア=スイス合作。全編、ドイツ語です。ネタバレ有りです。

結構衝撃でした。どの辺りが衝撃で有ったかと言うと、その結末。この手の映画って、過酷な運命に晒されながらも、最後は上手く行きましたって言う感じの話が多いのですが、そうでは有りません。いやぁ、特にトニーの最後は、悲しいですね。って言うか、パンフレットとか、HPとかは、何となく生還の雰囲気を醸していますが、そうでは有りません。HPに至っては、「感動の大作」などとも書かれていますが、あれを感動というのだろうか?

トニーとアンディーがアタックを開始してからは、手に汗にぎると言うか、暗転する彼らの運命にどんどん引き込まれて行ってしまうんですが、そこに到るまでの、トニー達とルイーゼの関係が、一応一通りの説明はされているんですが、ちょっともどかしい感じがしました。かと言って、あんまり説明的に描くのもどうかとも言いますが。

時代背景的には、1935年3月に再軍備宣言、1936年3月にラインラント進駐と、ドイツはどんどんと戦争への道を突き進んでいる時期です。後の世界のことを考えながら見ると、中々興味深いです。

結構衝撃の映画です。あまり、感動とかのエモーショナルな描き方はされていません。その意味では、ドイツっぽいと言えば、ドイツっぽいのかも。

タイトル アイガー北壁 / 原題 Nordwand
日本公開年 2010年
製作年/製作国 2008年/ドイツ=オーストリア=スイス
監督・脚本 フィリップ・シュテルツェル
出演 ベンノ・フュルマン(トニー・クルツ)、フロリアン・ルーカス(アンドレアス・ヒンターシュトイサー)、ヨハンナ・ヴォカレク(ルイーゼ・フェルトナー)、ウルリッヒ・トゥクール(ヘンリー・アーラウ)、ジーモン・シュヴァルツ(ヴィリー・アンゲラー)、ゲオルク・フリードリ(エディ・ライナー)

[2010/03/27]鑑賞・投稿
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マイレージ、マイライフ / Up In The Air

2010年03月22日 | 洋画(アメリカ系)
マイレージを貯めることに生きがいを感じているリストラ通告人のライアン・ビンガム。彼は一年の殆どを出張に出かけて過ごしているが、出張先でやはり出張族の女性アレックスと出会い、その場限りでの気軽な付き合いを続けている。彼の目標は1000万マイル貯めること。そんな彼に、大学を卒業したての新人ナタリーが、インターネットを介してのリストラ通告を行う改革案を策定し、ライアンの出張ライフにピリオドが・・・。

敏腕リストラ通告人ライアン・ビンガムを演じるのはジョージ・クルーニー。アメリカには、リストラ通告人という職業が有るんですね。そんな彼の前に現れた、新人がアナ・ケンドリックが演じるナタリー・キーナー。エリートがいきなり現れるというのは、アメリカには有りがちな話ですが、彼女もそんなエリートの一人です。ライアンとイイ感じの関係になるのがヴェラ・ファーミガ演じるアレックス・ゴーラン。アレックスもライアンと同じく出張族と言う設定です。

ナタリー発案のインターネットによるリストラ通告によって、ライアンの出張ライフが廃止に至ります。そのシーンを見ながら「リストラ通告人も会社員だし、リストラされ得るよなぁ。それが、このインターネット通告だったりして・・・。」などとシニカルな事を考えてしまいました。経済合理性を追求するのであれば、インターネット通告が非常に有効ですが、でもやっぱり、こう言う時は人の温かみというのが重要なんではないんですかね?

最後は何か、悲しい雰囲気になってしまいます。本当のアレックスを知り、1000万マイルと言う目標を達成し、愛と目標を失ってしまったライアンが、“人のつながり”の大切さを初めて気づくと言うことなんでしょうね。意外に、結構深い映画です。

ところで、マイルジャンキーですが、居るんですよね。どこかに行く事が目的ではなく、ただ飛行機に乗ってマイルを貯める事を目的としている人が。そう言う人は修行僧ともいわれます(苦笑)。もっともライアンは、仕事として飛行機に乗っているので、修行とは違いますが。私も近いとことはあるので、気持ちはわからなくはありません(爆)。

ゴールデングローブ賞:脚本賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞:脚本賞、ナショナル・ボード・オブ・レビュー:作品賞、主演男優賞、助演女優賞、脚色賞、ニューヨーク映画批評家協会賞:主演男優賞をそれぞれ授賞。

出張をテーマにした映画なので、アメリカン航空とヒルトンホテルとタイアップしています。

タイトル マイレージ、マイライフ / 原題 Up in the Air
日本公開年 2010年
製作年/製作国 2009年/アメリカ
監督・脚本 ジェイソン・ライトマン
原作 ウォルター・キム
出演 ジョージ・クルーニー(ライアン・ビンガム)、ヴェラ・ファーミガ(アレックス・ゴーラン)、アナ・ケンドリック(ナタリー・キーナー)、ジェイソン・ベイトマン(クレイグ・グレゴリー)、ダニー・マクブライド(ジム・ミラー)、メラニー・リンスキー(ジュリー・ビンガム)

[2010/03/22]鑑賞・投稿
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NINE / NINE

2010年03月21日 | 洋画(アメリカ系)
フェデリコ・フェリーニの映画『8 1/2』を下地にしたブロードウェイ・ミュージカル『NINE』の映画化。映画下にしたミュージカルの映画化って、何かグルグル廻っている気がしますね(笑)。最初、なんで舞台がイタリアなんだと思いましたが、フェデリコ・フェリーニの話を下にしているとすると、当然なんですね。もっとも、セリフは全て(舞台はイタリアなのに)英語ですが。ロブ・マーシャルは、同じくブロードウェイ・ミュージカルを映画にした『CHICAGO』も映画化しています。そう言うのが好きなんでしょうか?

ダニエル・デイ=ルイスの女ったらしのイタリア男の演技は、中々良いですね。ちょい悪オヤジと言うか、かなり悪オヤジですが。それにしても、よくこれだけの主役級女優陣、って言うかアカデミー賞級の女優陣を集めましたね。ギャラのことを考えると、気が遠くなりそうです(苦笑)。って言うか、ジュディ・デンチですが、どうしてもMに見えてしまうんですよねぇ。完全に刷り込まれていますね。

中々エロティックな作品です。って言うか、フェデリコ・フェリーニは、いつもそんな事を考えていたんですかね(苦笑)? 118分とほぼ二時間の作品ですが、そんなに長くは感じませんでした。場面転換が沢山あって飽きなかったと言うのが、その理由ですね。『CHICAGO』の時も思ったんですが、意外に面白かったです。ミュージカル嫌いでも大丈夫です(笑)。

第82回アカデミー賞4部門ノミネート(助演女優賞:ペネロペ・クルス、衣装デザイン賞、楽曲賞、美術賞)、第67回ゴールデングローブ賞5部門ノミネート(作品賞(ミュージカル/コメディ部門)、主演男優賞(ミュージカル/コメディ部門):ダニエル・デイ=ルイス、主演女優賞(ミュージカル/コメディ部門):マリオン・コティヤール、助演女優賞:ペネロペ・クルス、楽曲賞)等々、数々の賞にノミネートされています。もっとも、残念ながら授賞はしていないみたいです。

タイトル NINE / 原題 NINE
日本公開年 2010年
製作年/製作国 2009年/アメリカ
監督 ロブ・マーシャル
脚本 アンソニー・ミンゲラ
出演 ダニエル・デイ=ルイス(グイド・コンティニ)、マリオン・コティヤール(ルイザ/グイドの妻)、ペネロペ・クルス(カルラ)、ニコール・キッドマン(クラウディア・ジェンセン)、ジュディ・デンチ(リリー)、ソフィア・ローレン(ママ/グイドの母)、ケイト・ハドソン(ステファニー)、ファーギー(サラギーナ)

[2010/03/21]鑑賞・投稿
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シャーロック・ホームズ / Sherlock Holmes

2010年03月14日 | 洋画(イギリス系)
実在説も有る(?)シャーロック・ホームズ。今回の映画は、コナン・ドイルの原作には無いオリジナル脚本です。今回シャーロック・ホームズを演じたのは、ロバート・ダウニー・Jr。そして、初老の紳士と言うイメージのあったワトソン医師は、何と!ジュード・ロウ。若いワトソンです。

設定は、1891年。モリアーティ教授と死闘を繰り広げる「最後の事件」も1891年なので、その直前と言う感じですかね。もっとも、「ボヘミアの醜聞」が出版されたのは1891年7月なんですが、この時既に『故アイリーン・アドラー』と「ボヘミアの醜聞」にはあるので、それより前と言うことですね。と言う事で、本当に「最後の事件」の直前ですね、たぶん。

シャーロック・ホームズと言えば、NHKで放送されていたバージョンに出ていたジェレミー・ブレットが思いつくのではないでしょうか? その作品でのシャーロック・ホームズのイメージは、物静かで、日本人がイメージするイギリス紳士と言う感じではないかと思います。彼の演じるシャーロック・ホームズも、一級品でした。乱暴なシャーロック・ホームズなんて、嫌ですよね(笑)。

でも、この映画を見ながら思い出してみたんですが、原作には、ホームズが、明かりを消して煙(タバコ?アヘン?)の充満した部屋に居る描写や部屋で銃をぶっ放す描写、あるいはバイオリンを引きながら色んな思索にふける描写、また、マーシャルアーツやバリツ(バーティツ)の使い手であることの説明、そして何より、結構、銃を持って、ワトソンと共に犯罪現場に踏み込むなどのシーンが有ったことなどを沢山思い出しました。巷では、この「シャーロック・ホームズ」は、『元々のイメージ近い』と言われていますが、本当にそうかもしれませんね。映像で見ると、あの描写は、こういう事だったのかと思いました。

ローザラム卿の事を“首席裁判官”とか訳していましたが、それって、大法官か何かではないかと思いました。

いやぁ、意外でしたが、ロバート・ダウニー・Jrのシャーロック・ホームズは、良いですね。良く考えると、シャーロック・ホームズ一番活躍したこの時期は、脂の乗った壮年期であるはずですから、ロバート・ダウニー・Jr位の年齢が丁度良いのかもしれませんね。あわせて考えると、ワトソンもそうで、ジュード・ロウ位の年齢だったのかもしれません。

聞くところによれば、続編が作られているらしいです。って言うか、モリアーティ教授の存在を匂わすあの描写は、どう考えても次への伏線です(笑)。

第67回ゴールデングローブ賞主演男優賞ミュージカル・コメディ部門(ロバート・ダウニー・Jr)授賞です。第82回アカデミー賞では、作曲賞、美術賞にノミネートされましたが、授賞はなりませんでした。

タイトル シャーロック・ホームズ / 原題 Sherlock Holmes
日本公開年 2010年
製作年/製作国 2009年/イギリス
監督 ガイ・リッチー
出演 ロバート・ダウニー・Jr(シャーロック・ホームズ)、ジュード・ロウ(ジョン・ワトソン)、レイチェル・マクアダムス(アイリーン・アドラー)、マーク・ストロング(ヘンリー・ブラックウッド卿)、ケリー・ライリー(メアリー・モースタン)、エディー・マーサン(レストレイド警部)、ジェラルディン・ジェームズ(ハドソン夫人)、ジェームズ・フォックス(トーマス・ローザラム卿/大法官?)、ウィリアム・ホープ(スタンディッシュ駐英米大使)、ハンス・マシソン(カワード卿/内務大臣)

[2010/03/13]鑑賞・投稿
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噂のモーガン夫妻 / Did You Hear About The MORGANS?

2010年03月13日 | 洋画(アメリカ系)
NYの人気弁護士の夫と、同じくNYのセレブ御用達不動産エージェントの妻。夫の不倫から別居している最中、久しぶりに会って、夫婦揃って歩いていた時に殺人事件現場に遭遇してしまう。犯人から命を狙われた二人は、証人保護プログラムでワイオミング州・レイで一緒に過ごすことに・・・。

妻メリル・モーガンを演じるのはサラ・ジェシカ・パーカー。SATC2がこの夏ごろに控えていますが、やっぱり彼女は、ニューヨーカー役なんですね(笑)。こう言うとワイオミング州に方々には失礼ですが、田舎のワイオミング州に行って、何も無いことにショックを受けるニューヨーカーを上手く(面白く)演じています。もっとも、彼女はオハイオ州出身なので、生粋のニューヨーカーでは無いんですけどね。

夫ポール・モーガンはヒュー・グラント。彼はイギリス人なわけですが、NYの敏腕?弁護士を無難に演じています。って言うか、自身がイギリス出身であると言う事を活かして、イギリスにまつわるジョークを語っていました(笑)。

主演の二人はさておき、中々面白いのが、二人の秘書達。始めから、二人は気の有る通しと言う雰囲気なんですが、最終的には結婚?している見たいです(笑)。ちなみに、それぞれのボスと同様、女性の方が強いです(爆)。

さて、この物語中「執行官」と言う訳語が沢山出てきます。これって“(US) Marshals”の訳語であると思うんですが、これって、日本語で的確なのは『連邦保安官』だと思うんですけどね。って言うか、通常の殺人事件なのに、なんで始めから連邦保安官が出てくる? NYPDが捜査担当のはずだし、連邦犯罪ならFBIが出てくるところなんだと思うんですけどね? もっとも、連邦証人保護プログラムの運営は連邦保安官なので、そのところは正しいんですが。

さて、そういう所は置いておいて、基本、ラブコメディーです。「浮気したけど妻が好き。」。あると思います。

タイトル 噂のモーガン夫妻 / 原題 Did You Hear About The MORGANS?
日本公開年 2010年
製作年/製作国 2009年/アメリカ
監督 マーク・ローレンス
出演 ヒュー・グラント(ポール・モーガン)、サラ・ジェシカ・パーカー(メリル・モーガン)、サム・エリオット(クレイ・ウィーラー/連邦保安官)、メアリー・スティーンパージェン(エマ・ウィーラー/クレイ妻、連邦保安官補)、エリザベス・モス(ジャッキー・ドレイク/メリル秘書)、マイケル・ケリー(ヴィンセント/犯人)

[2010/03/13]鑑賞・投稿
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ハート・ロッカー / The Hurt Locker

2010年03月07日 | 洋画(アメリカ系)
第82回アカデミー賞9部門(作品賞、監督賞(キャスリン・ビグロー)、主演男優賞(ジェレミー・レナー)、脚本賞(マーク・ボール)、撮影賞、編集賞、作曲賞、音響編集賞、録音賞)ノミネート。

監督が、この作品とアカデミー賞作品賞を争っている「アバター」のジェームズ・キャメロン監督の元妻で有ると言うこともさておきながら、プロデューサーがアカデミー会員に対して「ハート・ロッカー」への投票を呼び掛けるメールを送ってアカデミー賞授賞式への立ち入りを禁止された他、「自分がモデルで有る」と主張するアメリカ陸軍曹長から訴えられたりと、本来のところ以外でも話題を振りまいています。ちなみにアバターの制作費は3億ドルと言われていますが、こちらのハート・ロッカーの制作費は1500万ドルと言われています。20倍ほども制作費に差が有る作品同士がアカデミー賞を争っていると言うのは、中々興味深いです。

映画本来のところでの騒ぎは別にして、本家のアカデミー賞の前に英国アカデミー賞を授賞していますし、それ以外にも全米映画批評家協会賞、ニューヨーク映画批評家協会賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞、サンフランシスコ映画批評家協会賞、ワシントンD.C.映画批評家協会賞、シカゴ映画批評家協会賞、ボストン映画批評家協会賞、放送映画批評家協会賞・・・と、沢山の賞を授賞しています。実力は、十分と言うところでしょうか。

さて、映画の中身ですが、“リアル”と言う言葉が相応しいですね。作品にあまりイメージを抱かせないように、それほど有名ではない俳優を起用したと言うことですが、それが当たっていて、まるでドキュメンタリーであるかの様な作品に仕上がっています。もっとも、主演のジェレミー・レナーはこの作品では、命知らずのアウトローな役どころな訳ですが、彼は実は「S.W.A.T.」にも出ていて、こちらでもアウトローな人物の演技をしています。って言うか、「S.W.A.T.」では、本当のアウトローの役ですが(苦笑)。また、舞台は2004年のバグダットですが、撮影は当然バグダッドでは行えないので、となりのヨルダンで行われています。

この映画にまつわる逸話がもうひとつあるんですよね。この映画、実は2008年には完成していたんですが、中々配給が決まらず、アメリカでブッシュ政権からオバマ政権に政権が交代した途端に、配給が決まったと言う話もあります。政権交代と、この映画の配給の関係があるかどうかは判りませんが・・・。アメリカの保守派は、この映画を一般市民に見られて、ベトナム戦争の二の前になる事を恐れていたんでしょうか?

最後に。タイトルの「ハート・ロッカー / Hurt Locker」ですが、「行きたくない場所」と言う意味が有るそうです。

タイトル ハート・ロッカー / 原題 The Hurt Locker
日本公開年 2010年
製作年/製作国 2009年/アメリカ
監督・製作 キャスリン・ビグロー
脚本・製作 マーク・ボール
出演 ジェレミー・レナー(ウィリアム・ジェームズ二等軍曹)、アンソニー・マッキー(J・T・サンボーン軍曹)、ブライアン・ジェラティ(オーウェン・エルドリッジ技術兵)、レイフ・ファインズ(請負チームリーダー)、 ガイ・ピアース(マット・トンプソン軍曹)、デヴィッド・モース(リード大佐)

[2010/03/07]鑑賞・投稿
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