勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

ザ・ブリザード(3D) / The Finest Hours

2016年02月28日 | 洋画(アメリカ系)
若干のネタバレがあります。

事実に基づいた作品。“沿岸警備隊史上最も不可能な救出ミッション“と言われる、1952年に起きた、タンカー・SSペンドルトン号救出劇を描いています。原題の『The Finest Hours』は、この救出劇を手放しに褒め称えていますね。

「沿岸警備隊は必ず出動するが、帰還することは期待されていない」の言葉がシャレにならないくらい非常に困難で、心が折れそうになる状況ですね。そんな過酷な状況でも、諦めずに救出を行ったのは素晴らしいです。って言うか、そんな言葉自体が有ることが凄い・・・。

ですが、同じ様な海上救出を描いたシリーズの“海猿”をしっている日本人には、ちょっと物足りなく感じてしまうかもしれませんね。現場にたどり着くまでは、ものすごく大変なんですが、現場にたどり着いて救助を始めると、意外にあっさりと・・・。そこのところが、救助中にも様々な困難が次から次へと巻き起こる“海猿”との違いですかね。って言うか、海猿はフィクションですが、こちらは事実なので、事実はこういうものなのかもしれませんね。

ミリアムですが、途中の雰囲気で「沿岸警備隊隊員の妻は、こういう心がけが必要だ!」見たいな事が描かれるのかと思いましたが、そうでもありませんでした。ちょっと拍子抜け。これも、事実とはこういうものなのかもしれませんが・・・。でも、ミリアムは、バーニーが帰還するにあたって、重要な事をしています。

舞台は2月なのですが、あの状況なら、救出されても低体温症で無くなってしまう人が出てもおかしくなかったですが、そうで無かったのは不幸中の幸いですね。って言うか、ものすごく寒そうで、こっちまで寒くなってしまいました(笑)。

タイトル ザ・ブリザード / 原題 The Finest Hours

日本公開年 2016年
製作年/製作国 2016年/アメリカ
監督 クレイグ・ギレスピー
出演 クリス・パイン(バーニー・ウェバー)、ケイシー・アフレック(レイモンド・シーバート)、エリック・バナ(ダニエル・クラフ/司令官)、ホリデイ・グレインジャー(ミリアム/バーニーの恋人)、ベン・フォスター(リチャード・リヴシー)、ジョン・オーティス(ウォレス・キーレイ)

SHERLOCK シャーロック 忌まわしき花嫁 / Sherlock: The Abominable Bride

2016年02月21日 | 洋画(イギリス系)
イギリスBBCのTV番組で、ベネディクト・カンバーバッチの出世作SHERLOCKシリーズの特別編。いつもは現代が舞台ですが、この特別編では元々シャーロック・ホームズが活躍していた19世紀を舞台にしています。

19世紀が舞台とは言ってもTVシリーズとは“ちゃんと?”繋がっています。(どう繋がっているかは作品で確認を。)ただ、私的にはどっち付かずな印象を受けました。現代なのか、19世紀なのか。この場合、折角19世紀で始まったので、そのまま19世紀で突き進めばいいのにと思ったことは記しておきます。アメリカのTV番組『BONES』のシリーズ10で、10周年&通算200回記念の特別編として、舞台を1950年台に移し、且つ、出演者の役どころを一新した回が有ったんですが、あのくらい突き抜けたほうが良かったと思います。

シャーロック・ホームズと言えばジェレミー・ブレットだと思っていたんですが、ベネディクト・カンバーバッチの19世紀版シャーロック・ホームズも悪く無いですね。でもマーティン・フリーマンの19世紀版ワトソンはそれ以上に似合っていました。あの風貌に、口ひげが、ワトソンのイメージにピッタリでした。

本編上映前と、本編上映後に、「脚本家スティーブン・モファットと巡るベーカー街221Bの旅」と「シャーロック製作の裏側 主要キャスト・スタッフとともに」と言う特典映像があります。

タイトル SHERLOCK シャーロック 忌まわしき花嫁 / 原題 Sherlock: The Abominable Bride

日本公開年 2016年
製作年/製作国 2015年/イギリス
監督 ダグラス・マッキノン
出演 ベネディクト・カンバーバッチ(シャーロック・ホームズ)、マーティン・フリーマン(ジョン・ワトソン)、アマンダ・アビントン(メアリー・モースタン)、ルイーズ・ブリーリー(モリー・フーパー)、ユーナ・スタッブス(ハドソン夫人)、ルパート・グレイブス(レストレード警部)、マーク・ゲイティス(マイクロフト・ホームズ)、アンドリュー・スコット(ジェームズ・モリアーティ教授)

X-ミッション / Point Break

2016年02月20日 | 洋画(アメリカ系)
パトリック・スウェイジ&キアヌ・リーブス主演の1991年の映画『ハートブルー(原題:Point Break)』のリメイク。

下となった作品『ハートブルー(原題:Point Break)』知らないので、そのくらい下の作品と違うのか知りませんが、はっきり言って、ストーリーには期待しないほうが良いですね。これは、サーフィンや、スノーボード、モトクロスなどのアクションをちょっとドキドキしながら見る映画です。

そう言う意味では、サーフィンが凄いです。フランスの沖で、あんなに大きい波があるんですね。って言うか、あんなにキレイにカールするんだ、波が。それにビックリ。ハワイとか、オーストラリアだけじゃないんですね。

それと、順序が逆になってしまいましたが、物語冒頭にモトクロスをしている場所が、凄い!あんな場所が、この地球上になるんですね。驚きの光景です。まぁ、WINDOWSの写真に、カールしている地形の写真がありますが、それに勝るとも劣らない見事な光景でした。

タイトル X-ミッション / 原題 Point Break

日本公開年 2016年
製作年/製作国 2015年/アメリカ
監督 エリクソン・コア
出演 エドガー・ラミレス(ボーディ)、ルーク・ブレイシー(ジョニー・ユタ)、レイ・ウィンストン(アンジェロ・パパス)、テリーサ・パルマー(サムサラ)、トバイアス・サンテルマン(クロウダー)、デルロイ・リンドー(ホール/FBI教官)

スティーブ・ジョブズ / Steve Jobs

2016年02月12日 | 洋画(アメリカ系)
第73回ゴールデン・グローブ賞助演女優賞(ケイト・ウィンスレット)、脚本賞受賞。第88回アカデミー賞主演男優賞(マイケル・ファスベンダー)、助演女優賞(ケイト・ウィンスレット)ノミネート。

2013年にも、アシュトン・カッチャーがスティーブ・ジョブズを演じた作品『スティーブ・ジョブズ(原題:Jobs)』が公開されていますが、今回のスティーブ・ジョブズはマイケル・ファスベンダーが演じています。残念ながら、2013年のアシュトン・カッチャー版の評判は微妙で、スティーブ・ジョブズ映画としてはこちらの作品の方が本命視されているみたいですね。それもそのはずで、ベースとなったのは、ジョブズ本人に密着取材して記されたウォルター・アイザックソンの伝記『スティーブ・ジョブズ』。ジョブズ本人が認めたのは、このウォルター・アイザックソンの作品だけなので、そうなるのも仕方ないのかな。でも、ジョブズの見た目は、アシュトン・カッチャー版の方が似ていたと思います。

2013年のアシュトン・カッチャー版が、全般的に薄く広くスティーブ・ジョブズと言う人物とそれにまつわる話を描いていたのに対して、2016年のこの作品では、1984年のMacintosh、1988年のNeXT Cube、1998年のiMacの3つの新製品発表会の場に焦点を絞って描いています。いやぁ、発表会その場を描くとは思いませんでした。ウォルター・アイザックソンの原作でも、そう言う描き方はしていませんでしたからね。

そして、そう言う舞台設定と、側近以外では、ジョブズの(最終的には認知したものの、中々認知しなかった)リサという娘、そして、因縁浅からぬジョン・スカリーと言う人物にジョブズの相手を限ることで、より詳しくスティーブ・ジョブズと言う人物が描かれていたと思います。これは、アシュトン・カッチャー版では見られなかった演出でしたし、今回の演出は非常に効果的でもあったと思います。

って言うか、ジョアンナ・ホフマンはケイト・ウィンスレットが演じていたんでしたね。Macintosh、NeXT Cubeの頃は、仕事はできるけど野暮ったい風貌の女性でしたが、iMacの時には、イキナリ(本来の)美女になっていてビックリしました。って言うか、ケイト・ウィンスレットなんだから、あれが本来の姿ですよね(笑)

物語終盤、いまのiPod、iPhone、iPadに繋がるようなアイディアをジョブズが語っています。ジョブズが嫌っていた、スタイラス(Apple Pencil)を採用したiPad Proの事を、空の上でジョブズはどう思っているんでしょうかね?

知ってはいましたが、改めて、スティーブ・ジョブズが“人間として”最悪の人物であるのかを思い知らされました。あんな人物が近くにいたら、絶対近づきたくないですね。製品を作る“アーティスト”としては最高なんですけどね。

タイトル スティーブ・ジョブズ / 原題 Steve Jobs

日本公開年 2016年
製作年/製作国 2015年/アメリカ
監督 ダニー・ボイル
原案 ウォルター・アイザックソン『スティーブ・ジョブズ』
出演 マイケル・ファスベンダー(スティーブ・ジョブズ)、ケイト・ウィンスレット(ジョアンナ・ホフマン)、セス・ローゲン(スティーブ・ウォズニアック)、ジェフ・ダニエルズ(ジョン・スカリー)、マイケル・スタールバーグ(アンディ・ハーツフェルド)、キャサリン・ウォーターストン(クリスアン・ブレナン)、パーラ・ヘイニー=ジャーディン(リサ・ブレナン(19歳))、リプリー・ソーボ(リサ・ブレナン(9歳))、マッケンジー・モス(リサ・ブレナン(5歳))、サラ・スヌーク(アンドレア・カニンガム)、ジョン・ステーン(マイク・マークラ)

オデッセイ(3D) / The Martian

2016年02月07日 | 洋画(アメリカ系)
アンディ・ウィアーのベストセラー『火星の人』の映画化。第73回ゴールデングローブ賞で作品賞と主演男優賞(マット・デイモン)を受賞。第88回アカデミー賞では、作品賞、主演男優賞(マット・デイモン)、脚色賞、美術賞、視覚効果賞、録音賞、音響効果賞の7部門にノミネート。

そもそも『火星の人』のヒットに至るエピソードが面白いです。作者のアンディ・ウィアーが、元々無料で自分のウェブサイトで公開し始めたことに話は始まっています。連載という形態で少しづつ物語を進めていた所、「まとめて読みたい!」と言う読者の要望が有ったことから、Kindleで99セント(Kindleが無料に対応していなかったために付けた最低価格)で販売した所、大ヒット。そのことから、今回の映画化につながっています。

この映画にはもう一つ面白いところがあって、アカデミー賞の前哨戦とも言われる第73回ゴールデングローブ賞で、“ミュージカル・コメディ部門”で作品賞と主演男優賞(マット・デイモン)を受賞しています。そもそも、ゴールデングローブ賞のドラマ部門は競争が激しいのですが、ミュージカル・コメディ部門ではそれほどでも無いとも言われ、賞受賞を確実とすべくミュージカル・コメディ部門でエントリーしたという噂も。またその理由が、『火星で植物を栽培するなど、コメディ以外の何物でもない』とも言ったとか、言わないとか(どっちだ!)。

比較的原作に忠実に作られている感じです。とは言っても、アレス4のMAVに近づく時の困難な出来事や、ヘルメス号への補給が失敗した場合のコンティンジェンシープランとしてベス・ヨハンセンが指定生存者に命じられていた事は省かれていますし、最後にマークをヘルメス号に回収する件は、原作とは違いますよね。あと決定的に原作と違うのは、後日譚の追加ですかね。有ってもいいけど、無くてもいいかと。

この作品で、NASAの苦難に手を差し伸べるのが中国というのが、時代ですかねぇ。一昔前なら、旧ソ連とかあるいはヨーロッパとかだと思うんですが、今の時代、中国を外すわけには行かないと言う事ですね。なお、撮影に際してはNASAが全面的に協力しています。

今回は、3Dで鑑賞しましたが、この作品は3Dで無くても良いかな。まぁ、火星の雄大な光景を3Dで見るのもありなのかもしれませんが。

最後ですが、この作品も“邦題が酷い”地獄に囚われてしまっていますね。原作の『火星の人』の方が、より内容を正しく表現していると思うんですけどね。だって、放浪していないじゃん。

タイトル オデッセイ / 原題 The Martian

日本公開年 2016年
製作年/製作国 2015年/アメリカ
監督 リドリー・スコット
原作 アンディ・ウィアー『火星の人』
出演 マット・デイモン(マーク・ワトニー/アレス3ミッションクルー、エンジニア・植物学者)、ジェシカ・チャステイン(メリッサ・ルイス/アレス3ミッション指揮官、地質学者)、クリステン・ウィグ(アニー・モントローズ/NASA広報統括責任者)、ジェフ・ダニエルズ(テディ・サンダース/NASA長官)、マイケル・ペーニャ(リック・マルティネス/アレス3ミッションクルー、操縦士、少佐)、ショーン・ビーン(ミッチ・ヘンダーソン/アレス3ミッションフライトディレクタ)、ケイト・マーラ(ベス・ヨハンセン/アレス3ミッションクルー、システムオペレータ・原子炉技術者)、セバスチャン・スタン(クリス・ベック/アレス3ミッションクルー、医師)、アクセル・ヘニー(アレックス・フォーゲル/アレス3ミッションクルー、天体物理学者、ドイツ人)、キウェテル・イジョフォー(ビンセント・カプーア/NASA火星探査ミッション統括責任者)、マッケンジー・デイヴィス(ミンディ・パーク/NASA衛星制御エンジニア)、ドナルド・グローヴァー(リッチ・パーネル/JPL科学者、リッチ・パーネル・マニューバ考案者)

ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります / 5 Flights Up

2016年02月06日 | 洋画(アメリカ系)
ニューヨーク・ブルックリンのアパートメントの最上階に新婚以来暮らしている夫婦。加齢に伴い徐々に階段が辛くなって、自宅を売ろうとすることから巻き起こる騒動を描きます。

なるほどね。ネタバレになるので、あまり書きませんが、落ち着くべきところに落ち着きます。でも、この、アレックスとルースの夫婦、いい夫婦ですね。そうかぁ、彼らくらいの年齢だと、公民権運動華やかなりし頃の時代にまで遡るので、色々と二人で苦労してきたんですね。夫婦というか、同士というか。

モーガン・フリーマン、ダイアン・キートンの二人とも素晴らしいのです。ルースが日常の基本的な事項を進め、“ここぞ!”と言う時はアレックスが締めると。でも、敢えてどちらがどうだと言う事を上げるのだとすれば、私がダイアン・キートンかなぁ。まぁ、夫婦or男と女、実は妻or女が実は主導権を握ったほうが幸せという説もありますしね(笑)。

二人の姪のリリーを演じたシンシア・ニクソンって、セックス・アンド・ザ・シティのミランダですね。どこかで見たことがあると。で、やっぱりミランダと同じように、おしゃべりで毒舌。“おしゃべりで毒舌”って、役柄ではなくて、シンシア・ニクソンの地?

幸せな夫婦の物語を垣間見ました。

タイトル ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります / 原題 5 Flights Up

日本公開年 2016年
製作年/製作国 2014年/アメリカ
監督 リチャード・ロンクレイン
原作 ジル・シメント『眺めのいい部屋売ります』
出演 モーガン・フリーマン(アレックス・カーバー)、ダイアン・キートン(ルース・カーバー)、シンシア・ニクソン(リリー・ポートマン)、クレア・バン・ダー・ブーム(若き日のルース)、コーリー・ジャクソン(若き日のアレックス)