勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

ゴールデンスランバー

2010年01月31日 | 邦画
首相公選制が実現している時代が舞台。当選後初めてのお国入りの首相を暗殺した濡れ衣を着せられた男の二日に渡る逃亡劇。原作の舞台は、仙台市。映画も、全編仙台での撮影を敢行しています。

映画化を知ったのが先だったか、原作を読んだのが先だったか忘れてしまいましたが、面白い原作を上手く脚本化した映画だと思います。原作の面白さが、上手く脚本に落とされています。良い原作を、脚本化に際してズタズタにした映画とは大違いです。とは言っても、脚本化に際して簡略化された設定もあって、原作では「キルオ」逮捕の為と言う口実で導入されている監視カメラシステム「セキュリティポッド」の件が完全に省かれていました。それと、井ノ原小梅と青柳雅春の絡みはもう少し有ったと思うんですが、映画ではほんの少しに成っていました。とは言え、肝心のところは抜けていないので、かえって良かったのかもしれません。

原作を読んだときはあまり気にならなかったのですが、時代背景が少しバラバラ?な感じがします。現実の世界と比べると、何時の時代なのか時代感がイマイチ不明なんですよね。首相公選制も実現しているので、もしかしたらパラレルワールドの日本と言う設定と考えた方が良いのかもしれません。警察もムチャクチャやってますしね。

さて俳優陣ですが、劇団ひとりはまだギリギリ大丈夫かもしれませんが、堺雅人や吉岡秀隆に30歳の役は、ちょっとキツイのでは・・・(失礼)。お二人とも良い俳優なので、彼らの実年齢に物語の設定を合わせた方が良かったのではないかと思いました。そうすると、竹内結子が辛くなってしまうんですけどね:-p。それにしても、堺雅人は、「南極料理人」のゆるい系の役も良かったんですが、何と言うか、こう言う怒れる必死系・熱血系の役も良いですね。「クライマーズ・ハイ」とか「ジェネラル・ルージュの凱旋」での熱演も思い出してしまいました。

日本の映画も、こう言う面白い作品が生み出せるようになったんですね。原作を知っていても、知らなくても楽しめる作品だと思います。

タイトル ゴールデンスランバー
日本公開年 2010年
製作年/製作国 2010年/日本
監督 中村義洋
原作 伊坂幸太郎
出演 堺雅人(青柳雅春)、竹内結子(樋口晴子)、吉岡秀隆(森田森吾)、劇団ひとり(小野一夫)、貫地谷しほり(凛香)、相武紗季(井ノ原小梅)、ソニン(鶴田亜美)、大森南朋(樋口伸辛)、柄本明(保土ヶ谷康志)、香川照之(佐々木一太郎)

[2010/01/31]鑑賞・投稿

サロゲート / Surrogates

2010年01月24日 | 洋画(アメリカ系)
ロボット工学と脳科学の発達により、センサーで人間の脳をスキャンし、その脳波でロボット=サロゲートを操作出来るようになった未来が舞台。監督は『ターミネーター3』のジョナサン・モストウ。

確かに既に今現在でも、脳波をスキャンしてある程度機器を操作すると言う技術は実現しているので、技術が進化すれば、この映画のような世界は実現可能かもしれませんね。もっとも、操作卓(操作ベッド?)とサロゲート間の通信を、どう確保するのか? そして、通信の安全性をどう担保するのかと言う問題はありますが。

主人公トム・グリアーを演じるのはブルース・ウィリス。トムももちろん、サロゲートを使っているのですが、そのサロゲートは、トム本人(って言うか、ブルース・ウィリス本人と言うべきかもしれませんが)を若作りした容貌。もっとも、劇中で殺される美人のオペレータは、太ったむくつけきオッサンと言う場面もありますが:-p。ところで、当初はエリートFBI捜査官を演じている彼が、結局、肉弾的演技をしてしまうのは、ダイ・ハードシリーズに出すぎたから?

さて、劇中出てくる出演者ほぼ全てがサロゲートであると言う設定なので、ロボット風のメイクをして演じていたそう。確かに、人間として登場している出演者と、サロゲートとして登場している出演者の表情を見比べてみると、サロゲートとして登場している出演者の方が、無機質な表情をしてロボット的雰囲気を出していました。

この作品のテーマを考えてみると、結局は、人類愛と言うことなのでしょうか。あるいは、便利に成り過ぎた現代社会への警鐘とも言えるかもしれませんね。

タイトル サロゲート / 原題 Surrogates
日本公開年 2010年
製作年/製作国 2009年/アメリカ
監督 ジョナサン・モストウ
出演 ブルース・ウィリス(トム・グリアー)、ラダ・ミッチェル(ジェニファー・ピータース)、 ロザムンド・パイク(マギー・グリアー)、ジェームズ・クロムウェル(キャンター博士)、ボリス・コドジョー(アンディー・ストーン)

[2010/01/24]鑑賞・投稿

オーシャンズ(日本語吹き替え) / Oceans

2010年01月23日 | 洋画(フランス系)
「海って、何?」と言う少年の一言から始まったドキュメンタリーと言う形態を取っています。海をテーマにしたドキュメンタリーといえば、『ディープ・ブルー』や『アース』がありますが、それら二作はBBCの作品であるに対し、イギリスへの対抗意識ではないでしょうが、こちらの『オーシャンズ』はフランスの作品です。そう言えば、フランスには、有名な海洋学者ジャック=イヴ・クストーがいたのを思い出しました。

さて、海の生態を表した単純なドキュメンタリーと思うと外されます。って言うか、戸惑います。作品の後半に、「人類による生態系の破壊」を示したようなパートがあって、それが、イルカ漁やクジラ漁など、明らかに日本を指しているような映像なんですよね。フランスは反捕鯨国なのでね、そう言う描き方になるんでしょうか? しかしながら、その映像の中に有ったサメ漁は、ちょっと酷いなぁとおもいましたね。サメのすべてのヒレを(生きたまま)切り落としたら、ヒレの無いサメはそのまま海中へ・・・。ヒレが無いから、当然泳げないんですよね。で、サメは、常に泳いでいないとエラに海水が通らないので、窒息してしまうんですよね。ちょっと、あれは酷いなぁと思いました。恐らく、この映画で描きたかったのは、生物多様性の重要さと、そしてその生物多様性がいま脅かされていると言う事では無いでしょうか。

とか何とか言っていますが、単純に映像はスゴイです。水中の映像は、水中であるはずなのに、全く水中であるようには見えないですし、水面すれすれの映像も、全然画面がぶれません。もっとスゴイのは、様々な魚たちがカメラを全く意識せずに自然に振舞っている映像が撮られていると言うこと。一体どうやって、そんな自然な映像を撮ったんでしょうか?

3/5まで子供500円キャンペーンをやっていますが、果たして子供向けなのかなぁ・・・。むしろ、大人が見るべきではないかと思います。ただし、全般的には、ストーリーが単調なので途中少し飽きてしまうかも(苦笑)。

タイトル オーシャンズ / 原題 Oceans
日本公開年 2010年
製作年/製作国 2009年/フランス
監督 ジャック・ペラン 、 ジャック・クルーゾー
ナビゲーター 宮沢りえ

[2010/01/23]鑑賞・投稿