勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

麒麟の翼~劇場版・新参者~

2012年01月29日 | 邦画
原作者東野圭吾自身が、シリーズ最高傑作と言う『麒麟の翼』の映画化作品。

原作は読んでいてその面白さは知っていたのですが、本は面白いのに映像化されるとイマイチと言う事が良くあるので、ちょっと心配していたんですが、その心配は杞憂だったようです。ここに至るまで、TV連続ドラマとTVスペシャルドラマとして、加賀恭一郎シリーズは作られていたので、杞憂だったようです。

このシリーズの肝は、やっぱり阿部寛演じる“阿部”恭一郎では無いでしょうか。この作品でも、その魅力は十分発揮されていました。かっこいいですね。

一方、溝端淳平クンですが、う~ん。頑張ってはいますが、刑事には見えない・・・。若すぎるのかなぁ。もう少し、渋さが加わるといいのかも。あと、黒木メイサも、このシリーズだと、なんか浮きませんか? 若手の二人が若干微妙です。

本での金森看護師のイメージは、もう少し年齢の高いベテラン看護師のイメージですが、田中麗奈だと、ベテランと言うよりは、主任クラスのバリバリのやり手と言う感じですね。まぁ、そう言うのもアリですかね。

新垣結衣が、可憐で強い女性を演じています。中原香織は、ガッキーで正解ですかね。

ちょっと気になったのが、TBSの制作ということで、あとで地上波放送が容易な様に(と言う意図では無いかもしれませんが)、編集ポイントが所々にあるところ。映画ではなくて、「ここでCMだな」と言う事を感じるTV的なカット割りなんですよね。全体の流れを絶ち切ってしまうようで、気になってしまいました。

最初の頃から悠人が水泳をしていることをほのめかすなどなど、原作とは違う所はありますが、それは演出上の都合と言う事でよしとしましょう。その意味では、概ね原作に忠実に作られていて、それほど違和感は感じませんでした。

原作を読んでいるので、話の筋は知っているんですが、最後はうっかり泣きそうになってしまいました(苦笑)。中々見応えのある映画です。あ~、日本橋行きたくなった!

タイトル 麒麟の翼~劇場版・新参者~
日本公開年 2012年
製作年/製作国 2012年/日本
原作 東野圭吾『麒麟の翼』
監督 土井裕泰
出演 阿部寛(加賀恭一郎)、新垣結衣(中原香織)、溝端淳平(松宮脩平)、松坂桃李(青柳悠人)、中井貴一(青柳武明/悠人の父)、三浦貴大(八島冬樹/香織の恋人)、山賢人(杉野達也)、聖也(黒沢翔太)、菅田将暉(吉永友之)、鶴見辰吾(小竹由紀夫/青柳武明の部下)、松重豊(小林)、劇団ひとり(糸川肇)、田中麗奈(金森登紀子)、黒木メイサ(青山亜美)、山崎努(加賀隆正/恭一郎の父)

[2012/01/29]鑑賞・投稿

J・エドガー / J. Edger

2012年01月28日 | 洋画(アメリカ系)
虚実に包まれた謎の人物である、FBI初代長官ジョン・エドガー・フーバーの半生を描いた映画。一応、歴史的事実を元に描かれていますが、フーバーを巡る物語自体は、創作という形になっています。1972年のフーバーが回顧録を口述していると言う設定で物語は進み、時に応じてその物語の時代を描くという形態で描かれています。

フーバーをディカプリオが演じているということが注目。若いころのフーバーは良いですが、当然老けメイクを施しているわけですが、晩年のフーバーはちょっと若すぎるように感じました。まだ37歳だもんね、ディカプリオは。

一応、実際の歴史を元にしているので、ロバート・ケネディやニクソンも画面に登場します。どちらも十分すぎるほど有名な人物ですが、メイクの効果もあるのでしょうけど、中々似ている人物が演じていました。世の中、似ている人っているんですね。

フーバーは、ホモであったとか言い伝えられていますが、実際のところはどうだか解明されていません。ですが、トルソンとの40年以上にも渡る愛憎の物語が描かれています。アメリカは一般にはフェア・公正な国と思われているわけですが、これを見るかぎりは、権力を持つものは、必ずしもそうではないなぁと思わざるを得ませんね。

フーバーの人格形成に非常に大きな影響を与えたと言われている母親も描かれています。息子に大きな期待をかける母親というありがちな姿で描かれており、ああ言う期待は得てしてプレッシャーにも成り得る訳で、フーバーの性癖・人格に納得感を与えています。

不思議なのは、フーバーの秘書ヘレン・ギャンディ。フーバーからの求婚を拒絶している訳ですが、それはそれとして秘書として40年以上にも渡り仕えると言うのは、どういうことなんでしょうね? また、この映画上では、フーバーの秘密ファイルの管理係もしており、単なる秘書以上の存在として描かれています。トルソンといいギャンディと言い、フーバーの周りには不思議な人達がいますね。

嘘かホントかわかりませんが、非常に興味深い映画です。

タイトル J・エドガー / 原題 J. Edgar
日本公開年 2012年
製作年/製作国 2011年/アメリカ
監督 クリント・イーストウッド
出演 レオナルド・ディカプリオ(ジョン・エドガー・フーヴァー)、アーミー・ハマー(クライド・トルソン)、ジョシュ・ルーカス(チャールズ・リンドバーグ)、ナオミ・ワッツ(ヘレン・ギャンディ/フーバーの秘書)、ジェフリー・ドノヴァン(ロバート・F・ケネディ)、ジュディ・デンチ(アンナ・マリー/フーヴァーの母親)

[2012/01/28]鑑賞・投稿

ALWAYS 三丁目の夕日'64

2012年01月22日 | 邦画
前作『ALWAYS 続・三丁目の夕日』から5年後という設定。実際にも、4年強経過しています。

一作目『ALWAYS 三丁目の夕日』、二作目の『ALWAYS 続・三丁目の夕日』のキャストを振り返ってみてみたんですが、子役も含めてすべてのキャストがずっと同じ俳優が演じていたことを再確認。そういう意味で、須賀健太もその子供時代からの古行淳之介を演じていた訳ですが、画面を通して、淳之介の成長と共に須賀健太の成長も見ることができるわけですよねぇ。

成長といえば、六子を演じる堀北真希。一作目の『ALWAYS 三丁目の夕日』の時は、「新人女優の一人だなぁ。」くらいの認識でしたが、今や人気女優の一人ですからねぇ。同時に、六子も堀北真希も17or18歳の頃からの成長を画面を通して見ることが出来ました。この作品で六子も結婚するわけですが、結婚の挨拶を鈴木夫妻に行うシーンは、ジーンと来てしまいました。堤真一も同じように感じたような事をインタビューで語っていました。

この『ALWAYSシリーズ』は、いつも物語後半に茶川の身辺をめぐって一騒動ある訳ですが、この作品でも同様です。って言うか、その茶川騒動は、いつもウルッと来そうになるんですが、この作品の茶川騒動は最大のウルッと来るポイントでしたねぇ。六子の結婚の頃と同時期に攻めて来られて、マヂやばかったです。

この作品は、3Dでも公開されているのですが、敢えて2Dで鑑賞しました。だってねぇ、アクション作品とかならば3Dを積極的に選択しますが、普通の人々の日常を描いた作品なので3Dを選ぶような内容でもないかなぁと。で、その選択ですが、結論としては間違ってはいなかったと思います。ですが、3D公開を前提にした作品ですので、明らかに立体視を意識した映作りになっていて、2Dでみると若干不自然に感じるシーンがあったことも付け加えておきます。

同時に、1964年当時の街の光景はもちろん、新幹線も画面には登場します。1964年の新幹線は0系な訳で、いまはもはや実車は営業していません。アップのシーンは、静態展示されている車両で撮影しようと思えば可能ですが、走行シーンはそういう訳には行きません。当然CGで作られているわけですが、昔よりは上手くできていますが、やっぱりCGだなぁと思いました。これは、東京タワーの映像も同じです。

シリーズ物の三作目となると、マンネリ化も進み、かなりつまらない作品になることが多いですが、この作品はそんなことはありませんでした。六子の結婚と、淳之介の独り立ちと言うこともあり、結構ウルッと来てしまいました。年取ったのかなぁ・・・。

タイトル ALWAYS 三丁目の夕日'64
日本公開年 2011年
製作年/製作国 2011年/日本
監督・脚本 山崎貴
出演 吉岡秀隆(茶川竜之介)、小雪(茶川ヒロミ)、須賀健太(古行淳之介)、堤真一(鈴木則文)、薬師丸ひろ子(鈴木トモエ)、小清水一揮(鈴木一平)、堀北真希(星野六子)、もたいまさこ(大田キン)、森山未來(菊池孝太郎)、大森南朋(富岡/茶川担当の編集部員)、三浦友和(宅間史郎)、米倉斉加年(茶川林太郎/竜之介の父)、高畑淳子(奈津子)

[2012/01/22]鑑賞・投稿

ロボジー

2012年01月15日 | 邦画
『ウォーターボーイズ』で男子シンクロを、『スウィングガールズ』でビッグバンドジャズを、そして『ハッピーフライト』で航空業界を描いた矢口史靖監督の最新作品。今回は、ロボット業界にメスを入れています(笑)。

何と言っても、主演の『新人』五十嵐信次郎が話題ですね。新人といっても、その実は、ロック界の大御所ミッキー・カーチス。でもねぇ、ミッキー・カーチスとは思えないほど、鈴木重光を演じる五十嵐信次郎は枯れていますよ。背中の猫背具合とか、鼻眼鏡具合とかね。

ロボットを描いた作品なので、実際のロボットも多数出ています。村田製作所のムラタセイサク君とか、テムザックのロボットとか。他にも、産総研などのロボットも出ていたみたいです。でも残念ながら、ロボット界一有名な、アシモは出ていませんでしたね。ムラタセイサク君が出ていたんで、アシモも出ても良かったのでは無いかと思いますがね。

門司港駅のレトロ駅舎が映っているので、舞台は北九州ということで良いのでしょうか?そういえば、矢口史靖監督の作品って、『ハッピーフライト』は、その設定上、東京なのは仕方ないとして、『ウォーターボーイズ』は静岡県、『スウィングガールズ』は山形県と、地方を舞台にしますね。何か、東京で描かないというポリシーでも有るのでしょうか?

それと、これはテレビを見て知ったのですが、『ウォーターボーイズ』は鈴木智、『スウィングガールズ』は鈴木友子、『ハッピーフライト』は鈴木和博、そしてこの『ロボジー』も鈴木重光と、主人公が全て鈴木性なんですね。これも、矢口史靖監督のこだわりなんでしょうか?

どういう結末を迎えるのは、考えながら見ていたんですが、なるほどねぇ。そう言う終わり方ですが。考えてみると、ああいう終わり方しか無いかも。と言う事は、吉高由里子演じる佐々木葉子は、ミイラ取りがミイラになったみたいなものなのかもね(笑)。

楽しい映画です。年の始にこう言う楽しい作品は、良いと思います。

タイトル ロボジー
日本公開年 2011年
製作年/製作国 2011年/日本
監督・脚本 矢口史靖
出演 五十嵐信次郎(鈴木重光)、吉高由里子(佐々木葉子)、濱田岳(小林弘樹)、川合正悟(太田浩二)、川島潤哉(長井信也)、田畑智子(伊丹弥生)、和久井映見(斉藤春江)、小野武彦(木村宗佑)

[2012/01/15]鑑賞・投稿

マイウェイ 12,000キロの真実 / My Way

2012年01月14日 | アジア映画
ノルマンディ上陸作戦後、連合軍の捕虜になったドイツ兵の中に日本人がいたという話からインスパイアされた物語。という訳で『事実に基づく』とクレジットはされますが、どのくらい事実に即しているかは不明。

う~ん。突っ込んでくださいということなんですかね? 真面目に歴史考証したんでしょうか? 「おいおい、ホントかよ。」の連続です。そう言う意味では、ちょっと残念。もっと、まじめに歴史考証して欲しかった。とは言うものの、物語としては面白い話だと思います。大陸はつながっていますからね。もっとまじめに歴史考証してリメイクすると、もっといい作品になると思います。

のっけから厳しい突っ込みをしてしまいましたが、戦闘シーンは圧巻。これほどの迫力ある映像は、日本では撮れないです。その意味では、韓国映画の面目躍如と言えると思います。PG-12も納得。

ソ連軍として戦っている時に、辰雄は自分のした事に気づいた訳ですが、それ以降の辰雄は物凄く人間らしくなりますね。それまでは、人として描かれていた訳ですが。

ラストは、「え?なるほどねぇ。」と言う感じです。その直前までからくりになるとは気づきませんでしたが、ジュンシクが負傷した段階で「もしや」と思ったら、案の定、そう言うラストでした。

『事実に基づいた』と言うところは、あまり重視しないほうが良いと思います。普通に、迫力の韓国映画として見た方が、素直に見れると思います。

タイトル マイウェイ 12,000キロの真実 / 原題 My Way
日本公開年 2012年
製作年/製作国 2011年/韓国
監督 カン・ジェギュ
出演 オダギリジョー(長谷川辰雄)、チャン・ドンゴン(キム・ジュンシク)、ファン・ビンビン、キム・イングォン、夏八木勲(辰雄の祖父)、鶴見辰吾、山本太郎、佐野史郎(辰雄の父)、浜田学、イ・ヨニ、ト・ジハン

[2012/01/14]鑑賞・投稿