勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

K-20 怪人二十面相・伝(2008年)

2008年12月23日 | 邦画
第二次世界大戦が無かった1949年の日本が舞台。そこそこに、現実の日本風なところがありますが、架空の日本なのでやっぱりどこか違います。華族制度が残っていて、格差社会になっていると言う設定ですが、『格差社会』と言うキーワードは、皮肉な事に現在の日本にも当てはまる言葉ですね。

この作品は、”娯楽冒険活劇”と言う言葉がピッタリです。大金持ちと言う設定も、架空日本と言う設定にすれば可能。そう言う舞台設定の割り切りが、この物語を娯楽作品として成り立たせているところだと思います。

松たか子は、好きな女優の一人です。彼女自身の実際の育ちも影響してか、どこか上品な雰囲気が漂うのですが、その上品な雰囲気を漂わせつつコミカルな演技が出来るのが彼女の魅力。今回も、十分その魅力は発揮されています。上映中、そこここで笑い声が漏れていました。

他方、主演の金城武ですが、いい役者なんですが、どこか言葉が篭っているんですよね。もう少し、はっきりキレイに言葉が出れば、彼の魅力はさらに増すと思います。それにしても、多くのアクションシーンは彼が演じているのは見事。平吉が修行と言うことで、建物を素手でよじ登り、飛び越していくシーンがあります。これは流石に金城では無く別の人物の吹替えですが、それでもCGは使っていないそうです。実際には、パルクールをする人を使って撮影したそうですが、このシーン、結構見応えがあります。

仲村トオルの明智小五郎は、うーん、こう言うイメージですかね。確かに、明智小五郎は、完全無欠のイケメンの筈なので、そうかもしれないですね。で、明智小五郎が出てくるので、当然、小林少年(本郷美多)も出てきます。この小林少年が見せる不敵な笑みが、ちょっと怖いです。あ、”少年探偵団”と言う言葉も、セリフ中には出てきますよ。

物語の結末(K-20とは誰か?)は、ネタバレになるので敢えて記しませんが、まぁ、大体想像通りに進みます。「なるほどね。やっぱりね。」と言う感じです。

『ALWAYS 三丁目の夕日』のスタッフが再結集しているので、その辺りのVFXは十分。『帝都』と言った雰囲気を十二分に実現しています。珍しく、見応えのある”娯楽冒険活劇”です。

タイトル K-20 怪人二十面相・伝
日本公開年 2008年
製作年/製作国 2008年/日本
監督・脚本 佐藤嗣麻子
出演 金城武(遠藤平吉)、松たか子(羽柴葉子)、仲村トオル(明智小五郎)、 國村隼(源治)、高島礼子(菊子/源治の妻)、本郷美多(小林芳雄/いわゆる”小林少年”)、増岡徹(浪越警部)、加賀丈史(謎の紳士)

[2008/12/23]鑑賞・投稿

ワールド・オブ・ライズ(2008年)

2008年12月21日 | 洋画(アメリカ系)
もはや定番の、中東モノの映画です。やっぱり、中東の現状が収まらない限りは、映画の舞台となるのは続くのでしょうか・・・。冒頭”この映画はフィクションである”と言う旨のクレジットが出ますが、同時に”現実にもこの様な事は行われている”と言う旨のクレジットも出ます。現実に近いフィクションと言うことでしょうね。もっとコミカルな感じなのかと思っていたんですが、全然違っていました。

現場のファリス(レオナルド・ディカプリオ)を安全な会議室や自宅から操るホフマン(ラッセル・クロウ)。その構図に、思わず「事件は会議室ではない! 現場で起きているんだ!」と言いたくなる感じです(ウソ)。それにしても、何千キロも離れたところから、リアルタイムで現場を見ながら指揮する事が可能であると言う事が、イラクやアフガニスタンの事態の収拾を困難たらしめているのではないでしょうか?

遠く離れた本国から現場を操ると言う構図は、ロバート・レッドフォードとブラッド・ピットの『スパイ・ゲーム』にも似ていますが、話の内容は全く異なります。『スパイ・ゲーム』の場合は、本当は現場に行きたいのに今日が退職の日でままならず、これまでのコネと英知を使って現場を操ると言う話ですが、こちらの『ワールド・オブ・ライズ』は好き好んで遠く離れた本国から現場の工作員を駒の如く操ると言う話。出演俳優の組合せも、ベテランのイケメンと若手のイケメンと、同じ感じなんですけどね。全然違っていますね。

ラッセル・クロウが、何か、冴えない管理職役です。冴えない見た目でも、侮ってはダメ。自分の目的のためには、部下を駒の如く使う冷徹な一面も見せています。他方、その部下役のレオナルド・ディカプリオ。やはり主演した『ブラッド・ダイヤモンド』と同じように、現場主義のハードな役どころを演じています。彼は、『タイタニック』の様な単なるイイ男と言う役どころではなく、こう言うハードな戦う男と言う役どころが好きなんでしょうか。

ハニ・サラーム役のマーク・ストロング。イギリス出身らしいのですが、言葉も見事に、それっぽい英語。まぁ、巻き舌で話せばそう聞こえるのかもしれませんが。でみ、見た目もちょっとそれっぽいです。また、イスラエル出身の俳優がアラブ人の役を演じているのは、中々皮肉な感じがします。ハリウッド映画の為せる業ですね。

単なるフィクションとは思えない、真に迫った内容です。物語が、物凄くドラマチックなわけではありません。中東の現実を見ているような気がします。

タイトル ワールド・オブ・ライズ
原題 Body Of Lies
日本公開年 2008年
製作年/製作国 2008年/アメリカ
監督 リドリー・スコット
出演 レオナルド・ディカプリオ(ロジャー・ファリス)、ラッセル・クロウ(エド・ホフマン)、マーク・ストロング(ハニ・サラーム)、ゴルシフテ・ファラハニ(アイシャ)

[2008/12/21]鑑賞・投稿

地球が静止する日(2008年)

2008年12月20日 | 洋画(アメリカ系)
1951年の『地球が静止する日』のリメイク。1951年の作品は、核や冷戦などが背景として描かれていますが、今回の作品では、環境破壊・地球温暖化と言うことに関するメッセージが込められています。

「地球を助けるために、人類を抹殺する。」これほど強烈なメッセージは無いのではないでしょうか。人類のために地球環境は脅かされ(同時に、人類自身の生存環境も脅かされてはいますが)、地球温暖化の影響が顕著となってきた今、タイムリーな話であると思います。

未知の物体に対して直ぐに攻撃的な態勢をとり、実際に攻撃してしまうと言うアメリカの描写は、結構シャレになりませんね。そう言う姿勢が、今のイラク・アフガニスタンの現状を生んでいるのではないでしょうか。

端々に「We can change.」と言う、オバマ次期米大統領のキャッチフレーズ「Yes! We can.」にも通じるようなセリフが出てきたのは、オバマ氏の大統領当選を予期していたわけではないでしょうが、非常に印象的でした。

一応、物語としては、ヘレンとジェイコブ親子の姿を見て、人類にはまだ期待出来るところがあるということを感じたクラトゥが、地球を救う行動に出ると言う終わりなのですが、うーん・・・。人類の一人しては、人類が抹殺されるのは困りますが、地球温暖化対策や、イラク・アフガニスタンの現状を見ると、人類に期待する余地は有るんでしょうかね?

タイトル 地球が静止する日
原題 The Day the Earth Stood Still
日本公開年 2008年
製作年/製作国 2008年/アメリカ
監督 スコット・デリクソン
出演 キアヌ・リーブス(クラトゥ)、ジェニファー・コネリー(ヘレン・ベンソン)、ジェイデン・スミス(ジェイコブ・ベンソン)、キャシー・ベイツ(レジーナ・ジャクソン/国防長官)、ジョン・ハム(マイケル・グレイニア)

[2008/12/20]鑑賞・投稿

空へ-救いの翼 Resucue Wings-(2008年)

2008年12月13日 | 邦画
先週の「252-生存者あり-」に続き、二週続けての邦画。しかも、ジャンルも同じレスキューモノです。「252-生存者あり-」は、東京消防庁ハイパーレスキューの活躍を描いたものですが、こちらの「空へ-救いの翼 Resucue Wings-」は、航空自衛隊航空救難団の活躍を描いています。

この作品は、主演の高山侑子の父親が、実際に航空自衛隊航空救難団新潟救難隊の救難員であったと言う事も話題になっています。高山の父自身は、2005年に訓練中の事故で殉職しているのですが、父の追悼式のために上京したときにスカウトされたそうです。しかし、まだ16歳の高山。23歳と言う設定の自衛官の役は、ちょっと辛い(苦笑)です。

うーん、「252-生存者あり-」と比べるとリアリティがあり、中々良い話にはなっているのですが、残念ながら、演じている俳優陣が実力不足。はっきり言って、浅田美代子、木村佳乃、三浦友和以外は”イモ”です。って言うか、役者なので”大根”と言うべきですね(笑)。俳優がちゃんとしていれば、結構、見応えがある作品になるんですけどね。

などと、かなり厳しい事を言っていますが、リアリティと言う観点では、航空自衛隊の全面的な協力を得ている事もあり十分です。実際、舞台となっている小松救難隊だけではなく、浜松救難隊・百里救難隊・救難教育隊と、航空救難団の団を挙げての協力体制で撮影は進められ、数多く出てくる救難シーンは、実際の救難団のパイロット・救難員によりふきかえられています。それ以外にも、護衛艦も登場しているので、海上自衛隊の協力も手厚く受けたという事ですね。

リアリティと言う点では、細かいですが、高山達演じる航空自衛官の敬礼と、中村雅俊達演じる海上自衛官の敬礼が、ちゃんと違っていたところには感心しました。

それにしても、繰り返してしまいますが、一部を除き「素人か!」と突っ込みたくなるような演技。それさえ我慢できれば、話としては、荒唐無稽な「252-生存者あり-」と違い、ちゃんとしたストーリーです。

タイトル 空へ-救いの翼 Resucue Wings-
日本公開年 2008年
製作年/製作国 2008年/日本
監督 手塚昌明
出演 高山侑子(川島遥風)、渡辺大(瀬南孝太郎)、井坂俊哉(織田龍平)、金子賢(横須賀剛)、鈴木聖奈(勝沼碧)、瀬戸早紀(横山姪子)、浅田美代子(川島千恵子/遥風の母)、中林大樹(逢坂健二)、中村俊太(柿崎大輔)、春田純一(早稲田繁夫)、宮川一郎太(護衛艦「はるさめ」副長)、中村雅俊(護衛艦「はるさめ」艦長・飯島)、木村佳乃(鷹栖美那)、三浦友和(菊田靖男)

[2008/12/13]鑑賞・投稿

252-生存者あり-(2008年)

2008年12月06日 | 邦画
首都東京を震度5の地震が襲った数日後と言う設定。地震の影響を受け、南洋ではメタンハイドレートが局所的に崩壊し上昇気流が発生、超強力な台風を発生させる。加えて、その台風の影響で、超巨大な高潮が東京を襲い、新橋周辺は崩壊。そしてその超強力な台風は、東京を直撃する進路を取って北進。崩落を続ける新橋の地下に生存者は取り残されているが、接近する超強力な台風に救出は難航。台風の目に入る、18分間に救出を掛ける・・・。

冒頭、物凄い高潮が、見慣れたお台場・新橋を襲うのですが、お台場にあるフジテレビが壊滅する映像に、日本テレビの悪意を感じるのは気のせい? でも、新橋も地下が崩壊するほどの被害を受けているのに、汐留にある日本テレビが平気な感じで放送を続けているところに、突っ込みたくなります。その他にも、突っ込みどころ満載の映画です。駄作との評判のある2006年の『日本沈没』(TBS製作)とイイ勝負かもしれませんね。その意味では、同じ俳優(伊藤英明)が主演している、『海猿』『LIMIT OF LOVE 海猿』(何れもフジテレビ)は、きちんと見せる作品でしたね。TV局による映画制作は、フジテレビに一日の長があると言うことでしょうか。いやぁ、それにしても、突っ込みどころが多過ぎです。一々突っ込むと、映画が成立しないですし、全編に亘り突っ込む事が可能なので、突っ込みきれないと言う話もあります。

内野聖陽がハイパーレスキューの隊長と言う設定。嫌な予感がしていたのですが、何か物凄く時代掛ったハイパーレスキューの隊長になっています。他方、伊藤英明はこの手の災害モノは、慣れているのか(?)、まぁそれなりの演技。って言うか、細かい演技が不要な設定だから大丈夫と言う話もあります。

意外にキム兄こと木村祐一がいい味出しています。「演技」と言うと、微妙なところはありますが、大阪の中小企業のオッチャンと言う役どころを上手く演じています。

子役の大森絢音ですが、まぁ、それなりですね。笑顔はカワイイのですが、その笑顔が周りの雰囲気(シーンの雰囲気)にそぐわなかったりで、演技としては、特筆するほどどうかと言う程ではないかも知れません。これは、彼女の責任ではなく、演技指導を行った大人の責任でしょうね。

テーマがテーマだけに、東京消防庁全面協力。撮影に、訓練棟の使用も許可したらしい。その他、千葉にホンモノそっくりの新橋の地下のセットを作ったり、調布の味の素スタジアムの隣には、新橋の地上が再現されたそう。新橋の辺りは良く行くんですが、まぁ、良く出来ていましたね。地下鉄も(一応、「東京サブウェイ」と言う架空の会社になっている)ホンモノそっくりだし。

まぁ、ホンモノのディザスタームービーだと思うと、ちょっと期待を裏切られる可能性がありますので、あんまり期待せず、東京と似たどこか遠くの国での出来事と思ったほうがいいかもしれません。

タイトル 252-生存者あり-
日本公開年 2008年
製作年/製作国 2008年/日本
監督・脚本 水田伸生
原作・脚本 小森陽一
出演 伊藤英明(篠原祐司)、内野聖陽(篠原静馬)、山田孝之(重村誠)、香椎由宇(海野咲)、木村祐一(藤井圭介)、MINJI(キム・スミン)、山本太郎(宮内達也)、桜井幸子(篠原由美)、大森絢音(篠原しおり)、松田悟志(青木一平)、杉本哲太(真柴哲司)


[2008/12/06]鑑賞・投稿