勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

シネマ歌舞伎『人情噺文七元結』

2008年11月29日 | 邦画
『シネマ』なので、一応、『映画』と言う事で。元々は、三遊亭圓朝が口演した落語が原作の人情喜劇です。監督は、巨匠山田洋次です。

腕が立って、人も良い左官の長兵衛。しかしながら、同時に博打も大好きで、借金も嵩んでいます。それを見かねた娘のお久は、吉原の遊郭角海老に身売りを決意。しかし、そのお久の事情を察した遊郭の女房お駒は、長兵衛を諭し、50両のお金を貸しますが、その帰り・・・と言う、話です。まぁ、最終的には、ハッピーエンド。人情喜劇なので、めでたし、めでたしと言う感じに終わります。

一応、歌舞伎なのですが、元が落語と言う事もあり、あんまり歌舞伎と言う感じはしません。演劇という感じですね。って言うか、本当の歌舞伎は知らないんですけどね。

2007年10月に新橋演舞場で演じられたものを収録しています。なので、観客からの掛け声なども入っていて、普通の映画とは異なる雰囲気。幕間なども映像に入っていて、本当に、映画を見ると言うより、演劇を”たまたま”映像で見ていると言う感じです。臨場感は、実際の劇場での演劇を見るには敵わないかもしれませんが、演じている役者の顔を間近に見ることが出来るので、その点は、劇場で見るより良かったですね。

時間も95分程度と短く、ストーリーも非常にわかりやすい人情喜劇なので、歌舞伎のエントリーとしては良かったと思います。結構、面白かったです。

タイトル シネマ歌舞伎『人情噺文七元結』
日本公開年 2008年
製作年/製作国 2008年/日本
監督 山田洋次
出演 中村勘三郎(左官長兵衛)、中村扇雀(長兵衛の女房お兼)、中村勘太郎(手代文七)、 中村芝のぶ(長兵衛の娘お久)、片岡亀蔵(鳶頭伊兵衛)、坂東彌十郎(和泉屋清兵衛)、中村芝翫(角海老女房お駒)

[2008/11/29]鑑賞・投稿

ブラインドネス(2008年)

2008年11月22日 | 洋画(その他)
伊勢谷友介と木村佳乃が出演して話題にもなった映画。突然、視野が真っ白になってしまい失明してしまう伝染性の奇病。感染間は瞬く間に広がっていくが、有効な対策は無く、感染者は、不衛生で危険な環境の収容所に閉じ込められる。多数の失明者を収容した収容所は次第に秩序を無くして行くが、その中に、一人だけ、目が見える人間が紛れていた。

この映画のテーマは、何なんでしょう? 目が見えないと言う現実の前に無力を感じる者、権力欲を剥き出しにして、人々を虐げて君臨しようとするもの。そして、その目が見えない人々を人間として扱わない看守たち。そう言う環境の中でも、収容者たちは助け合って生きていかなければならない。人間の尊厳って、何なんでしょうね? 考えさせられてしまいます。

この手の映画で日本人が出ても端役の場合が多いですが、この映画では違います。製作国の一つに日本も入っているからだとは思いますが、最初の失明者が伊勢谷友介だったりと、結構重要な役を与えられています。日本語のセリフにも、日本語字幕が付けられていますが、これは、聴覚障がい者のための配慮でしょうか?

物語後半の市街地のシーンは、うち捨てられた雰囲気満載ですが、ブラジル・サンパウロとウルグアイ・モンテビデオで撮影されているそうです。近代的な街なのに、汚れきっていて、無法地帯的な雰囲気が十二分にかもし出されています。

最後がどうなって終わるかはしるしませんが、「えーっ!」と言う感じがしないでもありません。この映画は、その結末を楽しむというより、結末に至るまでの過程を考えると言うのが、正しい鑑賞の仕方なのかもしれません。

タイトル ブラインドネス
原題 Blindness
日本公開年 2008年
製作年/製作国 2008年/日本=ブラジル=カナダ
監督 フェルナンド・メイレレス
原作 ジョゼ・サラマーゴ
出演 ジュリアン・ムーア(医師の妻)、マーク・ラファロ(医師)、アリス・ブラガ(サングラスの娘)、伊勢谷友介(最初に失明した男)、木村佳乃(最初に失明した男の妻)、ダニー・グローヴァー(黒い眼帯の老人)、ガエル・ガルシア・ベルナル(バーテンダー/第三病棟の男)

[2008/11/22]鑑賞・投稿

ハッピーフライト(2008年)

2008年11月15日 | 邦画
『ウォーターボーイズ』/『スウィングガールズ』の矢口史靖監督の作品。

今回は、学園モノではありません。ある意味、飛行機そのものが主人公です。ANAが全面的に大協力して、この作品のために飛行機を一機完全にラインから外して、撮影専用にしています。通常、この手の飛行機モノの作品の場合、場面ごとに使用する機材が異なり、シートのコンフィグ等が異なると言うのは日常茶飯事ですが、この作品では、そう言う事はありません。

またもう一つ。この手の作品だと、パイロットや客室乗務員だけにスポットライトが当たる傾向があるんですが、この作品では、整備、グランドスタッフ、ディスパッチャーなど、飛行機を飛ばすために必要不可欠な人々もきちんと描かれており、そう言う意味では、非常に奥の深い、いい作品だと思います。

ストーリーは、多くは記しませんが、飛行機モノの作品に有りがちな、フライト中の飛行機に問題が発生。しかし、空港側にも問題が発生していて、果たして無事戻れるか?と言う定番中の定番。ANAが全面協力しているので、絶対に事故は起きませんが(苦笑)

フランク・シナトラの「Come Fly With Me」が主題歌に使われた事も話題。その名の通り、ハッピーなフライトだったからですかね。

タイトル ハッピーフライト
日本公開年 2008年
製作年/製作国 2008年/日本
監督 矢口史靖
出演 田辺誠一(鈴木和博)、時任三郎(原田典嘉)、綾瀬はるか(斉藤悦子)、 吹石一恵(田中真理)、田畑智子(木村菜採)、寺島しのぶ(山崎麗子)、岸部一徳(高橋昌治)

[2008/11/15]鑑賞・投稿

X-ファイル:真実を求めて(2008年)

2008年11月08日 | 洋画(アメリカ系)
TVシリーズが終了して6年ですが、映画での復活です。FBIを離れていたモルダーとスカリーが、再び、不可思議な出来事に巻き込まれます。

連邦捜査官の失踪と言うのは、アメリカにおいては大事件であるのは確かですが、緊急とは言え、その程度の出来事でモルダー・スカリーのコンビが引きずり出されると言うのは、ちょいと疑問。まぁ、冒頭で、モルダーが渋るのも良くわかります(笑)。と、いきなりダメ出しから入ってしまいましたが、いまやFBIに追われる立場になってしまっているモルダーにしてみれば、当然の事かもしれません。

スカリーも、FBIを離れてから、元々所持していた医学の学位を生かして医師をしているのですが、医師として研鑽を積むのに重要な時期にFBIで勤務していた人物が、その後の医学の進歩に遅れずに医師として勤め上げられるものなのでしょうか? ちょっと不思議に思いました。でも、それができると言うところが、スカリーの頭脳が明晰なところなのかもしれません。

ある意味ダメ出し二連発の状況ですが、それはこの作品がダメだと言う意味ではありません。TVシリーズ当時のX-FILEの不思議さに比べると、ちょっとその不思議さ加減は低いですが、解決困難な難事件(そして猟奇的事件)と言う観点では、十分にX-FILEの世界を再現しています。

TVシリーズと決定的に違う点は、モルダーとスカリー二人の関係ではないでしょうか。TVシリーズのときは”ただの同僚”と言うところを二人とも意識して、ギリギリその線でキープしていたはずですが、FBIと言う組織を離れ、自由になったからなのか、二人の関係はより親密なものに進化しているようです。まぁ、あれだけ濃密な関係を続けていれば、当然なのかもしれませんが。

この作品は、X-FILEの摩訶不思議な世界を楽しむのは当然ですが、それよりも、モルダーとスカリーの二人の今を確かめると言う意味合いが強いかもしれません。

タイトル X-ファイル:真実を求めて
原題 The X-Files: I Want to Believe
日本公開年 2008年
製作年/製作国 2008年/アメリカ
監督・脚本 クリス・カーター
出演 デイビッド・ドゥカブニー(フォックス・モルダー)、ジリアン・アンダーソン(ダナ・スカリー)、アマンダ・ピート(ダコタ・ホイットニーFBI長官補佐)、 ビリー・コノリー(ジョセフ・クリスマン神父)、アルヴィン“イグジビット”ジョイナー(モーズレイ・ドラミー捜査官)、ザンサ・ラドリー(モニカ・バナン捜査官)

[2008/11/08]鑑賞・投稿