勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

ロッキー・ザ・ファイナル(2006年)

2007年04月29日 | 洋画(アメリカ系)
1990年の『ロッキー5』から17年。ロッキーが帰ってきました。ただ今回の戦いは、これまでのようなチャンピオンシップに関しての戦いではなく、自分自身との戦いとなっています。

やっぱりあのトランペットの”タータタタータタタータッター”と言うファンファーレを聴くと、心が躍りますね。シルヴェスター・スタローンは、1946年7月6日生まれなので既に60歳を超えているのですが、この映画のために体を鍛え上げて、還暦を越しているとは思えないすばらしい体に仕上げていました。凄いです。

エイドリアンの死、息子の反発、満たされない自分の思い・・・。今回は、ロッキーのそんな心との戦いがメインとなっているので、今のロッキーの心情を描くシーンがほとんどになっています。厳しいことを言えば、ちょっと冗長な感じもしますが、そもそもロッキーと言うのは、ボクシング映画ではなく、ヒューマンドラマなので、それでいいのかもしれないですね。劇中「最後の戦い」と言うせりふが随所に出てくるので、邦題は『ロッキー・ザ・ファイナル』となっていますが、原題は『Rocky Balboa』です。ロッキーそのものの心を描くと言う意味では、原題のほうがより適していますね。

最後のラスベガスでの試合のシーンですが、実際に計画されていたボクシングの試合にあわせて撮影を行い、14000人もの観客の下で撮影したらしいです。確かにその盛り上がりは、結構凄かったですね。マイク・タイソンも本人役で出ていたし。また、ロッキーの故郷フィラデルフィアでのシーンは、これまでのロッキーシリーズで出てきた場所も随所に出てきて、その光景の移り変わりと共に時代の流れを感じさせていました。フィラデルフィア美術館前階段でのシーンは、このロッキーシリーズを象徴するシーンですが、変わったものと変わらないものを感じさせました。

”ネバー・ギブ・アップ”というのがこの映画のテーマらしいですが、時の首相、安倍さんも好きそうな言葉ですね。彼は結構映画に行くそうですが、この映画には行かないのでしょうか?

タイトル ロッキー・ザ・ファイナル
原題 Rocky Balboa
日本公開年 2007年
製作年/製作国 2006年/アメリカ
監督・脚本 シルヴェスター・スタローン
出演 シルヴェスター・スタローン、バート・ヤング、アントニオ・ターヴァー、ジェラルディン・ヒューズ、マイロ・ヴィンティミリア、トニー・バートン

[2007/04/29]鑑賞・投稿
コメント   トラックバック (31)

バベル(2006年)

2007年04月28日 | 洋画(アメリカ系)
菊池凛子が、助演女優賞にノミネートされて話題になった映画。バベルとは、”バベルの塔”から来ています。旧約聖書 創世記11章には『遠い昔、言葉は一つだった。神に近づこうとした人間たちは天まで届く塔を建てようとした。神は怒り、言われた”言葉を乱し、世界をバラバラにしよう”。やがてその街は、バベルと呼ばれた。』と書かれているらしいですが、今の世界はまさにバベルでの出来事のために、人々は言葉も心も通じ合うことは無い(通じ合っていない)と言うことが、この映画が突きつけたテーマになっています。でも、それだけで『バベル』と言うタイトルになっているのでは無い気がします。今の人間は、バベルの塔を築いた頃の人間と同じように傲慢であるとも示唆しているような気もしますが、考えすぎでしょうか?

突きつけているテーマがテーマだけに、非常に難解です。モロッコ・アメリカ・メキシコ・日本の4カ国で物語りは進んでいくのですが、直接的にはそれぞれの出演者同士は全く絡みません。その意味でも、人々は通じ合っていないんですよね。まぁ、物語の発端となった銃撃に使われたライフルで人々はつながっていると言うことは可能ですが。

リチャード(ブラッド・ピット)とスーザン(ケイト・ブランシェット)が、モロッコに観光に来ていると言う設定なのですが、なぜ二人で観光に行っているのかと言うことは明らかにされません。子供をめぐって二人の間に諍いがあり、その解消のために来ていると言う示唆はあるのですが。でも、欧米の人って、ああ言うところに観光に行くんですね。

さて、菊池凛子です。聴覚しょうがい者を演じるため、手話を勉強し、聴覚しょうがい者について色々勉強したかいもあり、聴覚しょうがい者の演技は、出来ているのではないでしょうか。ただ、26歳の彼女が女子高生を演じるのは、ちょっと無理があるのではないでしょうか。日本人の目から見ると、若干の(いや、かなりの)違和感を覚えました。しかし、日本のシーンが、何故女子高生なのかと言うことには、いろいろと考えさせられました。女子高生の文化というのは、日本の若者文化の代表として欧米人の目には映っているのでしょうか? もちろん役所広司も、出演場面もせりふも少ないながら、女子高生の娘との距離感に悩む(娘と通じ合っていない)父親をうまく演じています。

サンチャゴ(ガエル・ガルシア・ベルナル)とアメリア(アドリアナ・バラッザ)の出てくるメキシコの件の結末は、まぁ、予想通りですね。アメリカでメキシコと言えば・・・と言う感じです。アメリカとメキシコも通じ合っていないんですね。

いずれにしても、「話題になったから」と言う動機で見ると、途中で寝てしまう可能性大です。ですが、物語は非常に深いです。色々と考えてみたい方は、見られてはどうでしょうか。あ、PG-12指定ですが、指定されている事には、納得です。

タイトル バベル
原題 Babel
日本公開年 2007年
製作年/製作国 2006年/アメリカ
監督 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演 ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、ガエル・ガルシア・ベルナル、役所広司、菊地凛子、アドリアナ・バラッザ、エル・ファニング、二階堂智

[2007/04/28]鑑賞・投稿
コメント (1)   トラックバック (37)

クィーン(2006年)

2007年04月21日 | 洋画(イギリス系)
ヘレン・ミレンが、2007年度アカデミー賞主演女優賞を受賞した作品。1997年8月31日のイギリス王室ダイアナ元皇太子妃の死後一週間のイギリス王室(と言うより、エリザベス女王と就任まもない首相のトニー・ブレア)の動きを追った作品。ちょっとネタバレありです。全国公開は、先週4/14なのですが、何故かTOHOシネマズでは、今日4/21からの公開です。

あの1997年8月31日のことは忘れません。実は地方にちょうど出張に出ていたんですよね。朝起きて、ホテルでテレビを見ていたら「ダイアナが死んだ」と放送が。衝撃的でしたね。しかし、イギリス国民の受ける衝撃は、それ以上だったのでしょうね。

さて、実在の国家元首を演じたヘレン・ミレンですが、王室の伝統を守ろうとする孤独な女王を見事に演じきっています。女王の貫禄もたっぷりだし。彼女はイギリス人ですので、王室の伝統や意義を理解していたからなのでしょうね。ただ、女王の英語は、正に”クイーンズ・イングリッシュ”で、もう少し鼻にかかっていたような気がしますが、ヘレン・ミレンは少しそれが足りなかったかな。でも、バッキンガム宮殿に女王が戻ってきたシーンでは、何か威厳を感じ、ちょっと感動してしまいました。ちなみに、まだ、エリザベス女王は映画を見ていないという話ですが、アカデミー賞受賞を受けて、本物のエリザベス女王から招待をされたそうです。

他方、国民を代表するトニー・ブレアを演じるのは、マイケル・シーン。これまた実在の現役首相を演じるに当たり、苦労があったのではないかと思いますが、見事に国民と王室を仲介する首相の役を演じています。風貌が似ているような、似ていないような。実在のトニー・ブレアは、労働党の首相ですが王室擁護論者のようですね。かと思うと、婦人のシェリー・ブレア(ヘレン・マックロリー)は王室廃止論者だと言うことを、この映画で知りました。ちなみに、ヘレン・マックロリーは、本人かと思うほど激似です。

激似と言えば、フィリップ殿下を演じるジェイムズ・クロムウェルが、激似だとおもいます。もっとも彼はアメリカ人なので、下手をするとイギリス英語ではなくアメリカ英語が出てきそうですが。でも、チャールズ皇太子演じるアレックス・ジェニングスは、ちょっと微妙でした。

見ていて判ったのが、高貴な人々に対しての英語が独特なこと。例えば、ブレアが女王に可能な限り早くロンドンに戻ってきてほしいと言うときに「as earliest opportunity」とか言っていました。これって、凄い丁寧と言うか、お願いするというか、許しを請うような表現に感じました。何と言っても ”opportunity” ですからねぇ。相手が平民なら「as soon as possible」のような、多分、もう少し違う言い方になったのではないかと思います。すべてを英語で見ることは難しいとは思いますが、ところどころ英語を聞いていると結構勉強になるかと思います。

タイトル クィーン
原題 The Queen
日本公開年 2007年
製作年/製作国 2006年/イギリス・フランス・イタリア
監督 スティーヴン・フリアーズ
出演 ヘレン・ミレン、マイケル・シーン、ジェイムズ・クロムウェル、シルヴィア・シムズ、アレックス・ジェニングス、ヘレン・マックロリー、ロジャー・アラム、ティム・マクマラン

[2007/04/21]鑑賞・投稿
コメント   トラックバック (40)

サンシャイン 2057(2007年)

2007年04月15日 | 洋画(アメリカ系)
時代は今から50年後の2057年。太陽はその輝きを失いつつあり、太陽を復活させるべく、マンハッタンほどの大きさもある巨大な核弾頭を太陽に撃ち込む決死のミッションに赴くイカロス2号がその舞台。キャッチコピー風に言えば”果たして太陽は復活するのか?”と言う感じですかね。若干のネタバレありです。

うーん、サスペンスムービーなのか、パニックムービーなのか、あるいは何らかのメッセージムービーなのか。評価をちょっと迷うところです。地球環境が大きく変化している今日この頃の状況を考えると、地球を守ろうと言うメッセージが込められた映画と言う解釈も不可能ではないかもしれませんが、それにしては、ちょっとメッセージ不足。同じく閉鎖された宇宙船を舞台にしたと言う点では『エイリアン』に似ているともいえますが、この作品は『エイリアン』ほどドキドキはしません。でも、物語の最後クライマックスには、ちょっとドキドキするシーンもありますから、やっぱり、軽いパニックムービーなんですかね?

映画には、イカロス2号の乗組員以外基本的には出てきません。強いて言えば、イカロス2号のコンピューターでしょうか。『スタートレック』然り、『2001年宇宙の旅』然り、この手の宇宙船には、宇宙船全体を管理するコンピューターと言うものはつき物なんですね。また、太陽に極限まで近づく宇宙船と言う設定なので、太陽エネルギーによる障害、困難さが出てきます。真田博之演じる船長のカネダが喪われてしまう件も、その一つ。それにしても、太陽エネルギーを遮るシールドとは、一体、どんなものなのでしょうか?

イカロス2号が舞台であることから判るように、その前のミッション、イカロス1号も存在しています。そして、そのイカロス1号が、今回の物語の進行に重要な役割を果たしているんですよね。

最後の地球の雪のシーンの遠景に、有名な建物が出てきます。その建物の近くで雪が積もっていると言うことは、その時代の地球環境が、苛酷なものになっていることを象徴しています。最後のクライマックスには、ちょっとドキドキするかもしれませんが、全般的には淡々と進む印象です。その意味では、『ディープ・インパクト』に似ているかな。

タイトル サンシャイン 2057
原題 Sunshine
日本公開年 2007年
製作年/製作国 2007年/アメリカ
監督 ダニー・ボイル
出演 キリアン・マーフィ、真田広之、ミシェル・ヨー、クリス・エヴァンス、ローズ・バーン、クリフ・カーティス、ベネディクト・ウォン、トロイ・ギャリティ

[2007/04/15]鑑賞・投稿
コメント   トラックバック (25)

ブラッド・ダイヤモンド(2006年)

2007年04月14日 | 洋画(アメリカ系)
2007年アカデミー賞5部門(主演男優賞(レオナルド・ディカプリオ)、助演男優賞(ジェイモン・フンスー)、編集賞、音響効果賞、録音賞)ノミネート作品。

1999年、アフリカ・シエラレオネが舞台。反政府組織RUFに拉致されダイアモンド採掘場での労役を強いられていたジャイモン・フンスー演じるソロモン・バンディが巨大なピンクダイアモンドを見つけたことを、不運な出来事から同じ刑務所に入れられていたダイアモンド密売人のレオナルド・ディカプリオ演じるダニー・アーチャーが小耳に挟み、そのピンクダイアを何とかモノにしようとするところから、話は動き出します。まぁ、これだけの事を、ただ文字で見ると、何のことは無いような気がしますが、その背景にあるシエラレオネの政府軍と反政府組織との紛争が絡んでくることから、話は一気に血生臭い内容になって行くのですけどね。

ダイアモンドは、つい近頃まで、デ・ビアスにより一般市場をほぼ独占されていました。そのデ・ビアスが始めた『A Diamond is Forever(ダイヤモンドは永遠の輝き)』と言うコピーは、世界でも最も成功した商業宣伝の一つとして有名です。でも、その”永遠の輝き”を維持するために、一種のカルテルを構成して、ダイアモンドの価格を高値に維持させていたことも事実。閉鎖的な市場形成を非難された上、多数の裁判を起こされるなどしたことで、デ・ビアスによるダイアモンド市場の支配は、今は一応なくなっていますが、ダイアモンドの高値政策は形を変えて今も維持されています。その高価なダイアモンドを密売することで、反政府組織が武器を入手し、紛争を激化・長期化させていたというのが、この映画の背景です。また、アフリカで政府と反政府組織が対立し、紛争が起きることは、結構目の当たりにするのですが、人民を解放するといっている反政府組織が、その人民を拉致し、労役で酷使し、子供を少年兵に仕立て上げてしまうと言うのは、何とも皮肉な話です。この映画でも、そのあたりの矛盾が描かれています。

中々、重いテーマの映画です。見終わってみて、ディカプリオが『ディパーテッド』では無く、こちらで主演男優賞のノミネートになった理由がわかる気がします。『ディパーテッド』よりこちら作品の方が、はるかに良い演技をしています。ジェイモン・フンスーも、子供を反政府組織に奪われた父親を非常にうまく描いています。その子供は、少年兵になってしまっているのですが、少年兵と言うのは、本当に人権を蹂躙する非人道的な事ですね。まだ世界には20万人の少年兵がいるそうです。

女性に光物をねだられている男性諸君。女性にこの映画を見せて、「ダイアモンドを買うことは、アフリカの人々を搾取し、苦しめることである。」と言うことを納得させ、諦めさせましょう(笑)。

タイトル ブラッド・ダイヤモンド
原題 Blood Diamond
日本公開年 2007年
製作年/製作国 2006年/アメリカ
監督 エドワード・ズウィック
出演 レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・コネリー、ジャイモン・フンスー、マイケル・シーン、アーノルド・ボスロー

[2007/04/14]鑑賞・投稿
コメント   トラックバック (27)

オール・ザ・キングスメン(2006年)

2007年04月07日 | 洋画(アメリカ系)
舞台は、1949年のルイジアナ州。汚職を非難していた州の役人が、他の候補の当て馬として州知事選挙に出馬。選挙最中にそのからくりに気づき、それをバネに州知事に当選するものの、自身も腐敗にまみれ、大衆を煽動しながら自身の保身を図っていく話。1920~30年代にルイジアナ州知事として実在したヒューイ・ロングをモデルにした物語。1949年に一度映画化され、第21回アカデミー賞で作品賞・主演男優賞・助演女優賞の3部門を獲得している。若干のネタバレ的なことがあるのでご注意。

舞台がルイジアナ州ということで、あのカトリーナで壊滅的な打撃を受けたニューオリンズでの撮影も行っています。もっとも、撮影自身は、カトリーナの惨劇の前に終わっていたようです。その意味では、カトリーナ前の最後の映画らしいです。州の政治を描いた作品なので、実際の州議会議事堂や、州知事の執務室でのロケが行われているそうで、今の州知事も、映画セットと化してしまった自分の執務室の見学をしたりしたそうです。ちなみに、州政府所在地は最大の街ニューオリンズではなく、バトンルージュと言うもっと小さい街です。アメリカには、そう言うのが多いですが。

話が始まったときには既に、ショーン・ペン演じるウィリー・スタークは腐敗してしまっているので、何が彼を腐敗させてしまったのかはわかりません。権力がそうさせたのか、あるいは、元々そう言う人物であったのか。だた、知事選挙の件から想像するに、元々、煽動政治家の素養はあったということだと思います。それと、なぜかスタークの参謀となってしまっているジュード・ロウ演じるジャック・バーデン。彼は、富裕層出身と言う設定。物語上も、富裕層のつながりを利用して、スタークのために、汚い仕事もやっています。

それにしても、こう言うような、利益誘導型の煽動政治家って言うのは、どこの国にもいるんですね。学校を作ります、橋を作ります、病院を作ります・・・、言っている事は、日本の煽動政治家と全く同じ。そう言う、デマゴーグを生み出すか、あるいは、真に有能な政治家を選ぶかは、有権者次第なんですよね。今年は、選挙イヤーなので、ちょっと考えてしまいました。決して、面白おかしい内容の映画ではありません。この映画を見て、我がふり直せと言う感じですね。

タイトル オール・ザ・キングスメン
原題 All the King's Men
日本公開年 2007年
製作年/製作国 2006年/アメリカ
監督 スティーヴン・ゼイリアン
出演 ショーン・ペン、ジュード・ロウ、ケイト・ウィンスレット、ジェームズ・ガンドルフィーニ、マーク・ラファーロ、パトリシア・クラークソン、アンソニー・ホプキンス

[2007/04/07]鑑賞・投稿
コメント   トラックバック (18)