たんなるエスノグラファーの日記
エスノグラフィーをつうじて、ふたたび、人間探究の森へと分け入るために
 



トリは、プナン語で、ジュイット(juit)という、なんか詩的な響きだ。
トリは、かつては、ほとんどが予兆の鳥とされた。
現在でも、部分的に、トリの声の聞きなしが行われている。
雨が降るだの、晴れるだの、珍しい人が訪ね来るだの・・・
トリの肉は、食べるところがあまりないのだが、プナンは時々獲って来る。
以下のトリたちも、すでにお亡くなりになった(なりつつある)ものたちである。

セイラン(Argusianus argus)。 →
プナン語では、クアイ(kuai)。
セイランは、森のなかの平坦地を踏みならして、糞などを取り除いて綺麗に掃除をしてから、そこに座るのだとプナンはいう。
だから、糞のクアイとも呼ばれている、あるいは「糞(anyi)」という別名で呼ばれたりする。
正式な別名は、「座るトリ(juit mekeu)」。

動物図鑑によると、地面を綺麗にするのはオスで、鳴き声を上げて、メスを誘うのだという。
翼を広げたさいの眼状の模様が美しい。

 

 

 

 

 

  サイチョ(Buceros rhinoceros)、プナンは、ブレガン(belengang)と呼ぶ。
頭部の角質の真っ赤な冠が印象的である。
英語ではホーンビル(hornbill)、マレーシアの国鳥でもある。
このときは、狩猟小屋のすぐ近くの木に止まっていたところを銃で撃ち殺した。


シワコブサイチョウ(Rhyticeros undulatus)。 
プナンは、モトゥイ(metui)と呼んでいる。
「お亡くなりになった後」は、赤い目(bale aten)と呼ばなければならない。
木の上で見つけたときも、そうだ。
眼の周りの赤い瞼が美しい。

 



ムジサイチョウAnorrhinus galeritus)ではないかと思われる。 

プナン語は、ルカップ(lukap)。

 

 

 

 

 

 

 




 プナンは、ダター(datah)と呼んでいる。
ヤケイ(野鶏)だと思っていたが、コシアカキジLopura ignita)だ。
プナンのなかには、ニワトリが野生化したという人もいる。
コシアカキジをニワトリ(dek)と間違えて呼ぶことは、たいへん危険である。
コシアカキジの魂が怒って天へと駆け上がり、雷を起こすとされる。

だいたいこのトリは、罠猟で捕まえる。
味は、ニワトリよりも、野生の味がする。
キジだから当たり前といえば当たり前かも。

 プナン名、プラグイ(peragui)。
ウォーレスクマタカSpizaetus nanus)。
吹き矢で仕留めた。 




カケスの一種だろうか? 
同定できてないが、低空飛行しているところを毒矢で射た。
スゴイ、プナンの吹き矢術は。
この後、すぐに絶命した

 

 

 

 

 



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )