たんなるエスノグラファーの日記

エスノグラフィーをつうじて、ふたたび、人間探究の森へと分け入るために

プナンのサルたち

2011年04月13日 16時10分57秒 | 人間と動物

私が撮影した動物の写真は、ほとんどが「お亡くなりになった」後(狩猟で仕留められた後)の動物の写真である。
プナンは、サルという分類を持たないが、
樹上に住む動物として、以下の4種を認めている。

← ブタオザル(Macaca nmestrina)。
プナンは、モドック(
Medok)と呼んでいる。
森の奥の方に獲りに行かなければならない。
昼行性で、夜は樹上で眠るとされる。
骨が太く、そのまわりに肉が付いていて、噛んでいるとジューシー。
ブタオザルの母は、胸のところで子を抱いていて、母を射撃すると子が獲れる。
子の肉は、「抱いている(tekivap)」と呼ばれ、絶品。
こんな旨い肉は、まず私たちの周りにはないだろう。
ゆえに、ブタオザルの肉を食べるのが、私には楽しみになっている。
プナンいわく、4種の「サル」のなかでは、もっとも強いという。

 

 

 

 

↑ ミューラーテナガザル(Hylobates muelleri)。
手が長い、プナン語では、クラヴット(kelavet)って呼んでいる。
腕を使って木々を渡り(ブラキュエーションという)、地上にはあまり降りてこない。
ウワウワウワウワッツという、印象的な大きな鳴き声を発する。
プナンの民話では、クマに動物たちが尻尾をもらいに行ったとき出遅れて、テナガザルが行ったときには尻尾が残っていなかった。
だから、テナガザルには尻尾がないのだとされる。
肉の味は、私としては、まあ、食べられる許容範囲。



↑ 動物図鑑を見ると、ホースリーフモンキー(Prebytis hosei)ではないかと思われる。
別名、ベッカム・ヘアー??
プナン語では、バガット(bangat)、お亡くなりになった後は、ニャキット(nyakit)と呼ばれる。
(動物を前にして、その動物の本当の名前を呼んではいけない)

なせリーフモンキーかというと、若い葉っぱや種子、蔓植物などを餌としているから。
腸内の消化物は煮出した場合薬になるとプナンは考えている。
ポトック(potok)という、リーフモンキーの腸内消化物のスープは、「
便」の匂いがする。
5メートルくらい近づくと、強烈な臭いがただよって、
いまだに私には飲めない。
肉の味は、他に食べるものがなければ、まあ、食べてもいいかなあというほどのもの。

カニクイザル(Macaca fascicularis)。 
川のそばの樹上にいることが多く、比較的、たくさん獲れて、食卓に上る機会が多い。
プナンは、クヤット(kuyat)って呼んでいる。
プナンは知らないが、道具を使うサルらしい。

これが獲れたら、しばらくどこかに逃げたい、あるいは、ソースを買いに行こうと思ったりする。
私にとっては、できれば食べたくない肉だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらは、ついでに霊長類として。