ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

花咲く「侯爵の道」を金剛山へ(2012.09.07)

2012-09-09 07:00:00 | 山日記

 

富士登山を一週間後に控えて3週連続のトレーニング。国道308号を途中から旧道に入り、水越峠を大阪側に越えたところに車を置く。すでに数台が駐車していた。ダイアモンドトレールの標識のある林道(ガンドガコバ線)に入ると、色鮮やかなトリカブトやツユクサが朝露に濡れていた。今日は白露。秋の気配が深まる季節の筈だが、右手、水オロシ谷を隔てた太尾の上の空はまだ夏の感じを残して、舗装の林道を登るうちに早くも汗がにじんでくる。
 
500mほどで地道になり、やや涼しさを感じる。越口の分岐は草ぼうぼうで道が見えず、この辺からはツリフネ、ミズヒキ、キンミズヒキ、マルバタケブキなどの花が目を慰めてくれる。谷が左手に変わる頃から再び舗装路になり、右に「金剛の水」を見てカヤンボに着く。左へ苔むした木橋を渡ればパノラマ台への道だが、こちらは帰りに使うことにして直進する。
 
 
広くなだらかな道の両側はツリフネ、ミズヒキ、キンミズヒキなどが乱れ咲き、フシグロセンノウの大群落もあった。またツルニンジン、フジウツギなども咲く「花の道」だった。T字路になったところで標識に従って左へ。太尾山腹を捲くように登っていく。少し幅が狭まり、また広く緩やかな登りになったところで後から来た人に先に行ってもらう。さらに登って道が林の中の急坂になる手前に丸太のベンチがあり、先ほどの人が腰を掛けておられた。横に座ってお話しを聞くと私と同い年で、堺からバイクで水越峠に来て、週二、三回はこの道を登られているとのこと。話しているうちにも、降りてくる常連らしい人と親しげに挨拶を交わしていた。10分ほど休んで先に行ってもらったが、みるみる背中が遠のいて行った。
 
 
しかし暗い林の中、木の根道の少し急な登りは10分足らずで、思ったより楽に太尾道との合流点太尾塞に出た。
ここで標高960m。葛城山と同じ高さになる。
 
 
ちょうど太尾から汗だくで登ってきた男性ふたりが、「ああ、着いた」とベンチに腰を下した。私たちは先ほど休んだばかりなので、そのまま通過する。ここまでの登りは、根来春樹さんの「金剛山」(昭和59年岳洋社刊)の言葉を借りると『どこか王侯貴族の香りがする。ひと言でいって「侯爵の道」である』。久しぶりに歩いたが、確かに、のびやかで大らかな気持ちで登れるいい道だった。
 
 
しばらく平坦な造林帯の尾根道を行き、次にうす暗い植林帯を抜けて短い急登が終わると、頭上が明るくなり大日岳(1094m)の頂上部に出た。昔は無線塔があっていい目印になったところだが、今はススキの穂が靡く草地でキンミズヒキの大群生やアキギクやゲンノショウコが緑に彩りを添えている。少し西側が開けるが、今日の河内平野は少し霞んで見晴しは先週に劣っている。
 

大日岳を下り、社務所の横を通って国見城址へ向かう。ちょうど太尾塞下で会った男性が下山されるところで、挨拶を交わしてお別れする。城址のベンチでしばらく休憩。夏休みも終わり、今日の城址は人影もまばらである。
 

帰りは転法輪寺を通って葛木神社に参拝、裏参道をブナ林に下る。葛城山が陽を浴びて明るく浮かんでいた。一の鳥居からダイアモンドトレールへ入る。いつもの郵便道を見送ると、しばらく平坦な道をいき「ここから急坂が続きます」の標識から、コンクリートの急な階段道になる。
 
 
この道は少し荒れていて、土が流されて階段だけがむき出しになって歩き難いところもあり、わずか500mほどだが時間がかかる。大きく右にカーブするところで勾配が緩まり、左手に谷を隔てて葛城山が見える。昔に比べると樹木が成長して大分、見晴しが悪くなった。
 
しばらくは涼しい植林帯の中の平坦な道をのんびりと歩く。少し急な下りになりパノラマ台に出た。ここからの大和平野を見下す景色も、植林が進んでかなり狭まったようだ。直進して御所に出る懐かしい道は、荒れて廃道に近い感じになっている。ベンチに座って水分を補給した後、左に折れてジグザグの急坂をカヤンボに下る。途中で何度か登ってくる人に出会ったが、すでにかなり疲れた様子で先を尋ねる人もいた。3年前のツツジの時期に青崩から葛城山へ登り、正午に着いた水越峠からこのパノラマ道を金剛山に登って北尾根を下りた時の長さを思い出した。
 

暑さを覚悟していた林道歩きだったが、幸いにも雲が出てきて涼しく歩けた。空になったペットボトルに「金剛の水」を汲んで、今日の楽しいトレーニングを終えた。
【コースタイム】水越峠06:30…カヤンボ07:05…太尾塞07:45 ~08:00…大日岳 08:30~08:35…国見城址08:43~09:00…葛木神社09:05…郵便道分岐09:17…カヤンボ10:35…水越峠11:10