88 青葉山 <丹波高原西部>

(あおばやま)若狭湾のすぐ近くに聳える。秀麗な双耳の山容は福井・京都、それぞれの側から若狭富士、丹後富士と呼ばれている。山麓の松尾寺は西国二十九番札所である。山陰地方の植物の宝庫でもあり、その数は 400 種類に及ぶという。(写真は西峰)

2003 年5月6日、 JACの先輩たちと 5 人で松尾寺に車を置いて山麓の道を歩き、途中の今寺登山口を見送って、東峰から延びる尾根末端の中山道登山口から登った。緩やかな登りから木の階段道になり、大きくジグザグを切るように登っていくと、赤紫や白のイカリソウの花が目を楽しませてくれた。

植林を抜けて尾根に出て勾配も次第にきつくなる頃、展望図のある四阿があり、高浜の海岸や大島半島など若狭湾の展望を楽しんだ。尾根道にはさまざまな野の花が咲き、豊かな自然の饗応が続く。

馬ノ背の岩稜に登ると、眼下に高野の集落が箱庭のように見えた。ブナ林の登りを終えると、青葉神社の祠がある東峰頂上の小広場に飛び出した。

食事の後、西峰への縦走路に入ると尾根は細くなり、足元が切れ落ちている所もある。イワカガミ、イカリソウ、ヤマルリソウ、フデリンドウに加えて、ヤマシャクヤクの花が点々と咲いていた。大きな岩が次々現れ、洞穴のようになった岩もある。

嶮しい岩稜では真新しい金属製のハシゴが取り付けてある。西峰の頂上は東峰より広く、何枚もの山名板、大きな丸太のベンチ、松尾寺奥の院の祠などがある。


祠の背後には高さ 10m ほどの幅広い大岩があり、岩の上に登ると内浦湾の素晴らしい眺めが拡がった。しかし、海岸には原子力発電所の建物が見え、また北朝鮮へ拉致された人達のことや、岩壁の母も山行中の私たちの話題だった。単純に「海の見える山」として楽しむだけではすまない、さまざまなことを考えさせられる山でもあった。

急坂を松尾寺に下り、参詣を済ませて山門近くまで来ると、横の庭園には目もあやなボタンの花が咲き誇っていた。花の山の最後を飾る印象的なフィナーレだった。
【コースタイム】松尾寺 08:30 …中山道登山口 09:45~ 09:55 …高野への分岐 10:17 …展望台 10:50 ~11:05 …東峰 11:55 ~12:30 …西峰 13:10 ~13:40 …松尾寺 14:20