ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

私の関西百山(67)龍門山

2014-06-25 08:18:06 | 私の関西百山

67 龍門山(756.3m) <紀伊山地西部>
(りゅうもんたけ) 紀の川市。和歌山線粉河駅の南4km、紀ノ川の左岸にあり、南方の和歌山市側からは紀州富士と呼ばれる美しい形に見える。ギフチョウの最南生息地であり、また蛇紋岩の岩場に咲く絶滅危惧種のキイシモツケの群生地として知られている。

1994年6月、キイシモツケの花を見ようと二人で紀州へ向かう。粉河で紀ノ川を渡り、こちら側から見ると大きな丘のような形の龍門山に向う。ミカンやカキ、モモなどの果樹畑の中の曲がりくねった細い道を走り、ぐんぐん高度を上げて小広場になっている一本松に着く。

すでに標高は350mで、ここまで駅から歩くと1時間かかるという。紀ノ川がかなり下に見える。両側からシダや草が覆い被さる道を登る。小さい石仏のを過ぎ、雑木林とアカマツ林の中を登ると勾配が弱まるとネズミサシやヤマウルシも混じる雑木林の中となる。

ぼつぼつシモツケの花が見え出し、最後に一登りで田代峠に着く。下ると黒川への道だが、龍門山へは左の飯盛山から続く稜線を鋭角に右に折れる。なだらかな尾根道を行き、勾配が急になると磁石岩がある。

周囲17m、高さ4mの岩全体が一個の磁石になっているという。紀ノ川を隔てて紀泉高原、和泉山脈が見える。

10分ほどで雑木林が切れると、周囲が明るく開けた756.3m三角点のある頂上に飛び出した。広い緑の草原の周囲に、縁取りのようにシモツケの白い花が満開で、実に美しい。

コデマリに似ているが、イワシモツケ、トサシモツケと3種しかない珍しいものだそうだ。展望は北から東の紀ノ川・和泉方面がよく見える。

下山は北へ中央コースを15分ほど下ると明神岩への分岐がある。蛇紋原という表示があり岩鼻から下を覗く。黒い蛇紋岩が重なった小台地の周囲をキイシモツケが取り囲んでいる。コデマリに似たこの花は蛇紋岩が崩れた土質を好むので、この山に多いそうだ。

少し下ると明神岩で、下を覗くと40m近くありそうで足がすくむ。横には昔、蚕の貯蔵庫だったという暗く深い風穴があり、楠正成が隠れたという伝説が残る。ここからは抉れた道の七曲がりの急降下が続き、ハハコグサやヒメジオンの群れ咲く台地(中央コース登山口)に出る。ここからは林道が一本松に続いている。

2000年6月にはTさん夫妻と4人で同じ田代コースを登った。峠への途中で「ちりなし池」へ寄り道したが、池はすっかり干上がって擂り鉢の底のような草地に岩が散らばっていた。しかしキイシモツケの白い花が回りを取り囲み美しかった(往復約20分)。

この時は帰りに西国三十三番第三番札所の粉河寺へお参りする。近江八景を模したという本堂前の枯山水庭園は赤いツツジと緑の蘇鉄が鮮やかだった。

<参考コースタイム>駐車場9:00…田代峠9:50…磁石岩10:10…頂上10:20~11:10……中央コース入口12:00…駐車場12:15(1995.06.05)