ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

私の関西百山(65)獅子ヶ岳

2014-06-14 07:08:43 | 私の関西百山

65 獅子ヶ岳(733.3m) <紀伊山地東部>
(ししがたけ)志摩半島の先端に横たわる度会(わたらい)山地にある。山名は「頂上近くにある大岩が獅子に似ているからという説が一般的だが、地元ではシシ=猪ではないかともいう。手軽に登れる低山だが、眺望がよいので人気がある。登山口は注連指、小荻、日の出の森などにあるが、私たちは注連指(しめさす、度会郡度会村)から登った。

注連指口からしばらく走った登山口の道標のある所から、細い林道を沢沿いに約15キロ道幅が始めて広くなる終点まで車を進める。杉林の中、谷川の右岸を行く道は下草が生い茂り、やや荒れた感じがする。ゆるい登りで小さな堰堤の横を何回か通り、30分ほどでやっと沢を渡って山腹の道に取り付く。ここからは稜線に向かって急なジグザグの登りになる。いままでイライラするような道だっただけに却って爽快な感じがする。ブナ、クヌギ、カエデなどの広葉樹林の中に松が散在する落ち葉の道である。

やがて右手前方に主稜線が、見上げるばかりに高く見えてくる。

「頂上まで1270m」の標識があり、マジックで「標高差330m」と書き加えてある。かなりの急登で、ジグザグを繰り返しながら急速に高度を稼ぐ。山腹を捲くようになり、青みがかつた岩が散在する道を行くと、小萩からの道と合して西へ折れる。最後の登りもブナ、アセビ、シキミなどの灌木を頼りにする急登。灌木帯を抜けると頭上が大きく開け、大きな平らな岩が横たわるところに出た。

獅子ノ岩である。振り返ると山の向こうに島を点在させた海が光っている。紅葉の山肌が美しいピークが岩稜のすぐ上に見える。滑りやすい急坂を登り、登山口から休憩なしの1時間20分で頂上に着く。

灌木に囲まれた小広場で、展望はもう一つ。とくに西の高見山地の方は木に遮られて見えない。

獅子岩に降りて大展望を楽しむ。頂上では見えなかつた局ヶ岳の鋭鋒を懐かしく望む。伊勢湾から五所ヶ湾に続く海岸線と町や村が、山並みの向こうにぐるりと見回せる。ゆっくりと贅沢な時間を過ごし、来た道を下る。予想通りに、下りには早い道だった。

【コースタイム】:注連指林道終点S10:35…沢を離れる11:00…頂上11:55~12:35…獅子岩1240~13:05…林道終点13:55 (1996.11.16)