ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

私の関西百山(38) 高見山

2013-12-22 08:44:11 | 私の関西百山

高見山(1249m)  <高見山地>

【たかみやま】よく「関西のマッターホルン」とか「関西の槍ヶ岳」と表現される。西側、とくに国道166号線の木津(こつ)峠付近から見た姿は、まさに「天を衝く」感がする。吉野郡東吉野村と三重県松阪市の境に位置し、台高山脈北端の山として南端の大台ケ原山と山脈を代表する。三峰山と同じく霧氷で有名である。

 木津から高見山

高見山は『万葉集』の「吾妹子をいざ見の山を高みかも 大和の見えぬ国遠みかも 石上大臣(石上麻呂)」 の「いざ見の山」に比定されている。去来見山(いざみやま)の別名はこの歌が元になっている。この山は古くは高角山(たかつのやま)といい、山頂の高角神社は神武天皇東征のとき道案内を勤めた八咫烏建角見命(ヤタカラスタケツノミノミコト)を祀る。山頂からの展望は名の通り雄大で、間近の三峰山をはじめ曽爾、大峰、台高の山々などが一望できる。

いくつかある登山路のうち、杉谷からは伊勢南街道を通り小峠へ。ここから急登で平野からの道と合すると、いくつかの巨岩を見ながら山頂に向かう。冬には美しい樹氷が見られる人気の高いコースである。杉谷の登山口から2時間15分。



最初に登った1978年1月の千日町ハイキング同好会例会では、子供たちも一緒に登山バスで杉谷まで行き小峠へ。今は寂れたこの道は旧伊勢南街道で、塩や魚の運ばれた重要な道だという。真っ白な雪の国道166号線を高見峠(大峠)に登り、寒さに震えながら昼食後、山頂を目指した。頂上付近の霧氷はさすがに見事で、エビノシッポ状の氷塊が宝石細工のようだった。

96年にも二人で歩いたこの杉谷からのコースを、2011年8月久しぶりに辿った【登山日】 2011年8月9日 
【参考コースタイム】杉谷登山口07:27…小峠08:27~08:45…平野分岐09;05~09;10…頂上10:20~10:30…大峠11:25~11:45…小峠12:05~12:20…杉谷13:15

 



杉谷登山口の禅寺・正福寺前に車を置かせて貰い、「山神」の祠から「旧伊勢南街道(紀州街道)」に入る。説明板によると『紀州、大和、伊勢を結ぶ塩の道、米の道、魚の道の交易路であり、かっては伊勢参宮の道であり、また紀州徳川家が江戸参勤交代にこの街道を利用した。特に夏は大峰山、年末には年越え参りで賑わった』道である。ところどころ美しい石畳が敷かれ往時の賑わいが偲ばれる。

「撞木松」の古木を過ぎると尾根に出る。草原になり朝露に濡れたススキを分けるように登る。再び石畳道になり「古市」の跡を通る。紀州、大和、伊勢の人が集まって市が立ったという。今では信じられないような山道の途中である。

「雲母曲(きららひじ)」を登り、未舗装の林道が通る小峠にでた。「高見山登山口」の石標がある。ここまでちょうど1時間。高角神社の鳥居をくぐると、急勾配をジグザグに登る厳しい道が続く。

みるみる林道が下になる胸のすくような登りで、最後は鎖のある岩の間を抜けて稜線に出る。平野からくる道との合流点である。ここから稜線を行くが、大きな露岩が次々に出てくる。神武天皇が国見をしたという国見岩に登ってみたが、周囲の樹木が生い茂り名前どおりではなかった。「揺岩」は「多武峰 大職冠 藤原鎌足公」と三度唱えると揺るぎだしたという。

次に右手が開けたところに「笛吹岩」がある。『高見山の開祖聖人がこの岩頭に登り笛を吹くと、両谷から雌雄の大蛇が駆け上がり、笛の音を陶然として聞き入ったといわれている。また笛の音が山すそまで聞こえると、次の日は必ず雨になったと伝わる』。ここから正面に国見山、その右に遠く薊岳が見えた。 緩やかな登り道が急坂に変わり、登りきると左側が開けた山頂部にでた。

 (Feb.1997)

分岐から平野への道は、1997年2月にML低山徘徊派の仲間と下山路に使った。途中で樹齢700年の高見杉を仰いだのが印象に残る。杉谷分岐から1時間足らずだったが、登りに使うと頂上まで2時間30分かかる。

 (Jul.1996 大峠より山頂を仰ぐ) 

山頂南側にある大峠は、昔から伊勢街道が通る高見峠として交通や通商の要衝であった。今は峠のさらに南の山腹を国道166号線高見トンネルが通っている。一番簡単に登るには、車で166号線から大峠に登り広場に駐車すると、1時間足らずで山頂である。

 (Oct.2011)

1987年7月、初めて登ってから10年後にマイカーで大峠の駐車場まで行った。鳥居をくぐると最初からきびしい直登だが灌木帯を抜けると展望が開ける。

 (Nov.2004)

山頂の様子を『社は昔のままだが立派な展望図の埋め込まれたものと、「霊峰・高見山」と刻まれたものの二つの標石があり、大きな避難小屋もできている。』と山日記に記している。

 大峠から山頂を仰ぐ(Oct.2011)

2004年11月も大峠まで車だったが、時間があるので先に雲ヶ瀬山(1075m)へピストンした(往復1時間強)。山頂は樹木に囲まれて展望はないが、少し南に歩くと三峰山とその右肩に局ヶ岳の鋭峰、右には迷岳などが見える開けた処に出た。ここはサシバなどの「渡り」が見られる展望所という。