ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

赤トンボ舞う大和葛城山(2013.09.10)

2013-09-11 13:58:03 | 山日記

白露を過ぎ、ようやく秋らしくなった空にイワシ雲が浮かんでいる。今日は足慣らしに大和葛城山に行く。早めに家を出たので水分橋に着いた時には車は数台しかなく、水越トンネルの大阪側入口を見下ろす絶好の場所に駐車できた。


辺り一面のクズの花を見ながら国道309号線を跨ぐ橋を渡り、竹林の横を少し下って青崩からの道に合って水分集落の最上部から天狗谷道(青崩道)に入る。最後の民家を過ぎると山間の畠の中の短いが急な登りになり、舗装の道に日が眩しく照り返す。センニンソウ、ウド、ニラなどの白い花が目立つ。


道がなだらかになって勢いよく流れる導水路の横から植林帯に入る。先日の雨の名残か、しっとり黒ずんではいるが湿気が多く、木陰なのにすぐ汗が滲みだしてくる。右手に天狗谷を見下ろす道は、ヤブミョウガの白い花が浮かぶ薄暗いところを抜けると高度を上げるにつれて流れに近づいていく。キンミズヒキの黄色が鮮やかだ。


道が狭まり、やや小岩交じりの山道らしくなるとキンミズヒキや赤いミズヒキに交じってツリフネソウの咲く草地になり、谷を左岸に渡り本格的な登りが始まる。

右の山側に盛りを過ぎたツリフネソウの大群落を見て、木の階段で整備されて歩き易くなった道を登る。メイゲツソウはまだ咲き始めたばかりだった。鎖場を過ぎて右岸に渡り返して登り、水場で谷と別れる。♀ペンがイワタバコを見に行ったが、もう花は残っていなかった。冷たい水で喉を潤して中間点(青崩、山頂どちらへも1.7km)のベンチへ登る。

ここでザックを下ろして10分間休む。木漏れ日が眩しいが風が吹き上げてきて、汗に濡れた背中が冷たく感じる。
 幅広い木の根道が終わると長い階段道が続くが、身体が山に馴染んできたのか、いつもここまでより楽に思う。ボロギクやヤマジノホトトギスが咲いている
水平道から、河内弘川寺への林道に出会うT字路で右に折れて、涸れた谷の右岸を登る。花期の過ぎたフシグロセンノウやヤマアジサイが待っていてくれた。葉だけになったショウジョウバカマの道には木の下の緑の苔が美しい。


4月に来たときには最上部だけだった砂防工事はだいぶ進んでいて、かなり下から迂回路で左岸に渡るようになっている。トラロープの張られた急斜面を登り、ほぼ水平な道を少し行って渡り返す。この辺りの見慣れた天狗谷の風景は一変している。


林道に出てキャンプ場の横からロープウエイの道に出会うと、いつもなら誰かに出会うのに不思議なほど全く人影がない。まだ閉まっている白樺食堂の前を過ぎて、まだ朱い穂のススキに囲まれた道を頂上に登る。西の方は展望が効き、やや靄ってはいるが、アベノハルカスを筆頭に大阪南部のビル群が見えた。


河内側に比べると大和平野は見晴らしがよくなく、大峰の方は殆ど見えない。ススキを前景に金剛山を撮ろうと15分ほど腰を下ろしていたが、先ほどの青空はどこへやら頭上にも雲が拡がってきた。この間、全く二人で貸切りの山頂で、こんなことは珍しい。高原ロッジへ下る道の上には赤トンボが乱舞していた。両側のススキにとまるとか、せめて青空を背にしてくれればいいのに、足元を羽音が聞こえるほどに飛び回っている。帰ってから見ると素早い動きに加えて、まだ色も淡いので写真にならない。♀ペンがムービーモードで撮れば良かったと言ったが後の祭りだ。

(頂上付近の花…左上から時計回りにワレモコウ、アザミ、ツリガネニンジン、オミナエシ、ヤマシロギク(イナカギク)?、ヤマハギ)写真の他にもアカツメグサ、ヨモギ、ホタルブクロなど色んな花が咲いていた。

高原ロッジから出てきた人が今日会った初めて人で、ツツジ園も無人だった。ゆっくりと咲き残った夏の花や咲き始めた秋の花を摂りながら辺りを散策する。実は今日の♀ペンの目的はこの辺りのナンバンギセルだったが見つからない。トイレの前に帰ってもう一度、頂上の方へ登り返してススキの根元を分けたりして探していたが、とうとう一本も発見できなかった。1時間ほど滞在した頂上部を後に元の道を下り、中間ベンチへの木段道にかかる頃に初めて登ってくる人に出会った。その後も登ってくる人はあったが、それでも10人たらずの静かな天狗谷だった。 


(天狗谷下部の花…左上から時計回りにフシグロセンノウ、ツルリンドウ、クズ、ゲンノショウコ)
 他にも、赤い色のゲンノショウコ、ヌスビトハギ、ミゾソバ、ツユクサ、ヘクソカズラなどたくさんの野の花を愛でながら、のんびりと歩いて駐車場所に帰り着く頃、雲が晴れてまた夏の様な強い陽射しが帰ってきた。

<コースタイム> 水分橋上駐車場所 07:15 … 中間ベンチ 08:20~08:30 … 葛城山頂 09:20~09:35 … キャンプ場10:20 … 中間ベンチ 10:50~11:00 … 水分橋 11:45