「厚生労働省が5日発表した2013年の実質賃金指数は前年比0.5%減となりました。 賃金が上がらないまま物価だけが上がる実態が浮き彫りになっています。 日本銀行の『大胆な金融緩和』を背景にエネルギーや食品を中心に価格が上がり消費者物価が上昇しています。 物価上昇と裏腹に賃金があがらないまま、安倍晋三政権が4月に消費税の引き上げを強行すれば、家計の負担が、一段と大きくなり、日本経済の底がぬけかねません」(「しんぶん赤旗」6日付)
3日の衆院予算委員会の佐々木憲昭議員の「基本的質疑の大要」が、5日付「しんぶん赤旗」に掲載されました。 今後の運動にとっても大変参考になるのではないかと感じました。 以下、消費税増税と賃上げ問題に関する質疑の一部を紹介させていただきます。
「佐々木 安倍内閣は、『2年間で物価上昇目標を2%にする』ということでありますが、最近このサラリーマンの賃金が物価上昇に追いつかない、生活が苦しくなったという嘆きが聞こえてきます。 日銀に確認したいのですが、来年度の物価上昇の見通し、最近のデータで特に物価上昇率の高い品目を示していただきたいと思います」
「木下信行日本銀行理事 電気代、ガソリン、テレビ、健康保険料、外国パック旅行、ルームエアコンなどとなっておりす。 物価上昇見通しですが、2014年度は消費税引き上げの影響を除きまして、1.3%、 2015年度につきましては1.9%となっています」
「佐々木 公共料金が上がり、物価全体を押し上げているわけです。 日銀の『生活意識に関するアンケート調査』では、『物価上昇は困ったことだ』とお答えになっている方が8割。 給与総額が18カ月連続して対前年比マイナスになっております。 そのうえ安倍内閣になって、実質賃金がずっと下がってきているんです。 実質賃金は昨年6月まで上がっていたんですが、物価が上がるもんですから実質賃金はそれにつれて低下して7月以降マイナスになっている。 これは大変な事態なんです。 しかもそれだけではない。 4月から消費税率を8%にあげるでしょ」
「ただでさ、賃上げがおいつかないといっているところに消費税が上乗せされて、いっそう大変なことになる。 税率が8%になりましたら、物価が約2%上がりますね。 来年度は物価上昇と消費税増税を合わせると、何%の上昇と想定していますか」
「経済財政担当相 来年度の物価上昇率は消費税込みで3.2%。 消費税の分を外しますと1.2%です」
「佐々木 3%を超えるわけですね。 しかも、そのうえ社会保険料の負担も増える。 ざっと見ますと、4~5%程度の賃上げがないとサラリーマンの可処分所得は低下するんです。 そのうえ、なかなか賃金が上がらない。実質賃金が低下していくことになりますと、消費が停滞する。 これが実態なんです」
「佐々木 政府が2011年に中小企業4団体に依頼して行った調査で、売上高3000万円以下の業者のうち消費税を『転化できない』と回答したのは何割ありますか」
「茂木敏充経済産業相 現在の消費税5%分を『全部転化できている』が39.6%、『一部転化できている』が26.2%、『ほとんど転化できていない』と回答された事業者が34.3%。 さらに今後、消費税が引き上げられた場合の転化の見込みは、『全て転化できるも込み見込み』と回答する方が27.5%、『一部転化できる】と回答された方が31.6%、『ほとんど転化できないと思う』と回答された方が40.9%おります」
「佐々木 一部しか転化できない。 転化できないというのも含めるとだいたい7割ぐらいあるわけですすね。 転化できない場合、消費者から消費税を預かっていないわけなんです。 しかし、業者は納税の義務があります。 お金はいったいどこから出すのか。 だれが負担するんでしょうか」
この質問に対して、安倍首相は、「万全の転化対策を講じていきたい」などと答弁しましたが、まったくその保障はありません。
労働者の賃金引き上げ、雇用の改善をすすめること。 4月からの消費税増税中止。 大企業応援の異常な政治から大企業の社会的責任を堂々と求める政治への転換がまったなしの課題となってきていると感じています。