見もの・読みもの日記

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新緑の京都・奈良(5): 法隆寺、東寺

2008-05-15 23:56:31 | 行ったもの(美術館・見仏)
■法隆寺
http://www.horyuji.or.jp/

 月曜日(5/12)は、久しぶりに法隆寺を訪ねることにした。寒風の吹きすさぶ(風鐸が激しく鳴っていた)師走の法隆寺を訪ねたのはいつだったろう? 自分のブログを検索しても出てこないので、4年以上前のことになるらしい。近鉄駅前から1時間に1本のバスに乗って、斑鳩に向かう。

 平日の朝、さすがに境内は人が少なかった。奈良国立博物館では、6月半ばから『国宝 法隆寺金堂展』が予定されている。その金堂は、既に須弥壇の修理が始まっており、堂内の諸仏は上御堂(かみのみどう)に移されていた。でも、四天王がいない。お寺の方に聞いてみたら、2体は宝物展で公開中で、あと2体は奈良博に移送済みだそうだ。

 西院伽藍を出て、順路に従い、大宝蔵院(百済観音堂)に進む。平成10年に完成した最新の宝物展示施設である。夢違観音、百済観音、玉虫の厨子、橘夫人の厨子(これ大好き!)、そして天人を描いた金堂壁画の残闕など、数々の名宝と、いつでも会うことができるのだ。ああ、なんという贅沢! 私は、これまで意識したことのなかった飛鳥(白鳳)時代の六観音像に惹かれた。胸の薄い、胴長の体躯。田舎の少女のような純朴な顔立ちをしている。一方、奈良時代の塑像である四天王と梵天・帝釈天像は、唐風のボリューム感を備えている。けれど面差しは、漢民族の理想と微妙に異なる日本人顔だ。その違和感がいいと思う。

 のんびり見ていたら、中学生らしい集団がどやどやと入ってきた。やり過ごそうかと思ったが、このあと、狭い東院伽藍で彼らと鉢合わせするのは避けたい。今日の目的は、特別公開中の救世観音なのだから。そこで、そさくさと大宝蔵院を出て、東院に急ぐ。計略は図にあたり、まだ人の少ない夢殿にへばりついて、秘仏・救世観音を堪能することができた。意外と小さいんだよなあ、救世観音って。

 修学旅行生たちが到着したところで東院をあとにし、さっき、素通りした『法隆寺秘宝展』に戻る。会場は、新しい大宝蔵院の斜め前にあり、ややこしいことに「大宝蔵殿」と呼ばれている。たぶん、以前はここが唯一の宝物館だったのだろう。別料金(大人500円)が必要だが、その価値は十分にある。重文級の仏像、仏具に加えて、金堂の四天王2体(持国天・多聞天)が公開中だ。さらに私を喜ばせたのは、昨年、奈良博の『美麗 院政期の絵画』で永遠の至福を感じさせてくれた『蓮池図』にめぐり会えたこと。そうか、ここに在ったのか! 『玉虫厨子 厨子絵模写』は近代物だが、厨子の表面の図様がよく分かって面白い。

■東寺宝物館 春期特別公開『東寺鎮守八幡宮と足利尊氏』

 旅行のシメは東寺宝物館。鎮守八幡宮の女神坐像1体(大きい)と武内宿禰坐像(小さい、しかも上半身裸形)が公開されている。南北朝の争乱期、東寺の内外で戦闘が行われたとき、鎮守八幡宮から矢が飛んで足利尊氏が勝利したという言い伝えがあるそうだ。東寺って、「国賊」足利尊氏ゆかりの寺だったのか。そりゃあ、戦前は苦労しただろう。それにしても、このところ尊氏の名前をよく聞くと思ったら、今年は没後650年に当たるのだそうだ。知らなかった。

■参考:東寺が足利尊氏の位牌を建立 京都(イザ!)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/141614/

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