見もの・読みもの日記

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個性派コラボ/夢のちたばし美術館!?(千葉市美術館)

2019-06-17 23:41:27 | 行ったもの(美術館・見仏)

千葉市美術館 板橋区美×千葉市美 日本美術コレクション展『夢のちたばし美術館!?』(2019年6月1日~6月23日)

 東京の板橋区立美術館と千葉市美術館、日本美術、特に江戸絵画に関して、ともに個性的な活動を展開してきた両館のコラボレーション企画と聞いて、わくわくしながら行ってきた。展覧会のセクションは「江戸琳派とその周辺」から始まる。やっぱり江戸絵画といえば、最大公約数的には琳派か。酒井抱一と鈴木其一が充実。しかし、あまり知らない作者の作品もあった。

 立林何帛(かげい)の『扇面貼交屏風』(千葉市美術館)はちょっと中村芳中に似て、もう少しかたちがゆるくて素人っぽい。酒井抱一門下の田中抱二は幕末・明治の画家。古画や草花・玩具などを描き止めた『写生帖』は、近代的なリアリズムが垣間見えて面白かった。個人蔵。中野其玉の『其玉画譜』(千葉市美術館)は中村芳中ふうというか、アールヌーボーふう。ほか、酒井道一、山本光一など、ビッグネームではないけれど、幕末から明治の激動期を生きた画家たちの作品が面白かった。

 「ちたばし個性派選手権」は、やっぱり板橋区美のほうが、「ヘンな絵」を集めることに一日の長があると思った。宋紫山のぬらっとした『鯉図』、とにかくデカい狩野典信の『大黒天図』など。ひっそり混じっていた椿椿山の『浅野梅堂母像』は、透き通るような淡彩のステキな肖像。

 次は「幕末・明治の技巧家」で、特に岡本秋暉、柴田是真、小原古邨を取り上げる。孔雀の画家、岡本秋暉は、孔雀以外の作品も含めて10点以上並んでいて壮観だった。『都鳥図』はかわいくて笑った。『椿に孔雀図』は、やや横長画面の左側の枝の上に孔雀がいて、その長い尾が画面の右に向かって、ゴクラクチョウのようにたなびいている。典型的な孔雀図の構図ではないのが新鮮。さまざまな鳥を写生した『鳥絵手本』(図巻)も面白かった。上記の作品は、全て板橋でも千葉でもなく、摘水軒記念文化振興財団からの出品である(この財団、柏市にあるんだ。沿革を読むと面白い)。

 柴田是真は板橋区美のコレクションが中心。『貝尽図屏風』(紙本漆絵)のような是真らしい作品のほか、映画(アニメ?)の1シーンのような『猫鼠を覗う図』、ゆるふわの『上代雛図』もよかった。小原古邨は千葉市美術館のコレクション。カメラ目線で虚空を横切る『月に木菟』など。

 最後は「江戸の洋風画』。おお、こんな特集まで!? 小田野直武、佐竹曙山、司馬江漢、亜欧堂田善、石川大浪、石川孟高。このセクションの多くは帰空庵(歸空庵)の出品である。小田野直武を5点もまとめて見られる機会は、東京ではめったにないのでとても嬉しかった。『梅屋敷図』は作風から直武の作と推定されているそうだが、長身の人物が亜欧堂を思わせるところもある。直武の、どこか洋風(?)の『恵比須・大黒図』も面白かった。(伝)佐竹曙山の『紅梅水仙之図』は、南蛮画を愛した池長孟氏の旧蔵コレクションで、太いストライプの南洋風の生地で表装されていた。亜欧堂の『蘭医図(ウェインマンの肖像)』は珍しい絹本油彩の人物画(書籍の図版の模写)だった。

 なお、板橋美術館は現在、改修工事のため休館中だが、千葉市美術館も2020年1月から6月まで休館してリニューアルを行うらしい。千葉市の広報記事を見たら、いまの建物が全面的に美術館になるみたいで、たいへん嬉しい。千葉市、大英断! 会場には「不惑のイタビ、脂のってます」「リニューアルだよ!全員集合」のバナーが誇らしげに垂れていた。


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