見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

読むひと・書くひと/「河出ブックス」創刊ニュース

2009-09-30 22:02:11 | 見たもの(Webサイト・TV)
○書評空間(紀伊国屋書店) 河出ブックス創刊!ブログ

 長い夏休み旅行から帰って、変わったことはないかと思い、ネットを見ていたら、気になる記事を発見した。河出書房新社が、10月10日、「河出ブックス」という新シリーズを創刊するという。その創刊ラインナップが、なかなかいい。

・石原千秋『読者はどこにいるのか――書物の中の私たち』
・島田裕巳『教養としての日本宗教事件史』
・橋本健二『「格差」の戦後史――階級社会 日本の履歴書』
・紅野謙介『検閲と文学――1920年代の攻防』
・坂井克之『脳科学の真実――脳研究者は何を考えているか』
・西澤泰彦『日本の植民地建築――帝国に築かれたネットワーク』

 いいなー。まず読みたいのは橋本健二さん。最近読んでいないけど、石原千秋さん、紅野謙介さんも好きな書き手である。西澤泰彦さんは、写真の多い図説ものしか読んだことがないけれど、このテーマ(植民地建築)にはすごく興味があるので、ぜひ読みたい。引き続き、五十嵐太郎『戦後日本建築家列伝(仮)』、永江朗『タブーと発禁の出版文化史(仮)』も予定されているようだ。

 新書ブームが「飽和状態」の現在、河出ブックスは、B6判ソフトカバー、俗に「選書」と呼ばれる形態を選んでいる。選書は「新書と専門書の中間的な役割を果たしていると目されていますが、もっと脚光を浴びてよいポテンシャルを秘めていると思います」と、担当者は上記のサイトで抱負を語っている。

 多くの場合、新書は、あるテーマに関する入門書・概説書の域を出ないが、内容のある選書は、後々まで「極めつけの1冊」として心に残る。しかし、逆につまらない選書に当たると、本当にガッカリする。新書なら我慢して読めても、つまらない選書、内容のない選書は、許しがたいのである。初回は一気に6点も出すつもりらしいが、以後は1ヶ月に1、2点ペースで十分だから、厳しく水準を保っていってほしい。

 面白いのは、この「河出ブックス」創刊のニュースが、ブログ形式になっており、しかも紀伊国屋書店(ライバルだろ!)の「書評空間」で公開されていること。また、創刊ラインナップの内容紹介とあわせて、著者から「この〈選書〉がすごい!」というメッセージが公開されているのが、読み得。ほほう、この著者は、この本を推薦するのか、と楽しめる。やっぱり面白い本を書く人は、面白い本をよく知っていると思う。

 

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