見もの・読みもの日記

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背中まで初公開/十二神将のすべて(東寺・灌頂院)

2015-11-25 23:18:55 | 行ったもの(美術館・見仏)
東寺 2015秋期特別公開 灌頂院『十二神将のすべて』(2015年10月30日~11月25日)

 実は10月5日(月)に京都に出張したときに、久しぶりに東寺を見たくなって、仕事の始まる前にちょっと寄った。そのとき、金堂の薬師如来の台座を囲んでいるはずの十二神将がいなかったので、びっくりした。特別公開が始まるので、昨日、運び出したんですよ、とお寺の方から聞いた。まだ特別公開は始まっていないという話だったが、日程を聞いて、10月か11月に見に来られるだろう、と思っていた。

 さて、連休旅行最終日。京都駅が朝からむちゃくちゃな大混雑だったので、どこへも寄らずに帰京してしまおうかとも思ったが、東寺だけは寄っていくことに思い直した。灌頂院は「後七日御修法」「伝法灌頂」「正御影供」という重要な行事の行われる特別なお堂である。ふだんは拝観できないが、一度くらい、文化財特別公開で入ったことがあるような気がする。何もない、がらんとしたお堂だったはず。

 お堂の東面から左(南)寄りの入口を入ると、土間を挟んで左(南)側の一段高くなった床に、まず三体の神将像が、それぞれ白木の展示台に載って並んでいた。巳神・午神・未神である。巳神は額に手をかざすポーズ。土間の反対(北)側の暗い堂内に入ると、残りの九体が輪になって並んでいた。順路に従うと、酉・戌/亥・子・丑/寅・卯・辰/申となるので、混乱するが、薬師如来の台座の周囲を囲んでいるときの東西南北の配置をなるべく崩さないように配慮されている。いつも拝観者に向き合っているのは南を守る巳神・午神・未神。全く姿の見えない背面にいるのは、北を守る亥神・子神・丑神。

 側面にいる辰神の槍の差し上げ方が、自由の女神みたいでカッコいいといつも思っていた。全般的に衣の裾や袖の翻りかたが激しいのもカッコいい。甲冑フル装着の者(戌神)もいるが、裸足だったり、衣の前をはだけて胸の筋肉を見せている者(辰神)もいる。持ちものは武器とは限らず、貝を持っていたり(酉神)、玉や蓮華を持っていたりする。暗闇に目が慣れてくると、けっこう彩色と金箔が残っているのが分かった。特に背中側。この十二神将像は桃山時代の作だと思うが、古様を守った均整のとれた造形に、新しさも感じられて面白かった。

 堂内の南北の目隠し壁には(たぶん金剛界、胎蔵界の大日如来を表す)大きな梵字が投影されており、その奥の真言八祖像の壁画にもスポット照明が当たっていた。最近の寺院は、仏像を魅力的に見せる展示方法をよく研究していて、しかも舞台装置を作り出す財力もちゃんと持っているようだ。

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