見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

関西よくばり旅行(2):藤田美術館、湯木美術館など

2010-09-23 00:54:49 | 行ったもの(美術館・見仏)
藤田美術館 平成22年秋季展『季節を愉しむI 秋~新春の美術』(2010年9月11日~12月12日)

 週末旅行、2日目も欲張る。藤田美術館へは、今年の春季展に初めて訪ねて、一目で好きになってしまった。展示施設は、二階建ての古い蔵をそのまま転用している。歩くとギシギシ音がするし、空調設備がないため、真夏と真冬はさすがに開館できないらしいが、厚い壁に守られているので、意外と涼しい。収蔵品は、まだ全貌を掴んでいないが、かなり奥が深そう。今回の注目、ひとつは『両部大経感得図・龍猛(りゅうみょう)』(国宝)。内山永久寺の障子絵だったものだ。日本的な山水を背景に立つ小塔の戸口で、一夜の宿を借りにきた風情の龍猛と、狭い塔内にひしめく阿吽の金剛力士、甲冑姿の天王?が、お伽噺のようで微笑ましい。

 『玄奘三蔵絵』(国宝)は、一目見て、あ、高階隆兼だ!(春日権現験記絵巻の)と分かるような場面が出ていた。第3巻第3段、粉雪舞う天山山脈越えのシーンである。人々の足元低く飛ぶ極彩色の鳥が、想像を絶する異国の山の高さを感じさせる。深海を思わせる緑色の山襞が眩惑的。平安時代の鬼面(追儺)面も興味深い。裏面に「寛平六年」の墨書あり。

適塾(旧緒方洪庵住宅)(大阪市中央区北浜)

 『福翁自伝』を読み、さらに昨年、ドラマ『JIN-仁-』を見て以来、適塾の遺構に一度行ってみたいと思っていた。五姓田義松描く緒方洪庵先生と妻・八重さんの肖像画があった。大阪の町屋建築を体験することができ、蘭和辞書の系統図(ヅーフハルマ=長崎ハルマとハルマ和解=江戸ハルマ)や、洪庵抄訳『扶氏医戒之略』について学べたことも収穫。なお、同じ一角に残る土塀に囲まれた重厚な木造建築は、府内で最も古い大阪市立愛珠幼稚園である(個人ブログ:混沌写真)。現役の幼稚園のため、ふだんは内部を見ることはできない。

湯木美術館 平成22年秋季特別展『上方豪商の茶道具』(2010年9月11日~12月12日)

 適塾遺構から徒歩10分圏内。オフィス街の一角にある湯木美術館を初訪問。『吉兆』の創業者、湯木貞一氏の茶の湯コレクションを公開している。今回の展示では、茶道具の説明に加えて、それを伝えた「○○家」について、創業年や家業の変遷を記しているところが面白い。道入の赤楽茶碗「銘・是色(ぜしき)」が印象深かった。

野村美術館 秋期特別展『一楽二萩三唐津』(前期:2010年9月4日~10月17日)

 京都へ移動。やはり初訪問の野村美術館へ。永観堂の真向かいなので、門前までは何度か来たことがあるはず。茶人好みのやきものを列挙した「一楽二萩三唐津」の言にしたがって、楽焼、萩焼、唐津焼の名品を展示。ひとくちに萩焼と云い、唐津焼と云っても、いろいろあるんだなあ、と思う。その点、一子相伝の楽焼は、なんと言うか筋が通っている。ノンコウ(道入)の「向獅子香炉(銘・極楽)」が、か、可愛い…。

■西福寺(左京区南禅寺草川町)

 南に下り、上田秋成の墓を訪ねたことは別掲

泉屋博古館 創立50周年記念特別企画『住友コレクションの中国美術』(2010年9月4日~10月17日)

 Uターンして北上し、前日に続き、「安晩帖リピート入館券」で同館を再訪。この日(9/19)は1枚ページが進んで「叭々鳥図」が公開されていた。ふわふわの羽毛、人間臭すぎるポーズがいとおしい。これで私は『安晩帖』22面のうち、
・「瓶花図」2007-10-05記
・「蓮翡翠図」2009-03-24記(※粟の穂に雀かと思っていた)
・「魚図①」2010-09-22記
・「叭々鳥図」2010-09-23記
やっと4面を見たことになる。22面を制覇できるのはいつの日か。これって一度に全面を広げられる折本じゃないのね…と、うらみがましく装丁を眺める。

 以上で、仏像・絵画・茶道具・近代建築まで、欲張り尽くした週末旅行は終了である。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 大丸百貨店・心斎橋店(ヴォ... | トップ | 京都いまむかし/私の日本地... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

行ったもの(美術館・見仏)」カテゴリの最新記事