見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2018年11-12月@東京近郊展覧会拾遺

2018-12-30 22:07:24 | 行ったもの(美術館・見仏)
思い出せる範囲で、今年最後のまとめ。

日本民藝館 特別展『白磁』(2018年9月11日~11月23日)

 朝鮮陶磁を代表し、民族独自の美意識や造形感覚を映し出すという白磁の特集展示。無地の白磁壺を中心に、辰砂文や鉄砂文、可憐な薄色の染付なども取り交ぜる。朝鮮時代の諸工芸や石工品、絵画等もあわせて展示。久しぶりに『花下狗子図』や『架鷹図』も見た。

印刷博物館 企画展示『天文学と印刷 新たな世界像を求めて』(2018年10月20日~2019年1月20日)

 学問の発展に果たした印刷者の活躍を、天文学を中心に紹介。というか、ケプラーやティコ・ブラーエは天文学者であると同時に印刷者(出版者)でもあった。ティコ・ブラーエときたら、デンマーク王の支援を受けて、観測所に加えて、印刷所と製紙所も持っており、膨大な観測データを残した。ケプラーの法則はティコ・ブラーエの観測記録から生まれたのだという。いま流行りのオープンサイエンス、オープンデータの意義を考えさせられる挿話。西洋だけでなく、中国・日本の天文学書も多数展示。国立天文台所蔵の『ラランデ暦書』等、久しぶりに見て懐かしかった。

江戸東京博物館 企画展『玉-古代を彩る至宝-』(2018年10月23日(火)~12月9日)

 「玉(ぎょく)」かと思ったら「玉(たま)」の特集だった。日本各地から選りすぐった出土玉類で構成されている。旧石器時代末には動物の牙や骨を素材にした玉が用いられ、縄文時代末頃にはヒスイを加工した美しい石製の玉が作られるようになる。弥生時代になると、ガラスをはじめ多彩な材料の玉が現れ、有力者の墓に収める風習が始まった。要するに、ヒスイなど玉(ぎょく)よりも少し広い概念を扱うので、このタイトルになっている。

山種美術館 特別展『皇室ゆかりの美術-宮殿を彩った日本画家-』(2018年11月17日~2019年1月20日)

 近代の作品に混じって、後陽成天皇の書跡や、土佐光信筆『うたたね草紙絵巻』(室町時代)、伝・海北友雪筆『太平記絵巻』(江戸時代)など、古い作品も出陳されている。東山魁夷の『満ち来る潮』は何度見てもよい。山種美術館が、黒田清輝や和田英作、梅原龍三郎など洋画(油彩画)も所蔵していることを初めて認識した。

■丸善・丸の内本店ギャラリー 『美しい畸形-画強 天明屋尚 版画展』(2018年12月26日~12月31日)

 昨日、見てきたもの。「ネオ日本画」を標榜する天明屋尚(てんみょうやひさし、1966-)のはじめての本格的な版画展。来年の大河ドラマ『いだてん』のオープニングに山口晃さんの絵が使われると聞いたばかりだが、天明屋尚さんの絵は危険すぎるか。でもカッコイイ。もっとメジャーになってほしい。

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