見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

来歴はヒミツ/神奈川県立歴史博物館

2005-05-16 00:03:20 | 行ったもの(美術館・見仏)
○神奈川県立歴史博物館 特別展『館蔵美術工芸名品展』

http://ch.kanagawa-museum.jp/

 開館10周年を記念した館蔵名品展である。イチ押しの名品は、会場の最初に展示されている木造菩薩半跏像(南宋時代)。大きさは、ほぼヒトの等身大。あでやかな宝冠、くつろいだ姿勢、頬の豊かな美女の面影が、いかにも南宋っぽい。「こういうくつろいだ姿勢の仏様は、日本では珍しく、中国的です」とボランティアの方が解説してくれる。

 しかしながら、私が聞きたかったのは別のことだ。「この仏像は、神奈川県のどこかのお寺に伝わっていたものなのでしょうか?」とお訊ねしてみると「さあ、今回の展示品は全てこの博物館の所蔵品ですが、それぞれ、どういう経緯で博物館のものになったかは、我々は全く聞いていないんです。どこかのお寺さんが手放したものかも知れませんし、学芸員の方が中国で見つけて購入したものかも知れません」とのお答え。なるほど。ちょっと拍子抜けしてしまった。これが、単純に「工芸の美」を楽しむための展示だったら、私もこんなことは気にしなかったと思う。だけど、ここはいちおう「歴史博物館」だし…。

 神奈川県立歴史博物館は、ホームページで自館の収集方針を「『かながわの文化と歴史』を主題として、かながわの文化史を概観できるような資料の収集を行ってきました」と語っている。「かながわの文化史を概観」するためには、所蔵品の来歴を知ることも大切なのではないか。まあ、たまたま中国で見つけた仏像を「鎌倉文化に深い影響を与えた南宋時代の仏像」ということで購入したとしても一理はあるのだが。

 絵画や工芸品には、判明した来歴が解説に付記されているものもあった。仏像に限っては、いろいろ問題があるのかなあ。お寺さんが、お金のために売り払ったとは言えないからなあ。

 最近、絵画に傾倒している私としては「中峰明本」という元代の僧侶の頂相図を推す。それから、地味な扱いを受けているが、宋元の白磁・青磁がいい。実は彫像や絵画よりずっと名品揃いではないかと思った。
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