見もの・読みもの日記

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2023年9月関西旅行:青池保子展(小磯記念美術館)、高島屋史料館

2023-09-29 21:41:34 | 行ったもの(美術館・見仏)

神戸市立小磯記念美術館 夏休み特別展・漫画家生活60周年記念『青池保子 Contrail 航跡のかがやき』(2023年7月15日~ 9月24日)

 9月の関西旅行、最終日は神戸に足を伸ばして、青池保子先生の回顧展を見て来た。なぜ神戸で?と思ったが、青池先生は山口県下関市出身なので、故郷に近いといえば近い。それと中世の航海や帆船にゆかりの物語を描いているという点が、港町・神戸にふさわしいと言えなくもない。

 デビュー作「さよならナネット」から少女漫画界に衝撃を与えた「イブの息子たち」、大人気作「エロイカより愛をこめて」、中世3部作「アルカサル-王城-」「修道士ファルコ」「ケルン市警オド」まで、緻密なカラー原画とモノクロ原画を300点以上、8章構成で紹介し、60周年の仕事を記念する最大規模の展覧会という謳い文句は伊達ではなかった。私は、2014年にも京都国際マンガミュージアムで青池先生の原画展を見ているが、今回のほうが出展数は多かったと思う。ちなみに2014年は「漫画家生活50周年記念」だったことに気づいた。現在、75歳の青池先生、ぜひ「漫画家生活70周年」の回顧展に出会いたいと思う。

 これは例外的に撮影OKだった、この展覧会のための描き下ろし色紙。やっぱり青池作品では、この二人(および彼らを取り巻く人々)がいちばん好きかな。あと、「イブの息子たち」のニジンスキーくんの不意打ちに笑う。

 美術館の外からガラス越しに見える大きなバナーでは、伯爵が「好きでもない美術品を投資のために買うような人間は――大きらいだ」とつぶやき、少佐が「文化遺産は大切にしなきゃならん」と断言する。この場面を選んだ学芸員さんのセンスに拍手。

高島屋史料館 企画展『万博と仏教-オリエンタリズムか、それとも祈りか?』(2023年8⽉5⽇~12⽉25⽇)

 万国博覧会に出展された仏教に関連する展示物を概観しながら、近代における仏教のイメージの受容と、その変遷について考察する。1873年のウィーン万国博覧会、1893年のシカゴ万国博覧会を経て、1970年の大阪万博における仏教イメージのあり方にも注目する。監修者が『観音像とは何か』の著者、君島彩子さんと知って、すごく腑に落ちた。

 大阪万博と仏教の話題、たとえばラオス館の建物が長野県でお寺に転用されたことなどは、以前、万博記念公園内のEXPO’70 パビリオンの展示で見ていたので、あまり驚かず、むしろウィーン万博やシカゴ万博など、古い話題に新しい発見があった。しかし展示のパネルなどは撮影禁止だったので、詳しいことは、いつか監修者の著書で読めることを期待したい。

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