見もの・読みもの日記

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宮内庁楽部・舞楽公演『蘇合香』『納曾利』『仁和楽』(国立劇場)

2012-03-03 23:05:48 | 行ったもの2(講演・公演)
国立劇場 舞楽公演『蘇合香(そこう)』『納曾利(なそり)』『仁和楽(にんならく)』(2012年2月25日)

 昨年(2011年)の「前篇」(序一ノ帖・三ノ帖・四ノ帖・五ノ帖)に続く、破一帖、急三帖の「後篇」。このところ仕事が忙しくて、すっかり忘れていて、公演の5日ほど前に国立劇場のサイトを見たときは、まさかもうチケットは残っていないだろう、と思った。そうしたら、3階の最後列に残席があったので、思い切って取った。

 昨年も3階席だったが、そんなに舞台が遠い感じはしなかった。六人舞のフォーメーションと、特徴的な冠(菖蒲甲)が前後左右に揺れる様がよく分かって面白かった。高い天空から見下ろす神様の視点みたいである。天井に近いせいか(?)音響もよかったように思う。昨年、退屈した記憶があったので、今年も覚悟していたが、やっぱり40分の後半は目を閉じてしまった。

 今年は、本公演の前に、昨年の映像公演(一般:500円)をやっていたそうで、ありがたい配慮だと思うが、この大曲を一気に聴き通すのって、かなり体力が要ると思う。

 目で楽しめたのは『納曾利』。高麗楽、壱越調、二人舞。楽曲のことは全く分からないのだが、唐楽、盤渉調の『蘇合香』の印象が残っているうちに、この曲を聴くと、ああ違うなあ、ということだけは感じる。雌雄の龍が遊び戯れる様を描くというが、舞人の出で立ちが可愛い。どんぐり眼がゆらゆら動く面、童話の赤ずきんちゃんみたいに角の立った頭巾(牟子)、エプロンみたいな毛縁(けべり)の裲襠(りょうとう)。雌雄というより、二匹の龍の子どもが無邪気に遊んでいるように見える。向かい合わせになったり、対照的な動きを見せたり、小さく身をかがめたり、舞楽にしては動きが多様なので、見ていて楽しかった。そういえば、この曲、初めて見たのは辰年(12年前?)の正月のテレビ放送だったような気がする…。

 最後は『仁和楽』。高麗楽、壱越調、四人舞。仁和年間(885-89)に光孝天皇の勅を奉じ、百済貞雄という楽人が作ったのという。「日本で初めて作曲、作舞された高麗楽形式の楽曲」と書いてあるサイトもあったが、作曲者は百済姓だから、渡来人系なんだろうな。衣装は右方襲装束(うほうかさねしょうぞく)と呼ばれる形式で、鳥甲を被る。白と緑の対比が清々しく、個人的には、いちばん舞楽らしい装束だと思う。動きは、ゆったりして端正。最後はちょっと眠くなった。鼉太鼓(だだいこ)と大鉦鼓の掛け合いのリズムが気持ちよすぎて、夢心地になるのである。
コメント
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