見もの・読みもの日記

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三国志早わかりアイテム/『図解雑学 三国志演義』『CG再現 三国志』

2011-09-02 23:41:29 | 読んだもの(書籍)
■渡邉義浩『図解雑学 三国志演義』 ナツメ社 2007.1

 友人の企画で、赤壁など三国志ゆかりの地をめぐる中国旅行に出かけてきた。これまで「三国志」本は、何種類も読んでいる。もはや日本の古典ともいうべき吉川英治を手始めに、柴田錬三郎、陳舜臣のリライト本。小川環樹、金田純一郎による『完訳 三国志』(=実は「三国志演義」の完訳)(岩波文庫)も読んだ。

 けれど、いずれも、かなりむかしの話なので、旅行前に簡単な予習をしておこうと思い、買ってきたのがこれ。いやー見事だ。分かりやすい。第1章「英雄の生きざま」が全60ページほどで、面倒な年表などは無視して、主要人物と名場面を中心にまとめられている。見開き2ページで1つのエピソードを扱っており、左ページは文章、右ページはその内容を簡単な図表や箇条書きで示す。この第1章だけ読めば、最低限の「三国志」早わかりが可能。

 第2章「戦いと謀略」は、編年順に「○○の戦い」と呼ばれた有名な戦いを追いつつ、英雄たちの興亡を歴史的に理解する。あとは「英雄とアイテム」などの余談なので、見出しを眺めながら、拾い読みすればよい。

 ふだん、こういう「実用書×歴史解説書」の棚には近寄らないのだが、今回は、忙しい旅行前に「三国志」をリマインドするのに非常に役に立った。ナツメ社といえば、むかし、パソコンソフトのマニュアルで、ずいぶんお世話になった出版社である。さすが実用書づくりのノウハウを持っているなあ、と感じた。

 ちなみに、著者の渡邉義浩氏は、三国志学会の事務局長でもある。「三国志学会」って、メンバーを見ると、もちろん真面目な学会なのだが、研究発表の合い間に交わされる会話とかを憶測すると、なんか楽しそうでいいなー。

 もう1冊、

■オフィスJ.B編集『CG再現 三国志』(双葉社スーパームック) 双葉社 2010.7

 これは、コンピュータグラフィックス(後藤克典制作)による豊富な図版がウリ。それ以外にも、編年方式による「○○の戦い」の解説が読みやすく、特に戦闘の経緯に、必ず地図が付記されているのが嬉しい。私は、迷った末に、この1冊を旅行に持っていった。

 同行の友人たちには苦笑されたが、歴史的な地名と今の地名の対象ができるので、あ~今、この戦いのあった「ここ」にいるのか~と、旅の合い間に参照するには、けっこうよかった。私たちがたどった荊州(江陵)→当陽→襄陽は、曹操が何度も南征をしかけたルートだったんだな、ということも、旅行をしながら理解した。「オススメ三国志スポット」のレポートも読んでいったので、赤壁古戦場がテーマパーク化していても驚かずに済んだ。

 しかし、私も含め、日本人の三国志(演義)好きときたら…中国人が見たら、呆れるに違いない。
コメント
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