見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

フェイク?/雪舟とその流れ(千秋文庫)

2009-05-20 22:15:46 | 行ったもの(美術館・見仏)
千秋文庫 『雪舟とその流れ-佐竹家狩野派模写絵展』(2009年5月7日~8月11日)

 仕事の都合で、ときどき土日出勤が入り、振替休を貰う。そんなときのために、月曜に開いている美術館・博物館の情報は重要だ。ひとつがここ、千秋文庫である。2007年に中国絵画の模写を中心とする展覧会を見に来て、これが結構、楽しめた(→記事)。なので、ぜひ今回も見てみたいと思ったのである。

 今回は雪舟はじめ、室町時代の作品の模写を主に展示しており、中国絵画ほどの違和感(トンデモ感)はなかった。ただ、「雪舟」と聞いて、私などが反射的に思い浮かべる山水画は少なく(『天橋立図』くらい)、雪舟筆『唐子』とか雪舟筆『杏壇孔子図』3幅対とか、ほんとにそんな原画があるの?と疑いたくなるものもあった。いや、あるのかも知れないが…。

 明兆(兆殿司)の模写は、原本の持つ、品のある親しみやすさをよく伝えていると思う。『蝦蟇鉄拐図』双幅は狩野洞、『十六応真図』は菅原洞斎(-1821没)による模写。明兆の作品は、いつ何を見ても、従者の小動物が可愛くて心惹かれる。蝦蟇から龍虎まで。

 雪村の模写は小品、大作、取り混ぜて、一番よかったなあ。錦絵みたいに画面いっぱいに描かれた『鍾馗』は魅力的だった。体に似合わず、小さな足の爪先に、うんと力が籠っていて可愛い。山雪の『布袋』は、へえーという感じ。この画家らしい、知的で幾何学的構成が感じられる。英一蝶の鶏・ツバメ・叭叭鳥の3幅対は、ほのぼのとして慕わしい。と、ここまで書いて思うのは、知らず知らず、私は作者の名前に幻惑されているのかなあ…。

 初めて名前を覚えた画家は、秋月(等観)。素朴な素人臭さが面白いと感じた。いや、これは模写の感想なので、原画に同じ感想を持つかどうかは分からない。ややこしい展覧会である。
コメント
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