見もの・読みもの日記

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天馬博士登場/Pluto004(浦沢直樹)

2006-12-26 23:20:52 | 読んだもの(書籍)
○浦沢直樹、手塚治虫『Pluto(プルートゥ)』第4巻 小学館 2007.2

 第4巻の「豪華版」が書店に現れたのは1週間ほど前だろうか。「通常版」は本日発売。今頃、多くの読者が本書を味わっていることと思う。

 第2巻の遅い展開に少し苛立ったあと、第3巻では、物語の結構と主題が明らかになってきたように感じた。と思ったら、第4巻は、再び展開のペースを落として、新たな「謎」や「伏線」が張られ、物語に複雑な陰影が加わってきた。暗示的に示される、殺人ロボットプルートゥと、ロボット刑事ゲジヒトの相同性は、何を意味するのか?

 本巻では、アトム生みの親である天馬博士が登場。表紙にもなっている。しかし、まだ書き込み不足で、どのようなキャラクターになるのか、はっきりしない。手塚版『アトム』の天馬博士は、子供心に理解不能で(ひとくちに善人とも悪人とも言い難くて)、恐ろしいけど不思議と魅力的なキャラクターだったと記憶している。果たして、浦沢版『Pluto』の天馬博士は、原作を超えることができるだろうか。

 天馬博士のつぶやく「深い悲しみ/挫折/それらが電子頭脳を育てるのだ」という言葉は、今後の展開の鍵になるのだろう。「悲しみ/挫折」の裏にある隠しタームは「憎悪」だと思う。「憎悪が電子頭脳を育てるのだ」という、否定しがたい命題を、どのように「否定」していくのか。次巻の展開が楽しみである。また半年から1年待つのかあ~。
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