見もの・読みもの日記

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資本主義の夢/映画・フラガール

2006-12-01 20:31:54 | 見たもの(Webサイト・TV)
○李相日(り・さんいる)監督・脚本 映画『フラガール』

http://www.hula-girl.jp/index2.html

 久しぶりに映画を観て来た。好意的な批評が聞こえていたので、公式サイトをチェックしてみたら、『パッチギ!』の李鳳宇(り・ぽんう)氏がプロデュースした作品と分かり、これは見にいこう、と思った。

 舞台は昭和40年の福島県いわき市。次第に斜陽化する炭鉱の町に、新たな産業として、「常磐ハワイアンセンター」設立の話が持ち上がる。町のため、家族のため、自分の可能性を信じて、炭鉱娘たちがフラダンスに挑戦することになった。

 「常磐ハワイアンセンター」は、行ったことはないけれど、テレビCMを見ていた覚えがある。私にとっては同時代の物語だ。けれど、映画が始まったときは、ちょっとびっくりした。つぎあてをしたセーターに、もんぺ(?)姿の女子高生。昭和40年の日本って、まだあんな時代だったんだっけなあ。もう少し豊かで開放的だったような気がするのは、私が東京育ちのせいもあるけれど、おぼろな記憶(小学校に上がる前)を、無自覚に偽っているのかもしれない。

 ストーリーはよく出来ていて、素直に泣ける。スクリーンで圧倒的な存在感を見せ付けるのは、いずれも女性たち。ダンスの先生役の松雪泰子の奔放ぶりも、昔気質な母親役の富司純子も、それぞれカッコいい。脇役の男性たちも味わい深くて、どの配役も成功していると思う。最後は、ハワイアンセンターのオープン初日、フラガールたちに贈られた万雷の拍手で、ハッピーエンド。

 うーん。この感じは、一時期の中国映画に似てるなあ、と私は思った。たとえば、チャン・イーモウ監督の『あの子を探して』とか、チャン・ヤン監督の『心の湯』とか。普通の人々が集まって、意識的に一致団結するわけではないけれど、結果的に、少しずつの善意や努力が集まって、何か困難を乗り越えるというストーリー。問題の根本的な解決ではないかも知れないけれど、とにかく「よかったね」と言い合って、ひととき、温められた心を大事に持ち帰るような映画。

 というわけで、この映画、中国では受けるだろうと予想する。日本もかつては貧しかったし、資本主義社会の庶民も大変なのよ、というあたりを見てほしいものだ。
コメント
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