見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

霊験仏(れいげんぶつ)/県立金沢文庫

2006-12-02 20:59:12 | 行ったもの(美術館・見仏)

○金沢県立金沢文庫 特別展『霊験仏-鎌倉人の信仰世界-』

http://www.planet.pref.kanagawa.jp/city/kanazawa.htm

 この秋は、なぜか各地で仏像展が開かれている。先日は、長岡まで遠征して『新潟の仏像展』を見てきたわけだが、個人的には、この展覧会が第2弾となる。

 もともと神奈川県域は、古寺社や神像・仏像の名品が多いところだが、今回は、特に霊験仏(信仰者に何かの利益をもたらす仏像)に着目した展示となっている。1階のホールには、横須賀・満願寺の菩薩立像地蔵菩薩立像がおいでだった。菩薩像は、きかん気いっぱいの丸顔で、まるで相撲取りのようだ。高く結い上げた髷は宋風だが、彼の地の高度な都市文明の匂いはなく、突き出た腹、太い二の腕は、東国武士の嗜好を感じさせる。

 2階の展示室も、ズラリ仏像が目白押しである。見覚えのある仏像、寺の名前もあるし、県外(茨城、福島など)から請来されたものもある。海岸尼寺の十一面観音は、久々のお出まし。脇侍の小さな不動・毘沙門天を連れているのが、お母さんと子供のようだ。鎌倉・辻薬師堂の十二神将(戌神)は、黒光りしたボディに凄みと迫力があって、なかなかいい。めずらしいところでは、裸形の阿弥陀如来立像(埼玉・個人蔵)があった。「股間の蓮華文に鎌倉時代の様式的特徴がよく表われている」みたいな解説が添えてあったが、そうなのか!?

 さすが「文庫」の仏像展と思ったのは、平型の展示ケースに関連文書が並んでいたことだ。これはこれで楽しいと思う。説法の台本など、僧侶の実用品だったとおぼしい、小型本(しかも複本多数)が多い。長谷寺縁起の関係で、東博から、『三宝絵』(国宝)が出陳されていた。この装丁は「固定式旋風葉」っていうのかな?(違ったらごめんなさい)

 同時公開の金沢文庫蔵『文選集注』(国宝)も見ることができた。修復はされているが、原本の紙はぼろぼろである。たびたびの戦乱の中をよく伝わってきたなあと思う。やさしい手跡は、平安時代、日本で書写されたものだそうだ。

 同じ日、鎌倉国宝館の特別展『武家の古都鎌倉-世界遺産登録にむけて-』もまわってきた。既知のものが多かったが、武家にかかわる絵巻類(江戸ものだが)が、けっこう面白かった。

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