見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

有田焼きものめぐり

2004-12-24 23:43:48 | 行ったもの(美術館・見仏)
○九州旅行:有田

 クリスマスイブの朝、別府を発って博多に向かった。ソニック6号という特急は、小さい車体のわりに速い。国東半島の付け根のあたりはカーブが多いのだが、車体を大きく傾けて曲がるので、ジェットコースターみたいな速度感があって楽しい。博多でハウステンボス行きの特急に乗り換え、佐賀を経由し、有田で下車した。今日は北九州を横断して、長崎県の平戸島まで行くのだが、最近、焼きものに興味を持っているので、有田か伊万里(またはその両方)に寄ってみたいと思ったのだ。

 それもこれも、出光美術館の『景徳鎮』『古九谷』、サントリー美術館の『初期伊万里』を企画された学芸員の荒川正明さんのおかげ(?)である。

 有田は、下りてみると、心細くなるような小さな駅だった。それでも駅前には多少の土産物屋や飲食店があった。まっすぐ歩いていくと、丘の上に佐賀県立九州陶磁文化館がある。常設展だけの場合は大様にも無料で開放されている。ここで有田焼きの名品を見て元気を出し、隣り駅の上有田(かみありた)方向に歩き出した。道路の左右に家が並んでいるだけの厚みのない集落である。冷たい雨のせいか、人通りも少なく、開いているお店にも人影がない。もう切り上げて別のところに行こうかなあ、でも伊万里はもっと寂れた町かも知れないしなあ(実際は有田より”都会”だった)と思いながら歩いていく。

 そのうち観光案内に出ていた「賞美堂参考館」という看板に行きあたった。陶器を売るお店らしかった。声をかけて「あのう、古いものを見せていただきたいんですけど」とお願いすると、女性の店員さんが、2階のギャラリーに灯りを付けてくれた。「先代の会長が集めたものです」という説明だった。さっきの九州陶磁文化館の展示品に負けず劣らずの品が並んでいる。見事なものだった。

 これで、かなり味を占めて、各社のギャラリーを次々にまわってみた。お勧め度はこんな感じである(会社ホームページは参考)。

・佐賀県立九州陶磁文化館 ★★★ http://www.umakato.jp/kyuto/
・賞美堂参考館 ★★
・香蘭社陳列館 ★★★ http://www.koransha.co.jp/
・深川製磁参考館 ★★ http://www.fukagawa-seiji.co.jp/
・有田陶磁美術館(100円)★ http://www.arita.or.jp/aritaware/miru/bijyutukan/toujibi/toujibi.html
・今右衛門古陶磁美術館(300円)★★★★ http://www.imaemon.co.jp/museum/

 料金の書いていないところは無料で、熱心に見ていると「お茶でもいかがですか?」と勧められる。もちろん、そのあとで商品の売り込みをされるわけだが、お店の歴史や現況など、いろいろ話を聞いてみると面白い。香蘭社と深川製磁は、本社の建物自体、一見の価値ある美術品である。このほか、陶器の鳥居と狛犬がある陶山神社とか、登り窯のレンガで作ったトンパイ塀とかも見どころである。また、香蘭社の少し先に、陶器の絵付け用の絵具と絵筆の専門店があって、窓から覗くだけでも興味深かった。

 有田から上有田の間、めぼしい飲食店は開いてなかったのだが、妙に高級そうな鰻屋と寿司屋だけはちゃんと営業していた。高級食器の買い付けにやってくるお客様相手かなあ、と想像してしまった。結局、お昼前に有田駅に着いて16時過ぎに出るつもりが間に合わず、次の17時過ぎの列車を待つことになった(それならもう少し奥まで探検してみるんだった)。

 今回、私は「鍋島」というカテゴリー(鍋島藩の御用品として造られた色絵磁器)を初めて理解するとともに、これにハマってしまった。伊万里にもギャラリーがあるらしいが、今回は行きはぐった。いつか再訪を期したい。

 この日は、松浦鉄道で、伊万里経由~たびら平戸口(日本最西端の駅!)に到着したときは、既にとっぷりと日暮れていた。タクシーで平戸島に渡り、別のホテルに投宿済みの友人と落ち合う。雨は土砂降りで外には人影がない。やれやれ。

(12/29記)
コメント
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