「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オークション情報~プリアンプ~

2022年05月06日 | オークション情報

オーディオは「八岐大蛇」みたいなもので、システムの入り口から出口までキーポイントがいくつもあってまったく手を抜けない。

たとえば、CDの場合は「CDトラポ」「DAC」そして増幅系の「プリアンプ」「パワーアンプ」、変換系の「スピーカー」といった具合だが、増幅系の細部にわたっても良質の真空管の選択が必須の課題となる。

それに、機器同士の相性も大切なので選択肢が多ければ多いに越したことはなく、自然と機器類が溜まっていく。

で、我が家では現在のところ「CDトラポ」が2台、DACが4台、プリアンプ3台、パワーアンプ9台、SPが6系統あって、少数精鋭主義にはほど遠いが、パワーアンプとSPはこれ以上必要ないと思うものの、プリアンプがちょっと手薄な感が否めない。

現在、性能に大きな不満はないけれど、もっとあれば彩が増えて楽しくなるかもという思いがチラッと脳裡をかすめるときがある。

そこで、お値段と性能との見合いになるが、もし「掘り出し物」があればと「オークション」でもちょくちょくチェックしているが、つい先日見かけたのがトライオード社のプリアンプ。



リモコン操作でボリューム調整が可能だし、大型の整流管(274B)が使ってあるのが特徴で、すぐにウォッチリストに登録して追跡開始。

ところが1000円スタートなのにみるみる「お値段(入札価格)」が急上昇し軽く10万円を突破しそうな勢いに。

一度も音を聴いたことがないプリアンプに大枚を投じる気はさらさらないので早々に戦意喪失。

で、最後はいったいいくらぐらいで落札されるんだろうと「高みの見物」ときたが、結局「13万5千円」也(5月1日)だった。

「相場よりちょっと高すぎるんじゃないかな」という思いがよぎったが、どうしても欲しい方がいたんだろうに落ち着いた。

で、一昨日(4日)のこと、娘と近くの公園をウォーキングした後に本屋さんに立ち寄って、久しぶりに最新の「管球王国」(季刊誌:103号)を立ち読みしたところ「プリアンプ」特集が組まれていて、このトライオードのプリアンプが取り上げられており「オーディオ評論家」から絶賛に近い褒められ方をしていた。



「な~んだ、高値の原因はそういうことか!」と、疑問が氷解した。

いまだに「オーディオ誌」の記事を鵜呑みにする方が沢山おられるようでして(笑)。

とはいえ、自分も若いころは「オーディオ誌」の記事を「目を皿のように」しながら一喜一憂したものだがと甘酸っぱい記憶が蘇ってきた。

「時代は巡る」のだろうか(笑)。

で、拙い経験から申し上げると「好きな音」に最短距離で辿りつこうと思ったら、信頼のおける(損得抜きの)相談相手を見つけることが何よりも肝心だと思いますけどね~。


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読書コーナー~ミステリーの秀作~

2022年05月04日 | 読書コーナー

面白いミステリーを読んだときは、好きな音で名曲を聴いた時の満足感とよく似ている。



隣町の鄙びた図書館の「本屋大賞コーナー」に並べてあった本がそうだった。

まず「流星の絆」から。

「東野圭吾」さんの著作だからまず外れはあるまいと借りたのだが、やっぱり期待に違わぬ面白さだった。

「あら筋」をかいつまむと、

神奈川県横須賀市にある洋食店「アリアケ」を営む有明家の三兄弟、功一、泰輔、静奈は夜中に家を抜け出して流星群を見に出かけている間に両親が何者かにより刃物で惨殺されるが、泰輔だけが偶然犯人の横顔を垣間見てしまう。

三兄弟は身寄りもなく養護施設で幼少期を過ごした後に相次いで詐欺などに襲われ強く生きるためにいつしか彼ら自身も裕福な男性を詐欺で騙して生計を立てていく。

そうこうするうち、泰輔が忘れようとしても忘れられない犯人の横顔とそっくりの人物を発見する・・。ここから物語は怒涛のように展開して解決へと向かっていく。

あまりに面白かったので4月29日(金)に帰省した娘に読ませてやろうと図書館に返さずにいたところ「ああ、その本なら読んだわよ。もう10年以上も前になるよ。たしか洋食屋の3人兄妹のお話ね。犯人は誰だったっけ?」

「それがなあ・・。ミステリーでは禁じ手の犯人なんだけどなあ。」

「どれどれ、ちょっと最後の方だけ読ませて・・。なるほどねえ・・」

まだ読んでいない方にはぜひご一読をお勧めします。真犯人の是非は別にして期待が裏切られることはないと思いますよ。

次は「時計や探偵の冒険~アリバイ崩し承ります~」。

新刊の「短編集」だったが内容が斬新でなかなかセンスのいい作家だと感心した。

現職の新人男性刑事が「時計屋のうら若き女主人に秘かにアリバイ崩しを依頼する」という展開。

この女主人は小さいころから祖父にアリバイ崩しについて特訓を受けたという設定になっている。

読者レヴューから抜粋させてもらうと

「絶対的なアリバイがある容疑者。動機からして誰しもが怪しいと思っているがどうにもならない。ところが、新人刑事からその顛末を聞いただけであっさりと容疑者のアリバイを崩すのが時計屋の女主人、時乃だ。

その決め台詞は「時を戻すことができました」

いつもクールで明快。今回も難問、奇問だらけのアリバイ崩しをまるで快刀乱麻のようにすいすいと解明する様は実に小気味よい。」

肩の凝らない「ライト・ミステリー」としてお勧めです。

で、これらのミステリーを読むときのBGMだが、クラシックでは気が散るのでもっぱらジャズを小さめの音で流している。

今回は「光テレビ」(NTT系)の「ミュージック」部門の「聴き放題」から「デューク・エリントン」のアルバムを選択。



代表曲のひとつに「スウィングしなければ意味はないね」とあるように、ジャズの素人にとって馴染みやすいゆったりとしたスウィング系の曲目を際限なく聞き流せるのだからとても便利。

ただし、「エリントン」の熱烈なファンからは「神聖なエリントンの音楽をBGMで聴くな!」とお叱りを受けるかもしれませんね(笑)。



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オーディオ仙人の枯れた夢

2022年05月02日 | 独り言

現在ゴールデンウィークの真っ只中だが、温泉観光地「別府」は県外ナンバーがうようよしている。「福岡」「北九州」「熊本」「宮崎」など、どうかすると「和泉」(大阪)「金沢」(石川)まで目に付いた。

日頃クルマの渋滞とはまったく無縁の町だが、自宅に戻るのにメインロードをわざわざ遠回りする方が速いくらいだった。

旅館業、飲食業などのサービス業で持っている町だから関係者には朗報に違いない。どうやらコロナ禍が一段落しつつあるようで良かったですねえ。

それにつけてもひどいのがお隣の国「中国」の上海で、中国共産党の融通の利かない「ゼロコロナ政策」で2千6百万都市のロックダウンが凶行されている。

自国開発のワクチンの問題もあって身動きが取れないらしいが、科学とイデオロギーが折り合うはずもなく「お気の毒」の一言~。

さて、以前「日本経済新聞」に大きく一面を使って「日本人の夢を大調査」という記事があった。


そのうちのランキングベスト3を紹介してみよう。(調査の対象は全国47都道府県から各300人、総勢14,100人)

第1位 健康な生活を送りたい(810件 11.1%)

第2位 好きな趣味に打ち込みたい(724件 9.9%)

第3位 マイホーム(一戸建て)に住みたい(626件 8.5%)

「夢」とはいいながら誰にでもちょっと手を伸ばせば届きそうな、いかにも堅実でささやかなものばかり(笑)。

このたびのウクライナ紛争からしたら、「平和ボケ」と謗られても仕方がないが、取り分け第2位の「好きな趣味・・・・」は簡単に実現できそうな気もするが、中高年の働き盛りにとっては日常の仕事に追いまくられているので趣味に割く時間がもっと欲しいという欲求の表れなのだろう。

好きな趣味に打ち込むことがいかに楽しいかということを改めて思い知らされるとともに、引退したら思う存分熱中したいという願望は自分にも切実な思いだったのでその気持ちはよく分かります(笑)。

幸いなことに、ここ15年ほどはたっぷり恵まれた自由時間をフルに活用し、明けても暮れても「音楽&オーディオ」三昧だったのは読者ならご承知のとおりだが、実を言うとこれでもう十分「夢」をかなえた気がしている。

人間は「おぎゃあ」と生まれた時点で「100年以内にお前を死刑執行する。具体的な時期と執行方法は教えない。」と宣告される悲しい存在だそうだが、もし「お前は明日死ぬ」と宣告されたとしても「ハイ、わかりました。もう思い残すことはありません。」と従容(しょうよう)として死を受け容れてもいいほど楽しませてもらった気がしている。

まるで達観したような物言いだが、実は先年の「九州ハイエンド・オーディオ・フェア」の影響もこういう気持ちの背景のどこかにある。

なぜかというと、アンプもスピーカーも数百万円もする高級機器群が期待以上の音を出してくれないことにガッカリしてしまった。

たとえばこの画像は1000万円ほどのレコードプレイヤーだけど高級DACで再生するCDの音とさして変わらなかった。
         

お値段が高い機器はそれなりの実力を発揮してくれないと困る。もう「夢」がぶち壊し~。


つくづく「お金」だけではカタがつかないオーディオの限界を思い知らされたわけだが、「夢をもらう」積りで出かけたオーディオ・フェアが逆に「夢を断ち切る」方向に作用したのだからほんとうに困ったことです(笑)。

現実に高級機が期待できないなら自分の価値観に基づいて新たに発掘するしかないが、
いろいろやってみてもドラスティックな改善は望むべくもなく、所詮は五十歩百歩という気配がより一層濃厚になってきた気がする。

これが進歩か退歩かよく分からないが、オーディオは音に満足した時点で進歩が止まるのが通例で、その代わり音楽の方に専念できるという別の魅力的な世界が開けてくる。

「好きな音楽さえ気持ちよく鳴ってくれれば細かい音質の差なんかどうでもいい」という「オーディオ仙人の枯れた夢」に到達できればそれで良しとしたいが、はたしてこれからどうなることやら(笑)。

旅に病んで 夢は枯野を かけめぐる(芭蕉)


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水泡に帰す「オーディオシステムの改善」

2022年05月01日 | 独り言

クラシック音楽界の中でさん然と輝く不世出の大ピアニスト「グレン・グールド」(カナダ:1932~1982

死後40年ほどにもなるのにこんなに人気が衰えない演奏家も珍しい。

幼少のときに音楽家の母親からピアノの手ほどきを受け
「歌うように演奏しなさい」との貴重な教えのとおり、その演奏の特徴は単に”楽譜をなぞらえる"印象とは程遠い。

たとえて言えば、一旦作曲家の音符をバラバラに分解してしまい、自分なりに勝手に再構築して独特のリズムとスタイルに統一して演奏するといった具合。演奏中に聴こえるあの独特のハミングが「歌うように演奏」を象徴している。

一方では奇人としても知られ、本番のピアノ演奏のときに聴衆を目前にして椅子の高さの調整にゴソゴソと20分以上もかけたりして、とうとう全盛期の中ほどからはコンサートの演奏を一切拒否してスタジオ録音に専念した変り種。

こういった「独特の世界」に、一旦はまってしまうともう脱け出せない。それにお互いにグールド・ファンと分かっただけで、高次元の鑑賞力を共有しつつ格別の親しみと連帯感を覚える(笑)。

現在の手持ちのCDは、世界の一流演奏家たちがスランプに陥ったときによく聴くとされる「モーツァルトのピアノ・ソナタ全集」、それにバッハの「ゴールドベルク変奏曲1981年盤」「フランス組曲」、ブラームスの「インテルメッツォ」、ベートーヴェンの後期ピアノソナタ(30~32番)。

グールドにはバッハの作品に名演が多いが、バッハは苦手なのでやや手薄なのがちょっと気になるところだが、
その辺を見透かされたように、バッハが大好きな「M さん」(関西)からご好意でもって送付していただいたのが「イギリス組曲」。

  

「あれっ、同じCDが2枚もある」と勘違いされる方があるかもしれないが、実は左がCBSソニーの「メイド・イン・USA」、右がオーストリア原盤。


左側の画像の左下片隅に小さくソニーのロゴマークが見える。

この二つの盤に音の違いを確認して欲しいというのが、Mさんから与えられたテーマだったが、これがまるで
「月とすっぽん」のような差がある。

断然、オーストリア盤のほうがいい。音の情報量がまるで違う。たとえて言えば、ソニーのほうはダビングしたマスターテープを使用して作製したかのように淡白で蒸留水のような音質。

同席して聴いていたオーディオ仲間も、これだけ違うと「大問題」だと憤慨される。CDの価格にそれ相応の開きがあれば仕方がないが、おそらく似たようなものだろう。

それなのに、こんなに音質の差があるのは「罪悪」以外の何物でもない。

「一時が万事」ということもあるので、HMVなどで好きなCDを購入するときに、もし「ソニー盤」と「それ以外」盤があれば、絶対に後者を選択しようと申し合わせたことだった。

CDに限らずレコードでも国内プレス盤と海外プレス盤ではお値段に大きな差があるのもそういう理由だろう。

最初の入り口にあたる「ソフト」の違いでこんなに音質の違いがあるとなると「オーディオシステムの改善」なんか「水泡に帰す」ようなもので、いろいろと考えさせられてしまう。


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