いやあ、やってくれましたね~。ヤンキースの松井選手。
ワールド・シリーズの大舞台での本塁打。それも、2本も。
初戦敗退後の大事な二戦目、重苦しい雰囲気を払い除けるような見事な決勝ホームラン、そして敵地に乗り込んでの第三戦では、代打で追い討ちのホームランと絶好調。
チームも後押しされるように2日〔日本時間)の第四戦にヤンキースが勝利したので3勝1敗とフィリーズに対していよいよ王手がかかった。
第五戦で負けたとしても、第六戦以降は地元での戦いになるので極めて有利。この状況ならヤンキースが9年ぶりの栄冠を手中に収めて、待望のニューヨークの目抜き通りの凱旋パレードを果たす可能性が高そう。高層ビルからの華やかな紙吹雪が景気の回復に一役かったりして~。
さて、そこでいささか気が早いがここで問題になってくるのが今年でヤンキースとの4年契約が切れる松井選手の去就。ヤンキースに残るのか、或いは他球団へ新天地を求めるのか。
もちろん主導権を握っているのはヤンキース側、日本でいえば巨人みたいな名門チームなので入団したい選手は山ほどいるが、果たして更新にあたり熱意を見せて高額の契約金額と複数年契約を提示するかどうかの一点に掛かっている。
ヤンキース以外にもレッドソックスなどの有力球団が松井選手の獲得を虎視眈々と狙っているので、さぞや球団側もアタマを悩ますことだろう。
それに輪をかけたのが改めて見せつけられた今シリーズでの松井の活躍。もし不発に終わっていればスンナリと「どうぞ他球団へ」となったのだろうがこうなると一考の余地が出てくる。
何せワールド・シリーズはMLB関係者の注目の的である。テンションが”ひときわ”高くなった選手のもとに、投手力、守備力、打撃力、走力、そしてメンタルの面まで含めて、極めてハイレベルの戦いなので出場する選手たちの実力を推し量り、評価するのは絶好の機会。
したがって、そういう中での松井の2本のホームランはMLB関係者に強烈なインパクトを与え、契約金の高騰を招くのは間違いなし。松井株急上昇である。
さて、ここで「まな板の上の鯉」松井選手に対してヤンキース球団の腹のうちというか判断のもとになるいろんな要因を探ってみよう。もちろん、不安を抱えている両膝の状態が現状維持、あるいはもっと良くなると仮定した上での話。
1 日本人ファンの獲得
松井のおかげでこの7年間ニューヨークに日本人のファンが増えて海外ツアーなんかで押し寄せたことは確実であり、経済効果は計り知れない。メディア面でも潤ったはずで、たとえばテレビの中継料。NHKのBSなんかではヤンキースのカードはスター選手に恵まれているので視聴率も高いはず。
2 ライバル球団の動向
宿敵であるボストン・レッドソックスが獲得の意欲を見せているのが気になっているはず。松井選手はこれまでの7年間のトータルでレッドソックス戦には3割以上の高打率を残しているし、とりわけ敵陣のファンが熱狂するフェンウェイパークでの好成績も無視できない。こういう選手がライバル球団に移籍することの得失を計算しないはずはない。
3 ヤンキースファンの反応
気になるのがニューヨークのファンの反応である。松井の移籍に対してファンの拒否反応が高ければ球団も考えざるをえまい。もちろん地元メディアの反応も含まれる。おそらくネット上で「松井の移籍について賛成、反対」のアンケートが実施されることだろう。
4 同僚選手との関係
ネット情報ではヤンキースの顔とも言えるキャプテンのデレク・ジーター選手と極めて良好な関係を結んでいるようだ。同じ年令ということもあってジーターはシーズン中「松井は自分好みの選手」と公言してはばからない。
ツィンズとの地区シリーズ初戦前に「今日、お前はホームランを打つぞ」と松井に暗示をかけたのがほかならぬジーター。〔実際、その日に松井はホームランを打った!)。
これには「ポストシーズンに活躍して是非残留を確実にしてくれ」というジーターのひそかなシグナルが込められているような気がするがどうだろうか。それにワールドシリーズでの第二戦の決勝本塁打も打った瞬間にベンチ内で飛び上がって喜んでいたのがジーターだった。
各球団を次々と渡り歩く選手が多く、お互い選手間同士でドライな関係とされるMLBでは、松井選手とジーターとの友情は珍しい。残留に向けて主将ジーターの何らかの後押しがあるかもしれないとは、ちと”うがち”すぎかなあ~。
それから、松井選手と同様に今年で契約が切れるジョニー・デーモン外野手との競合も一つのポイント。契約金額も松井選手とほぼ同額の選手である。球団側では両選手のうちせめてどちらかでも切って高額な年俸をカットしたいのがヤマヤマだろうが、このデーモンもこのシリーズで見事な活躍を見せているので二者択一も難しい状況。
ここで余談になるがMLBの選手は契約更改の年になるとどうしてあんなに活躍するのだろうか。自分にとってはずっと大きな謎の一つである。シーズンオフの時期に意図的に練習量を増やしたり、あるいはシーズン中生活節制に努めたりするから?
そういうことなら日頃からやってればいいのに、複数年契約が滞りなく終わった途端に翌年のシーズンから目に見えて成績が下がるのだからまったく始末に負えないと思うのは自分だけだろうか。
さて、話は戻っていよいよ結論に移ろう。
以前のブログでの言を翻すようで悪いが松井選手とデーモンは金満球団ヤンキースのもとに、久しぶりに世界一となったご祝儀相場によって、単年~2年契約でともに残留とみたが結果やいかに。