「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

改めて「整流管」の大切さを力説しよう

2020年06月15日 | オーディオ談義

つい先日のこと、過去記事ランキングで「レイセオンの整流管5Y3G」が上位に食い込んでいた。

書いた本人でも中身の方は綺麗サッパリ「忘却の彼方」だったが、再読してみると、真空管アンプにおいて「縁の下の力持ち」ともいえる「整流管」の大切さを謳った内容で現在でも通用しそうなので、以下のとおり再掲させてもらおう。


先日の試聴会でのこと、仲間が持参した整流管の活躍の残像がいまだに尾を引いている


その時のことを再現してみると、

「Kさんが持参された整流管「STCの4・274A」と、我が家の「シルヴァニアの274B」の一騎打ちだ。ちなみに我が家の300Bアンプは整流管用のソケットが2種類(4ピンと5ピン)挿せるようになっていて便利がいい。

そして、結果は圧倒的にSTC(英国)の4・274Aに軍配が上がった。
「交流を直流に換えるだけの整流管なのになぜこんなにも音が変わるの?」と、驚くほどの変わりよう。その原因だが専門家から話を伺うと、整流管はアンプ全般の音質のSN比に多大の影響を及ぼすとのことで、音のクリヤさにおいてベールが1枚も2枚も剥がれたような気がした。
ある意味では整流管こそ真空管アンプの命かもしれない。あだやおろそかにできない存在である。」

というわけで、「柳の下の二匹目のどじょう」を狙って(笑)、今度は手元の「371Aプッシュプル」アンプの整流管を交換してみた。

   

このアンプの概要だが、真空管の構成は前段管が一次、二次とも「127」(ARCTURAS:ブルー管4本)、出力管が「371A」(カニンガム、ナス管4本)、そして整流管が「5Y3G」(メーカー不明のST管1本)。トランス類も非常に凝っていて、出力トランスが名門ピアレスだしインターステージトランスはパーマロイコアだ。

今どき「127」や「371A」などの型番を聞いても「?」という方がきっと多いに違いない。1940年前後に製造された球だから仕方がないが、音質的には近代管に求められない落ち着いた雰囲気があって、楽器や人の声がリアルに聴こえるところがたいへん気に入っている。

このアンプは以前、オークションで運よく落札したものを「北国の真空管博士」から全面改造していただいたものだが、「球からトランスまで、役者がそろっているので悪い音の出ようがありません。」とのお墨付きをいただいている。

ところが、実をいうとこのアンプにはちょっと不満があったのである。音の元気度はいいのだが透明感がいまいちで、ときどきこのアンプを引っ張り出しては聴くものの2~3日もするとまたお引き取り願うというパターンの繰り返しだった。

音抜けのいいシングルンアンプと比べるとプッシュプルアンプの限界かなあと、半ば諦めていたのだが、今回の「整流管騒動」で「もしかしたら」と思い、これまで挿しこんでいた無銘ブランドの「5Y3G」からレイセオン(アメリカ)の「5Y3G」に取り換えてみた。

    

レイセオンといえば現在はミサイルなどの高度な武器製造メーカー(世界第1位)として知られる軍需産業だが、昔は真空管もつくっていた。しかもその性能たるやツクリも音質も当時から飛びぬけていて、とりわけ「4ピラー」というプレート部分が4本柱で支えられている真空管はいまだに古典管マニアの垂涎の的である。

アメリカ系の真空管アンプを使うときは「レイセオンを使えば間違いなし。」と言われるほどだが、後期ともなると単なる「名前貸し」が多くなるので用心している。

余談になるが兵器の話が出てきたので、先日のNさん(大分市)との会話を思い出した。
「アメリカの大統領からいつも兵器の購入を迫られて日本は莫大な支出を余儀なくされていますが、そんなことなら自国で何とか開発できないものですかね。自分の国は自分で守るというのが真の独立国でしょうに。」

するとNさん曰く「日本の知的レベルの象徴である東大が世界の大学ランキングで何位か知っていますか。どんなに日本が頑張ってもアメリカの兵器産業のレベルには未来永劫に追いつけるはずがありませんよ。」

「そうですか・・・。外交力は自国の軍事力を背景にしないと成り立ちませんから、日本はアメリカの言いなりになるしかないですね。淋しい限りです。」

閑話休題

話は戻って、このレイセオン球に差し替えてみると何とまあ、「この音は何だ!」と驚くほどの変わりよう!

音の力強さは相変わらずだが、鮮度と透明感がぐ~んと向上して、シングルアンプとまったく遜色ない状態になったのだからたまらない(笑)。「原因は整流管にあったのか」と疑問が氷解したが、真空管アンプに及ぼす整流管の絶大な威力を改めて目の当たりにした。

しかも、どんなスピーカーとも相性が良くなったのが頼もしい。念のため、我が家を代表する「PP5/400シングル」、「WE300Bシングル」と比べても繊細さと品の良さには及ばないが骨太い音質には見るべきものがあって、総合力では肉迫するほどだ。

これらの出力管はお値段もさることながら、もはや手に入れるのが難しい希少管ばかりなのでどうしても「もったいない精神」が先に立ち、必然的にこの「71Aプッシュプル」の出番が多くなってしまいそうだ(笑)。

前段管の「127」や出力管の「371A」は当時一般家庭に普及していたラジオ用として大量生産されたものだし、アメリカが「世界大戦の戦場」にならなかったおかげも手伝って比較的安価な状態で残されているので大助かり。

ただし、レイセオンの「5Y3G」はスペアを持っていないので、何が何でもあと1本くらいは死に物狂いで手に入れなければならない(笑)。

以上のような内容だったが、補足しておくと、魅了されたSTCの整流管「4・274A」は清水の舞台から飛び降りる思いでようやく手に入れて、現在「WE300B」アンプに使っていますよ~。

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