「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

名盤「サキソフォン コロッサス」の呪縛

2024年04月11日 | 音楽談義

昨日(10日)の記事「口径38cmのユニットを使わない理由」について、クラシックとジャズの楽しみ方の違いを手前勝手な御託で並べたわけだが、後になって「現実と矛盾したことを書いてしまったかもしれないなあ~」とちょっぴり後悔(笑)。

というのも、いまだにジャズの名盤「サキソフォン コロッサス」の呪縛から解き放たれていないのがその理由~。

その辺のいきさつを縷々述べてみましょうかね・・。

先日、いつも録画している「開運!何でも鑑定団」(骨董品の鑑定をしているテレビ番組)を観ていたら、「今は亡き夫の形見です」と、クラシック・ギターを出品されている中年のご婦人がいた。

運営しているダンス教室の経営の一助として活用できればという趣旨だったが、このギターは鑑定の結果、名品と分かって何と500万円の価値が付けられた。そして通常のギターと、この名品のギターの弾き比べをしていたが明らかに後者の方が響きが澄んでいて
ウットリと聞き惚れた。

それに、何といっても両者の決定的な違いは聴いているうちに、きわめて幼稚な表現になるが 胸が”キュン”となって切なくなる とでも言えばいいのだろうか、そういう感じがしてきた。

実はいつもそうで、(自分にとって)「いい音」を聴くと低音や高音がどうのこうのというよりも、いわく言い難いような ”微妙な感情の揺れ” が必ず訪れてくるのである。

たとえて言えば恋愛感情にも似たような情動性を感じるわけで、オーディオという趣味を飽きもせずずっと続けていられるのも、原点はそこにあるのかもしれない。


ある程度、酸いも甘いも噛み分けた「人生の古狸」になると、ありふれた日常生活の中で実際に 心を揺り動かしてくれる ものは実に貴重な存在なのである。そうだとは思いませんかね・・(笑)。

と、いうわけでちょっと寄り道をしたが、システム改変の仕上げはいつも好きな音楽を収録しているCD盤を聴いて、 胸がキュンと締め付けられるような思い をさせてくれるかどうかが決め手となっている。

自分の経験ではピアノ曲の再生が一番クセ者で、これをウットリと聞き惚れることができればシステムの改変は半ば目的を達成したことになる。

ほかにも、ヴァイオリンが音響空間を漂うような感じで艶ややかに鳴ってくれれば万全だし、ボーカルでは郷愁を感じさせてくれるように切なく歌ってくれればもう峠を半分以上越したようなもの。いずれも判定者は自分固有の「耳=脳」である。

そして・・、いよいよ最後の関門となるのがジャズの「サキソフォン コロッサス」(以下「サキコロ」)。

             

もう、はるか昔から我が家のテスト盤として君臨しているのがこの盤。録音の違う盤をいくつか持っているが特別録音の「XRCD」盤がいちばん出番が多い。

で、1曲目の「セント・トーマス」の冒頭のシンバルの響きがきれいに抜けているかどうか、やせ細っていないか、そしてサックスとドラムが力強く鳴ってくれるかどうかがハイライト。そして5曲目の「ブルーセブン」のベースの重量感・・・。

もちろんクラシック用のシステムだから「十全」は望みようがないが、どの辺まで到達しているか・・、大いに参考になる。

実はこれまで「サキコロ」の再生には散々苦しめられてきた。何せ録音の感度が非常に低い。たとえばプリアンプのボリュームが通常のCDであれば9時の位置であれば十分なのに、このサキコロに限っては12時程度に上げてやらないと十分な音量にならない。こういう録音は手持ちのCDの中でも2~3枚程度。

したがって「サキコロ」の再生に照準を合わせると、他の曲目とのバランスがいろいろと取れにくくなることもずいぶん経験してきた。

自分が日常聴いているのは圧倒的にクラシックなので、何も「サキコロ」に振り回されなくてもあっさり諦めれば八方うまく納まりがつくわけだが、このジャズの名盤中の名盤は簡単にそれを許してくれそうもない。

クラシックなどからは味わえない「リズム感とノリ」が ”もの凄い” のである。この躍動感だけはまったく別格の存在。

そろそろ「サキソフォン・コロッサスの呪縛(じゅばく)」から解き放されたいのは山々なのだが、もう無理かもねえ・・・(笑)。

最後に、ずっと昔のブログで愛聴盤としてこの「サキコロ」を紹介したことがあるので再度紹介させてもらおう。(抜粋)


題  名

「サキソフォン・コロッサス」(コロッサスには巨像、巨人という意味がある)(収録:1956年)

演奏者

テナーサックス   ソニー・ロリンズ
ピアノ       トミー・フラナガン
ベース       ダグ・ワトキンス
ドラム       マックス・ローチ
 

今更申し上げるまでもなくジャズ史に燦然と輝く名盤である。ジャズという音楽は体質的に受け付けないけれども、この盤だけは別格。まるっきり素人の自分でさえ即興性の楽しさと体が自然に反応するリズムの「乗り」が感じ取れる。

また、オーディオ試聴用としても貴重な盤になっている。システムの一部を入れ換えたときには必ずテスト用として聴くのがこの盤である。

1のセント・トーマスの冒頭のシンバルの一撃(開始後37秒)はツィーター(高域専用のユニット)のレベル測定には欠かせない。極論すればシンバルの音をきれいに聴くためにJBLの075ツウィーターを外せないといっても過言ではない。

5曲のうちで好きなのは1の「セント・トーマス」と5の「ブルーセヴン」。複雑な処理をしたこのXRCD盤の録音の良さには十分満足しているが、何せ録音の感度が低いのが難点。

内容の解説については自分のような門外漢の拙い解説よりも、この盤の制作に携わった当事者と関係者の貴重なコメントが的確に表現していると思うのでかいつまんで紹介しておこう。

≪当事者≫

トミー・フラナガン(ピアノ)
あっという間にレコーディングが終了した。リハーサルもなし。簡単な打ち合わせをしただけでテープが回された。録り直しもなかった。やっているときからこのレコーディングは素晴らしいものになると確信していた。 

マックス・ローチ(ドラム)
ソニーは何も注文を出さなかった。妙な小細工を一切せずにそのときの気持ちを素直に表現しただけだ。豪快で大胆、ソニーの持ち味がこれほど理想的な形で聴ける作品はほかにない。


≪関係者≫

トム・スコット(テナー・サックス)

セント・トーマスのリズミックなフレーズこそ彼ならではのものだ。普通のスウィング感とは違う。それでいて、ありきたりのダンサブルでもない。ジャズ特有の乗りの中で、独特のビートを感じさせる。これぞ典型的なロリンズ節だ。 

ブランフォード・マルサリス(テナー・サックス)

ロリンズのアルバムの中で一番好きなのがサキソフォン・コロッサス。ここではいつにもまして構成なんかまったく考えていない。出たとこ勝負みたいなところがある。それで終わってみれば、構成力に富んだ内容になっている。これってすごい。うらやましい才能だ。この盤は不思議な作用があって、何かに悩んだときに聴くと、必ず解決策が浮かんでくる。お守りのような作品だ。全てのテナー奏者が聴くべき作品だし教科書でもある。

というわけです。

「サキコロ」はクラシックやジャズの範疇を超えた作品といっていいかもしれませんね。

しめた・・、この言葉を「免罪符」とさせてもらおうかな~(笑)。



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