「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

隣の芝生は青い

2021年02月06日 | オーディオ談義

つい先日のこと、「今からプリアンプを引き取りに行っていいでしょうか?」と、オーディオ仲間のYさんから連絡があった。

ご覧のとおり外見は「CL35」(ラックス)だけれど、中身はまったくほかのアンプという変わり種だが、音は惚れ惚れするほどいい。



「ハイいいですよ。現在、システムから外した状態なのですぐにお返しできます」

きっかり15分後にお見えになったYさんに「これからご自宅のシステムに組み入れるんですか?」とお訊ねすると「いいえ、ちょっと思いついた回路があるので、これから手直しする予定です。」

「エッ、これで十分じゃないですか! もう弄らないほうがいいんじゃないですか。」

「いいえ、使っている12AU7は12AX7に比べるとちょっと切れ味が鈍いような気がするし、ほかにぜひ試してみたい回路があるんです」と、強い意思のYさん。

「そう言われると・・。しかし、長時間疲れずに聴くにはもってこいの球ですけどねえ」

プリアンプに使う電圧増幅管の種類によって音質がコロコロ変わるのは周知のとおりだが、良くも悪くもこれが真空管アンプの持ち味の一つ。

「12AU7」のゆったりと落ち着いた雰囲気と、「12AX7」のやや緊張感を強いる音のどちらを選ぶかは、その日の気分次第のところもあってほんとうに難しい。

本音を言うと、我が手持ちの「マランツ7もどき」(12AX7)にはもっと穏やかな雰囲気が欲しいと思っていたので、双方がそれぞれ「無い物ねだり」に陥っていたことになる。

これを「隣の芝生は青い」というのかな(笑)。

実を言うと、我が家では曲りなりにもすでに対策を講じていたのである。

「12AX7」(STC=BRIMAR)から「13D9=12AT7」(BRIMAR)への変更である。

そもそも差し換え可能かどうかも分からず、「えいやっ」という気合だけが頼りで「やってみなくちゃ分からん」の類だが、な~に悪けりゃ元に戻すだけである。

どういう球かといえば、ずっと以前に「13D9」をオークションで購入したときの解説を再掲しよう。

   

「英国BRIMARの業務用高信頼電圧増幅双三極管13D9黒プレートの保存状態、程度の良い稀少な未使用新品ペア(2本)です(落札価格の設定は、ペア(2本)での設定です)。

管壁にBRIMARのロゴ、13D9、MADE IN ENGLAND、BVA、ロット等がシルク印刷されています。

この13D9は、一般的にあまり知られていませんが、1950~60年代に英国のBRIMAR(STC)の工場で、主に厳格な品質が求められる産業用途向けに生産され、英国ナンバーのECC81、CV4024、米国ナンバーの12AT7とは、同等規格の真空管としてそのまま差し替えて使用することができます。

通常のECC81等と比較して、プレート電圧が幾分(約10%程度)高耐圧に設計されており、本来、産業規格品ですが、オーディオ用途に使用した場合においても、高信頼管として優れた特性と音質を有する真空管として高い評価がされています。

この真空管は、私が趣味で約20年程前に自作アンプの保守用として複数本購入していたものですが、未使用品の手持ちが少し残っていますので、それを出品いたします。」

以上のとおりだが、音質に大きく影響する「μ(ミュー)=増幅度」の違いは規格表によると「12AX7」が100で、「12AT7」は60となっている。

そして、前述した「12AU7」はかなり低い17となっており、制御しやすくはなるけどちょっと切れ味が鈍くなる感じ。

もちろん回路や使い方によっても千変万化するので、あくまでも個人的な感想です。

そして、肝心の「13D9」に代えてみた結果だが、当座は「12AX7」と「12AU7」の「いいとこ取り」したみたいなバランスのいい音質になった気がしたものの、そのうち、ちょっと低音の伸びが足りないかなあ・・・。

ま、しばらくこれで聴いてみるとするか。

改めて、新装なったYさんのプリアンプとの「つばぜり合い」が楽しみ(笑)。


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